官能カスタードクリーム2
「作ってみるか?

ジュテームモワノンプリョ」
このケーキの意味は
女が愛しているという
男が愛していないと答える。
「支配したほうが勝ちなの」と
輪子が言う。
「難しいわ~~~」
希にはかなりハードルが高い。

「お子様には手におえないって言ったで
しょ。作るのはもっと難しいからね。」

陶子がいう。
「大体あなた
クレームパティシエ―ルすら
作れないのでは?」

つまりカスタードクリームである。
希は子供のころから
作っていたので
自信はある。

翌日大吾にカスタードを
作って見せた。
「まずい、口当たりがまずすぎる。
粘土か!!」

大吾のダメ出しである。
カスタードクリームは何度も
作ったことがある。
そのうえ、本を見ながらちゃんと
つくったのに。
「大吾は本などあてになるか。
自分で感じろ。」
自分で感じろ・・・・??
希はボーっとしていると
どけと言われて
つまみ出された。
ここで魔女姫が
大吾流のカスタードクリームの
作り方を説明するが
ここではかっとします。
つまり、どこまでも
かき回すということと
止めるタイミングが大事である。

希が大吾のクリームをなめると
「うまい・・・」といった。
クリームパティシエ―ルは
パティシエのクリームという意味で
基本中の基本である。
これを作らせたらうまいかへたか
わかるという。

陶子は
希にはジュテームモワノンプリュ
は難しすぎるといった。
大吾は俺の店に簡単なケーキはない
と大吾は答えた。

「またシェフの気まぐれ。」

と陶子は嫌になったという感じで
いうが。
希は「それでも1000回練習します」と
答えた。
だが、陶子は厳しい。
この店の材料は卵にしろ
小麦粉にしろ
高級なものを使っている
ので、材料を無駄にして
店をつぶすなといった。


「五感で感じて
感じて
・・・」
と、かき回すけど
どこで止めるのか・・
希は特訓をしていた。

夜中、午前四時に徹が帰ってきて
まだ起きている希を見て
びっくりした。

希はお茶を入れるというが
仕事のことだけ考えて
いろという。
余計なことをいうやつを
しめてやったからなと
いう。

誰とは言わない。

あったかい牛乳を作る徹。

「大変なのか・・・?
ケーキを任されたので
張り切っていたのでは」と
聞くが。

希は「うちはへたくそだから」
と、愚痴る。
「新人だから仕方がない」と徹はいう。
希は小さい時からメレンゲも
カスタードも作ってきたが
プロは全然ちがう。
やりかたも
ケーキの名前にフランスの歌を
つけるとか
そんなこと知らなかった。
今までの自分はなんだったのかと
希は自信がなくなった。
徹は希に牛乳を差し出した。
「ごめんな。
何もいいことを言ってやれなくて。」
「うまいよ、牛乳・・。」

次の日は休日だった。
希は厨房で
「大事に使いますし。」
と卵に話しかけた。

「また練習しているの?」大輔
が現れた。
驚く希。
高い卵を使っているから、
邪魔せんといてと希は言う。
大輔は希が自分の告白をなかった
事にしようとしているのではと
言う。
希は、「お断りします」と
即答をした。
「早いね・・・」とあきれる。
希はそれどころではないといい
きった。

「24時間ずっとケーキばかり
考えていたい」という。

「わかった。」

大輔が帰るのかと思ったら
「じゃ、今日だけは付き合って
ね」と
いって希を連れて外へ行った。
車に乗って・・・

車を運転しているのは
高志だった。
しかもオープンカーである。
ご機嫌な大輔であるが
ラジオから
あのジュテームが聞こえて
くる。
そして車は走り
ついたところは
農場だった。

ヤギがいる。
にわとりがいる。

「浜田さーん」と
大輔がこの農場の主人に声を
かける。

希は驚いた。
あのたまごはここの鶏がうんだ
ものだという。

自然に近い状態でにわとりを
かっている。
普通に日光に当たって
普通に駆け回って
普通にそのあたりの草を食べて

そして、
産みたての卵は
あたたかくて
大きい。
希は感動した。

空が高くて
ひろいことも
感動した。
土の匂いにも感動した。
しばらく離れていた
自然に感動した。
自然は力をくれるからねと
浜田がいう。
希はおもいっきり空気を吸った。

大吾もケーキ作りの壁に
ぶち当たったらここにきて
ぼーっとして
そして、帰って見事なケーキを
作ったと
浜田は話す。

元冶を思い出した。
塩つくりはおてんとうさんや
風と相談やといっていた。
その塩はとてもおいしいのは
そういうことだった。

希は空を見た。
こんな広い空

久しぶりに見た。

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煮詰まっていた希が
これで復活するのか??

復活したとなれば
それを応援した大輔を
今迄みたいに無下にできない。

変な奴だが
悪い奴ではない。

しかし、希には
ケーキという昔からの
恋人がいた。

このことだけを考えて
生きていくのは
むりがあるかもしれない。

それでも
希は
このことだけを考えて
生きていきたいと
思っているのだろうね。

カスタードクリームは
私も大好き。
おいしいカスタードクリームを
食べたいと思った。