女たちのジレンマムース4
再びコンクールへ意欲を出した希は
干からびた五感を取り戻すべく
新しい味の追求をはじめました。
店の戸が開いて沙耶がきた。
「おはようございます~~」
お店は休みにするといったが
沙耶は希が挑戦するところを
勉強させてほしいと
訴える。
そして、食材はイチゴなのかと
聞く。
まだ試作中である。
沙耶はオリジナルのルセットを
持ってきて「見てください」という。
「アイディアは面白いが
生クリームとスポンジは
フランス菓子にはないので
基本が違っている」と
希が言う。
希も知らずにいたが浅井が
教えてくれた。
ショートケーキは日本人向けに
アレンジされたものだという。
「何も知らないので陶子さんに
よく怒られた」といった。
試作品をもって家に帰る。
お風呂は子供の時間に間に合わず
子供たちは残念に思った。
次のコンクールはジャパン洋菓子コンクール
北陸地区大会をめざす。
相撲大会次の日である。
地区大会で優勝すると全国大会だと
希は言った。
しかし、8年のブランクは大きい。
どんな、アイディアを絞っても
どこかで食べた味になる。
あれもこれもと
調べてはルセットに書くが
どう考えても
納得がいかない。
それがずっと続く。
あのころのような新しいアイディアが
全く出てきません・・
タメイキと
絶望が交錯する。
今日も希の帰りが遅い。
歩実は家族の絵をかきながら
希を待っていた。
「これは?」と圭太が言う
「お母さんの味噌汁」
「これは?」
「お母さんのケーキ。」
圭太は「おかあさんが頑張っているから
もう少し我慢しよう」と
歩実をはげます。
しかし、店では希は苦しんでいた。
陶子がいった。
「別にいいんじゃないの?
このままで
結婚して
子供もいて
地元の客がついた店が
あって
これで充分でしょ・・」
「ああ・・・」希はため息をついた。
家に帰っても
ルセットがなかなか
できない。
そこへ歩実が
「お母さん見てま」といって
丸めた画用紙を
もってきた。
「お母さん、仕事があるから」と
いうが
「みてま。みてま」
とまとわりつく。
「やめてって」
「みてま」
「いまダメやって言うてるやろ!!」
大声を出した。
歩実はじっと希を見て
さっていった。
「歩実!!!」
「俺が行くさけ」
圭太が言った。
翌日のこと
店にいると
マキが来た。
新しいアイディアがわかないと
悩みをいった。
「そうか・・・」
マキは同じく深刻に
なってくれた。
「昔は逆だった。
へたくそだったけど
アイディアがどんどん湧いてきた。
頭のなかはケーキでいっぱいだったのに
私
もう本当に
干からびてしまったのかも
いらいらして
子供にまであたって
しまった・・・
無理なんかな
私には・・・
母親と
パティシエの両方は・・」
マキは、「確かに」といって
「男と東京の両方は無理だって。」
という。
マキは彼氏と別れた帰りだった。
袋からお酒を出して
「氷をくれる?」といった。
「彼は東京へ転勤で行くと
いうので別れた」と
マキは
お酒を作りながら
いった。
昔
マキは東京で歌手になりたかった
という。
役者志望の男と一緒に
すんでいたという。
二人とも
何年もパッとしなかった。
そのうち彼が
役者やめて仕事をするから
結婚しようといった。
「で、男の実家に行く駅のホームで
たばこを買いに行く彼を待って
いたら
気がついたら
もう逃げ出していた。
両方手放せなくて
両方なくしてしまった。
東京にいたころの自分が
嫌いなので
今行ったら思い出しそうで
足がすくむ」という。
だから、マキは無責任には
希を励ますことはできないと
いった。
「両方手に入れようとして
両方失ってしまうことも
あるさけね。」
希は「ただいま」といって
家に帰った。
家では
歩実たちが
相撲の稽古をしていた。
「どうけ?練習は?」
と歩実にちかよると
歩実は
希を見て
藍子の所へ逃げて行った。
希は、驚いた。
圭太は「ちょっと」いって
部屋に希といった。
「ケーキで余裕をなくしているのは
わかるけど
子供の気持ちも考えてほしい。」
圭太は歩実が希に渡そうとした
絵をみせた。
ケーキとみそ汁の絵だった。
「希が忙しいので
希の味噌汁もない
ケーキもない
風呂もない
でも子供なりに我慢をして
いる。
おれがいても
母親が必要だ。」
「やっぱり
両方は無理なのかな。
陶子さんのほうに
脇目も振らないで打ち込まないと
通用しない世界なんだ」と
希はいった。
圭太は
「子供がいてもうまいケーキを作って
いる人だっておるやろ?」と
いう。
希は弱音を吐いた。
「私には無理なのかも。」
やってみるって言ったのは
希である。
「やってみるといったけどできん
さけ」
と大声を上げた。
「ほんならもう、やめろ。そんな簡単な
事ではないとわかっていて
それでもやると決めたではないか。
すぐにやめるとは、なんだ。
どっちかやめろ」と圭太は
怒鳴った。
「パティシエを選ぶなら
俺が一人で子供を育てるから。」
希にとっては悲しいけんかと
なった。
******************
女性の
誰もが通る道なのかもと思います。
女の幸せを手に入れて
こどもがそこそこ育つと
仕事に戻りたくなります。
もう一度、あの輝きの中に
入っていきたいと
おもいます。
しかし、
それを
しようとすると
子育ては
終わりはありませんので
子供のこと
主人のことなどが
女の手かせ足かせとなって
しまいます。
陶子はもういいのではといった
のは、女の幸せを
手に入れたのだから
もう、キャリアはいいでしょ?という
ことである
そしてそれは大変難しい
人生の岐路なのです。
こうして
離婚などという言葉が出て
くるのです。
希が
きっぱりと
ケーキをあきらめられないと
わかっている圭太には
どっちかを選べというと
おそらく
ケーキを選ぶだろうと
予想できます。
希はこのジレンマを
どう乗り越えるのでしょうか。
再びコンクールへ意欲を出した希は
干からびた五感を取り戻すべく
新しい味の追求をはじめました。
店の戸が開いて沙耶がきた。
「おはようございます~~」
お店は休みにするといったが
沙耶は希が挑戦するところを
勉強させてほしいと
訴える。
そして、食材はイチゴなのかと
聞く。
まだ試作中である。
沙耶はオリジナルのルセットを
持ってきて「見てください」という。
「アイディアは面白いが
生クリームとスポンジは
フランス菓子にはないので
基本が違っている」と
希が言う。
希も知らずにいたが浅井が
教えてくれた。
ショートケーキは日本人向けに
アレンジされたものだという。
「何も知らないので陶子さんに
よく怒られた」といった。
試作品をもって家に帰る。
お風呂は子供の時間に間に合わず
子供たちは残念に思った。
次のコンクールはジャパン洋菓子コンクール
北陸地区大会をめざす。
相撲大会次の日である。
地区大会で優勝すると全国大会だと
希は言った。
しかし、8年のブランクは大きい。
どんな、アイディアを絞っても
どこかで食べた味になる。
あれもこれもと
調べてはルセットに書くが
どう考えても
納得がいかない。
それがずっと続く。
あのころのような新しいアイディアが
全く出てきません・・
タメイキと
絶望が交錯する。
今日も希の帰りが遅い。
歩実は家族の絵をかきながら
希を待っていた。
「これは?」と圭太が言う
「お母さんの味噌汁」
「これは?」
「お母さんのケーキ。」
圭太は「おかあさんが頑張っているから
もう少し我慢しよう」と
歩実をはげます。
しかし、店では希は苦しんでいた。
陶子がいった。
「別にいいんじゃないの?
このままで
結婚して
子供もいて
地元の客がついた店が
あって
これで充分でしょ・・」
「ああ・・・」希はため息をついた。
家に帰っても
ルセットがなかなか
できない。
そこへ歩実が
「お母さん見てま」といって
丸めた画用紙を
もってきた。
「お母さん、仕事があるから」と
いうが
「みてま。みてま」
とまとわりつく。
「やめてって」
「みてま」
「いまダメやって言うてるやろ!!」
大声を出した。
歩実はじっと希を見て
さっていった。
「歩実!!!」
「俺が行くさけ」
圭太が言った。
翌日のこと
店にいると
マキが来た。
新しいアイディアがわかないと
悩みをいった。
「そうか・・・」
マキは同じく深刻に
なってくれた。
「昔は逆だった。
へたくそだったけど
アイディアがどんどん湧いてきた。
頭のなかはケーキでいっぱいだったのに
私
もう本当に
干からびてしまったのかも
いらいらして
子供にまであたって
しまった・・・
無理なんかな
私には・・・
母親と
パティシエの両方は・・」
マキは、「確かに」といって
「男と東京の両方は無理だって。」
という。
マキは彼氏と別れた帰りだった。
袋からお酒を出して
「氷をくれる?」といった。
「彼は東京へ転勤で行くと
いうので別れた」と
マキは
お酒を作りながら
いった。
昔
マキは東京で歌手になりたかった
という。
役者志望の男と一緒に
すんでいたという。
二人とも
何年もパッとしなかった。
そのうち彼が
役者やめて仕事をするから
結婚しようといった。
「で、男の実家に行く駅のホームで
たばこを買いに行く彼を待って
いたら
気がついたら
もう逃げ出していた。
両方手放せなくて
両方なくしてしまった。
東京にいたころの自分が
嫌いなので
今行ったら思い出しそうで
足がすくむ」という。
だから、マキは無責任には
希を励ますことはできないと
いった。
「両方手に入れようとして
両方失ってしまうことも
あるさけね。」
希は「ただいま」といって
家に帰った。
家では
歩実たちが
相撲の稽古をしていた。
「どうけ?練習は?」
と歩実にちかよると
歩実は
希を見て
藍子の所へ逃げて行った。
希は、驚いた。
圭太は「ちょっと」いって
部屋に希といった。
「ケーキで余裕をなくしているのは
わかるけど
子供の気持ちも考えてほしい。」
圭太は歩実が希に渡そうとした
絵をみせた。
ケーキとみそ汁の絵だった。
「希が忙しいので
希の味噌汁もない
ケーキもない
風呂もない
でも子供なりに我慢をして
いる。
おれがいても
母親が必要だ。」
「やっぱり
両方は無理なのかな。
陶子さんのほうに
脇目も振らないで打ち込まないと
通用しない世界なんだ」と
希はいった。
圭太は
「子供がいてもうまいケーキを作って
いる人だっておるやろ?」と
いう。
希は弱音を吐いた。
「私には無理なのかも。」
やってみるって言ったのは
希である。
「やってみるといったけどできん
さけ」
と大声を上げた。
「ほんならもう、やめろ。そんな簡単な
事ではないとわかっていて
それでもやると決めたではないか。
すぐにやめるとは、なんだ。
どっちかやめろ」と圭太は
怒鳴った。
「パティシエを選ぶなら
俺が一人で子供を育てるから。」
希にとっては悲しいけんかと
なった。
******************
女性の
誰もが通る道なのかもと思います。
女の幸せを手に入れて
こどもがそこそこ育つと
仕事に戻りたくなります。
もう一度、あの輝きの中に
入っていきたいと
おもいます。
しかし、
それを
しようとすると
子育ては
終わりはありませんので
子供のこと
主人のことなどが
女の手かせ足かせとなって
しまいます。
陶子はもういいのではといった
のは、女の幸せを
手に入れたのだから
もう、キャリアはいいでしょ?という
ことである
そしてそれは大変難しい
人生の岐路なのです。
こうして
離婚などという言葉が出て
くるのです。
希が
きっぱりと
ケーキをあきらめられないと
わかっている圭太には
どっちかを選べというと
おそらく
ケーキを選ぶだろうと
予想できます。
希はこのジレンマを
どう乗り越えるのでしょうか。
