新選組参上3
新次郎が夜な夜な行く先とは
三味線のお師匠様の
美和のもとだった。
「毎晩お顔を見れてうれしいけど
お嫁さんもらったばかりでしょ。
ええの?」
といわれて、新次郎は「あれはまだ
子供や」という。
そして、あさに投げ飛ばされたとき
痛めた小指が痛いと
美和に訴える。
新次郎の夜遊びは番頭や正吉
よの、の知るところであるが
「嫁を貰ってまでも
まだふらふらしているのか」と
正吉は愚痴る。
「あさちゃんはさぞかし落ち込んで
いることだろう」と
いうと
どうも、そうではなく
よく食べて
よく寝て
大の字になって寝ていると
のうわさになっている。
よのは、かよと対策を考えなくて
は・・とかのを呼ぶ。
そのころあさは、布団の上で
母にもらったお守りを見て
つぶやく。
「何でうちはこんなとこに
いるんやろ?」
すると、忠興の言葉を
思い出す。
『帰ってくんなよ・・』
あさは、はっとして
「ああ、考えていても
仕方がない・・・
寝よ・・」
といって大の字になって
ねた。
幕末の世情は混乱をきたして
いた。
薩長同盟が成立して
徳川幕府は新選組に命じて
京都の警備を強化した。
京の都は騒然として
大きな時代の変わり目を
予感させていた。
その日の朝
あさは、そっと家を抜け出して
走って行った。
店はあさがいなくなったと
大騒ぎとなったが
「加野屋の奥さんともあろう
人がお供もつけない
で出て行くとは・・」
「本当に子供のような人だ」と
番頭は愚痴る。
「まさか、いやになって怒って
出ていった
とか・・・」と
雁助と亀助はそれぞれに
いうが、
うめは、「行先はわかっています」と
いう。
そのころ、山王寺屋の前で
のれんのはしをつまんで
中を伺う
あさ。
「お姉ちゃんはいるやろか」と
つぶやく。
そのあさを偶然はつがみつけた。
うれしそうにあさとはつは再会し
たが、積もる話などできない。
ちょうど、はつは惣兵衛と
お芝居をみに
行くところだった。
惣兵衛は「先にいくから」という。
「うちもすぐに・・」と
はつはいった。
惣兵衛はあさの前で止まったが
そのまま素通りをした。
「相変わらず愛想のないお方やな。」
とあさ。
はつは、「蛇のような表情のない顔でも
心の中で笑っているところが
分かるようになった」という。
「ああ見えてもかわいらしいところは
あるのよ」という。
「そうどすか
それはよろしおましたな」
とあさ。
はつは「あさの話も聞きたいわ。
また来てな。うちは何一つ
不自由なく暮らしています
ありがたいことやわ」
といって
惣兵衛を追いかけて
去って行った。
あさは、ふたりの後姿をみて
自分の顔をたたいた。
「しっかりしよう・・・」と
自分に気合を入れた。
家に帰ると
うめが家の前で待っていた。
うめが怒っている。
すると
正吉もいた。
あさは、正吉も怒って
いるので覚悟を決めた。
座敷であさはだまって
いなくなったことをわびた。
「本当は、京都へ帰りたかった
のではないか」と
正吉に言われた。
あさは、忠興から
帰って来るな。
家を守れと言われたことを
いった。
「いったん敷居をまたいだ
からには一生京都へは
帰らない決心でございます。」
「ほんまか?」
「へえ、
決して逃げるようなまねはしません
わたしはここの嫁として
家を守っていきたい」という。
正吉はほっとしたという。
噂話で
「あさは気が荒いので新次郎が
相手だと、怒って出戻って
しまうのではないかと
言われているという。
それで心配していた」という。
「そんな噂が立っていたとは」と
あさは申し訳がない。
「だったら、この店の手伝いを
させてください。
京都の家でもそろばんを入れて
いました。きっと奥でじっと
しているより、役に立つと思います。
それ・・・ここの帳簿ですか?」
と、綴ったものを見て行った。
「そうそう、これは先祖代々から
使ってきたものだ。お金の貸し借りと
とか
お米屋砂糖の取引なんてのを
書いてあるけど、
これはおなごはんは見てはいけない
物だ」と
正吉。
「おなごが見てはいけない???」
あさは、わからない。
それは昔からのしきたりだという。
両替商は信用が第一だから
信用を守るためには古くからいわれて
いることを守ることだと
正吉は言った。
あさは
「そうでしたか。
出過ぎたことを・・・・・
すんませんでした。」
あさは、頭を下げて謝った。
そこへよのがやってきた。
「加野屋に必要なのは
商いができるおなごではなく
夫に惚れられるおなごや」と
意味深にいう。
「惚れられる???」
「こっちへ・・」と
かのと
よのはあさを連れて行く。
あさに化粧をさせようと
いう。
あさは化粧もしないので
子供のようだから
新次郎が手を出しにくいのかもと
いう。
そして、おしろいをこう塗ると
広いおでこもそうでもなくなる
とか
@あんた、かいらしけど
目が大きすぎだから・・
目が大きいと殿方は
怖がりますし・・
こう塗ると・・・
ハナも高く見せるために・・
こう塗って・・」
よのは化粧を施した。
「よろしおますなぁ==」と
かのがいう。
そういって、あさの顔に
おしろいを塗りたくった。
その顔であさが新次郎が外出する
のをみつけて
「旦那様」と呼びかけた。
「どこへ行かはるんどすか?」
「うん?」と振り返って
あさをみた新次郎は
「これはびっくりや。
どこの出目金かと思うた・・」
という。
あさの顔は
どうみても
つやっぽいとは
いいがたい。
新次郎はそれでも出かけた。
あさは、化粧をとった。
「やっぱり出かけてしもた
やないの
もういやや・・・」
とつぶやく。
あるひ、あさは「出かけたい」と
よのに外出許可をもらう。
だったら
お供をつけて
呂の振袖にしてと
よのはいう。
外でても
加野屋の若奥さんと言われ
るので、ちゃんとしてい
でかけろといった。
普段着でもいいのでは?
とあさは
思っていたが・・・
よのは「かごにのっていきなはれ。
加野屋の自慢の若奥さんやで」と
念を押された。
「でも・・・」というが
うめが
「おあさ様」と
止めたので
「わかりました」と
あさは答えた。
しかし
夏の暑いときに
ふりそでをきて
うめと
亀助が
日傘をそれぞれにさすので
「暑い!!!
これやったら大名の奥方様の
お出かけや」
と、あさはおこった。
そして亀助を帰らせた。
亀助は、驚いた。
あさはあさで
振袖をまくり上げて
大股でずんずんと歩いていく。
うめは
「おあさ様===」と
あさを追いかけた。
うめは、あさに
「誰が見ているかわからないから
そのような粗野な振る舞いはやめてください」
と訴えるが
「暑うてほんまにかなわんわ~~~」と
あさはうんざりしながら
歩いていく。
大阪見物である。
すごくにぎやかなところがあった。
「あれはなんや?」と
あさは、そっちへいく。
「何やこの女振袖やでこの暑いのに」
「こないなところになんで
女がいてるんや」
そこらにいる男の人たちは
あさをみて
悪口を言う。
「邪魔や!!」
人に押されて
突き飛ばされて
倒れかけたところを
ある男が
あさを支えた。
その男は
洋装で、シルクハットをかぶって
いる。
徳川の時代ですよ。
「やっとこさあえたな~~~」と
あさをみていう。
「え???」
誰やったかな?とあさは
考えるが・・・
その男は五代才助だった。
*******************
新次郎の浮気、
なれない、大阪の奥の生活。
商いがしたいあさ。
大阪見物をしたい
あさ・・・
なぜかしあわせそうなはつ・・
京都の新選組・・・
そこへ、お話の筋が入るかの
ように五代才助が登場する。
不自由ですね・・・・若奥様って
いうのは。
町人なのでもっと自由化と思い
ましたけどね。
しかし新次郎は
何を考えているのやら。
小指が痛いって
なにか、意味深です。
新次郎が夜な夜な行く先とは
三味線のお師匠様の
美和のもとだった。
「毎晩お顔を見れてうれしいけど
お嫁さんもらったばかりでしょ。
ええの?」
といわれて、新次郎は「あれはまだ
子供や」という。
そして、あさに投げ飛ばされたとき
痛めた小指が痛いと
美和に訴える。
新次郎の夜遊びは番頭や正吉
よの、の知るところであるが
「嫁を貰ってまでも
まだふらふらしているのか」と
正吉は愚痴る。
「あさちゃんはさぞかし落ち込んで
いることだろう」と
いうと
どうも、そうではなく
よく食べて
よく寝て
大の字になって寝ていると
のうわさになっている。
よのは、かよと対策を考えなくて
は・・とかのを呼ぶ。
そのころあさは、布団の上で
母にもらったお守りを見て
つぶやく。
「何でうちはこんなとこに
いるんやろ?」
すると、忠興の言葉を
思い出す。
『帰ってくんなよ・・』
あさは、はっとして
「ああ、考えていても
仕方がない・・・
寝よ・・」
といって大の字になって
ねた。
幕末の世情は混乱をきたして
いた。
薩長同盟が成立して
徳川幕府は新選組に命じて
京都の警備を強化した。
京の都は騒然として
大きな時代の変わり目を
予感させていた。
その日の朝
あさは、そっと家を抜け出して
走って行った。
店はあさがいなくなったと
大騒ぎとなったが
「加野屋の奥さんともあろう
人がお供もつけない
で出て行くとは・・」
「本当に子供のような人だ」と
番頭は愚痴る。
「まさか、いやになって怒って
出ていった
とか・・・」と
雁助と亀助はそれぞれに
いうが、
うめは、「行先はわかっています」と
いう。
そのころ、山王寺屋の前で
のれんのはしをつまんで
中を伺う
あさ。
「お姉ちゃんはいるやろか」と
つぶやく。
そのあさを偶然はつがみつけた。
うれしそうにあさとはつは再会し
たが、積もる話などできない。
ちょうど、はつは惣兵衛と
お芝居をみに
行くところだった。
惣兵衛は「先にいくから」という。
「うちもすぐに・・」と
はつはいった。
惣兵衛はあさの前で止まったが
そのまま素通りをした。
「相変わらず愛想のないお方やな。」
とあさ。
はつは、「蛇のような表情のない顔でも
心の中で笑っているところが
分かるようになった」という。
「ああ見えてもかわいらしいところは
あるのよ」という。
「そうどすか
それはよろしおましたな」
とあさ。
はつは「あさの話も聞きたいわ。
また来てな。うちは何一つ
不自由なく暮らしています
ありがたいことやわ」
といって
惣兵衛を追いかけて
去って行った。
あさは、ふたりの後姿をみて
自分の顔をたたいた。
「しっかりしよう・・・」と
自分に気合を入れた。
家に帰ると
うめが家の前で待っていた。
うめが怒っている。
すると
正吉もいた。
あさは、正吉も怒って
いるので覚悟を決めた。
座敷であさはだまって
いなくなったことをわびた。
「本当は、京都へ帰りたかった
のではないか」と
正吉に言われた。
あさは、忠興から
帰って来るな。
家を守れと言われたことを
いった。
「いったん敷居をまたいだ
からには一生京都へは
帰らない決心でございます。」
「ほんまか?」
「へえ、
決して逃げるようなまねはしません
わたしはここの嫁として
家を守っていきたい」という。
正吉はほっとしたという。
噂話で
「あさは気が荒いので新次郎が
相手だと、怒って出戻って
しまうのではないかと
言われているという。
それで心配していた」という。
「そんな噂が立っていたとは」と
あさは申し訳がない。
「だったら、この店の手伝いを
させてください。
京都の家でもそろばんを入れて
いました。きっと奥でじっと
しているより、役に立つと思います。
それ・・・ここの帳簿ですか?」
と、綴ったものを見て行った。
「そうそう、これは先祖代々から
使ってきたものだ。お金の貸し借りと
とか
お米屋砂糖の取引なんてのを
書いてあるけど、
これはおなごはんは見てはいけない
物だ」と
正吉。
「おなごが見てはいけない???」
あさは、わからない。
それは昔からのしきたりだという。
両替商は信用が第一だから
信用を守るためには古くからいわれて
いることを守ることだと
正吉は言った。
あさは
「そうでしたか。
出過ぎたことを・・・・・
すんませんでした。」
あさは、頭を下げて謝った。
そこへよのがやってきた。
「加野屋に必要なのは
商いができるおなごではなく
夫に惚れられるおなごや」と
意味深にいう。
「惚れられる???」
「こっちへ・・」と
かのと
よのはあさを連れて行く。
あさに化粧をさせようと
いう。
あさは化粧もしないので
子供のようだから
新次郎が手を出しにくいのかもと
いう。
そして、おしろいをこう塗ると
広いおでこもそうでもなくなる
とか
@あんた、かいらしけど
目が大きすぎだから・・
目が大きいと殿方は
怖がりますし・・
こう塗ると・・・
ハナも高く見せるために・・
こう塗って・・」
よのは化粧を施した。
「よろしおますなぁ==」と
かのがいう。
そういって、あさの顔に
おしろいを塗りたくった。
その顔であさが新次郎が外出する
のをみつけて
「旦那様」と呼びかけた。
「どこへ行かはるんどすか?」
「うん?」と振り返って
あさをみた新次郎は
「これはびっくりや。
どこの出目金かと思うた・・」
という。
あさの顔は
どうみても
つやっぽいとは
いいがたい。
新次郎はそれでも出かけた。
あさは、化粧をとった。
「やっぱり出かけてしもた
やないの
もういやや・・・」
とつぶやく。
あるひ、あさは「出かけたい」と
よのに外出許可をもらう。
だったら
お供をつけて
呂の振袖にしてと
よのはいう。
外でても
加野屋の若奥さんと言われ
るので、ちゃんとしてい
でかけろといった。
普段着でもいいのでは?
とあさは
思っていたが・・・
よのは「かごにのっていきなはれ。
加野屋の自慢の若奥さんやで」と
念を押された。
「でも・・・」というが
うめが
「おあさ様」と
止めたので
「わかりました」と
あさは答えた。
しかし
夏の暑いときに
ふりそでをきて
うめと
亀助が
日傘をそれぞれにさすので
「暑い!!!
これやったら大名の奥方様の
お出かけや」
と、あさはおこった。
そして亀助を帰らせた。
亀助は、驚いた。
あさはあさで
振袖をまくり上げて
大股でずんずんと歩いていく。
うめは
「おあさ様===」と
あさを追いかけた。
うめは、あさに
「誰が見ているかわからないから
そのような粗野な振る舞いはやめてください」
と訴えるが
「暑うてほんまにかなわんわ~~~」と
あさはうんざりしながら
歩いていく。
大阪見物である。
すごくにぎやかなところがあった。
「あれはなんや?」と
あさは、そっちへいく。
「何やこの女振袖やでこの暑いのに」
「こないなところになんで
女がいてるんや」
そこらにいる男の人たちは
あさをみて
悪口を言う。
「邪魔や!!」
人に押されて
突き飛ばされて
倒れかけたところを
ある男が
あさを支えた。
その男は
洋装で、シルクハットをかぶって
いる。
徳川の時代ですよ。
「やっとこさあえたな~~~」と
あさをみていう。
「え???」
誰やったかな?とあさは
考えるが・・・
その男は五代才助だった。
*******************
新次郎の浮気、
なれない、大阪の奥の生活。
商いがしたいあさ。
大阪見物をしたい
あさ・・・
なぜかしあわせそうなはつ・・
京都の新選組・・・
そこへ、お話の筋が入るかの
ように五代才助が登場する。
不自由ですね・・・・若奥様って
いうのは。
町人なのでもっと自由化と思い
ましたけどね。
しかし新次郎は
何を考えているのやら。
小指が痛いって
なにか、意味深です。
