絶体絶命メッセージプレート1
「圭太が好きや」
希が圭太に告白した。

帰り道、圭太がアパートまで送って
くれた。
「うちの部屋に寄って行く?」
圭太は、親方と打ち合わせがあるから
といった。明日の夜愛に来てもいいかと
きく、明後日には能登に帰るのであるが。
「ほんなら・・」
と言って圭太は帰って行った。

希は「気を付けてね」といった。
小さく手を振って
送った。(いつの時代も恋をする
女の子はかわいい)
その後、有頂天になった
希は美南にその様子を見られた。
美南は「きっちり引導を大輔に渡して」
といった。
「振るほうの義務だよ」と
いった。
でも美南は「よかったね」と言って
くれた。

希は、大輔の部屋にいって
謝った。

圭太とは気持ちが通じ合った
と分かった大輔は「苦労すると
おもうけどね、あいつは
頑固で融通が利かない
みたいだし」という。
希もそれは認めている。
しかし、大輔は「自分は
諦めは早いほうだから」と
いう。
「人に期待していないし
期待されずに育ったし・・」

という言葉に希は反応した。
それは、シェフのことなのかと
聞く。
家族を顧みないひとだといった
けどそれはシェフのことなのかと
聞いた。
大輔は希の腕をつかんで
「そうだとしたら
俺と付き合ってくれる?」
といった。
だが、それはうそだけど
希が今までで一番
優しい顔をしたという。
希の弱みはそこだったのかと
大輔はいった。

こういう執着する自分が珍しくて
しつこくなったと
大輔は言う。
「ごめんね」という大輔に
「うちは、ありがとう」と
希は言った。

いろいろ助けてもらった。
クリスマスケーキの時も
ジュテームモワノンプリョ
のときも
頭だけではなく心を
動かすことを教えてくれた。

「なんか
大人っぽくなったね、希ちゃん。」
「ほうけ???」

能登では文が帰ってきた。

元冶は「どうだった」と聞く。
「楽しかった」と文は言う。
藍子が「おかえり」といった。
「弥太郎さんたちと一緒に
帰って来ると思った」
と藍子は言う。

文は「徹はめずらしくまじめにやって
いたから、あれは出さなくても
すむのでは?」といった。
文は藍子が引き出しにしまって
いる離婚届を知っていた。
最初は出すつもりだったけど
今ではお守り代わりになって
いると藍子は言う。
藍子は文は希と徹の様子を確かめに
横浜にいったのでは?と
聞く。
元冶は嬉しそうだった。

徹は必死で仕事をしていた。
翌日、希のアパートに
きた、圭太。

「なんか飲む?」と
きくと、圭太は台所に
自分が塗った
箸があると喜んだ。

希は「圭太を思い出すから
しまっていた」といった。
圭太は希を抱きしめた。
そして、「俺、おまえのことを真剣に
考えているから
一人前になるまで会うのを
やめよう」といった。

希は、「ちょっと、ちょっと」と
あわてた。
「うちら付き合い始めたのでは
ないのか」と聞く。

圭太は「まだやろ」といった。

希は圭太から離れて
カーテンを開け
窓を開けてためいきを
ついた。

圭太は「二年半待ってほしい」と
いう。修行の年季があける
のだ。
そのための誓約書まで
かいて
持ってきた。

自分はまだ人の人生に責任を
とれる器ではないからと
いう。
「二年半後の四月までに
会わないでがんばろう、今の
俺ではだめや」
希は誓約書を見ていった。

「ほんとうに

面倒くさいね・・・」

でも笑った。
「これが圭太やね・・・。」

「分かった。
二年半頑張ってまた
会おう」と
希・・・。


そして、
二年半がたった。
2006年3月。
希22歳。

大輔と約束をして美南の
卒業祝いを買うため
公園であった。
大輔とは友人としてつきあって
いた。
希は圭太との約束を守り
ひたすら修行にせんねんをして
今や中堅パティシエとなった。
しっかりと腕を上げたのだ。
圭太と会うために
自分を磨いた。

約束の日まであとわずかです。

「待ってろよ~~
圭太ぁ~~~~」

と、テンションの高い
希。
そんなある日、陶子が
ホテルのデザート部門に
シェフとして引き抜かれ
お店をやめることに
なった。
次のスーシェフは希だと大吾
から言われた。
がっかりする浅井。
その週に陶子がやめるので
スーシェフの引継ぎを
始めることとなった。

****************
元冶さんが元気になった。
弥太郎と旅に出ると書置きして
出て行ったので
不安になっていたが
弥太郎が言う通り横浜に用事が
あったわけだった。
それは徹と希の様子を見て
くることだった。
藍子には徹の様子をしっかり
伝えた。

そして、圭太は・・・・
希と感情に溺れることなく
一子との失敗を教訓にして
成長している。
同い年の男の子って
やはり、女の子にリードされる
ものなんだけど
この雰囲気は、圭太は希に
押されっぱなしになっていた。
恋をした女の子は強い。

でも、誓約書を書いて
もってきたなんて
面倒くさいやつだけど
誠実でいいと思うよ。
希は幼馴染ということで
遠慮がないみたいだけど
そこは、圭太が偉かったね。

しかし、大輔がそばにいることは
また、なにかしら
騒動が起こるということなのだ
ろうか?
そして、希も腕を上げて
スーシェフになった。
もっと腕を磨いて
能登に自分のお店を
もつことになるんだろうか?