お姉ちゃんの旅立ち6
炭鉱であさが倒れた。
カズは、もしかしておめでたかも
という。
そういえば・・・あさは
疲れが抜けないといった。
亀助は驚いて大阪に手紙を書いた。
大阪では、大騒動となった。
「たいへんだ
たいへんだ・・・」
「お家の一大事だ」と騒ぐ。
正吉もよのもまだ生まれてもない
のに、涙を流す。
「手紙が来たということは
もうすぐ帰ってくるということだろう」と
正吉は言う。
「帰ってきたら手厚く迎えなければ」と
よのがいう。
ふゆは複雑な思いで新次郎を見る。
雨が降ってきた。
新次郎は「わてな、うれしいことがあると
いっつも雨が降りますのや。
これはわてのうれし涙や」とふゆに
いう。
その気持ちを感じたうめ。
台所でふゆに、話しかける。
「まだあんた、新次郎さんのことを?」
と聞く。
ふゆはあわてて去っていく。
うめはためいきをつくと鴈助が
うしろにいた。
「わかいおなごというものはやっかい
ですな。」
「若いころのああいうのは熱病
みたいなもので回りが覚まそうとすると
どんどん熱くなっていきます」と
うめがいう。
鴈助は「あんたにもあったみたいですね」という。
「昔々の話しだす。
今井に奉公に上がったときから
もう縁切りましたから。」
「そら、もったいないことや。」
「え?」
「あ?」
鴈助は去っていった。
加野屋は、盛り上がっている。
奥さん連中まで
「ややこができた・・・」と
「あの、えらいお嫁さんにややこが・・」と
どこまでも大騒ぎだが。かんじんの
あさは、帰ってこない。
外に出て待つ新次郎だが
また手紙が来た。
仕事が終わったら帰るとあった。
「この期に及んで何が仕事なのか」
「お姉さんの仕事好きにも
こまったものですな・・・」と
家族の不思議なボケが始まった。
そのころ、外で仕事ができない
あさは、はた織りをしていた。
(はたおりができるのかいな)
カズは、「じっとしててください」
という。
あさは「病気じゃないから」という。
カズは
「やや子を産むということは
病気以上に大変なことなんだ」と
説得するが
あさは、「自分は丈夫だから」と
あかるくいう。
「おなかが大きくなったら
はた織りもできなくなる。
いまのうちに
やっておきます。」と
いった。
「亀助さん、新聞おおきに」といって
新聞をうけとって外で読むあさ。
亀助は、「早く大阪に帰らないと
わてが怒られますのやで」。
あさには、気になることがあった。
サトシの組がどうしてもおかしい。
よく掘ってくれるのはいいけど
何かあるような気がすると
いった。
「何かってなんだす?」
あさは、亀助に「それがなにか
わかって落ち着いたら
帰りますから・・・な?」
といった。
サトシは炭鉱の中で
組のものにいった。
「あの奥さんがおらんようになったら
俺たちもやりやすくなるぞ・・・」
あさは、まだ自分の子供が
想像できない様子だった。
はつから加野屋にあさへ手紙が来た。
『あさ、うめからの手紙でしりました。
やや子を授かったとのこと。
おめでとうさん
あんたの大事な時にそばについてて
あげられなくて堪忍な・・
こちらはようよう新しい生活に
なじんできました。
次男の養之助もすくすく育ち
藍の助はこちらの子供たちと一緒に
山の中をかけまわっています。』
藍の助が川で洗濯をするはつにいう。
「お母ちゃん見て~~
さっきそこにしろ蛇がいたんやで。
蛇は怖いな~~」
「そないなことはあらへん。しろ蛇は幸せを
はこぶといいますのやで。」
「どないしたん?」
惣兵衛が声をかける。
「うわさをすれば・・・」と
はつは笑った。
『お互い新しい生活が始まり
ますな。どうか十分体に気を
つけて。
新次郎様やお父様、お母様によろしく
お伝えください。
追伸
うちはそれほどでもなかったけど
お母さんはうちらを産むときつわりが
きつくて生まれるまで死ぬような
思いをしたと聞きました。
あさもそのたちを受け継いでいるかも
わからへんから、どうか
重々気を付けて…頑張ってな
あさ・・』
それを読んだ新次郎は
「これはあかん」と
いって立ち上がった。
「今日も帰ってこない」と
加野屋のみんなはいう。
よのは、「授かったばかりの頃が一番
大事な時なのに・・」と
心配する。
正吉は、大声で
「ああ~~もう~~
がまんならん!!
だれか連れ戻す奴はおらんのか~~
え??
え???」
と指をさした方向に
うめがいた。
よのは
「あんた、いってくれるか」と聞く。
あさはうめのことしか聞かない。
「はよいって連れて帰ってほしい」と
いう。
うめはひとりで九州へいくのが
不安だった。
「わての足で行けますか・・?」
新次郎は、
ついに「わてが行く」といった。
みんなびっくりする。
「八代目!!!ええか??」
栄三郎は
「これかて
お家の一大事ですから。
どうぞいってきて
ください。」
「頼むぞ」と正吉
「まかしといて!」と新次郎。
ひきずってでも
連れ戻してこいとの
正吉の至上命令に
新次郎とうめは
早速旅姿となった。
(やることが早い)
そして加野屋の期待を背負って
出発した。
新次郎は
凛々しい顔で出て行った。
ついぞ見たことのない顔だった。
九州につき
山の中を歩く二人。
「この道であってますか」とうめ。
「おおてます!」と新次郎。
大丈夫なのでしょうか。
そのころあさは
みんなでご飯を炊いていた。
「炊けた~~~」といっておかまのふたを
とると
ふわ~~と湯気が出る。
おいしそうな湯気のにおいである
が・・・
つわり中では
このにおいは
吐き気の元であった。
あさは、気分が悪くなって
外に出た。
「はぁ
あかんわ
こらあかん・・・」
「だからいわんこっちゃない・・」
とカズ。
「いややあかん
気持ち悪い~~!!!!」
その声が新次郎に届いた
ようだった。
「あさ・・・・」
新次郎はつぶやいた。
****************
つわりは嫌ですよ。
何を見ても
気持ち悪いから。
とくに、ご飯の湯気は
気持ち悪いです。
わたしは、これを酢飯にして
お寿司で食べました。
すると気持ち悪くないですね。
そのほか何を食べても
あとあとになって
はいてしまいます。
高いもの食べても
はいてしまうのだから
あまり贅沢をしないほうが
いいでしょう。
サトシは何を企んでいるの
でしょうか。
こいつが
加野屋の炭鉱を
窮地に陥れるのでしょうか。
あさは、
こんな時にでも
子供を産み育てるたくま
しさをもっていますね。
何事も
丈夫じゃないと
まけです。
新次郎の顔が
きりっとしました。
かっこいいです。
炭鉱であさが倒れた。
カズは、もしかしておめでたかも
という。
そういえば・・・あさは
疲れが抜けないといった。
亀助は驚いて大阪に手紙を書いた。
大阪では、大騒動となった。
「たいへんだ
たいへんだ・・・」
「お家の一大事だ」と騒ぐ。
正吉もよのもまだ生まれてもない
のに、涙を流す。
「手紙が来たということは
もうすぐ帰ってくるということだろう」と
正吉は言う。
「帰ってきたら手厚く迎えなければ」と
よのがいう。
ふゆは複雑な思いで新次郎を見る。
雨が降ってきた。
新次郎は「わてな、うれしいことがあると
いっつも雨が降りますのや。
これはわてのうれし涙や」とふゆに
いう。
その気持ちを感じたうめ。
台所でふゆに、話しかける。
「まだあんた、新次郎さんのことを?」
と聞く。
ふゆはあわてて去っていく。
うめはためいきをつくと鴈助が
うしろにいた。
「わかいおなごというものはやっかい
ですな。」
「若いころのああいうのは熱病
みたいなもので回りが覚まそうとすると
どんどん熱くなっていきます」と
うめがいう。
鴈助は「あんたにもあったみたいですね」という。
「昔々の話しだす。
今井に奉公に上がったときから
もう縁切りましたから。」
「そら、もったいないことや。」
「え?」
「あ?」
鴈助は去っていった。
加野屋は、盛り上がっている。
奥さん連中まで
「ややこができた・・・」と
「あの、えらいお嫁さんにややこが・・」と
どこまでも大騒ぎだが。かんじんの
あさは、帰ってこない。
外に出て待つ新次郎だが
また手紙が来た。
仕事が終わったら帰るとあった。
「この期に及んで何が仕事なのか」
「お姉さんの仕事好きにも
こまったものですな・・・」と
家族の不思議なボケが始まった。
そのころ、外で仕事ができない
あさは、はた織りをしていた。
(はたおりができるのかいな)
カズは、「じっとしててください」
という。
あさは「病気じゃないから」という。
カズは
「やや子を産むということは
病気以上に大変なことなんだ」と
説得するが
あさは、「自分は丈夫だから」と
あかるくいう。
「おなかが大きくなったら
はた織りもできなくなる。
いまのうちに
やっておきます。」と
いった。
「亀助さん、新聞おおきに」といって
新聞をうけとって外で読むあさ。
亀助は、「早く大阪に帰らないと
わてが怒られますのやで」。
あさには、気になることがあった。
サトシの組がどうしてもおかしい。
よく掘ってくれるのはいいけど
何かあるような気がすると
いった。
「何かってなんだす?」
あさは、亀助に「それがなにか
わかって落ち着いたら
帰りますから・・・な?」
といった。
サトシは炭鉱の中で
組のものにいった。
「あの奥さんがおらんようになったら
俺たちもやりやすくなるぞ・・・」
あさは、まだ自分の子供が
想像できない様子だった。
はつから加野屋にあさへ手紙が来た。
『あさ、うめからの手紙でしりました。
やや子を授かったとのこと。
おめでとうさん
あんたの大事な時にそばについてて
あげられなくて堪忍な・・
こちらはようよう新しい生活に
なじんできました。
次男の養之助もすくすく育ち
藍の助はこちらの子供たちと一緒に
山の中をかけまわっています。』
藍の助が川で洗濯をするはつにいう。
「お母ちゃん見て~~
さっきそこにしろ蛇がいたんやで。
蛇は怖いな~~」
「そないなことはあらへん。しろ蛇は幸せを
はこぶといいますのやで。」
「どないしたん?」
惣兵衛が声をかける。
「うわさをすれば・・・」と
はつは笑った。
『お互い新しい生活が始まり
ますな。どうか十分体に気を
つけて。
新次郎様やお父様、お母様によろしく
お伝えください。
追伸
うちはそれほどでもなかったけど
お母さんはうちらを産むときつわりが
きつくて生まれるまで死ぬような
思いをしたと聞きました。
あさもそのたちを受け継いでいるかも
わからへんから、どうか
重々気を付けて…頑張ってな
あさ・・』
それを読んだ新次郎は
「これはあかん」と
いって立ち上がった。
「今日も帰ってこない」と
加野屋のみんなはいう。
よのは、「授かったばかりの頃が一番
大事な時なのに・・」と
心配する。
正吉は、大声で
「ああ~~もう~~
がまんならん!!
だれか連れ戻す奴はおらんのか~~
え??
え???」
と指をさした方向に
うめがいた。
よのは
「あんた、いってくれるか」と聞く。
あさはうめのことしか聞かない。
「はよいって連れて帰ってほしい」と
いう。
うめはひとりで九州へいくのが
不安だった。
「わての足で行けますか・・?」
新次郎は、
ついに「わてが行く」といった。
みんなびっくりする。
「八代目!!!ええか??」
栄三郎は
「これかて
お家の一大事ですから。
どうぞいってきて
ください。」
「頼むぞ」と正吉
「まかしといて!」と新次郎。
ひきずってでも
連れ戻してこいとの
正吉の至上命令に
新次郎とうめは
早速旅姿となった。
(やることが早い)
そして加野屋の期待を背負って
出発した。
新次郎は
凛々しい顔で出て行った。
ついぞ見たことのない顔だった。
九州につき
山の中を歩く二人。
「この道であってますか」とうめ。
「おおてます!」と新次郎。
大丈夫なのでしょうか。
そのころあさは
みんなでご飯を炊いていた。
「炊けた~~~」といっておかまのふたを
とると
ふわ~~と湯気が出る。
おいしそうな湯気のにおいである
が・・・
つわり中では
このにおいは
吐き気の元であった。
あさは、気分が悪くなって
外に出た。
「はぁ
あかんわ
こらあかん・・・」
「だからいわんこっちゃない・・」
とカズ。
「いややあかん
気持ち悪い~~!!!!」
その声が新次郎に届いた
ようだった。
「あさ・・・・」
新次郎はつぶやいた。
****************
つわりは嫌ですよ。
何を見ても
気持ち悪いから。
とくに、ご飯の湯気は
気持ち悪いです。
わたしは、これを酢飯にして
お寿司で食べました。
すると気持ち悪くないですね。
そのほか何を食べても
あとあとになって
はいてしまいます。
高いもの食べても
はいてしまうのだから
あまり贅沢をしないほうが
いいでしょう。
サトシは何を企んでいるの
でしょうか。
こいつが
加野屋の炭鉱を
窮地に陥れるのでしょうか。
あさは、
こんな時にでも
子供を産み育てるたくま
しさをもっていますね。
何事も
丈夫じゃないと
まけです。
新次郎の顔が
きりっとしました。
かっこいいです。
