女たちのジレンマムース3
ママさんパティシエのコンクールで
入賞すらしなかった
希。がっかりする子供たち。
収録が終わって陶子に声をかける
希に陶子は「個別のアドバイスはしないから。」
という。「そんなにダメだったのですか?
私のケーキ・・・」
と希が言うと
陶子は、「どこ?」と聞く。
「あなたの店はどこなの?」
店に案内する希。
陶子は
入って「ふーん・・」と
見回した。
「あなたのマルジョレーヌはどうやって
作ったの」と聞く。
希は
「これまで優勝したケーキを分析して
地元の食材を生かして
スポンサー企業がチョコレートだった
のでショコラを使うケーキを選びました。」
と答える。
「分析って作って食べたの?」
「いえ、ルセットを見て」
「・・・厨房借りるわよ」
陶子は作り出す。
「あんなケーキを作る人に
何をいっても無駄よ。
食べさせてあげる
私のマルジョレーヌを・・・」
そのマルジョレーヌは
希のとはまったく
見かけが違う。
希のはチョコレートケーキを
ベースに造られているが
陶子のは
土台がタルトのような、その上に
生クリームとほかのクリームが
たっぷり山をつくって
いる感じだった。
希は
「いただきます」と言って
食べた。目をつむる希。
「知らないでしょ、こんな味。」
陶子は言う。
「地元の食材を使って
スポンサーのチョコを使って
それでできたつもり?
その上にオリジナリティを載せないと
新しい味は生まれないのよ。
何していたの、8年間?
これだって、分析した時
昔のあなたならまず
作って食べてみる
はずよね。
私を焦らせたあなたはどこへ行ったのよ。
なに干からびちゃっているのよ。
新しい味の好奇心も向上心もなくしたら
発想は生まれないのよ。そんなの
パティシエではない。
今のあなたは全然こわくない。」
陶子は店を出た。そして
もう一声話をした。
「・・・なんていってみたけどさ。
もういいんじゃない?このままで
結婚して子供がいて
地元で買ってくれる客がいて。
もう十分でしょ。
私はずっとケーキよ。
フランスへ行って修業をして
人生すべてをお菓子につぎ込んで
いるのよ。
女の幸せを満喫して
余裕ができたら今度は
キャリアをめざします?
簡単に両方を手に入れようなんて
甘いのよ。
なめんな。」
そういって、陶子は店を出て
ちょっと立ち止まり
去って行った。
希は一人残された。
家では歩実と匠が
がっかりして落ち込んでいる。
「お母さんが負けてしまった・・・」
「残念やったな。
まけて一番がっかりして
いるのはだれだ?」圭太が
聞く。
「おかあさん、」
「そうだね。
がっかりしているうえに
おまえたちにもそんな顔を
されたらお母さんはもっと
悲しいよ」という。
子供たちは「そうだね」といった。
マキはテレビを見ていた。
番組は歌番組。
そしてつまらなさそうにして
消した。
一子から電話が鳴った。
マキが結婚を断ったと
しって最後のチャンスなのにと
いった。
「東京にいい思い出がないのは
知っているけど・・・
男と東京の両方は無理だって
いっていた。
まだ歌手になりたいのか」と
聞くが
マキは、「もう成りたくない」という。
「だったら他に何か事情があるのか」と
聞く。
「聞きたい?話すよ」とマキが
いった。
希は布団の中でうとうとしていた。
陶子が「な~~~め~~す~~ぎ~~」
と言ったときの場面が頭から
離れず、何気に朝になった。
店には昼から行くと言って
歩実と匠を学校へ送り出す。
いつもの希だったが
ふみは元気な希をみて
「あれは立ち直っているのか
やけくそなのか」と藍子に聞く。
藍子はわからない。
「どっちでもないわいね。」
と希は思っておりました。
もともと今のレベルを知るために
参加したコンクールなのだから
それがわかったのだから
もうそれでいい。
「お母さんがっかりせんといてね」
「お母さんのケーキおいしいゲンよ」
と二人の子供がいう。
「ありがとう」希は笑顔で言った。
私には愛しい家族がいて
おいしいと食べてくれる
地元の人がいて
それでいい・・・
今日もお客さんで賑わう
店だったが
希は・・・顔色が変わった。
そして
急に
客の前で
「売れません
すみません」
・・・
と謝った。
そして、店はしばらくの間
の閉店となった・・・。
希は、正直思った。
「これでいいなんてものではない。
干からびたケーキを売るわけにはいかない。」
自分の
マルジョレーヌ・・・
一口食べた。
涙が出た。
希にとってはすでにつらい味になっていた。
洋一郎は徹志と歩実と
匠の相撲の練習をしていた。
希は家に帰って
それをじっと見ていた。
「お帰り」と言ってくれる家族。
希は
圭太に言った。
もう一回やってもいいかな?
コンクール。
もう一回練習して
干からびてないケーキを
作ってみる。」
圭太は
「ほうか」といった。
「子供たちも相撲をがんばって
いるから
私ももう一回
頑張ってみるわ
世界一うまいケーキを!!」
「やった~~」
「やった~~~」
子供たちは喜んだ。
*******************
あんな干からびたケーキを・・・
でも、もういいんじゃない?
結婚して、子供がいて
地元でケーキを買ってくれる
お客さんがいて・・・
陶子はフランスへ修業へ行った。
自分の人生はケーキだけという
生き方をしている。
全くの職人である。
しかし、希は女の幸せを手に入れ
余裕ができたので
キャリアを目指しますというので
陶子はかちんときたのではないか。
そして、希のマルジョレーヌと
陶子のマルジョレーヌの間には
どれほどの差があったのかわからない
が、希はついに
陶子に負けたと自分で結論を出した。
あの味にはかなわない。
しかも、
希には、大吾から言われたセンスがない。
デザインのセンスである。
そのためにフランスへ行くことになって
いたが、希は夫を守ることを選んだ。
そこそこ、女の幸せを手に入れて
しあわせに、暮らしている。
店も流行っている。
だったら・・
もういいではないか、これで・・
と思うが、希の気持ちの中に
干からびたケーキを売り続けることが
できなかった。
これからもずっとパティシエをやりたい
のであれば、自分のプライドにかけて
納得のいくものを作りたいと
願ったのだろう。
いままでは、それなりに、自分の世界の中で
納得のいくものだったが
それ以外の世界を見た希は
もう、戻ることもとどまることも
できなくて、前へ進むことを
考えたということだ。
わたしは、まれキャラの中で
矢野陶子が一番好きである。
なぜか、まじめに、いちずに
必死になって努力する人だ
からです。
しかも、人格的にも面白い。
あの、イケメン合コンの時
も、30歳を超えているのに
19歳とか言って声を高く出して
やたら若作りするところなんか
おもしろい。
スイーツ界のお笑い芸人と言われている
という設定は
わからないわけでもない。
陶子が必死になって8年間がんばって
いたのは、希に負けたくなかった
からではないだろうか。
ママさんパティシエのコンクールで
入賞すらしなかった
希。がっかりする子供たち。
収録が終わって陶子に声をかける
希に陶子は「個別のアドバイスはしないから。」
という。「そんなにダメだったのですか?
私のケーキ・・・」
と希が言うと
陶子は、「どこ?」と聞く。
「あなたの店はどこなの?」
店に案内する希。
陶子は
入って「ふーん・・」と
見回した。
「あなたのマルジョレーヌはどうやって
作ったの」と聞く。
希は
「これまで優勝したケーキを分析して
地元の食材を生かして
スポンサー企業がチョコレートだった
のでショコラを使うケーキを選びました。」
と答える。
「分析って作って食べたの?」
「いえ、ルセットを見て」
「・・・厨房借りるわよ」
陶子は作り出す。
「あんなケーキを作る人に
何をいっても無駄よ。
食べさせてあげる
私のマルジョレーヌを・・・」
そのマルジョレーヌは
希のとはまったく
見かけが違う。
希のはチョコレートケーキを
ベースに造られているが
陶子のは
土台がタルトのような、その上に
生クリームとほかのクリームが
たっぷり山をつくって
いる感じだった。
希は
「いただきます」と言って
食べた。目をつむる希。
「知らないでしょ、こんな味。」
陶子は言う。
「地元の食材を使って
スポンサーのチョコを使って
それでできたつもり?
その上にオリジナリティを載せないと
新しい味は生まれないのよ。
何していたの、8年間?
これだって、分析した時
昔のあなたならまず
作って食べてみる
はずよね。
私を焦らせたあなたはどこへ行ったのよ。
なに干からびちゃっているのよ。
新しい味の好奇心も向上心もなくしたら
発想は生まれないのよ。そんなの
パティシエではない。
今のあなたは全然こわくない。」
陶子は店を出た。そして
もう一声話をした。
「・・・なんていってみたけどさ。
もういいんじゃない?このままで
結婚して子供がいて
地元で買ってくれる客がいて。
もう十分でしょ。
私はずっとケーキよ。
フランスへ行って修業をして
人生すべてをお菓子につぎ込んで
いるのよ。
女の幸せを満喫して
余裕ができたら今度は
キャリアをめざします?
簡単に両方を手に入れようなんて
甘いのよ。
なめんな。」
そういって、陶子は店を出て
ちょっと立ち止まり
去って行った。
希は一人残された。
家では歩実と匠が
がっかりして落ち込んでいる。
「お母さんが負けてしまった・・・」
「残念やったな。
まけて一番がっかりして
いるのはだれだ?」圭太が
聞く。
「おかあさん、」
「そうだね。
がっかりしているうえに
おまえたちにもそんな顔を
されたらお母さんはもっと
悲しいよ」という。
子供たちは「そうだね」といった。
マキはテレビを見ていた。
番組は歌番組。
そしてつまらなさそうにして
消した。
一子から電話が鳴った。
マキが結婚を断ったと
しって最後のチャンスなのにと
いった。
「東京にいい思い出がないのは
知っているけど・・・
男と東京の両方は無理だって
いっていた。
まだ歌手になりたいのか」と
聞くが
マキは、「もう成りたくない」という。
「だったら他に何か事情があるのか」と
聞く。
「聞きたい?話すよ」とマキが
いった。
希は布団の中でうとうとしていた。
陶子が「な~~~め~~す~~ぎ~~」
と言ったときの場面が頭から
離れず、何気に朝になった。
店には昼から行くと言って
歩実と匠を学校へ送り出す。
いつもの希だったが
ふみは元気な希をみて
「あれは立ち直っているのか
やけくそなのか」と藍子に聞く。
藍子はわからない。
「どっちでもないわいね。」
と希は思っておりました。
もともと今のレベルを知るために
参加したコンクールなのだから
それがわかったのだから
もうそれでいい。
「お母さんがっかりせんといてね」
「お母さんのケーキおいしいゲンよ」
と二人の子供がいう。
「ありがとう」希は笑顔で言った。
私には愛しい家族がいて
おいしいと食べてくれる
地元の人がいて
それでいい・・・
今日もお客さんで賑わう
店だったが
希は・・・顔色が変わった。
そして
急に
客の前で
「売れません
すみません」
・・・
と謝った。
そして、店はしばらくの間
の閉店となった・・・。
希は、正直思った。
「これでいいなんてものではない。
干からびたケーキを売るわけにはいかない。」
自分の
マルジョレーヌ・・・
一口食べた。
涙が出た。
希にとってはすでにつらい味になっていた。
洋一郎は徹志と歩実と
匠の相撲の練習をしていた。
希は家に帰って
それをじっと見ていた。
「お帰り」と言ってくれる家族。
希は
圭太に言った。
もう一回やってもいいかな?
コンクール。
もう一回練習して
干からびてないケーキを
作ってみる。」
圭太は
「ほうか」といった。
「子供たちも相撲をがんばって
いるから
私ももう一回
頑張ってみるわ
世界一うまいケーキを!!」
「やった~~」
「やった~~~」
子供たちは喜んだ。
*******************
あんな干からびたケーキを・・・
でも、もういいんじゃない?
結婚して、子供がいて
地元でケーキを買ってくれる
お客さんがいて・・・
陶子はフランスへ修業へ行った。
自分の人生はケーキだけという
生き方をしている。
全くの職人である。
しかし、希は女の幸せを手に入れ
余裕ができたので
キャリアを目指しますというので
陶子はかちんときたのではないか。
そして、希のマルジョレーヌと
陶子のマルジョレーヌの間には
どれほどの差があったのかわからない
が、希はついに
陶子に負けたと自分で結論を出した。
あの味にはかなわない。
しかも、
希には、大吾から言われたセンスがない。
デザインのセンスである。
そのためにフランスへ行くことになって
いたが、希は夫を守ることを選んだ。
そこそこ、女の幸せを手に入れて
しあわせに、暮らしている。
店も流行っている。
だったら・・
もういいではないか、これで・・
と思うが、希の気持ちの中に
干からびたケーキを売り続けることが
できなかった。
これからもずっとパティシエをやりたい
のであれば、自分のプライドにかけて
納得のいくものを作りたいと
願ったのだろう。
いままでは、それなりに、自分の世界の中で
納得のいくものだったが
それ以外の世界を見た希は
もう、戻ることもとどまることも
できなくて、前へ進むことを
考えたということだ。
わたしは、まれキャラの中で
矢野陶子が一番好きである。
なぜか、まじめに、いちずに
必死になって努力する人だ
からです。
しかも、人格的にも面白い。
あの、イケメン合コンの時
も、30歳を超えているのに
19歳とか言って声を高く出して
やたら若作りするところなんか
おもしろい。
スイーツ界のお笑い芸人と言われている
という設定は
わからないわけでもない。
陶子が必死になって8年間がんばって
いたのは、希に負けたくなかった
からではないだろうか。
