親心ロールケーキ4
パティシエをいったん休み
圭太をサポートするときめた
希。
圭太も陶胎漆器に集中できる
ようになり落ち着きを取り戻した
菜のように見えた塗師屋でしたが。
弥太郎が急に引退すると言い
圭太を五代目紺谷弥太郎にといい
そこに、突如登場した
圭太の母、直美。
つまり、
博之の妻
希の姑
もと、塗師屋の娘・・・。
が
「そういうことなら私もお手伝い
させていただきます。」
という。
「希さんは私が責任をもって
きっちり仕込みます
さけ。」
あっけにとられる希。
直美は早速家中を点検した。
「掃除行き届いてない」と
とまず苦言。
希は「自分は女将になる気はない」
といったが・・・
届かない。
「大丈夫や
あんたみたいなふつつか者でも
わたしが何とかしてやるさけ。」
(おお、なんという
上から目線・・・
大事な息子を取られた
はらいせか?)
亜美は事情を知っているので
希にはパティシエという仕事がある
からというが
直美は「長い間女将不在でご不便を
おかけしました。
親方を盛り立ててもらってありがとう
ね。」といった。
藍子は直美に「この子は・・」と
話しかけると
直美は、語気強くいった。
「藍子さん!
一遍嫁に出したら
死んだものと思てもらわな
こまるげよ。」
直美は藍子に詰め寄った。
「結納もなし
結婚式もなし
顔合わせすらなしで
いっぺん挨拶に来たきり
やげね。
ふつう、親がなんとか
意見するもんじゃねえけ。」
「・・すみません」
迫力にたじろぐ藍子。
希はそれでもいった。
「あの、うちは塗師屋の女将になる
つもりで戻ってきたわけではないです。」
「部屋の掃除も甘いね~~~~」
「弥太郎さんが倒れて圭太ひとりで
どうにもならないのでお手伝い
に帰ってきたのですよ。
落ち着いたらまたパティシエに戻る
という約束です。」
「ほこり玉がおちとる!」
希はほこりを取った。
直美はまた意見する。
「これから何があるたびに
こっちに戻ってくるのけ?
パティシエってそんなに
いい加減な仕事なの?」
「いや、そういうことでは・・・」
「そんな中途半端な料簡では
どうにもならない
一辺戻ったら
もう、腹くくって
女将になるべきや!!」
直美は凄んで見せた。
そこに博之が声をかける。
「なにしてるのか?
帰るぞ」という。
直美は態度を変えた。
「いやぁ~~~~~~~~ん
博之さぁぁあああん
待っといてくれたんけぇ??
優しい~~~~~~ぃい」
「先に帰るぞ。」
「いやぁああん
意地悪言わんといてぇ~~」
と博之に声をかけに行き
ササっとまた戻ってきて
どすの利いた声と顔で
希に言う。
「また来るさけ
覚悟決め時や!!!」
博之のほうを向くと
声が変わる。
あまぁ~~~い
ケーキのような
甘い声で
「今行くさけ~~~
玄関で
まっといてぇ~~~~ん」
さて、
そういう直美の特訓は
うざいほど、うざく。
糊を作れば
手つきが悪いとどなり
布と紙をまっすぐに切るには
道具に差別化があるそうで
希が布用の小刀で
紙をきると
そっちは布用。歯が
だめになるわいね!!
と、怒られ・・
重ねた器を袋に入れようと
して手が滑ると
器に傷がつくと
いってしかられ
希はそのたびに
「すみません」と
謝りながら
の毎日。
圭太に
ついに
いった。
「お母さんてああいうひとやったん
やね・・・」
圭太は
興味もなく
「うん」という。
「挨拶行っても
ほとんど口をきいてくれなかったから
気が付かなかったわ。」
直美は博之から圭太には口を出すなと
言われていたので
だまっていたらしい。
圭太が親方を継ぐことになって
「我慢できなくなったんだろ?
気にせんとお前は
落ち着いたらパティシエに戻れば
いいから・・。」
「うん・・
圭太ちゃん?」
「まじでやめんけ、ほれ!!!」
圭太は圭太ちゃんと呼ばれたく
ないのですね。そら
そうやろ。いくつや?
弥太郎が倒れて
復帰しても
もう、元通りに元気でという
わけにはいかない。
それに限界を感じて
後継者はいるということを
世間に広めたかったので
圭太を跡取りにということ
にしたらしい。
「俺が頑張らなあかんな」と
圭太はますます
日本一の熱い
漆職人を目指そうと
する。
「まずは陶胎漆器を完成したい」と
いう。
「方向性は見えたから
葛西さんと相談しようと
思う」と圭太は明るくいった。
が・・・
翌日
葛西がやってきた。
圭太は「今お茶を入れますから
座敷のほうに」というが
「どけま」
と、葛西は機嫌が悪い。
態度が悪い・・
言葉が悪い。
あっけにとられる圭太。
そこに輪島塗組合の組合長
遠藤忠雄が、何人か連れて
やってきた。
「圭太、邪魔するぞ!!」
数人の男たちが座敷に入った。
弥太郎になにやら言うことが
あるらしい。
「弥太郎さん」
遠藤が言う。
「引退して圭太に後を継がせるって
ほんとうけ?
考え直してくれないか。
圭太では若すぎるし不安だ」
ということで
やってきたらしい。
「今回の陶胎漆器も
うまくいってないのだろ?」
「それはもう一度話を聞いて
もらう約束で
磁器と漆器の
両方のいいところを
デザインしようとしている」と
圭太が言うと
葛西が
「それはどういうデザインやネン?
具体的にいえま」。と
不機嫌そうに言う。
「そこを相談しようと思って」と
いうと
「やっぱしそうか。」という。
「仕切りも悪い
まともな注文も出されん
塗師屋相手に仕事できるかいえ。」
と怒鳴った。
葛西は立ち上がっていった。
「弥太郎さんがやるというから
乗ったけど
おまえやったらごめんや。」
遠藤は「おちつけま」と
いって葛西を止めた。
遠藤と一緒に来た塗師たちは
圭太では力不足で
とても任せられないと
愚痴った。
遠藤は
「紺谷弥太郎という
塗師屋をだめにしてしまったら
輪島全体の損失やさけ。」
という。
圭太は落ち込んでしまった。
希は「弥太郎さんが偉大過ぎて
期待が大きいから」と
いうが「結果が付いてこないと
意味がない」という。
「俺はダメや・・・」といって
陶胎漆器を箱に収めた。
希はそれをじっと見ていた。
しばらくして
弥太郎の前に
井田、亜美
藍子、圭太、希・・
直美がいるところに
博之がやってきて、
二度と敷居をまたがないと
いった
敷居をまたいで
座敷に入って来た。
希は驚いて
「漆にかぶれるのでは?」と
いうが
「平気になった」と
いった。
そして、弥太郎の前に座った。
「お願いがあってきました。
五代目紺谷弥太郎は自分が継がせて
もらいます。」
一同、「ええええ??」と驚く。
希は、「あの・・課長?」
「部長だ!」
亜美は
「お父さんっすよね?」
という。
「おまえ輪島中の塗師屋から
総スカンを食ってんやてな。」
「総スカンて・・」と希が言うと
直美は「男の世界に口を出さない」と
とめた。
藍子も能天気に言う。
「精いっぱいやっとったら
分かってもらえるわいね~~~」
「あなたも!!!」と直美。
博之は「この業界は
周りから認めてもらえなかったら
なんもできない。
おまえには無理や。
俺は中継ぎだ。
あと何年かしておまえが
塗師屋にふさわしい男になったら
身を引くから。
それが輪島塗のためや。」
博之は輪島塗の技術はないが
市役所の立場から
輪島塗のことは勉強してきた。
井田は
「博之さんならみんな納得する」といった。
圭太は
「本気なのか」と聞く。
「おまえを助けるつもりはない。
しっかり修行をして
誰にも文句言わさないぐらいの
腕を磨け」といった。
「輪島塗のためや
五代目紺谷弥太郎を継がして
ください」
弥太郎は、「わかった
五代目は
博之や。
圭太、ええな?」
聞く。
圭太は座りなおして正座をして
博之に言った。
「親方、よろしくお願いします。」
すると博之は
「陶胎磁器の仕事はキャンセルする」と
いった。
「ええ?」圭太は驚く。
「うまいこといってないのだろ?
これ以上粘れば
下手なものを出して
うちの看板に傷がつく。」
圭太は「あれは輪島塗にとって大事な」
・・・といいかけるが
「成功の見込みはあるかいえ?」と
博之につかれる。
「皆にそっぽを向かれている
状況で・・
キャンセルや!
いいな?」
圭太は弥太郎に助けを求めたが
「俺はもう引退や」という。
「口は出さん。」
がっかりする圭太を見た希は
台所で
亜美は
「これで希さんはパティシエに
もどれますね」といわれた。
そりゃ、女将ではなくなるのだから
そのとおりだ。
「希さん、お役御免ですよ。
よかったっすね。」
そういって亜美が去って行った。
その様子をキミが見ていたのか
希に声をかけた。
「なにをしょぼくれてんのや?」
久しぶりの再会だった。
お茶を飲みながら希は
驚くことを聞く。
キミは博之を「思い切ったものだ」と
いった。「塗師屋は
近道だ。」
何の近道かというと市長へ
の近道だ。
博之は将来、市長になるために
塗師屋になったのだと
キミがいった。
驚く希。
**************
親の心個知らずというけど
博之の心は市長になるために
圭太を利用しようとしているのだろう
か?
しかし、今のままでは
信用も何もないのだから
圭太が五代目を継いでも塗師屋は
倒れるだけである。
誰にも支えてもらえないのだからね。
女将になる必要もなくなり
パティシエに戻れるのだ。
考えてみれば
希のやっていることは
厳しいことだ。
ほんとうなら圭太の妻は
女将になる人である。
でも、ならなくてもいいとは?
なんだろう?
しかも
直美の言う通りでパティシエは
そんないい加減な仕事なのかと
言われれば
そんないい加減な仕事ではない
のである。
だから、
片手間にパティシエ
片手間に女将
なんて
できるはずがない。
直美の言うことももっと
もである。
パティシエをいったん休み
圭太をサポートするときめた
希。
圭太も陶胎漆器に集中できる
ようになり落ち着きを取り戻した
菜のように見えた塗師屋でしたが。
弥太郎が急に引退すると言い
圭太を五代目紺谷弥太郎にといい
そこに、突如登場した
圭太の母、直美。
つまり、
博之の妻
希の姑
もと、塗師屋の娘・・・。
が
「そういうことなら私もお手伝い
させていただきます。」
という。
「希さんは私が責任をもって
きっちり仕込みます
さけ。」
あっけにとられる希。
直美は早速家中を点検した。
「掃除行き届いてない」と
とまず苦言。
希は「自分は女将になる気はない」
といったが・・・
届かない。
「大丈夫や
あんたみたいなふつつか者でも
わたしが何とかしてやるさけ。」
(おお、なんという
上から目線・・・
大事な息子を取られた
はらいせか?)
亜美は事情を知っているので
希にはパティシエという仕事がある
からというが
直美は「長い間女将不在でご不便を
おかけしました。
親方を盛り立ててもらってありがとう
ね。」といった。
藍子は直美に「この子は・・」と
話しかけると
直美は、語気強くいった。
「藍子さん!
一遍嫁に出したら
死んだものと思てもらわな
こまるげよ。」
直美は藍子に詰め寄った。
「結納もなし
結婚式もなし
顔合わせすらなしで
いっぺん挨拶に来たきり
やげね。
ふつう、親がなんとか
意見するもんじゃねえけ。」
「・・すみません」
迫力にたじろぐ藍子。
希はそれでもいった。
「あの、うちは塗師屋の女将になる
つもりで戻ってきたわけではないです。」
「部屋の掃除も甘いね~~~~」
「弥太郎さんが倒れて圭太ひとりで
どうにもならないのでお手伝い
に帰ってきたのですよ。
落ち着いたらまたパティシエに戻る
という約束です。」
「ほこり玉がおちとる!」
希はほこりを取った。
直美はまた意見する。
「これから何があるたびに
こっちに戻ってくるのけ?
パティシエってそんなに
いい加減な仕事なの?」
「いや、そういうことでは・・・」
「そんな中途半端な料簡では
どうにもならない
一辺戻ったら
もう、腹くくって
女将になるべきや!!」
直美は凄んで見せた。
そこに博之が声をかける。
「なにしてるのか?
帰るぞ」という。
直美は態度を変えた。
「いやぁ~~~~~~~~ん
博之さぁぁあああん
待っといてくれたんけぇ??
優しい~~~~~~ぃい」
「先に帰るぞ。」
「いやぁああん
意地悪言わんといてぇ~~」
と博之に声をかけに行き
ササっとまた戻ってきて
どすの利いた声と顔で
希に言う。
「また来るさけ
覚悟決め時や!!!」
博之のほうを向くと
声が変わる。
あまぁ~~~い
ケーキのような
甘い声で
「今行くさけ~~~
玄関で
まっといてぇ~~~~ん」
さて、
そういう直美の特訓は
うざいほど、うざく。
糊を作れば
手つきが悪いとどなり
布と紙をまっすぐに切るには
道具に差別化があるそうで
希が布用の小刀で
紙をきると
そっちは布用。歯が
だめになるわいね!!
と、怒られ・・
重ねた器を袋に入れようと
して手が滑ると
器に傷がつくと
いってしかられ
希はそのたびに
「すみません」と
謝りながら
の毎日。
圭太に
ついに
いった。
「お母さんてああいうひとやったん
やね・・・」
圭太は
興味もなく
「うん」という。
「挨拶行っても
ほとんど口をきいてくれなかったから
気が付かなかったわ。」
直美は博之から圭太には口を出すなと
言われていたので
だまっていたらしい。
圭太が親方を継ぐことになって
「我慢できなくなったんだろ?
気にせんとお前は
落ち着いたらパティシエに戻れば
いいから・・。」
「うん・・
圭太ちゃん?」
「まじでやめんけ、ほれ!!!」
圭太は圭太ちゃんと呼ばれたく
ないのですね。そら
そうやろ。いくつや?
弥太郎が倒れて
復帰しても
もう、元通りに元気でという
わけにはいかない。
それに限界を感じて
後継者はいるということを
世間に広めたかったので
圭太を跡取りにということ
にしたらしい。
「俺が頑張らなあかんな」と
圭太はますます
日本一の熱い
漆職人を目指そうと
する。
「まずは陶胎漆器を完成したい」と
いう。
「方向性は見えたから
葛西さんと相談しようと
思う」と圭太は明るくいった。
が・・・
翌日
葛西がやってきた。
圭太は「今お茶を入れますから
座敷のほうに」というが
「どけま」
と、葛西は機嫌が悪い。
態度が悪い・・
言葉が悪い。
あっけにとられる圭太。
そこに輪島塗組合の組合長
遠藤忠雄が、何人か連れて
やってきた。
「圭太、邪魔するぞ!!」
数人の男たちが座敷に入った。
弥太郎になにやら言うことが
あるらしい。
「弥太郎さん」
遠藤が言う。
「引退して圭太に後を継がせるって
ほんとうけ?
考え直してくれないか。
圭太では若すぎるし不安だ」
ということで
やってきたらしい。
「今回の陶胎漆器も
うまくいってないのだろ?」
「それはもう一度話を聞いて
もらう約束で
磁器と漆器の
両方のいいところを
デザインしようとしている」と
圭太が言うと
葛西が
「それはどういうデザインやネン?
具体的にいえま」。と
不機嫌そうに言う。
「そこを相談しようと思って」と
いうと
「やっぱしそうか。」という。
「仕切りも悪い
まともな注文も出されん
塗師屋相手に仕事できるかいえ。」
と怒鳴った。
葛西は立ち上がっていった。
「弥太郎さんがやるというから
乗ったけど
おまえやったらごめんや。」
遠藤は「おちつけま」と
いって葛西を止めた。
遠藤と一緒に来た塗師たちは
圭太では力不足で
とても任せられないと
愚痴った。
遠藤は
「紺谷弥太郎という
塗師屋をだめにしてしまったら
輪島全体の損失やさけ。」
という。
圭太は落ち込んでしまった。
希は「弥太郎さんが偉大過ぎて
期待が大きいから」と
いうが「結果が付いてこないと
意味がない」という。
「俺はダメや・・・」といって
陶胎漆器を箱に収めた。
希はそれをじっと見ていた。
しばらくして
弥太郎の前に
井田、亜美
藍子、圭太、希・・
直美がいるところに
博之がやってきて、
二度と敷居をまたがないと
いった
敷居をまたいで
座敷に入って来た。
希は驚いて
「漆にかぶれるのでは?」と
いうが
「平気になった」と
いった。
そして、弥太郎の前に座った。
「お願いがあってきました。
五代目紺谷弥太郎は自分が継がせて
もらいます。」
一同、「ええええ??」と驚く。
希は、「あの・・課長?」
「部長だ!」
亜美は
「お父さんっすよね?」
という。
「おまえ輪島中の塗師屋から
総スカンを食ってんやてな。」
「総スカンて・・」と希が言うと
直美は「男の世界に口を出さない」と
とめた。
藍子も能天気に言う。
「精いっぱいやっとったら
分かってもらえるわいね~~~」
「あなたも!!!」と直美。
博之は「この業界は
周りから認めてもらえなかったら
なんもできない。
おまえには無理や。
俺は中継ぎだ。
あと何年かしておまえが
塗師屋にふさわしい男になったら
身を引くから。
それが輪島塗のためや。」
博之は輪島塗の技術はないが
市役所の立場から
輪島塗のことは勉強してきた。
井田は
「博之さんならみんな納得する」といった。
圭太は
「本気なのか」と聞く。
「おまえを助けるつもりはない。
しっかり修行をして
誰にも文句言わさないぐらいの
腕を磨け」といった。
「輪島塗のためや
五代目紺谷弥太郎を継がして
ください」
弥太郎は、「わかった
五代目は
博之や。
圭太、ええな?」
聞く。
圭太は座りなおして正座をして
博之に言った。
「親方、よろしくお願いします。」
すると博之は
「陶胎磁器の仕事はキャンセルする」と
いった。
「ええ?」圭太は驚く。
「うまいこといってないのだろ?
これ以上粘れば
下手なものを出して
うちの看板に傷がつく。」
圭太は「あれは輪島塗にとって大事な」
・・・といいかけるが
「成功の見込みはあるかいえ?」と
博之につかれる。
「皆にそっぽを向かれている
状況で・・
キャンセルや!
いいな?」
圭太は弥太郎に助けを求めたが
「俺はもう引退や」という。
「口は出さん。」
がっかりする圭太を見た希は
台所で
亜美は
「これで希さんはパティシエに
もどれますね」といわれた。
そりゃ、女将ではなくなるのだから
そのとおりだ。
「希さん、お役御免ですよ。
よかったっすね。」
そういって亜美が去って行った。
その様子をキミが見ていたのか
希に声をかけた。
「なにをしょぼくれてんのや?」
久しぶりの再会だった。
お茶を飲みながら希は
驚くことを聞く。
キミは博之を「思い切ったものだ」と
いった。「塗師屋は
近道だ。」
何の近道かというと市長へ
の近道だ。
博之は将来、市長になるために
塗師屋になったのだと
キミがいった。
驚く希。
**************
親の心個知らずというけど
博之の心は市長になるために
圭太を利用しようとしているのだろう
か?
しかし、今のままでは
信用も何もないのだから
圭太が五代目を継いでも塗師屋は
倒れるだけである。
誰にも支えてもらえないのだからね。
女将になる必要もなくなり
パティシエに戻れるのだ。
考えてみれば
希のやっていることは
厳しいことだ。
ほんとうなら圭太の妻は
女将になる人である。
でも、ならなくてもいいとは?
なんだろう?
しかも
直美の言う通りでパティシエは
そんないい加減な仕事なのかと
言われれば
そんないい加減な仕事ではない
のである。
だから、
片手間にパティシエ
片手間に女将
なんて
できるはずがない。
直美の言うことももっと
もである。
