再出発エンゲージケーキ1
希は両親の離婚の件で
能登に帰ってきました。
正確に言うと大吾の店を不合格に
なり、横浜での居場所を失って
しまったのでございます。
希は夜行バスのなか大吾の言葉を
思い出していた。
『ルセットはパティシエの命だ。
それを差し出すような奴はくずだ。
俺の店には、いらん。』
『もう二度と会うこともないから
教えてやろう。
何かを得たいなら
何かを捨てろ・・・」
希は夜が白々と明ける
バスのなか
大吾の言葉を思い出して
がっかりしていた。
バスが着いた。
冬の冷たい風に希は持って行った
荷物全部をもって
帰ってきた。
元冶が
文が
出迎えてくれた。
文がなぜ全部持って帰って
きたのかと聞くが。
「それはまた後で・・・。」と
いった。
続いて
藍子が
徹が
あかるく出迎えてくれた。
これから食事を作ろうかと
言う藍子のそばで自分も手伝おうと
する徹が藍子は邪魔だった。
いちいち、邪魔、といって徹を
けん制する。
文はこうなったきっかけは
徹の宣言だったと希に
いう。
「わたくし津村徹はでっかい夢を
みることをやめます・・」
するとそれを聞いた藍子がいきなり
切れて
「でっかい夢を見ない徹さんなんて
絶対魅力的ではない・・」といった。
あの日、おばさんコーラスを
BGMに徹と藍子は言い合いをした。
地道にコツコツと能登で生きて行こうと
きめたのに、なぜ怒られなくてはいけない
のだと徹の言い分だ。
しかし、藍子は毎晩徹の様子を見ていて
思った。
藍子は、「この間いっていた、年取ったら
お茶をすすって、日向ぼっこして
それで一生を終わっても
それでいいの?」
と問い詰める。
そんな時、子供たちも大喧嘩をしていた
ので、よけいややこしくなる。
「俺がせっかく家族のために
ここに骨をうずめようと決意した
のに・・何を怒る必要があるんだよ!」
藍子は、「ほら」といった。
「せっかく
家族のために・・
いちいち恩着せがましいのよ。
未練たらしく、フレンチレストランの計画書を
やぶるなんて、悲劇の主人公ぶって
本気だったら
笑顔で明るく破るはずなのに」といった。
「笑顔でやぶれるはずないだろう。」
「藍子さんそれは殺生やわ。
徹さんの気持ちも考えたらどうや?」と
浩一は言う。
男たちは藍子さんらしくないという。
20年も連れ添っていたのにというのだ。
しかしそこにおばさんも参戦した。
「藍子さんらしくないというのは
なにか?だまって見守るという
いうことか?」
「女はいつもだまって耐えているべきなのか」と
いう。
「いつもそうだから、どんな時でも女は
見守らないければいけないというのは
おかしい。。。」という意見。
「笑顔で破るのが無理というなら
こんな亭主、笑顔で、見守るって
言うのも無理というものだ。」
「女はいつも物わかりがいいと思っていたら
大間違いだ。」
以上をはるさん、久美子さん
マキちゃんが応戦したセリフである。
すると真人や浩一は
自分たちはそんな男ではないと
いうが、「これほど混乱して
どうするんだ」と徹が
言うと藍子は
「ほんなら
もう
離婚する!!」
と、ここで離婚が出たので
ある。
「そうすれば好きなだけ夢を追えるでしょ?
徹さんとはもう離婚する!!!」
はるも久美子もあっと
息をのんで、反論もできない。
希はその話を聞いて
「夢をあきらめきれないお父さんに
愛想をつかしたということなの?」
と聞く。
「そのわりには
夢を見ていないお父さんは嫌だと
いうている。」と一徹。
希は「離婚というのは勢いだけで
言うたのだろう」というが。
「あれは結構 本気やね」。
と文。
徹は部屋を出されて、いま
家庭内別居になっている。
希はいつもの朝市の食堂へ
いった。
みのりと一子がいた。
久しぶりの再会を喜んだ。
洋一郎が現れて
希の家が家庭内別居
になっていることをしって
いた。
洋一郎の顔はけがとハレで
メタメタだったので希は
驚いた。
「どうしたの?その顔??」
洋一郎は、「これは・・」というと
圭太が顔を出した。
「希、帰ってきたんか?」
すると圭太の顔をもメタメタに
なっているので
希はどうしたの?と
また聞いた。
「ちょっと殴り合いを」と聞いて
「なして?」と
いうと
一子は「帰る」と言って立ち上がった。
圭太は「寄っただけだから」と
いって去って行った。
洋一郎は圭太を追いかえた。
「なぜ圭太と洋一郎がけんかになる
のか」と希が聞く。
一子は「知らん」という。
「何かある」と希は
「さっきから変だ」といった。
みのりが一部始終を説明
した。
そこまで言わないでもと
一子が言うが
ぶっちゃけ話をしないと
意味が通じないと
みのりはいった。
まず塗り箸の件である。
クリスマスに圭太が一子に
プレゼントをした。
が、それは二本目の箸だった。
自分は二番目かと圭太につめ
よったわけだ。
洋一郎は一子の気持ちについて
圭太にいった。
自分が二番目だと思い知らされた
一子の女心をわからないのか?と
詰め寄ったのだった。
「一子ちゃんは圭太はまだまれのことを好き
ではと思っているらしい」とみのりは
いう。
一子はみのりのぶっちゃけすぎに
あきれ返った。
みのりは迷路に入っている一子を
どうにかしたかったので
この際ぶっちゃけたほうがいいと
いった。
希は圭太に振られたことをいった。
卒業まえ、圭太に告白したら
もう一子と付き合っていた
といった。
「ほんでもあの時、うちは確認した。
希の気持ちを・・・」
圭太のこと、何とも思っていないのね?
と、聞いた。
そのとき、希は何とも思ってないと
いった。
「自分はちゃんと仁義を切ったのに
うそをついたんけ?」
「うそじゃないけど・・・」
「ショックや親友なのに・・・」
一子は出て行こうとした。
希は一子を止めて
「一子と圭太がうまく行ったらいいと
思ったのは本当だ」と
いった。
「ほんならなして受け取った
輪島塗の箸。
こういう場合相手の女を責めるのは
女の悪い癖だとよくわかって
いるけど、悪いのはもちろん圭太や。
それでもこれだけはいわしてま。
ずっと雑用ばっかしで
ようやく漆を塗れるようになった
第一号の箸やねんよ。
普通、ほんな大事なもん
彼女おる男から受け取るけ?
希が受け取るから圭太が調子に
のって、横浜に電報を打って
励ましたりするわいね。」
希は黙ってしまったが
やっと顔を上げた。
「途中まで反省して聞いてた
けど、全部は素直にうなずかれんわ。」
この険悪な雰囲気のなか
みのりの携帯がなった。
みのりは外へ行った。
一子は椅子に座った。
「今でも圭太を好きなんけ?」
「どうもなにも
一子の彼氏や。」
「好きか嫌いか」と一子が聞く。
希は輪島塗の箸にも
電報にも励まされた。
「それが好きということなのかと
聞かれたら
好きかもしれんわいね。」
希は考えながら言った。
一子は表情が消えた。
「自分は思い合っている二人の間に
無理して割って入った邪魔者や。」
そんなこと言うているのではないと
希は言うが、
一子は「一度割り込んだ以上
そう簡単には抜けるわけには
いかないから」と
いう。
「そんなに圭太を信じられないのか」と
希は聞く。
「なしたんけ?一子、
圭太、圭太って・・。
東京はどうなっているの?
絶対夢をかなえるというてたやろ?
一子はこんなことをグダグダ考え
ないでいつも前を向いて夢を
追っていたはずだ」と希は言うが。
「希にはわからない!!
望んだらすぐに夢を追いかけて
横浜へ行けて
好きやった男に応援されて励まされて
ほんな希には絶対にわからない!!!」
一子はそう言い切って店を飛び出して
いった。
希はどうしたものかわからない。
一か月半ぶりの能登は問題山積み
のようでございます。
*************
だってね、圭太から塗り箸を受け取ったこと
が悪いっていうのなら
そうかもしれないけど
この年頃の女の子が
そこまで恋愛に慎重になれるかな?
なれないでしょ??
恋愛哲学をそこまで極めているのかな?
極めてないでしょ?
幼いから
悪気はないのよ。
特に希は、夢一直線で
横浜へ行ったのだから・・・。
どれほど、苦労してあの店に入った
ことか・・・
一子にはわからない。
希は夢を見るバカになったのだから
そこまで女と男の
些細なことに気を使う余裕など
ないはずだ。
それができるのは、30歳過ぎ
たぐらいの女性かなと思うよ。
それをぐたぐだいう一子が悪いとは
思わないけど、ケンカする相手ではない
相手と喧嘩して、女の友情って
男一人のために崩れるという
典型となりました・・。
残念!!
希と圭太は夢を追いかける同志みたいな
関係だから
お互いの苦労がよくわかるのでは?
特に圭太は希がすきだったから
応援したくなるのでは?
それが恋愛感情というものではない
と思うけどね・・・。
で、両親の離婚のことだけど
藍子の鬼のような心は
徹の夢を応援しているからでは
ないかなと思う。
幸枝さんのあの言葉が深く刺さって
いるからね。
藍子が徹をダメにした・・・と。
藍子にとっては厳しい言葉だった
と思います。
希は両親の離婚の件で
能登に帰ってきました。
正確に言うと大吾の店を不合格に
なり、横浜での居場所を失って
しまったのでございます。
希は夜行バスのなか大吾の言葉を
思い出していた。
『ルセットはパティシエの命だ。
それを差し出すような奴はくずだ。
俺の店には、いらん。』
『もう二度と会うこともないから
教えてやろう。
何かを得たいなら
何かを捨てろ・・・」
希は夜が白々と明ける
バスのなか
大吾の言葉を思い出して
がっかりしていた。
バスが着いた。
冬の冷たい風に希は持って行った
荷物全部をもって
帰ってきた。
元冶が
文が
出迎えてくれた。
文がなぜ全部持って帰って
きたのかと聞くが。
「それはまた後で・・・。」と
いった。
続いて
藍子が
徹が
あかるく出迎えてくれた。
これから食事を作ろうかと
言う藍子のそばで自分も手伝おうと
する徹が藍子は邪魔だった。
いちいち、邪魔、といって徹を
けん制する。
文はこうなったきっかけは
徹の宣言だったと希に
いう。
「わたくし津村徹はでっかい夢を
みることをやめます・・」
するとそれを聞いた藍子がいきなり
切れて
「でっかい夢を見ない徹さんなんて
絶対魅力的ではない・・」といった。
あの日、おばさんコーラスを
BGMに徹と藍子は言い合いをした。
地道にコツコツと能登で生きて行こうと
きめたのに、なぜ怒られなくてはいけない
のだと徹の言い分だ。
しかし、藍子は毎晩徹の様子を見ていて
思った。
藍子は、「この間いっていた、年取ったら
お茶をすすって、日向ぼっこして
それで一生を終わっても
それでいいの?」
と問い詰める。
そんな時、子供たちも大喧嘩をしていた
ので、よけいややこしくなる。
「俺がせっかく家族のために
ここに骨をうずめようと決意した
のに・・何を怒る必要があるんだよ!」
藍子は、「ほら」といった。
「せっかく
家族のために・・
いちいち恩着せがましいのよ。
未練たらしく、フレンチレストランの計画書を
やぶるなんて、悲劇の主人公ぶって
本気だったら
笑顔で明るく破るはずなのに」といった。
「笑顔でやぶれるはずないだろう。」
「藍子さんそれは殺生やわ。
徹さんの気持ちも考えたらどうや?」と
浩一は言う。
男たちは藍子さんらしくないという。
20年も連れ添っていたのにというのだ。
しかしそこにおばさんも参戦した。
「藍子さんらしくないというのは
なにか?だまって見守るという
いうことか?」
「女はいつもだまって耐えているべきなのか」と
いう。
「いつもそうだから、どんな時でも女は
見守らないければいけないというのは
おかしい。。。」という意見。
「笑顔で破るのが無理というなら
こんな亭主、笑顔で、見守るって
言うのも無理というものだ。」
「女はいつも物わかりがいいと思っていたら
大間違いだ。」
以上をはるさん、久美子さん
マキちゃんが応戦したセリフである。
すると真人や浩一は
自分たちはそんな男ではないと
いうが、「これほど混乱して
どうするんだ」と徹が
言うと藍子は
「ほんなら
もう
離婚する!!」
と、ここで離婚が出たので
ある。
「そうすれば好きなだけ夢を追えるでしょ?
徹さんとはもう離婚する!!!」
はるも久美子もあっと
息をのんで、反論もできない。
希はその話を聞いて
「夢をあきらめきれないお父さんに
愛想をつかしたということなの?」
と聞く。
「そのわりには
夢を見ていないお父さんは嫌だと
いうている。」と一徹。
希は「離婚というのは勢いだけで
言うたのだろう」というが。
「あれは結構 本気やね」。
と文。
徹は部屋を出されて、いま
家庭内別居になっている。
希はいつもの朝市の食堂へ
いった。
みのりと一子がいた。
久しぶりの再会を喜んだ。
洋一郎が現れて
希の家が家庭内別居
になっていることをしって
いた。
洋一郎の顔はけがとハレで
メタメタだったので希は
驚いた。
「どうしたの?その顔??」
洋一郎は、「これは・・」というと
圭太が顔を出した。
「希、帰ってきたんか?」
すると圭太の顔をもメタメタに
なっているので
希はどうしたの?と
また聞いた。
「ちょっと殴り合いを」と聞いて
「なして?」と
いうと
一子は「帰る」と言って立ち上がった。
圭太は「寄っただけだから」と
いって去って行った。
洋一郎は圭太を追いかえた。
「なぜ圭太と洋一郎がけんかになる
のか」と希が聞く。
一子は「知らん」という。
「何かある」と希は
「さっきから変だ」といった。
みのりが一部始終を説明
した。
そこまで言わないでもと
一子が言うが
ぶっちゃけ話をしないと
意味が通じないと
みのりはいった。
まず塗り箸の件である。
クリスマスに圭太が一子に
プレゼントをした。
が、それは二本目の箸だった。
自分は二番目かと圭太につめ
よったわけだ。
洋一郎は一子の気持ちについて
圭太にいった。
自分が二番目だと思い知らされた
一子の女心をわからないのか?と
詰め寄ったのだった。
「一子ちゃんは圭太はまだまれのことを好き
ではと思っているらしい」とみのりは
いう。
一子はみのりのぶっちゃけすぎに
あきれ返った。
みのりは迷路に入っている一子を
どうにかしたかったので
この際ぶっちゃけたほうがいいと
いった。
希は圭太に振られたことをいった。
卒業まえ、圭太に告白したら
もう一子と付き合っていた
といった。
「ほんでもあの時、うちは確認した。
希の気持ちを・・・」
圭太のこと、何とも思っていないのね?
と、聞いた。
そのとき、希は何とも思ってないと
いった。
「自分はちゃんと仁義を切ったのに
うそをついたんけ?」
「うそじゃないけど・・・」
「ショックや親友なのに・・・」
一子は出て行こうとした。
希は一子を止めて
「一子と圭太がうまく行ったらいいと
思ったのは本当だ」と
いった。
「ほんならなして受け取った
輪島塗の箸。
こういう場合相手の女を責めるのは
女の悪い癖だとよくわかって
いるけど、悪いのはもちろん圭太や。
それでもこれだけはいわしてま。
ずっと雑用ばっかしで
ようやく漆を塗れるようになった
第一号の箸やねんよ。
普通、ほんな大事なもん
彼女おる男から受け取るけ?
希が受け取るから圭太が調子に
のって、横浜に電報を打って
励ましたりするわいね。」
希は黙ってしまったが
やっと顔を上げた。
「途中まで反省して聞いてた
けど、全部は素直にうなずかれんわ。」
この険悪な雰囲気のなか
みのりの携帯がなった。
みのりは外へ行った。
一子は椅子に座った。
「今でも圭太を好きなんけ?」
「どうもなにも
一子の彼氏や。」
「好きか嫌いか」と一子が聞く。
希は輪島塗の箸にも
電報にも励まされた。
「それが好きということなのかと
聞かれたら
好きかもしれんわいね。」
希は考えながら言った。
一子は表情が消えた。
「自分は思い合っている二人の間に
無理して割って入った邪魔者や。」
そんなこと言うているのではないと
希は言うが、
一子は「一度割り込んだ以上
そう簡単には抜けるわけには
いかないから」と
いう。
「そんなに圭太を信じられないのか」と
希は聞く。
「なしたんけ?一子、
圭太、圭太って・・。
東京はどうなっているの?
絶対夢をかなえるというてたやろ?
一子はこんなことをグダグダ考え
ないでいつも前を向いて夢を
追っていたはずだ」と希は言うが。
「希にはわからない!!
望んだらすぐに夢を追いかけて
横浜へ行けて
好きやった男に応援されて励まされて
ほんな希には絶対にわからない!!!」
一子はそう言い切って店を飛び出して
いった。
希はどうしたものかわからない。
一か月半ぶりの能登は問題山積み
のようでございます。
*************
だってね、圭太から塗り箸を受け取ったこと
が悪いっていうのなら
そうかもしれないけど
この年頃の女の子が
そこまで恋愛に慎重になれるかな?
なれないでしょ??
恋愛哲学をそこまで極めているのかな?
極めてないでしょ?
幼いから
悪気はないのよ。
特に希は、夢一直線で
横浜へ行ったのだから・・・。
どれほど、苦労してあの店に入った
ことか・・・
一子にはわからない。
希は夢を見るバカになったのだから
そこまで女と男の
些細なことに気を使う余裕など
ないはずだ。
それができるのは、30歳過ぎ
たぐらいの女性かなと思うよ。
それをぐたぐだいう一子が悪いとは
思わないけど、ケンカする相手ではない
相手と喧嘩して、女の友情って
男一人のために崩れるという
典型となりました・・。
残念!!
希と圭太は夢を追いかける同志みたいな
関係だから
お互いの苦労がよくわかるのでは?
特に圭太は希がすきだったから
応援したくなるのでは?
それが恋愛感情というものではない
と思うけどね・・・。
で、両親の離婚のことだけど
藍子の鬼のような心は
徹の夢を応援しているからでは
ないかなと思う。
幸枝さんのあの言葉が深く刺さって
いるからね。
藍子が徹をダメにした・・・と。
藍子にとっては厳しい言葉だった
と思います。
