下剋上駄菓子ケーキ6
希は大吾にお客様が喜ぶケーキを
作りたいといった。
たとえ、店の趣旨をはずしてでも
作りたいといった。
大吾は「好きにしろ」と言った。
「ただし
まずいケーキは許さない」。

希は気合を入れて
駄菓子と向き合った。

一方徹は藍子のもとに
再プロポーズをするためにやって
きた。
ギャラリーはいつものおっちゃん
おばちゃんたち。

文は徹にお茶を出しながら

「お客さん

能登ははじめてですか?」
と聞く。

が、徹は「やめてくれる?
そういうの」、と緊張している。
「キミたちも
公開プロポーズじゃないからね。
出て行ってくれる?」

向うの間に陣取っている
はるは、「きにせんでもいいから」と
いう。
浩一は
「応援団やワイネ」という。

久美が「藍子さんが帰って来たよ」と
いった。

藍子は何も知らずに帰ってきて
「なしたんけ?こんなに集まって」
と笑った。
が、徹がいるので驚いた。

「徹さん?」

徹は
「結婚してくれ」という。
みのりは「早っ!!」と
声を出した。

「会社を作った。
まいもんネットが成功して独立
した。
他にも色々企画があるし
社員も面接した・・・」
一徹は「知っているよ。
なかなかいいタイミングで参入
したわいね。」

「はい、おかげさまで」と徹は答えた。
徹は会社の案内書をみせた。
一徹は受け取って
みた。
会社の名前はアットマイドリーム。

藍子のア
徹のト
希のマ
一徹のイ

ドリーム・・夢である。
家族の夢だと徹。

「俺の夢は家族の夢だから。

藍子・・・
三年間頑張らせてくれて
ありがとう
まだまだだけど
おれ
この夢
大事に育てようと思って

そばにいてくれないか?

もう一度俺と結婚してくれ!!!」


「ごめんなさい・・・」

徹は泣いた。
「この日のために徹ちゃんはがんばった
のに」と
外野が言う。

藍子は「違う」といった。
「どうしても出せなかった。」
と離婚届をもってきた。

「じゃ、夫婦だったのか・・
俺たちずっと・・・家族だったのか・・

ずっと・・・」

文は

「そうや、ずっと家族や」

元冶も
「家族や」という

徹は
「良かった」といった。

そして
藍子を抱きしめた。


外野も喜んだ。


「ほんとけ?
よかったぁ~~~~」

横浜の希は圭太の
実況電話でうれしく思った。

あのキャロットケーキを
皆で食べているという。

みのりのミがない
圭太のケもないとみのりから
文句をいうので
徹は「アットミマイケイドリームに
変える」といった。
圭太も「あの二人は離れないな」という。
「俺たちもああなりたいと思う」というが
希には雑音で聞こえなかった。
もう一度聞くが圭太には
二度も言うほど勇気がない。
「駄菓子のケーキはできたんか」と
圭太が言う。

厨房には
あの幸枝が待っていた。

「さぁ、はじめるわよ~~」と
いう。

幸枝の指導の下
希はケーキを仕上げた。

そしてその日が来た。

「どうぞ・・」
榊原は妻美里を店に案内した。

美里は「こういう本格的なお店のケーキは
あまり好きではないのよ」という。

「お待たせしました~~」
希が持ってきたケーキを見て
美里の顔が輝いた。

駄菓子が乗っている。

「なにこれ??
駄菓子???」

「ハッピーバースディ
ミサト」
とプレートがあった。

「ご主人様のご依頼で
特別にお造りしました。」
と希が言う。

榊原は美里に
土下座をして「いままで本当に
すまなかった。離婚を考えて
いるのだろ?」という。
ところが、離婚など美里は考えて
いない。
あれは妹の誕生日に彼女の御主人を
びっくり誘うと思って
仕込んでいたといった。

「ドッキリなの」というので

「え??」

という結末だった。

浅井は「悪趣味ですね」と
希に言った。

美里は「それであなた
このケーキを用意して
くれたの?」

「はい・・・」

あっけにとられている榊原。

美里はケーキのろうそくを
吹き消した。
拍手が沸いた。
美里はケーキを食べた。

「ふふふ
おいしい~~~」と
喜んだ。

榊原も希も
うれしく思った。

「でもごめんね。」
と彼は言う。
「これからは君と一緒に
キミの好きなものを食べるよ」と
いう・・・
美里は「あなた・・・」と喜んだ。
そこへ幸枝が口をはさんだ。

「だめだめ
あなたはあなたがおいしいと思うものを
食べなさい。
同じものを食べなくては
というより
相手の気持ちがわかればいいの!」

二人はケーキを食べた。
榊原はちょっと疑問だったが
「おいしい」といった。

幸枝は大吾に
「老いぼれと間違えられた気持ちは
どうなの?」と聞く。
「ほんとうに老いぼれたら
味どころではないわ」と
幸枝。
「ほんとうの老いぼれは
細かい細工は見えないし
手は動かないし
味が落ちるどころではない
のよ・・・
でも老いるころにはひきついで
くれる子が現れている。
それが職人の救いね。」

「はい・・。」

「あ、ちょっとそこのプラリネ
粒がそろっていない。
やり直し!!」

「ウイ、シェフ!!」


天中殺で幸枝は希と話をした。
大吾が幸枝の店に来たとき
真っ赤な顔をして
こういった。
「食べてくれるひとを
笑顔にしたい」って。
「お客さんを喜ばせたい」って

「あのシェフが・・・」と希。

「しかし、すべての人を喜ばせる
ことなどできないわ。
だからこそ、自分が何を作りたい
のか、どういうお菓子を目指すのか。
それをちゃんと決めなければ。
迷いながらでもいいのよ。
でもいつかきっと・・。
どういうパティシエになるのか・・
決めるときがくる・・」

幸枝の言葉が響いた。

「どういうパティシエになるのか
決めるときがくる・・」

希は翌朝海を見た。
「どんなパティシエになるのか

いつか

決めるときがくる・・・

よし!!」

そして夏が来た。

部屋にかえった希は
徹が見ているサイトを
みた。
わんこのスイーツ工房と
言うブログである。

それを徹がPCのふたを閉めて
かくしたので
希は気になって
むりやりふたを開けてみた。

どうやら普通のオーエルさんが
書いているらしいスイーツの
グルメレポートブログらしい。
徹が隠したのは
なぜかというと・・

希の店を酷評していた。

「横浜の人気店
マシェリシュシュのケーキを食べに
いきました。
正直 お金の無駄だわん!!」

「いい記事ではないんだけどね。」
と徹。
希は不安に思った。
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駄菓子のケーキは
まず、ケーキの上に載っているお菓子が
かわいくてきれいな色だ。
なんとなくおいしそうにも
見える。
ケーキの土台はどうなっている
のかわからないけど
見た感じは
きれいでかわいい。
チョコの麩菓子が
メッセージプレートだった
ような気がする。


さて、希には
新たなる
問題が浮上したようである。