女たちのジレンマムース2
希はママさんパティシエに
出場することを決意した。

そのために、お客さんに人気の
あるケーキのランキングを
出していた。
また、ここ数年の優勝した
ケーキを研究している。

はるさんちではその話でもちきり
になっていた。
「テレビで美容院のコンクールでも
やって欲しい」とはるさん。
「金沢に二号店をだして
マキちゃんについでもらう」という
話をすると
マキは返事によどみがあった。
「何かあったのか」と
きくと
「結婚を申し込まれた」と
いう。
恋人が
珍しくまともそうな人だった
から結婚すると
思っていたはるさんは
「おめでとう」という。
しかし、その男の人は
転勤で東京へいくことに
なったので、断ろうと
思っているという。
「私は二度と東京へは行かない
と決めた」と・・・以前もそう
いっていた。それが理由だった。

桶作家では
「マキちゃんは謎の女だから
なぜ東京へ行かないのか
わからない」という。

歩実が相撲の練習をしようと
希を誘う。
久美は希が出場するので
うみねこ座の応援メッセージの
Vを撮りに来たといった。

にぎやかになる希のコンクール
の周辺である。
歩実は「お母さんが世界一になるし
自分は相撲で優勝する」と
いった。

店では傾向と対策を考えて
いた。
入賞したケーキは能登の
食材を使っている。
それがポイントである。
スポンサーはどこだろうと
希は調べた。
すると安本製菓という。
チョコとキャラメルである。
それでマルジョレーヌに
きまった。
そして季節の食材を使うことに
した。

応援隊である歩実たちは
「失敗おっぱい世界一」といいながら
パフォーマンスをしている。

もりあがる希の周りである。

元冶まで「失敗おっぱい世界一」と
いいながらパフォーマンスをする。

やがて当日となった。

緊張したと希。
沙耶は「大丈夫です」という。
そこに陶子がスタジオに
はいってきた。

希は声をかけた。
「陶子さん!!」
そして、頭を下げた。
陶子はちらっとみて
打ち合わせの話のつづきを
はじめた。
圭太がきた。
子供たちを連れて。
沙耶ははじめてだったので
挨拶をした。
「お母さん、すごい応援するからね」と
匠が言う。
沙耶は「こんなイケメンとかわいい
子供たちがいるなんて」と
いった。
やがて、番組始まった。
まんでマンデーがはじまった。
「母の日特集として
パパさんパティシエです~~」

と紹介があった。

希が今日のために用意したものは
マルジョレーヌを能登の季節の食材
一語でアレンジしたケーキです。

陶子はじっと見ていた。

「こんにちは」と司会がひとりひとりを
紹介する。
「お名前は?
どちらからいらっしゃいましたか?」
「金沢から来ました前田千里と
もうします。」
すると応援席から
「ママ、がんばって」と声がかかる。
「自信のほどは?」
「全然ないです。
みなさん、すばらしいですから」

希の番だった。
「輪島から来ました紺谷希です。」
すると子供たちが
「お母さん頑張れ」と応援が入った。
そして
「失敗、おっぱい世界一」と
歌って踊った。

「おっぱい?
まあ、腕白な一族だこと」と
司会が言う。
希は笑った。

その様子を陶子はじっと
みていた。

試食タイムとなった。

その間、応援メッセージが
披露された。

「千里、げんきにやっとるけ~~
出場おめでとう~~~」
と前田の実家の母親らしきメッセージが。
希の番になった。
「いまから
うみねこ座で応援歌を歌うからね」と
マキちゃんたちうみねこ座が
「最後に希は勝つ!!」を歌った。

「最後に愛は勝」という歌なんだけど
その部分だけ替え歌だった。
陶子は希のケーキを試食した。

希は
じっとそれをみていた。

陶子にとってそのケーキはどうだったのか。
希は陶子の様子をみていたが
つまらなさそうに、次に行った。

「希ちゃん、がんばって」と
メッセージのウミネコが叫んだ。


「さて、結果発表です。
発表はスイーツ界のお笑い芸人矢野
陶子さんが・・」

「だれがお笑い芸人よ!!!
な~~め~~す~~ぎ~~~」
と、いった。
結果発表は
三位から

「三位は神林ゆうこさん
第二位は滝本明日香さん」
希は、どきどきした。

「さぁ、優勝は・・・」

隣の前田千里が言う。

「きっとあんたやわ。
だって一番、おいしそうやもん。」

この展開はあのとき
ロールケーキ甲子園のとき
そうだった。
「きっとあんたやわ。
だって、一番おいしそうやもん」と
いった、あの子が優勝した。

希はそれを思い出した。
あのときの展開と同じだ。

まさか

まさか・・・

「第一位は

前田千里さん!!」

やっぱり・・・

希はがっかりした。

匠は「お母さんは負けたのか」と
いう。
「世界一なのに?」と歩実。

陶子が優勝のポイントを語った。
「新しい味と
オリジナリティを
重視した」という。
「素材の味をとことんまで追求して
そのうえで自分だけの味を見出して
いるのが素晴らしい」と思ったという。

「三位にも入らなかった人は
そういうチャレンジをしてい
なかった」と
いう。

司会が「あらら、そうですか?」と。

「そうですよ、」そういって陶子は
つかつかと
落選したメンバーのもとに
いった。
「あなたも
あなたも・・」


ひとりずつ

指をさして

希の前に来て

「あなたも!」と声を低くして
いった。
希は目を見開いた。
そして、希の前で

「な~~~め~~~す~~~ぎ~~~~」

と、

やった。
「でました~~」と
会場は湧いたが

あの匠でさえ

がっかりして

うつむいてしまっていた。
歩実もつまらなさそうに
していた。

陶子は希をじっと見て
視線を残して
去って行った。
軽蔑するような目だった。
****************
陶子だからわかってくれると
思っていたのか。
陶子だから、ここで再会したことを
喜んでくれるとおもったのか。
希の周辺はいつもハッピーだったのに
この一件で落ち込んでしまった。

希にとって、あの努力は
まだまだ、いい評価をもらえるものでは
なかったということだった。

ちょっとした特技でケーキの店を出して
女将をやりながら
母親をやりながら
パティシエをやる・・

幸枝をお手本とすればパティシエに
徹することができずに
もしかしたら、中途半端だった
のかもしれない。
一日中、ケーキ三昧の
職人らしい生活とは言えない。
好きだから
作っている
という
レベルであれば

陶子が言う、新しい味と
オリジナリティに欠ける
部分があるのかもしれない。

中途半端なまま、ママさんパティシエ
などとやっていることで
陶子はこういう判断を下した
のかもと思ったけど・・・・。

これが希が恐れていた
世界一にまだ、間に合うかなという
不安な部分なのかもしれない。

この件で、かつて
横浜時代
あの、根性まるだしで
陶子に嫌われていた希が
もういちど見れるかもと
思うけど・・・・