九転び十起き1
「気持ち悪い~~~~~」
あさのつわりははつが心配した
とおり
重たいものだった。
その様子の悲惨さに
未婚の亀助は
どうしたらいいものかと
うろうろした。
しかし、病気ではないので
医者も直そうなどとはいわない。
カズは亀助に説明した。
つわりはひと月かふた月はつづく。
特にあさはつわりが重たいので
食べるものも食べられず
弱ってしまう可能性があるという。

亀助はびっくりした。

あさは我慢するより外にない。
鉱夫たちは心配したが
サトシは不敵な笑顔をみせていた。

亀助はそれも気になった。

山の道を歩く新次郎とうめ。
こんな大変な道をなんどもなんども
あさが通ったとはとうめは
感心する。
新次郎は
このところなんでも西洋風に
なっていく時代なので
それがいいのか悪いのかと
愚痴を言いながら歩く。
彼にとって
問題は
散切り頭のことだった。

亀助はサトシのことを
治郎作に相談した。
なにか、あるのではないかと
あさが心配していると。
治郎作がサトシは加野屋を
憎んでいるしよく知っていると
いう。
「なんでだす?」
あさは障子を開けて
現れた。

しかしつわりは重くて
あさは「なんでだす」といっても
答えを聞く前に倒れてしまった。

なんではつはこんなに苦しんで
なかったのに、自分だけは
苦しい思いをするのかと
あさは、情けなくなった。
カズは、「つわりはややこが
おなかの中で気張っている
証拠だ」という。
あさは、それでも
つらいのが
つらい。

亀助は
「こんな時には男は何もできない
な」という。
カズはいった。
「そんなことはありません。

今の奥さんにとっておきの妙薬が
あるとしたら・・・」
そのとき

「あさ

あさぁ~~」と

あさを呼ぶ
男の声がする。

「は???」
とあさ、

「今の声は・・・」
と亀助。

外に出て大きな声で
驚いていた。

カズは、「妙薬が来てくれた」と
あさにいう。

あさは

「へ?」
といったきりだ。

「新次郎さん
うめさんも

よう来てくれましたな


と亀助がいうと

「よう来たやあらへんがな
なんで帰ってこないんや!」

新次郎は、亀助にいう。

「そのわけは、あってもらったら
わかります」と

いって新次郎をあさのもとに案内した。

「あさ!」
「新次郎・・・」
「あさ様・・・」
「うめ~~~~」

へたばっているあさをみて
新次郎は

「えらいこっちゃ
これは何の病だす?」

と聞く。

「つわりです」と
カズは言った。
「吐き気が強くて
食べることができない」と
いった。

新次郎は

「つわりは、病ではないな」という。

うめが「好きなものを作りますから」と
いって台所へ行った。

いきなり
「よかった!」

新次郎はあさを抱きしめた。

亀助は自分が邪魔だとわかって
さっさと
出て行った。

「ようやった、
あきらめていたのに
ようやった」

と新次郎はあさを
激励した。

「あんたが嫁に来てくれて
もう11年だす。

すぐにご一新になって
働くばかりで・・

もう無理だと思っていたのに・・

それやのに・・・

ほんまにおおきに
おおきにな・・・」

あさは
抱きしめられたのはいいが

「おえっ」と吐き気がした。

髷のびんつけ油のにおいが
吐き気がするという。

新次郎は竹の水筒をだして
自分が入れたお茶を
あさに渡した。

「病やなくてよかった」という。

そして、はつの手紙と
みかんを渡してくれた。

あさは、よろこんだ。
みかんはつわりでも

食べられるらしい。

あさは

元気になる気がした。

「明日カエル???」

とあさはうめにいう。

うめは、「引きずってでも帰る
つもりで来たのです」という。

医者も大阪のほうがいるからと
いって、帰ることを強く言う。

「なんやったら相撲で勝負しましょうか」と
うめがいうと
「今は勝てない」とあさはいった。

新次郎は炭鉱をみながら
亀助に聞く。

「なんですぐに帰ってこなかったのか」と。

亀助はあさが、サトシのことを
心配しているので
帰れなかったと
いった。

そういえば前にあさにたてつく
男がいると
聞いたことがあると
新次郎が言った。
だが、まじめに働いてくれるように
なったので安心していると
の話を聞いたという。

そこに、炭鉱の女たちが
新次郎を見てキャーキャーと
いっていた。
「やさしそうだ」とか
「奥さん思いなんだ」とか
いって新次郎を見ている。

新次郎は、色気を出して

「おおきに」

といった。

すると
女性たちは
「きゃーーーーー」と
黄色い声を上げた。

そこにサトシが
「うるさい、さっさと仕事を
終えろ」と
どなった。
女性たちは逃げていった。
サトシは
じっと新次郎を見た。

「あれは・・・・・・・」

そこへ宮部がやってきた。

「旦那さま
よう、きんしゃったね~~」

サトシが去っていく。
宮部は追いかけて行った。

「あの納屋頭は
なんというのですか?」

亀助は
「サトシといいます」といった。

宮部は
サトシを追いかけて
いった。
「サトシさん、印象が悪いよ。
どうしたのですか?」
と聞く。
サトシは
「自分はあんなのんきな金持ちを見ると
虫唾が走りますので」といった。

「だが
それも
もう
終わりだ・・・

俺は

あやつらに・・・・・・・」

サトシとは
いったい何者なのでしょう?
*******************
サトシは
目つきが悪すぎ。
つわりの苦しいときに
何か企んでいます。
新次郎もサトシの正体に
気が付いているのに
なぜ、あさに言わないのかと
おもいます。

つわりは、きびしいです。
わたしも、最初の子のときは
吐きました。
気持ち悪くて
そして
なぜか

この時から

納豆を食べることができる
ようになりました。

納豆まきがおいしくて・・・。

つわりって変ですよね。