さよなら桜餅1
2002年平成14年4月。
希は高校を卒業し
社会に飛び出し
ました。
一時はケーキ職人になろうと
思ったけど・・・
母への感謝と愛情で
母を裏切ることはできないと
思いました。
家族のために
藍子のために
子供のころから目指した
公務員の仕事を
選んだのです。
(えらいわ・・・・。
うらやましいわ・・・。)
さて、夢を追い続けた挙句
父の徹は清掃員として奇しくも希と
同じ市役所で働くことに。
産業振興課が希の
配属先だった。
課長は
紺谷博之・・・・
圭太の父親だ。
担当は移住定住班となった。
つまり
能登に移住してくるひとの
アドバイスや支援を行う。
2003年能登空港開港にともない
能登の過疎化と高齢化対策へむけて
観光だけではなく
輪島市への移住者が増える
きっかけになるのではないかと
思われている。
一人でも多く、輪島市に定住して
もらうためのサポートが
希の仕事だった。
先輩は新谷浩介という軽そうなお兄さんである。
「おまえの席はそこ」と言われて
席に座るが
机の上に置かれた事務用品を見て
感激する。
「これがタダで使える!!!!
なんと、ありがたい!!!
しかも大事な仕事を任されて
うれしい」と感激するが
新谷はそうでもない。
まかされてというても移住定住班は
希と新谷だけである。
たいした期待もないと新谷は言う。
「第一、移住定住って
こんな田舎にだれが住みたいと
思うかな」と辛らつである。
「逆に空港ができると便利になるので
皆東京にいくから・・・無駄無駄。」
そこへ電話がかかってきた。
新入りの仕事は電話とりである。
希があわててとると相手は女性で
家の前にごみが捨ててあるんだ
けど・・・という
希は意味が分からない。
「いいから早く来なさいよ」と
言われた。
その家に行くと・・・・そこは
移住定住でやってきた女性の
家だった。
その人は山田典子という。
「毎日、毎日
野菜を置いて行かれる」という。
これは能登の習慣だというが
「黙っておいていくなんて
非常識だ」といった。
「気持ち悪い。毒でも入っていたらどう責任
取ってくれるのよ。」
新谷は、「少しは地元に溶け込む
努力をしてもらわない」と
と抗議したが
そこへ近所の人たちも集まって
いる。
彼女は京極ミズハという芸名である。
東京からの移住だった。
「能登の魅力はこういった優しさである」
と希は言うが
山田は「じゃ、あんたがかわりに
近所づきあいをして」と言われた。
「輪島は人口が少なくて
困っているので
あんたたちが、ぜひ来てくれ
何でも支援するというから
わざわざ、来てあげたのよ。
この過疎の村に!」
近所の人は、ため息を漏らして
文句を言い出した。
「来てからずっとこんな感じで
町内の寄合にもこない。」
「来てくれれば誰でもいいというわけでは
ない。」
山田は飽きたのか、「野菜を捨てて」と
いって家に入ろうとした。
希は「もったいない。
これはすごくおいしいから。
漬物にしたらいい」と
いって自ら作るといって
家に入っていった。
山田はあわてて「警察呼ぶわよ」
といった。
紺谷課長にこってりと
絞られた希。
「不法侵入で訴えられたら
どうするんだ。
市役所の業務は絶対に
越えるな。
何か問題がおこったとき
責任が取れるのか。」
希は「スミマセンでした」と謝るが
そこへ市長から紺谷へ
電話が入る。
そこでお小言はおしまいと
なった。
さて、徹は清掃の先輩の
若林キミ子に
叱咤されながらも清掃をしていた。
そこへ市長と紺谷がやってきた。
「キミちゃん、アイかわらず
スパルタやな」といって
掃除のモップを取り上げて
清掃する真似をしたので
キミ子は「だら!」といって
市長を追い返した。
徹は紺谷にばれたらまずいと思って
床をふくふりをして
通り過ぎるのを待った。
そしてキミ子に
「どうして、市長にため口なんですか」
と聞いた。
「もともとうちの村にすんでいた
はなたれ坊主だから」という。
納得する徹に新谷が同僚と
話をしている声が聞こえた。
「津村という新人は早速紺谷課長
に大目玉をくらった」という。
「俺まで怒られた」と愚痴っていた。
「手が止まっている」とキミ子に怒られ
る徹。
かれは「紺谷の弱点はないか」と聞くが
「あの男に弱点はない。
実力政治力ともにナンバーワンや。
将来の市長候補だから」と
キミ子は言った。
ボーっとしている徹に
「手が止まっている」とキミ子は
叱咤した。
その夜、希と徹の就職を
祝って乾杯といった。
徹は希に「嫌なことがあったら
お父さんに言えよ」という。
「ちまちまと叱られたり・・」
希は「紺谷課長はちまちまして
いない」といった。
「圭太君のお父さんが上司なの?」
と藍子。
「じんましんを出して降ってしまった
男の父親か」と文は言う。
「おまえ逆恨みに気をつけろよ」
とまた徹がいらぬ世話を焼く。
希は「どこで働いているの?」と聞く。
「あっちのほうです。」と徹。
「今月は二人分のお給料がもらえるね。
うれしい、」と藍子。
「もう一つ部屋を借りようかな。。
子供部屋を分けて」というと
一徹は賛成する。
希の寝言やら
夫婦水入らずのは無しやらで
津村家が盛り上がると
ふみは
「うるさい
うるさい!!!!
あ~~~~~~~~~
うるさい」といった。
「老後はお父さんと二人で静かに
暮らす予定やったのに。」
といった。
藍子は徹が輪島市役所で働いている
事を知っていた。
その夜、徹の腰の湿布をしながら
藍子は「いつまで内緒にいているのか」と
きいた。
「でっかい夢ばかり語っていた親父が
娘の職場の掃除だなんて・・・
希だって知られたら恥ずかしいだろ」
といった。
台所では希と元冶がいた。
希はお菓子を作っている。
「どうけ?仕事は?」
と元冶が聞く。
「あこがれやったんやろ?」
「すばらしいよ、
みんなまじめに地に足をつけて
ずっと仕事をしている。
でも、初日に失敗したよ。」
「何もしなかったら怒られも
しない。
頑張っている証拠だ」と
元冶は言う。
そのおやつは翌日の職場への
差し入れとなった。
みんな喜んでくれた。
「張り切るのはいいけど
慎重にしてほしい」と新谷は言う。
「移住者の中には怪しいやつも
いるしな。」
「怪しいやつ???」
「おるげ・・田舎なら何とかなると言って
逃げてくるやつだ。」
・・・・・・
その頃、元冶の家に
一組の親子が
大きな荷物をもって
やってきた。
文は彼らを見て驚き喜んだ。
子供たちもよろこんだ。
桶作哲也・・・
元冶の息子である。」
どうやら、突然の来訪だったらしい。
文は前もって連絡してほしいと
いった。
娘は麻美が中学二年生
姉友美が高校二年生である。
文は、「ここにきて何もしないのは
金を出して止まるお客さんだけだ」
といって麻美と友美に
夕食の手伝いをさせた。
船盛りがだされて、祝宴のように
なった。
津村家と桶作家と
息子家の三つが一堂に会すると
にぎやかすぎる。
津村家だけでも
うるさいと文が言うのに・・・。
孫娘が「おじいちゃんどうぞ」と
いっておかずをお皿にとって
あげている。
桶作哲也は言う。
「じつは能登に帰ってきたい」と。
孫たちは
「おじいちゃん、おばあちゃん
一緒に住もう」といった。
「私たちここが大好き」という。
文も元冶も驚くがうれしそうだった。
よかったよかったと
徹が言う。
「泣くな、これは泣くよね」という。
文も元冶もうれしくて
涙ぐんでいた。
文は仕事は?
会社は?と聞く。
哲也は東京での仕事をやめて
こちらでカフェをやるという。
カフェは東京ではやっている。
輪島第一号だと
希たちも喜ぶ。
しかし、哲也は
こともあろうに
あの塩田をつぶして
あそこでカフェをしたいという
のだった。
元冶と文の顔が曇った。
*****************
文と元冶はそんなに静かな生活が
したかったのだろうか??
結構津村家がころがりこんできて
よろこんでいるのでは?と
思う。
紺谷課長の仕事っぷりは
かっこいいが
もしかしたら、世話好きの希には
公務員は向いてなかったかも
しれない。
2002年平成14年4月。
希は高校を卒業し
社会に飛び出し
ました。
一時はケーキ職人になろうと
思ったけど・・・
母への感謝と愛情で
母を裏切ることはできないと
思いました。
家族のために
藍子のために
子供のころから目指した
公務員の仕事を
選んだのです。
(えらいわ・・・・。
うらやましいわ・・・。)
さて、夢を追い続けた挙句
父の徹は清掃員として奇しくも希と
同じ市役所で働くことに。
産業振興課が希の
配属先だった。
課長は
紺谷博之・・・・
圭太の父親だ。
担当は移住定住班となった。
つまり
能登に移住してくるひとの
アドバイスや支援を行う。
2003年能登空港開港にともない
能登の過疎化と高齢化対策へむけて
観光だけではなく
輪島市への移住者が増える
きっかけになるのではないかと
思われている。
一人でも多く、輪島市に定住して
もらうためのサポートが
希の仕事だった。
先輩は新谷浩介という軽そうなお兄さんである。
「おまえの席はそこ」と言われて
席に座るが
机の上に置かれた事務用品を見て
感激する。
「これがタダで使える!!!!
なんと、ありがたい!!!
しかも大事な仕事を任されて
うれしい」と感激するが
新谷はそうでもない。
まかされてというても移住定住班は
希と新谷だけである。
たいした期待もないと新谷は言う。
「第一、移住定住って
こんな田舎にだれが住みたいと
思うかな」と辛らつである。
「逆に空港ができると便利になるので
皆東京にいくから・・・無駄無駄。」
そこへ電話がかかってきた。
新入りの仕事は電話とりである。
希があわててとると相手は女性で
家の前にごみが捨ててあるんだ
けど・・・という
希は意味が分からない。
「いいから早く来なさいよ」と
言われた。
その家に行くと・・・・そこは
移住定住でやってきた女性の
家だった。
その人は山田典子という。
「毎日、毎日
野菜を置いて行かれる」という。
これは能登の習慣だというが
「黙っておいていくなんて
非常識だ」といった。
「気持ち悪い。毒でも入っていたらどう責任
取ってくれるのよ。」
新谷は、「少しは地元に溶け込む
努力をしてもらわない」と
と抗議したが
そこへ近所の人たちも集まって
いる。
彼女は京極ミズハという芸名である。
東京からの移住だった。
「能登の魅力はこういった優しさである」
と希は言うが
山田は「じゃ、あんたがかわりに
近所づきあいをして」と言われた。
「輪島は人口が少なくて
困っているので
あんたたちが、ぜひ来てくれ
何でも支援するというから
わざわざ、来てあげたのよ。
この過疎の村に!」
近所の人は、ため息を漏らして
文句を言い出した。
「来てからずっとこんな感じで
町内の寄合にもこない。」
「来てくれれば誰でもいいというわけでは
ない。」
山田は飽きたのか、「野菜を捨てて」と
いって家に入ろうとした。
希は「もったいない。
これはすごくおいしいから。
漬物にしたらいい」と
いって自ら作るといって
家に入っていった。
山田はあわてて「警察呼ぶわよ」
といった。
紺谷課長にこってりと
絞られた希。
「不法侵入で訴えられたら
どうするんだ。
市役所の業務は絶対に
越えるな。
何か問題がおこったとき
責任が取れるのか。」
希は「スミマセンでした」と謝るが
そこへ市長から紺谷へ
電話が入る。
そこでお小言はおしまいと
なった。
さて、徹は清掃の先輩の
若林キミ子に
叱咤されながらも清掃をしていた。
そこへ市長と紺谷がやってきた。
「キミちゃん、アイかわらず
スパルタやな」といって
掃除のモップを取り上げて
清掃する真似をしたので
キミ子は「だら!」といって
市長を追い返した。
徹は紺谷にばれたらまずいと思って
床をふくふりをして
通り過ぎるのを待った。
そしてキミ子に
「どうして、市長にため口なんですか」
と聞いた。
「もともとうちの村にすんでいた
はなたれ坊主だから」という。
納得する徹に新谷が同僚と
話をしている声が聞こえた。
「津村という新人は早速紺谷課長
に大目玉をくらった」という。
「俺まで怒られた」と愚痴っていた。
「手が止まっている」とキミ子に怒られ
る徹。
かれは「紺谷の弱点はないか」と聞くが
「あの男に弱点はない。
実力政治力ともにナンバーワンや。
将来の市長候補だから」と
キミ子は言った。
ボーっとしている徹に
「手が止まっている」とキミ子は
叱咤した。
その夜、希と徹の就職を
祝って乾杯といった。
徹は希に「嫌なことがあったら
お父さんに言えよ」という。
「ちまちまと叱られたり・・」
希は「紺谷課長はちまちまして
いない」といった。
「圭太君のお父さんが上司なの?」
と藍子。
「じんましんを出して降ってしまった
男の父親か」と文は言う。
「おまえ逆恨みに気をつけろよ」
とまた徹がいらぬ世話を焼く。
希は「どこで働いているの?」と聞く。
「あっちのほうです。」と徹。
「今月は二人分のお給料がもらえるね。
うれしい、」と藍子。
「もう一つ部屋を借りようかな。。
子供部屋を分けて」というと
一徹は賛成する。
希の寝言やら
夫婦水入らずのは無しやらで
津村家が盛り上がると
ふみは
「うるさい
うるさい!!!!
あ~~~~~~~~~
うるさい」といった。
「老後はお父さんと二人で静かに
暮らす予定やったのに。」
といった。
藍子は徹が輪島市役所で働いている
事を知っていた。
その夜、徹の腰の湿布をしながら
藍子は「いつまで内緒にいているのか」と
きいた。
「でっかい夢ばかり語っていた親父が
娘の職場の掃除だなんて・・・
希だって知られたら恥ずかしいだろ」
といった。
台所では希と元冶がいた。
希はお菓子を作っている。
「どうけ?仕事は?」
と元冶が聞く。
「あこがれやったんやろ?」
「すばらしいよ、
みんなまじめに地に足をつけて
ずっと仕事をしている。
でも、初日に失敗したよ。」
「何もしなかったら怒られも
しない。
頑張っている証拠だ」と
元冶は言う。
そのおやつは翌日の職場への
差し入れとなった。
みんな喜んでくれた。
「張り切るのはいいけど
慎重にしてほしい」と新谷は言う。
「移住者の中には怪しいやつも
いるしな。」
「怪しいやつ???」
「おるげ・・田舎なら何とかなると言って
逃げてくるやつだ。」
・・・・・・
その頃、元冶の家に
一組の親子が
大きな荷物をもって
やってきた。
文は彼らを見て驚き喜んだ。
子供たちもよろこんだ。
桶作哲也・・・
元冶の息子である。」
どうやら、突然の来訪だったらしい。
文は前もって連絡してほしいと
いった。
娘は麻美が中学二年生
姉友美が高校二年生である。
文は、「ここにきて何もしないのは
金を出して止まるお客さんだけだ」
といって麻美と友美に
夕食の手伝いをさせた。
船盛りがだされて、祝宴のように
なった。
津村家と桶作家と
息子家の三つが一堂に会すると
にぎやかすぎる。
津村家だけでも
うるさいと文が言うのに・・・。
孫娘が「おじいちゃんどうぞ」と
いっておかずをお皿にとって
あげている。
桶作哲也は言う。
「じつは能登に帰ってきたい」と。
孫たちは
「おじいちゃん、おばあちゃん
一緒に住もう」といった。
「私たちここが大好き」という。
文も元冶も驚くがうれしそうだった。
よかったよかったと
徹が言う。
「泣くな、これは泣くよね」という。
文も元冶もうれしくて
涙ぐんでいた。
文は仕事は?
会社は?と聞く。
哲也は東京での仕事をやめて
こちらでカフェをやるという。
カフェは東京ではやっている。
輪島第一号だと
希たちも喜ぶ。
しかし、哲也は
こともあろうに
あの塩田をつぶして
あそこでカフェをしたいという
のだった。
元冶と文の顔が曇った。
*****************
文と元冶はそんなに静かな生活が
したかったのだろうか??
結構津村家がころがりこんできて
よろこんでいるのでは?と
思う。
紺谷課長の仕事っぷりは
かっこいいが
もしかしたら、世話好きの希には
公務員は向いてなかったかも
しれない。
