卒業ロールケーキ4
まだ、希は迷っていた。
公務員になるか、ケーキ職人に
なるか・・・
その状況を打破しようと
ロールケーキ甲子園にでること
にした。

一子は、東京へオーディションを
うける。
希は、金沢にいって甲子園に出る。

その日、ふたりは金沢に遊びに行くと
いうことにして、金沢で別れようと
いった。

希は、あまりお金がない。
試作をしようにも材料費が足りない。

母に、バイト代を渡す時少し
もらおうと思っていたが
藍子は、うれしそうにいつものように
全額受け取った。
そうなると少し融通してとはいいがたい。

その頃圭太の所へ父親博之
がやってきて
かってなことをする息子に
文句を言っていた。

学校は休学にしているという
が、漆職人に学歴はいらないと
圭太は言う。

弥太郎は博之にあがったらどうか
という。
玄関先でたったまま
話をしていた。

博之はこの家の敷居は二度と
またがないと決めているからと
いって、拒否した。
博之は
「この人(弥太郎)の生き方は
圭太から見れば
かっこいいかもしれないが
バブルの時は輪島塗も景気が良かった。
この日とも輪島のゴットファーザーと
言われて谷町気取りだった。
しかし今は輪島塗は斜陽産業や。
高校だけは卒業しろ」という。
それでも圭太は
父親の言うことは
聞かない。

そのころ、ロールケーキ甲子園の
試作品を考える希だった。

「ねえちゃん、辞書かして」
と一徹が急に
希の部屋に入って来た。
ロールケーキ甲子園のチラシを
見てしまった一徹。

「内緒にしてて」というが、一徹は
「がんばって。。」といった。

希は味見してという。

試作品は実は、手芸部の腕を
いかしてフェルトなどで
作り上げた、ものだった。
試作品をつくるお金がないのだ。

味見しようにもどうしようもない。
恰好だけでもと
希は言うが、呆れる一徹だった。

しかし一徹は「お金がないなら
安い材料で工夫して作ったらいい」と
いう。
希はあるアイディアが浮かんだ。


そして翌日、希は手芸部でみのりたちの
前でロールケーキのイラストを
かいた。
テーマは貧乏家族。
お金をかけないでお母さんが
ロールケーキを家族に造って
あげるという意味である。
タイトルはどうだろう?とみのりと
一子は言った。

希は海でひとりで、ケーキを試作する
格好をしながら、いろいろ考えた。

そしてバイト先の食堂で
無花果や、かぼちゃなどをいれた
ロールケーキは試作をして
みのりたちに食べてもらった。
おいしいと、彼らはいうが・・。
あまりにも節約過ぎて野菜ケーキにな
っているらしく、もう少しケーキっぽく
したらどうだろうと一子は言う。
そこへ圭太がとおりかかった。
希たちをじっと見て去って行った。


徹は浩一や慎一郎、真人と一緒
にいた。
仕事がない。
信用が大事なので紹介もできない。
東京へいったらどうだと
彼らは言うが
それでも家族の近くにいたいと
徹は言った。
そのころはコーラスの練習をするおんなたち。
文や、はる、マキなどが中心になって
うみねこ座というコーラスを
やっている。
「聖者が町にやってくる」を歌っていた。
そのお母さんたちの口コミに希たちの
金沢いきが入っていた。
朝早く、一子と希は金沢に遊びに行く
というのだ。
まんまとふたりは親をだましとおして
いた。
みのりの母は「女こそ広い世界をみるべきだ」
という。だから能登を出て行ってもいいと。
はると藍子は感心した。
いよいよ、希と一子の勝負の日がやって
きた。
その日、希は一子と合流して金沢へ行った。
そして、ロールケーキ甲子園
に参加したのだった。

まわりは、自信満々な参加者ばかりに
見えた。
受付をした希。
いよいよ、人生をかけたイベントが始まる
のだった。
一子も、希も・・・。
がんばれ!!!
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今回のポイントは
圭太の父親と祖父弥太郎の関係
である。
なにかくせのある爺さんだと
思うが、あの堅物な博之を
怒らせたってことは
なにかあったのだろう。
しかし、漆職人に学歴はいらない
と圭太は言うが
そういう問題ではないだろう。
学歴はあって邪魔になるものでは
ない。
あったほうがいい場合もあるのである。
広く世間を見る目ができるからだ・・・
と私は思っている。

希と一子は結託して金沢へいくことに
した。それを応援したのは洋一郎だった。
洋一郎は一子が心配でたまらないのだ。
そして、東京へ行ってほしくない
のだった。
しかし一子にとって一生を能登ですごすって
牢獄のようなものだった。

子供たちは、夢を追って空に飛びだす
ものである。
途中で、羽根がもがれることもある。
飛べなくなることもなる。
飛び続けることができなくなることも
ある。

それでも、子供たちは夢という大空へ
羽ばたきたいわけだ。
親たちはそれを止めることはできる
のか???

そしてあれほど夢嫌いだった
希だったが
こんなにも普通に夢を追って
いくこともできるんだと
思った。

では、圭太の夢を認めないと
いけないのではないだろうか?
なんて、思った。
じんましんどころではない
はずなのにね。