秒読みコンクールケーキ5
藍子に話があると
一徹が言った。
いつもと違うので藍子は
不安になる。

一徹は大輔から聞いた話を
そのまま藍子にした。

派遣会社のメモ。
藍子はそれをみていまから行ってくる
と言って行こうとした。

一徹は自分に行かせてくれと頼んだ。
藍子は「一徹は塩田があるからと
自分が行く」という。

話を聞いてくれない藍子に
一徹はいった。
「自分はあのとき
徹が出て行くことを知っていた」と
いった。
「お父さんが潰した会社の人に
脅されているのを知って
いた」という。
「最後の日、もう帰ってこんつもりやと
わかったけど
止めんかった
とめられたのに
とめんかった

ごめん・・・
お母さんも
ねえちゃんも
俺のせいで
ずっと・・・
本当はお父さんも心のどこか
で止めてほしいと思って
いたかもしれん」

「一徹のせいではないよ。
気持ちを尊重したかったのね」

「お父さんと向き合うのを避けただけ
かもしれん

俺はいつも気持ちをぶつけないで
逃げてきたから

俺に行かせてくれんけ?

絶対連れて帰るさけ
お願いします。」



藍子は

台所で

つぶやく

「生きとった・・・・・」
そして泣いた。


希はやけどの跡を手当てをして
悩んでいた。

またアイディアボートに書いていく。

そんなある日のこと
博之が市長に当選した。

「ばんざ~~~い」と
塗師屋では盛り上がった。

塗師屋の仕事場で圭太はみのりから
電話をもらった。

一徹からの電話を圭太に報告した。
徹のことは何もわからないという。
もう少し遅くなるから予定より
遅れると言ってほしいと言っていたと
いう。
「一徹が間に合ってよかった。
お父さんに怒ってばっかしで
ちゃんと理解しようとしなかったと
いっていた」という。

彼の成長もまた、一家の主人になって
からのことだ。
そんな一徹を徹探しの日
元冶が見送ったらしい。

「もしあったら、殴ってでも
ののしってでも
向かい合って見せるって
これが最後のチャンスになる
だろうからと
いっていた・・」

その話を着て圭太は広間で挨拶をしている
博之を見た。

希は、博之に「おめでとうございます」と
いった。

「おまえでかいコンクールに出るそうやな」
「はい、挑戦してみます」
「うまいこと行きそうか?」

「いえ、なかなか」


「ま、がんまれや」


博之はご機嫌だった。

そこへ圭太がやってきた。

周りに挨拶をして
博之の前に座った。

「このたびは輪島市長当選
おめでとうございます
今後とも輪島塗を
よろしくお願いいたします・・・」

「ま、飲め」

博之は圭太に酒をつぐ

「いただきます。」

希は嬉しそうに見ていた。
直美も
弥太郎も

「お父さん・・」
そういって酒をつぐ圭太。

漁港に車を付けた希は
しばらく海を見ながら圭太と話す。

「お父さん、うれしそうやったね。
少しうらやましかった。
私はお父さんに、何も言われないから。

もう帰ってこないつもりやろ・・

言いたいことたくさんあるのに
いつもそうや、店をやれと言って
自分がいなくなるし
希という名前を付けておいて
夢が嫌いになるようなことをばかり
するし・・」

「俺は本当は、一辺も思ったことは
ないけどな」

と圭太は言った。

圭太は希が夢嫌いだとは思わな
かったという。
高校時代、夢について否定的な話を
希がするが、なにか熱いものを

持っていると
思っていたらしい。

「へぇ~
圭太はただの
だらふわと思っていたけど
見ていたのね。」

だらとは馬鹿
ふわとはふわっとしていること。

圭太は怒ったが
希は逃げた。
「やぐら」

と希が言った。
やぐらに上ろうというのだ。

やぐらに、圭太は登った。

そして後から来た
希に手を出して引っ張り上げた。

昔も

こうだった。

いつも圭太が希をひっぱり
上げた。

希は圭太の熱い夢を見る
気持ちが
好きでついていきたかったという。

「俺はお前にふさわしい男になりたい
と思った」と圭太は言う。
「最近思うけどいい器というのは
最後は作り手の中身なんだな

自分自身をさらけ出して
器に込める
それが人の心を動かす
ものだと

圭太が言う」


「自分自身をさらけ出す・・・」
希は目を閉じて考えた。

この村に来たときのこと
人との出会い
祭りの日のこと
能登を出て横浜へ行ったとき
のこと
大吾との出会いと別れ
能登に店を出した時のこと
子供が生まれたときのこと
そして
彼らが
おおきく育ったこと


海鳥がなく

希は

「見えた・・・」といった

「私のケーキ!!!」


一徹が戻ってきた。
桶作家の座敷に藍子と圭太が一徹の
話を聞いた。
「だめやった
手がかりゼロや
派遣会社の同僚の人に聞いたけど
お父さんは自分のことは何も
離さなかったという。
いつも安い定食屋で
一人でご飯を食べていたって」

藍子は
「一人で・・・」と繰り返した

「その定食屋にいって聞いてみたが
誰とも話さないでいつも
携帯をいじっていたという」

「生きているという事がわかっただけ
でもいい」と藍子が言うが

一徹は

「いや、まだ手はある」と
いった。
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一徹はどう徹を探し出すのでしょうか。
きっと店のHPではないかと
思います。
いつも携帯をいじっていたというのは
きっと希の店のHPを見ていたという
事ではないでしょうか。
生きていることが分かったので
あとはおびき出すだけと
思っているのでしょうか。
一徹の作戦が
楽しみです。

このところ一徹は地味で舌から。
子供も二人いるけど
あまり出番がないので
徹志はわかるけど
二人目の子は
どんな子が
わかりませんからね。
できれば
しっかり一徹が父親になっている
ところをみたいものだと
思います。

世代交代だね・・・・

少子化で

高齢化で

寂しい時代だけど

確実に世代交代は行われて
子供たちは
大人になって
誰かと一緒になって
また次の世代を育てるのですね。

当たり前の話かもしれない
けど
最近は

結婚しない
若者が増えたそうだから
当たり前のことが
当たり前になってないの
かもしれないと
思いました・・・。