新春、恋心のゆくえ3

大阪商法会議所の立役者とは
新次郎だった。
相変わらず、ひょうひょうとして
やってきた。

あさは、驚いた。
まさか・・・新次郎が・・??
である。

五代がいうには
「最初は反対されて
誰も話を聞いてくれなかった
けど、ある時点から
徐々に話を聞かせてくれと
言ってやってくる人が増えて
きた」という。

よくよく話を聞くと
新次郎から聞いてきたと
言う人ばかりだった。

旦那衆たちはいった。
「おたがい、商売敵なのに
なぜ、旦那衆が集まって
力を合わせなければならないのか」と
大阪商法会議所に
反対したのだった。

それを新次郎が聞いていて
三味線のお稽古場では
そういう反対の話をしている
旦那衆に
「加野屋は先代の気持ちもあって
真っ先に大阪商法会議所にはいった」
といった。

すると旦那衆は驚いた。
「加野屋さんが???」

新次郎は
「あさがいうには
これで経済が盛り上がらへんと
大阪は金輪際東京には勝てれない
といっていた」といった。

「東京に勝てないとは?」

新次郎は

「自分たちが勝っていく相手とは
東京、日本中、そして世界の商売敵
だ」といった。

旦那衆はあっけにとられた。
なによりも、東京に勝てないという
話しに気持ちが動いた。

「なぜ、東京に商法会議所を
作ったのかわかりますか」と
新次郎が山屋に聞くと
「わからないという。
「それは後々儲かるように
成るからだ」といった。
「儲けたいのはどこも一緒
だから」といって
三味線を弾いた。

三味線の会やら
お茶の会
浄瑠璃の会
謡の会
などで聞いたというひとも
いるという。
このレストランで聞いた人も
いるし
うどん屋で聞いたという人も
いるという。

うわさがひろまって
こうなったという

あさは「びっくりぽんや」というと
五代も
「わたしもびっくりぽんです」といった。

そして、英語でつぶやく

「たんなる
ボンクラ亭主と思って
いたのに・・・」
あさは、「はい?」と聞き返したが
五代は、「新次郎をこれほど人望のある
お方だとは思わなかった」と
言って笑った。

五代は重ねて「自分の力ではなく
新次郎があってこそだ」と
いった。

新次郎はあさが来ているのをみて
声をかけた。

やがて、大半の客が帰って
いった。
あさは、聞いた話を新次郎にいって
「びっくりぽんだ」といった。

新次郎はそんなことはないと
いった。

「あの時期はよくここで飲んでいた
からかな?」
という。
あの時期とはあさが九州に行ったり
東京へ行ったりしていた頃
のことだった。

美和は「いちど千代ちゃんも
連れてきた」と
口をはさんだ。

あさは、「えええ??」と
驚いた。

栄三郎は
「一度、ありましたな。
店の者や
母おやもつれて
ぱあっとという時が」と
話を混乱させる。

「へえ~~~~~」

あさは、面白くない顔を
した。

一度だけだと新次郎は
いう。
「千代は大概は寝かしつけて
から来ています」といった。
また栄三郎が「自分が一緒に行こうと
いうけど
ひとりでぶらっと出ていかはる」
といった。

「へえ~~~
タイガイは一人でなぁ??」

あさは、面白くない。


また美和が
「いつもごひいきにしてくれて
おおきに」

といって話を盛り上げる。


「そうだすのか・・・・・・・・・・」
あさは新次郎をにらんだ。

新次郎は栄三郎に余計なことを
いうからだと怒る。

「では、自分がいないときは
タイガイ
ここでお師匠さんと
楽しく
ビールを飲んでいたという事だすな」
とあさは

新次郎にきつく言った、

「タイガイ
時々
たまたま

ふらふらっと・・・
あ、焼きもちだすか?
焼いてもらうとうれしいな」

と新次郎は逆襲をした。

「そんなものやきません」
とあさがいうと
五代が・・・

笑いながら
「いいじゃないですか。」
と言って近づいてきた。

「私とあささんにも
東京での
秘密が

あるものですから。

あははははは・・・・・」

新次郎はぎくりとした。
あさも驚いた。

「東京での秘密?と新次郎が聞く。

五代は
「タイガイは仕事ですが
夜になると
時々気持ちのコントロールが
つかへんと気がありまして。ははははは・・・」

新次郎はあっけにとられた。

「なにをいうているんですか。五代さま」
とあさがいう。

「あハハハハハ」と笑いながら
「エクスキューズミー」と
いって
また笑った。

美和は、五代に
「いけずなことをおっしゃって」
と言って笑った。

新次郎は真剣な顔をして
「なんやねん、
こんとろーっていうのは」

という。

「それは気持ちの取り締まりというか」と
あさがいうと
「そのまえに
東京で何があったのか」と
新次郎が聞く。
「焼きもちですか?」とあさ。
「焼くもんですか。
餅なんか。
お雑煮だけで充分だす。」と
新次郎。

あさは、新次郎を見て
笑った。


そのころ、加野屋では
うめが餅を焼いていた。

その横で
亀助が餅を食べていた。

ふゆが新次郎を好きなことを
うめも雁助も知っている。
亀助も知っていたとはと
うめは餅を焼きながら
いった。

「それでふたりで
わてをたきつけていたのですか」と
亀助は言った。

うめは「堪忍やで」といった。
「これいじょうふゆを
道ならぬ恋に引きもむわけには
行かなかった」と
いった。

亀助は「相手は新次郎さんだと余計
諦めがつく」という。
「新次郎さんに勝てない」といった。

うめは新次郎のどこがいいのかと
いう。「いいひとだけど
あまりにもちゃらんぽらんすぎている。
普通のおなごにはよく働く
男がいいけど」というと
亀助は
なんだか喜んだ。

数日後
ふゆは
嫁入りのための
白無垢をよのから
贈られた。

よのは、ふゆのことを大事に
思っていると
いったのはいいが

むかし、新次郎の妾にどうかと
思っていたといった。
正吉に反対されたのであきらめたと
言う話をすると
ふゆは複雑な思いになった。

もちろん
よのは
ふゆが新次郎を好きだとは
知らない。


あさがそろばんをおく
部屋で千代と冬が遊んでいた。
かのは、千代を連れて
よののところへいった。

「ふゆがいなくなると
千代もさみしがるだろう」と
あさはいった。

あさは、ふゆに「気持ちのコントロールは
できているのか」と聞く。

あさは急にとんとんと
話しが決まってしまったので
ふゆのきもちは大丈夫なのかと
聞いた。

廊下ではうめと亀助が
立ち聞きをしている。


ふゆは
「憧れているおなごさんが
がふたりいるという。
ひとりははつ
もうひとりは
うめさんだ」という。

「今井の家にでは幸せだった」と
いう。
「父親にかわいがられていなかったふゆは
やっと居場所をみつけた」という。
「あ、おあさ様も素敵でした。
いえ、あこがれるよりは
頼もしいと思っていた」という。

ふゆは「うめのようになりたいと
思っていた」という。

一生かけてあさをまもりうめをみて
自分もそうなりたいと
思ったという。
でもできそうにない。

だから
自分などを嫁に欲しいという人が
いるのなら
喜んで嫁に行こうと
思うといった。

あさは、
ふゆに

「今思っている人が
いるのでは?」という。

「いいえ、そのかたには

自分より、お似合いになる方が
いるから」といって
「失礼します」と言って

立ち上がってさっていった。

「ああ、

どきどきする・・・」

あさは
畳の上に大の字になって
そういった。
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出てきましたね~~~~。
五代との疑惑が。
しかし冗談ですけどね。
半分は本当かもしれませんけど。

ま、それはそれとして
あさはふゆが思っている人は
新次郎だとは知らない。

だから・・・

どうなるのでしょうか???

ふゆは、じっと新次郎が好きという
気持ちを
封印して
嫁に行こうとしているのに

まわりが

あばいていくのです。

これは困ったもので

うめと亀助は
真実を
あさにいうべきか
どうかと悩みますよね。

ふゆは
本当は
新次郎が好きだなんて
あさには
言えないでしょう・・・。

困ったことです。

原作は

あさの付き人の女中さんが
新次郎の妾になっています。

うめが?????

と驚きましたが・・・

そうではありませんでした。