運命カカオ64%1
成人式のあくる朝
雑魚寝から目覚めた希は
目の前の圭太が
「おはよう」といったので
ときめいてしまった。
あわてて、顔を洗いに行く。
あの時の大輔のおはようと
さっきの圭太のおはようと
希をドキドキさせた。

横浜に帰ると徹が自分が参加できなかった
成人式の様子を
しつこく聞くが
希は上の空。
徹があまりにも自分がいけれなかった
成人式をアピールするので輪子は
「行ったらよかったのに」という。
行けば藍子に会うのでそれは駄目だと
徹はけじめをつけるためだと
つっぱねた。
「たまには存在をアピールしないと
忘れられるよ」と輪子。
「女は孤独に弱い生き物ね」と珍さん。

そこに美南が大輔からの電話が
あったと報告する。
きけば一か月帰国が伸びた
そうだ。
びくっとする希。

あのとき
「帰って来たら返事効かせて。」と
大輔は言った。
「待っとるわ」
と希は答えた。

ボーっとしている希を
高志が心配そうに見ていた。

でも、どうしても誰かに聞いて
欲しくて。
洗濯場にいるとき高志が
やってきた。

そして、「なにかあったのか」と
聞く。
希は高志に気づかれたことを
しった。
こんなこと高志は聞きたくないだろうが
聞いてほしいといった。
「圭太にときめいた」といった。
「圭太のおはようにときめいた・・・
大輔さんにもときめいて
それが恋だと思ったのに。
どうなっているのだろう」と希は
イライラして言った。

「おはようと言われたら
自動的に恋をするように
なっとるんかね?

大輔さんが帰って来たら
付き合おうと
決めていたのに。さっき
帰りが遅れると聞いたら
ほっとした・・・
自分がわからない・・。
気の迷い金?

前の晩、酔っぱらっていたし
二日酔いだったし
どきっとしたのではなく
頭がずきっとしたのだろう」と
結論をだした。

そして、「忘れよう」と
いった。

希は圭太にもらった塗り橋を
しまった。
圭太たちと映した。
写真もみんな引き出しにしまった。

能登では、東京の百貨店で展示会を
する準備をしていた。
圭太が推薦した薪地という商品も
出すことにした。

そこへ百貨店から電話があった。

弥太郎が怒っている。

あとひと月だというのに
中止の電話があった。
同じ階でやる陶芸家が賞を取った
ので、そっちの会場を広げる
ために、取りやめと言われた。

しかし、絶対展示会はやると
弥太郎が言う。

希の店に浜田が来た。
浜田はケーキを食べに来たという。
あのときのがないので
「あれは?」と聞く。
あのジュテテームモアノンプリョ
がない。
それに近いものがあって
レキャトルサングーに名前を
変えて出している。
大人の男女の恋というより小学生の
初恋だと言われたので
ちょっと見た目も変えて
名前も変えたと希が言った。

それはフランス映画のタイトルで
「大人は判ってくれないと
言う意味だろう?」と浜田が言った。
希は「はい!」と答えた。

浜田は大吾と話をする。
希を面白い子だという。
農園に来たときに
卵かけごはんを
食べさせた。
二杯食べた。
するとさっきのと卵の味が
違うと希は言った。
最初のは産んで5日目のを
二杯目のはさっき産んだばかりのを
つかったといった。
産んだばかりの卵より5日ぐらい
のが卵の味はうまいのだけど。
それを希があてたのだった。
驚いたねと浜田。

大吾は感心していた。

それを陶子が見ていた。

仕込中の希のもとに
客が来た。
文と弥太郎だった。
「なぜ?」
と聞くが
わらっている二人だった。
「なぜ?」
またあっけにとられるが
横浜で輪島塗の展示会を
するという。
文は「面白そうやからついて
きた。47年ぶりの新婚旅行だ」と
いう。
「言うてくれたら迎えに行ったのに。
荷物も大変だろうし」と
希は言うが荷物がない。
「荷物持ちがいるから」と
文が言う。

そこへ圭太がきた。
たくさんの荷物を持っている。
「おいていかんといて。
道に迷りかけたがいね。」

希は、驚いた。

これ以上もなく

驚いた。

圭太は希を見て
「おう 希!」

という

希は

「なして??」

としか
言葉が出ない。
***************
圭太か
大輔か??
希の頭は
なやみます。
おはようの言葉で
人を好きになるのなら
輪子の暗示にかかったとしか
思えません。

しかし、大輔も
圭太も
いいやつですね。

小学生の初恋としか
解釈されなかった
希のジュテームモワノンプリョが
レキャトルサングーとして
売り出されました。

本格的にジュテームになるのには
まだまだ人生経験が必要
なのでしょうか。