さよなら桜餅6

「文さんクイズとは?」
遠く離れていても家族は
何でも分かりあっているから
このまま離れたらだめだと
希が言う。
津村家と哲也夫婦の対戦で
もし、哲也夫婦がフミさんのことを
よく知っていたら
同居についてもう一度話し合いをして
みると文がいう。
だったら、希にとっては
これは・・・・

「負けるしかない!!!」

藍子は、「文さんが真剣なら
こっちも真剣にしなくては
いけない」という。
一徹は「さすがに、本物の息子たち
にはかなうわけがない」という。

「第一問・・・・」と文さんは言って
太鼓をたたいた。

どどーーーーん!!

っていうか

テケテン~~っていう音だった。

元冶がいう。「文さんが一番怖いのは

地震
借金取り

妖怪砂かけ婆

どれか」という。

藍子は、「妖怪砂かけババ」と答えた。


元冶は

「正解」といった

かなりばかばかしいが
津村家は盛り上がった。

家族なら知っているだろう
家族でも知らないこともあろうと
言う質問だ。

お茶は熱いほうが好きか、ぬるいのが
すきか

初恋はいつなのか
血がつながっていようがいまいが
人が共に暮らすという子とは
相手を知って行くということ
なのだ。

と、希は改めて感じていた。


10数問がおわって
お互い同点となった。

次の問題を抑えた者が勝ち
という。

希は、家族どうしで
打ち合わせをして、答えては
いけないといった。

何言う。ここまで来てと
徹たちは抗議するが。

「最後の問題は・・・
哲也が子供のころお母さんがよく作って
くれたお菓子で哲也さんが一番好きだった
お菓子で・・・・」
とはるがここまで読むと
哲也は「それ、希ちゃんに話したよ」といった。

藍子は
「桜餅」と答えた。

「・・ですが・・・・・」としおりが
続ける。
「ずるいぞ」と徹は抗議する。

「その桜餅に入っている
隠し味はなんでしょうか?」

・・・希はわかっていた。

「答えは?」と文が聞く。

文も希が知っていることを
わかっていた。

「知りません・・・」
「うそいうな。しっとるがいね。」

「知りません」

「なにいうとるんや。
昨日いってたじゃないか。」

藍子は「知っているのだったら
いったら?」という。

「知っているけど、いえない。」

「赤の他人が人の家族のことに口を
だすからこんな複雑なことに
なるのよ」としおりが抗議する。

「あんたがそんなこというから
この二人をあんたたちに預けるのが
心配になるのだろう」と
徹が言い返した。

元冶は立ち上がった。

「これだけ、文のことを知っているものが
集まっている。
他人や家族やということが関係あるのか?
これだけ知っているのだから他人やとは
思われない・・・。」

みんな静かになった。

哲也は、「もういいよ。
帰ろう」という。

「俺たち、家族でカフェをやるのが
夢だった。
サラリーマンをしながら金をためて。
だけど一年前にリストラされた。」
哲也は文たちに謝った。

「自分たちのことばかり考えていた」
。。という。

「東京でもう一度頑張ってみるよ。
母さんみたいに意地を持つよ。」

文はじっと哲也を見た。
希は泣き始めた。

藍子も徹もじっと聞いていた。


「希・・・話がある。」
と徹がいう。

市役所が後援する祭りが行われた。
地元のグルメが次々と出店した。
京極ミズハのコンサートも
開かれた。
めずらしそうに、みんな集まって
聞いてくれた。
そして喜んでくれた。

CDも会場の外で売ることにした。
キミ子は、よく思いついたと
希を褒めた。

「お客さんのために規則の抜け穴を
探すのが本当の仕事やって
市役所のトイレの神様に
教えてもらった」と希はいった。

そして、「CD売っています~~~
買っていって~~~」と
叫んだ。

ミズハは希のそばに来て
小さな声で「ありがとう」と言った。

「え?なんですか?」
と希は振り向いて聞く。

「もっとちゃんと売れって言っているの。
残ったら市役所が買ってよ。」

ミズハはまたまた憎らしいことを言う。

哲也はその日の夕暮
明日東京に帰りますと
徹に挨拶に来た。

そして、「母はあんな性格だから
自分から言わないけど」
といって、「よかったら
戻ってやってください。そうして
欲しいと母たちも望んでいるから」と
いった。

哲也が能登を去るバスに乗るとき
文は
哲也のために桜餅を作って
やってきた。

哲也にいった。
「しっかりやるんだよ。
嫁さんと子供は自分が守れ。
それでもだめだったら
帰ってこい。
ここはお前のうちかさけ
帰ってこい。」
哲也は言葉を飲み込んだ。
そして、黙って頭を下げた。

文は「バスを待たせたらダメだから
早くいけ」という。
しおりも頭を下げた。

バスが行く。
母はじっと見送っていた。


「戻ってまいりました。」
桶作家に津村家が帰ってきた。
「そこに座られたら邪魔だ。
早くハコベ」と文が言う。
夕餉の準備である。
食卓にお皿が並ぶ。

「さっそくですか」と徹は
手伝い始める。

「血のつながりは根深いもので
何があっても息子はかわいい。

ほやけど
あんたたちも
まんで、かわいい。」

希ははっとした。

徹も藍子も笑った。

元冶は希に風呂を沸かしてくれと
いう。
「希の風呂の湯加減がちょうどいいから」と。

「すぐ沸かすわ~~~~」
希は嬉しく思った。

「忘れんうちに言うとくけど
今月の家賃は
敷金礼金入れて
三か月分やからね」と
文が言う。

契約を解除して出て行って
もう一回新たに契約になる
からだというのだ。

呆れる希たち。

こうして希の社会人になって
初めての一か月が過ぎた。
*******************
市役所のトイレの神様が
徹だと知った希は
どう思ったことでしょうか。

役に立つこともあるんですね。

ミズハとの付き合いもうまくいき
公務員としても立場も守れて
良かったことだと思いました。

そして桶作家にまた戻ることができた
ことが、うれしいです。
文の桜餅の隠し味は元冶の塩だと
いうが、あの塩加減と
桜のかおりと餡の甘さのバランスが
いいのでしょうね。
ケーキではないけど
桜餅の香高さが伝わります・・・

が、形が関西と少し違います。
これも地方色がでている
ようですね。

あ、関西で思い出しましたが
この能登弁がわかりにくくて
困っています。

「まんが」ってなんでしょうか?
漫画ではないです。
私は、生まれも育ちも関西人では
ありませんが
ある大阪の南部の地方都市にすんだ
ときのことです。
「おがる」という言葉がわからず
知った顔していましたが
どう考えても
わかりませんでした。

叫ぶなのか
主張するということなのか
なんでしょうか????
ドラマでは能登弁と東京弁が
でてきますが、
やはり徹や哲也、しおりの言葉
のほうが聞きやすく理解しやすい
ので、残念に思います。
普段、あまり能登の言葉には
ふれることがないので・・・。
がんばってその言葉を聞き分けようと
思っています。