危機的クリスマスケーキ5
アイディアとしてケーキを作った
希。
浅井は「見た目がわるい」という。
大輔は「おもしろいじゃん」という。

「とりあえずシェフに見てもらおう」
と希は思うが、ルセットを考えるな
と言われたので、浅井が作った
ことにした。

厨房に集まったスタッフ。
陶子はヘーゼルナッツとミルクチョコレート
のブッシュドノエルを作った。
ヘーゼルナッツのダコワーズに
ミルクチョコレートの
ムース中にプラネリを組み合わせました。

希と美南は「おいしそう~~
お客さん、大喜びだ」と
いう。

浅井は「敵を褒めてどうするの?」
と聞くが、希は「対決ではない」という。
「おいしいケーキができればいいんだ
から」と。

大吾はじっとケーキを見ていた。
陶子は希に「闘いよ
浅井ごときに負けてられないから。」
という。

浅井は、「いつか言おうと思って
いましたが、僕はあなたより
年上ですからね。」と。
しかし、陶子には刺さらない。

大吾は、食べてみる。
「ありきたりだな」といった。

「だが、味はまあまあだ。
食感のアクセントは悪くない。」

陶子は「ありがとうございます」
と頭を下げた。

美南は、「すごい」といった。
「まあまあというのは
お父さんの褒め言葉だよ。」

「だって、うまそうやもん・・・」

まだ、希の感覚は素人だ。

が、浅井のケーキ、つまりは
希の作ったケーキを見た
陶子と大吾の反応が・・・
普通のケーキに人の形をした
人形がのっている。
家族で楽しくというのが
テーマである。
陶子は「なにこの平凡なケーキ」と
いい、家族構成を聞いて
そのとおりに人形を載せると
希が言うと
「そんなこと、忙しいときに
無理に決まっている」と
いう。
人形はマジパンでつくっている。。
「フランス菓子にはマジパンは使わない」
と陶子が言う。

基本的なことがわかっていない。

それが浅井の責任となった。

希は「クリスマスは大事な人と
祝う日です。一緒に過ごしたい人
すごせないけど大事な人と
合唱隊をバックにケーキの上で
パーティをしていただくのです!」

希は必死で説明するので
陶子は「なんであなたが説明するの?」
と聞く。
「・・・って浅井さんが言ってました。」
「どう?おとうさん?」と美南。
大吾はじっとみていた。

「すばらしい」


「と
でもいうと思ったか?

ここは幼稚園か?
神聖な厨房でよくも
そんな子供だましみたいな
ケーキを作ってくれたな!!
片付けろ!!!」

「食べてないのに!!」と、美南。

「食うか。早くしろ!!!」

帰りかけた大吾。
希は
「シェーフ!!!」

と大声で呼んだ。

「うるさい!!!」

振り返った大吾の口に
希は、フォークですくった
ケーキを掘り込んだ。

強制的に食べることになった。

希は

「どうけ?」と
うれしそうにいった。

「まずい!!!

まずい!!
まずい!!
まずい!!!」
大吾は水で口を漱いだ。

そして、「何を入れた?」

と聞く。

浅井は、あわてて、「能登大納言です。
能登の塩も使いました」という。

大納言と、塩を確認して
大吾は「素材のうまさが殺されて
いる」といった。

「俺が作る。
場所を開けろ!!」

あっけにとられるスタッフを
無視して、大吾は
自分流に大納言と塩を使って
ケーキを作り始めた。

その夜、作りあがった
ケーキを試食して
希は、能登が喜んでいると
思った。

―人形たちは大吾によって
命を与えられました。
ケーキの上でパーティを始めます。

人形はおしゃれなクッキーに
なった。

―希の目にはそれは家族や大切な人と
暮らす、クリスマスパーティに見えた
のでございます。

浅井はあのルセットは希のものなのに
いいのですかと聞く。
希はおなじ店だからいいといった。
そして、大輔もよかったねと
喜んでくれた。

ぷんとしながら、ありがとうございます
と希は答えた。

陶子は「クリスマスまで時間がないから
急いで作るのよ」と
いって二人をせかした。
厨房は活気に満ちた。

お店が開いた。
家族の構成を聞いてクリスマスケーキ
の予約を取る。
そして店の通常の業務も行い
ながら、クリスマスケーキの作成と
予約と・・・

忙しい日々がはじまった。

能登では食材を希に送ろうと
がんばっていた。

それが希のもとにとどく。

スタッフはへとへとになって
ケーキを作って売った。

この忙しさは希にとって
充実したものだった。

希は徹にパティシエになることを
応援してくれて
感謝した。

徹は、もうフレンチレストランの計画書に
魅力も感じず、「なにやってんだろう」と
いって、破ってしまった。

藍子が見ていた。

家族が乗っているケーキを
みなさんが喜んでくれる

家族と暮らしていない老婦人は
家族の乗ったケーキを
大変喜んだ。
―きっと私はこれから何度も
こんな気持ちになれる。
幸せを運んでくれるケーキに
きっと私は何度も出会える。

―どうか、その中に私の作った
ケーキが
ありますように・・・
希は心からそう願っていたので
ございます。

クリスマスイブも更けて
閉店となった。

「お疲れ様でした~~」

「終わった~~」

着替えて解散の時間、希は
美南をよびとめた。

そして、連れて行った先には
大吾のとそのスタッフ、
天中殺のスタッフがいた。

「なに?
どうしたの?」美南は
希に聞く。

そしてケーキを真ん中に
美南が家族でクリスマスを
祝いたいといった言葉を
希は演出した。

「これが・・・お父さん」
クッキーをさしていう。

「これが、輪子さん
これが大輔さん」

輪子が

「これが美南よ・・・」
といった。

美南は

「わたし・・・
うそ・・・???」

「メリークリスマス」
と大輔が言う。

そして珍さんが
クリスマスの歌を歌う

みんなで
歌う・・・

うれしいクリスマスとなった。

******************
とにかくハッピーエンドとなった
今回です。

あの、大吾が希たちのケーキを
一口も食べずに
かたづけろといいましたね。
そして希が
強制的に大吾の口に
ケーキを入れましたね。
ここがポイント。

これがなかったら
陶子さんのケーキでも
開店をしようという気はなかったと
思います。

しかし、この人を人とも思わない
シェフに人を人と思う希が
対抗して、こういう芸当を
するって・・・
根性ありますね。

このクリスマスケーキ・・・
ほんとうに楽しそうでおいしそう。
しかし、喜びの後には
かならず・・・
大変なことが待っていると
いいます。