親心ロールケーキ1
大吾から卒業試験として
ロールケーキを作れと言われた
希。
今まで教わったことを全力でだして
つくったが
まずいと言われた。
そして、これでは卒業は認められないと
いう。
驚く希。
どこが悪いのかわからない。
次々と作るが
どれも
まずいという
大吾だった。

まれは昔作ったロールケーキと
比べて自分の成長を見届けて
送り出してくれるのかと
思っていたという。

「そんな面倒くさいことを
考えるか
試験は試験だ。
まずかったから不合格。」

希は「自分で言うのもなんですが
素材の味がよく出て」
・・・と説明しても

「俺がまずいと言っているんだから
まずい!」

といって去っていく。

「うそ・・・」

つぶやく希だった。

大吾と希の格闘をみて
輪子たちは
大吾が希をどうしても
やめさせたくないのだろうと
結論を出した。

ほんとうにまずいのかと希は悩むが
そんなことはないと
美南がいう。
「気にしないで辞めたら?」
と。

大吾が厨房にいて
イライラと仕事を
している。

大輔は「調子悪そうだね
気持ちよくやめさせてやれば
いいのに」という。

「おまえに関係ない」と
大吾は言う。
大輔は
「人生の優先順位は
人それぞれでしょ??」

と、反論した。

「誰もがあんたみたいに仕事第一
ってことではないから、そんなに
許せない?自分の期待に応えない
人間が・・・
なにいってもむだか
あんたにとっては
どうせ俺なんか
透明人間だものね
優先順位が違いすぎてさ。」

大吾はだまって
仕事をした。

その話を藍子にした。
「やめさせてもらえないって?」
と驚く藍子。
圭太はデザインで苦しんで
いるし・・弥太郎は
リハビリで苦しんでいる。
塗師屋は大変なので
藍子も、手伝うことが多い。

徹は、魂が抜けたように
なっているという。

希がぼーっとしているとき
一子が来た。
村に帰ったわけではなく
またがんばるとのこと。
能登の魚などを
持ってきてくれた。
一子は、自分がわんこのブログで
みんな嘘でしたと
ごめんなさい記事をだした。
すると、怒られると思っていたら
おもしろいとかえって評判になった。
希も「あれは面白かった」という。

「スイーツには興味はなかったけど
書くことは面白かった・・・」

だから

フリーライターで売り込んでいる
らしい。

ある無名の出版社に
わんこのブログをみていた
人がいて、ためしに書かせて
もらえることになった。
それには、名前は出ないし
小さな記事だという。

「希は能登に帰るのか」と
一子は言う。
「弟子にしてくださいって
押しかけられて、
せっかく育ててこれからって
ときに、旦那の世話で休みます
って言われたら
誰だって怒るわいね・・・」

希は黙ってしまった。


一子は、「意地悪で言ってるのでは
なく、怒られるのは当たり前
だから、元気を出せっていうて
いるのだ」と解説をした。
希は考え込んでしまった。

大吾は天中殺でひとり
考えにふけっている。

希がその様子を見に降りてきた。

「シェフ、送り出してもらおうなんて
虫がよすぎました。
勝手なことを言って
すみません。」

「違う。まずいからまずいと
いったまでだ。」

「もう一度作らせてください。」

「もういい」

「作ります!!」

「同じことだ。
おまえは首だ。
あんなまずいものしか作れない
パティシエはうちの店には
いらん。
さっさと出て行け!」

「シェフ・・・

今まで本当に・・・」

「下らん挨拶はいらん。」

希はすごすごと
部屋に戻った。

輪子は
その様子を見ていて
いった。

「そりゃ、何を食べてもまずいよね。
大事な弟子を手放すんだから。」

大輔が来た。
「いえばいいのに。
おまえにはすごく期待して
いたんだ。
かわいくて仕方ないんだと。」

「大吾はいままで希ちゃんにも
大輔にも
自分の気持ちを伝えた
ことがあるの?

大輔の生き方は認めて
いるのでしょ?

希ちゃんとはこれからも
ずっと一緒にやりたいと
お店を継いでほしいと

思っていたのでしょ??」

輪子はみんな当ててしまった。

大輔はじっと聞いていた。

そして

希は・・・ひとり
考えに耽っていた。
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くびという形で辞めることに
なった。
希はこれを受け入れられるのか?
円満退職を試みている
のではないだろうか?
それにはどうすればいいのだ
ろうか?
ほんとうに
お菓子作りを
止めるのだろうか?

大吾は意地悪みたいだ
けど
意地悪ではないと
おもう。
一子が言う通り
大吾はショックが大きかった
わけだ。
希はこれからどうするのだろう?