絶縁コンビニケーキ4
一子から、大嫌いと言われ
イベントは取り消しはできない。
理由は一子の出世のためとわかった
希。
一子からは「仲間なら協力してね」と
かるくいわれ、しかも「あんたを利用しよう
としている」と正直に言われ
どうしようもない希だった。
そして、「ああいうのが希がめざしていた
ケーキなの?」
と一子に言われ、自分のめざすべき
ケーキにパティシエ像に悩んでいた。

そんなとき、サプライズで
藍子が横浜にやってきた。
お店に顔を出した藍子。
希は喜んだ。
「あら、素敵なお店やね~~。」

藍子が持ってきた能登の食材は
大吾の夢中となるところだった。

天中殺に落ち着く藍子と希。
「あらぁ~~」と大輔が声をかける。
「あら~~ゴンタさん。」
「お久しぶりです、お母さん!」

「お母さん?」希は驚く。
「お元気そうで、また能登にも
遊びに来てくださいね。」

「はい、ありがとうございます。
お母さん。

ごゆっくりしていってくださいね、
お母さん。」

そういって大輔は去って行った。

「うちのお婿さんやったかいね?」と
藍子が言う。
「違うわいね!!」
希は言い切った。

藍子は一子のことは知っていた。
「素直に帰れなくなっているね。
希はどうするの?イベントは?」

希は、この間、幸枝に言われた
ことをいった。
どんなお菓子をつくるのか
どんなパティシエになるのか

それを考えていた。

ずっと先のことだと
思っていたが
一子に言われて、迷路に入って
しまったといった。

そこに徹がきた。
藍子を見て
すごく喜んだ。

そのご、徹の会社を見に行った。

藍子は喜んだ。
素敵だという。
まいもんねっとの社長のサイトを見て
笑った。

徹は「ここは夢の始まりなんだよね」と
いった。
「いまは夢は追えば追うほど先が見えなく
なる気がする、もっともっと追いかけて
行こうと思う」という。
「夢はずっと探して続けていくもの
かもしれないね。」
「私も一緒に探してもいいかな?
横浜で。

希と徹さんと暮らしたい。
一徹はみのりちゃんと能登に
いるし・・・。」

「ありがとう」、徹は藍子を
だきしめた。

「乾杯しよう」と徹ははしゃいだ。

藍子は、「希もやってみたらいい」という。
「一子ちゃんとのイベントを。
さっきいってた
どんなパティシエになるのか
迷っていたけど一子ちゃんと勝負して
さがしてみたらどうなの?
一子ちゃんのためにするのじゃな
いのよ。一子ちゃんの人生は一子
ちゃんのものだから、希は希のために
自分のケーキを探すためにやってみたら
どうけ?」

希は考えた。

はるさんは、わんこのブログを見ていた。
そして、ため息をついた。

そこに久美と文がやってきた。

一子の件ではるさんは謝った。
ふたりは、一杯やろうと
いって、はるさんをはげまそうとして
やってきたのだ。

はるさんは、一子が高校生の頃
いっていた、小さいとき家族で
いった東京で食べたシュークリームが
忘れられない、だから東京へ行きたい
のだという話をした。

「よっぽど楽しい思い出だったのだろう。

あれを超えるほどの思い出が能登にはない
ということだろうね」とはるさんはさみしそうに言う。


そのころキャバクラでアリサはご機嫌だった。
「アリサちゃん、大阪だって?」
「なんやねん、なにかもんくあんのかぁ?」
といって「あはははは・・・」と笑っていた。

そのころ、一子のアパートにいる洋一郎に
圭太から電話が入った。
洋一郎は出なかった。

圭太たちは
マキの情報から洋一郎は一子のところ
にいると知っている。
「洋一郎は自分の力でなんとかしようと
しているのでは」と圭太は言う。
みのりはしんみりという。
一子は都会で誰にも相談できずに
独りぼっちで暮らしていたんだと。
「もううちらの事仲間だと思って
無いのかもしれない・・・」


横浜の希はつぶやく。
「私は私のために・・・。」

そして大吾に言った

「コンビニのイベントをさせて
ください。
試してみたいのです。
わたしがうまいと思うケーキを
作って、コンビニのお客さんがどっちがを
選ぶのか。
勝ったらコンビニに置くことになりますが
そこは少し向うと相談して・・」

大吾は言った。
「やりたければやってみろ。
その代りに条件がある。
値段が高くなるからと言って
原価を抑えるな。
あの子の言うことはある意味正しい。
たかがケーキにお金をこんなに使いたくないと
言う消費者もたくさんいる。

高くても、こっちを食いたいと
思える菓子を作れ。
その自信がないならやめろ。」

そして、仙道や一子、徹がやってきた。
コンビニCショップの責任者五十嵐を連れてきた。
「Cショップ広告販促部の五十嵐です」と
その男は言った。
そして、最後の取り決めをした。
「全国配信ですよね。それはうちが・・」
と徹がいうが
希が「がっつかない」といって
発言を止めた。
大吾は「勝ったほうが商品化するという
ことだな。うちが勝ったら値段も質も
下げずに売ってもらいたい。
ひとつ一万のケーキになったとしても
そのまま売れということだ。」

一子は、
「いいのぉ?そんな値段つけちゃって・・」と
いう。

「それが一番うまいと思ったら
そうなるかもしれません。」と希は言う。

「それはあまりにも一万て言うのは」と
徹はいうが
五十嵐は、「かまわない」という。
「マシェリシュシュさんが納得されるものを
作ってください。」
といった。
「値段だけではなくターゲットも
コンセプトもすべて
お二人にお任せします。
手ごろな値段のスイーツと
高くてもそれに似合った味の
スイーツ。
コンビニのお客さんはどちらを選ぶか。
見極めさせていただきます。」

仙道は、「三ページ目にありますが
お二人にはカップスイーツを作って
もらいます」という。
「ムースでもプリンでもカップに入って
いればなんでも結構です。
お好きなものをおつくり下さい。」

「わかりました。」

わんこが言った。

一日一回の圭太コールで希は圭太に言った。

「うちにとってケーキは特別だから・・
最初がバースディケーキだったから
かな。
特別な人に
ちょっこり食べてもらうためにうちが
一番うまいと思うケーキを作るから。

どんなものができるのか。
自分でも試してみたい。」

「頑張れや・・」

「うん・・・」

電話を置き
希は
ルセットの中から
二枚とってそれを見た。
*************
希にとってのケーキとは?
希にとってのパティシエとは?

一子は自分の人生をかけて
希も自分の人生をかけて
このイベントに参加することに
なった。
わたしも一個、500円だろうが
300円だろうが値段に合ったうまさで
あればいいと思う。

300円のスイーツにはそれなりの
味がある。
しかし一個500円のスイーツには
それ以上の味がある。

材料は、同じ卵でも
一個、50円の卵と一個100円の卵は
絶対味が違う。出来具合も違う。
大吾が材料費をケチらずにどんどんいいものを
使うのはそれだけ、職人の腕を確かなものとして
くれる力がいい材料にはあるからだ。

安くてうまいのは、普段着である。
希のめざずすいーつは特別な日の
特別な人のための
スイーツである。
その点が全く違うことを
・・・一子はわかっているのかなと
不思議に思う。