告白シュークリーム4
実は何日か前に
徹が村に帰ってきたのが
わかった。
徹はやはり仕事で失敗を
して、無一文になって
帰ってきたので
家族に会いづらかった
わけだ。
藍子は「赤の他人です」と言って
絶縁をきめた。
徹は仕方なく、廊下で寝るしか
なかった。
翌朝、朝食を食べようと
自分の分がない。
「一食300円で作ります」と
文が言う。
無一文の徹には厳しい
値段である。
希は「300円もないわけ?」と
驚く。
徹は「あるけど、大きいのしか
ないから悪いから。
外で食べるから」といって出て行く。
無一文の徹はとりあえずおなかを
ぐうぐうと
鳴らしながら
廊下で寝ていた。
希が内緒だと言っておにぎり
を用意してくれた。
希のおにぎりが胃にしみた。
「希ごめんな・・・
7年前にダメなお父さんを助けて
くれるっていってくれたのに。」
希はお父さんがいない間考えた
ことがあった。
「助けてよくなるのなら
ダメ人間ではない。
助けてもどうにもならんから
ダメ人間なのよ。」
徹は「ん?」と聞き返したが
希は、自分の机の上において
ある、ペットボトルで作った
貯金箱をだした。
「ごはんぐらい、食べてもらわねば
自分たちが悪者に見えて
くるから」という。
「もらえないよ。」
「お金ないのでしょ。」
「あれだろ?帰って来るの
もう待ってなかった
んだろ?」
「すねる権利があるの?」
「だって、本当にそうだろ?」
希はこの出来損ないの父親に
「バカ!!!」とわかりきったことを
大声でいった。
「本当にお父さんのバカ!!」
「お母さんは昨日、賽銭箱に100円
いれたのよ。
うちは、今でも貧乏で。
神様というぜいたくなものに
100円かける余裕は全然ない
の。ほやけどお母さんはその100円で
お父さんのことお願いしとってんよ。
手紙だって何でお母さんは最後のほう
を読まなかったかわかる?
読んで期待して、またがっかりするのに
たえられないからなの!」
「希、泣いとるのか?」
「悔し泣きよ。
私も一徹も怒っているのよ。
7年前にあれほど感動的に始まった
能登の生活をたった一年ちょっと
でぶち壊されるって
どういうことなのよ!!
お金を持って行ってよ。」
希は小銭の入った
貯金箱をおしつけた。
「これはもらえないよ。」
一徹が「もらったら?」と
声をかける。
「これをもってよう考えて
一日も早く立ち直れ、徹君。」と
能登弁でやんわりという。
徹は、「はい」といった。
一徹は朝練に行くといった。
徹は貯金箱をにぎって
ため息をついた。
希は一徹に言った。
「うちは甘いんかな?
お父さんが無事に帰って
来てホッとしている」と
いった。
「それはあたりまえやろ。」
「あああああああ
もう、お父さんのことをどう考えたら
いいのかわからなくなっている・・。」
希は頭をかきむしった。
「それでいいやろ。
まともに考えたらぐれてしまうから」
と一徹。
希は「一徹はいつも冷静でスゴイ」
といった。
一徹は「いってくる」といった。
「甲子園はどう?行けそう?」
「データ通りにいけば楽勝や。」
そういって一徹は出かけた。
「よし、もう何も考えんと
就職に集中しよう。」
希は魔女姫をみた。
「お母さんももう
ほんとうに愛想
つかしたみたいやからね。」
と、話しかけた。
しかし、希は全く気付いて
なかった。
一徹はふがいない父親に本気で怒って
いたし
藍子も複雑な気持ちだったことも。
藍子は神社の神様に、お礼を言って
いた。
希は能登の海の空気をいっぱいすって
自転車を走らせた。
ここは能登市役所である。
就職の願書を受け取りに来た
わけだ。
そこに紺谷親子が
なにやら複雑な話を
しているのか
深刻な顔ををして
話ながらやってきた。
紺谷は希に気が付いた。
希は「こんにちわ」と挨拶を
した。
紺谷は挨拶を返して
足早に去って行った。
「なにかあったの?」と聞いたが
圭太は答えないので
「それじゃ」と受付の前で
願書を待っていた。
圭太は希に声をかけた。
歩きながら
圭太は、希の夢嫌いは
徹のせいだったとわかったことを
話した。
みのりに聞いたという。
「六年ぶりに帰ってきたんだって?
そんな事情も知らんとつまらんやつだ
なんていって。」
希は「昔は結構本気でケーキ職人
になりたいと思った」
という。
「そのうち、自分も人の笑顔が
みえるケーキを作りたいと
思った。
夢って言いものだって
わかっているんだけど。
夢は怖い。
長年のトラウマなの。」
圭太は
「夢ってみんなにとっても怖いもの
なんだ」といった。
「おまえが言ったみたいに
何年かかるかわからないし
叶うかどうかわからないし
ほやけど
怖くても
反対されても
離れられない。
忘れられないから
夢なんだと思う。」
希は初めて圭太の心の隅っこ
を聞かされた気がした。
「ごめん、何、語っているんや。
おれ・・・」
ふたりは、並んで歩いていった。
行先は、圭太の祖父の家だった。
あの、切子のことである。
祖父は修理はしたが
どこも異常はないが
あちこち塗が剥げているので
こんなものを出すわけにはいかないと
いった。
すると圭太が自分に塗らして
ほしいといった。
弥太郎は、驚いたが
出来が悪かったら出さないからと
いった。
圭太はその夜、切子の塗りの具合を
みていた。
弥太郎は、圭太に家の人になんといって
ここにきているのかと聞く。
「家の者が許さないものを俺が許すわけ
にはいかないから」と
難しいことを言う。
そうして夏休みになった。
希は就職試験にむけて勉強を
していた。
家族が食事をしている。
甲子園は駄目だった。
一徹は「しかたがない。
データ不足だった」という。
「所詮はゲームだから」と
あっさりという。
徹はまだ赤の他人。
@御馳走様でした:という。
そして、独り言で
「さ、今日も頑張って仕事を
さがそうかな。」といった。
一徹は「もうどれだけ落ちてる
のか?」と聞く。
「10社け?
20社け?」
文は「そろそろお家賃を払って下さい
よ。ひとつき4000円。」
「あの廊下に?ぼったくりか」と
徹は言う。
するとそこへ一子が荷物をもって
やってきた。
「こんにちは~~~~。」
「一子、なしたんけ?」
「家出してきてん。
しばらく、止めてくれんけ?」
笑顔で言う。
希は
「ああん?」とびっくりした。
**********************
出来の悪い父親はどんな薬をつけても
治らない。
これは、天性のものである。
働かない男は
いつもでっかい夢を話す。
そして、夢がだめだっても
謝れば家族は許すと思って
いる。
なさけない父親を希はかばうが
一徹は男の子だ。
藍子や希とは違う。
一徹の思いはどれほど、憎悪に
燃えているのか。
それはまだ、わからないが
あの徹を影から見る表情は
厳しすぎる。
それから、紺谷親子。なにか
問題があるのだろう。
祖父の言葉から、きっと
輪島塗の職人になりたいと思って
いるけど、父親が許さないと
みえる。
圭太の父親は、きっと徹と
真逆で夢なんか人生のおつまみ
ぐらいにしか思っていないのでは?
地道にこつこつと働いて、
世の中の人のためになって
家族をしっかり守って
お金にならないことはしないと
おもっているのではないか??
ところが、祖父が輪島塗の
元締めである。
つまり圭太の父、浩一にとって
は、親父である。
この親父のことで若いとき
苦労したのではないかと
私は思う。
だから、圭太が祖父宅へ行くことや
輪島塗にはいい思いをもっていない
し、圭太には大学を出て
固い職業についてほしいと
思っているのではないかと
推測する。
はずれたらごめん。
で、問題は一子である。
今まさに、親子喧嘩。
自立をするとき決まって
親子は意見が異なる。
子供の希望と
親の、方針の差である。
そして、まったく理解する
必要はないけど
なぜ徹は公務員を否定するのか?
希が徹のためにケーキ職人の夢を
すてて、公務員になると
決めたのである。
その元凶となった徹がなぜ
反対するのか?
理解する必要もないと思うが。
実は何日か前に
徹が村に帰ってきたのが
わかった。
徹はやはり仕事で失敗を
して、無一文になって
帰ってきたので
家族に会いづらかった
わけだ。
藍子は「赤の他人です」と言って
絶縁をきめた。
徹は仕方なく、廊下で寝るしか
なかった。
翌朝、朝食を食べようと
自分の分がない。
「一食300円で作ります」と
文が言う。
無一文の徹には厳しい
値段である。
希は「300円もないわけ?」と
驚く。
徹は「あるけど、大きいのしか
ないから悪いから。
外で食べるから」といって出て行く。
無一文の徹はとりあえずおなかを
ぐうぐうと
鳴らしながら
廊下で寝ていた。
希が内緒だと言っておにぎり
を用意してくれた。
希のおにぎりが胃にしみた。
「希ごめんな・・・
7年前にダメなお父さんを助けて
くれるっていってくれたのに。」
希はお父さんがいない間考えた
ことがあった。
「助けてよくなるのなら
ダメ人間ではない。
助けてもどうにもならんから
ダメ人間なのよ。」
徹は「ん?」と聞き返したが
希は、自分の机の上において
ある、ペットボトルで作った
貯金箱をだした。
「ごはんぐらい、食べてもらわねば
自分たちが悪者に見えて
くるから」という。
「もらえないよ。」
「お金ないのでしょ。」
「あれだろ?帰って来るの
もう待ってなかった
んだろ?」
「すねる権利があるの?」
「だって、本当にそうだろ?」
希はこの出来損ないの父親に
「バカ!!!」とわかりきったことを
大声でいった。
「本当にお父さんのバカ!!」
「お母さんは昨日、賽銭箱に100円
いれたのよ。
うちは、今でも貧乏で。
神様というぜいたくなものに
100円かける余裕は全然ない
の。ほやけどお母さんはその100円で
お父さんのことお願いしとってんよ。
手紙だって何でお母さんは最後のほう
を読まなかったかわかる?
読んで期待して、またがっかりするのに
たえられないからなの!」
「希、泣いとるのか?」
「悔し泣きよ。
私も一徹も怒っているのよ。
7年前にあれほど感動的に始まった
能登の生活をたった一年ちょっと
でぶち壊されるって
どういうことなのよ!!
お金を持って行ってよ。」
希は小銭の入った
貯金箱をおしつけた。
「これはもらえないよ。」
一徹が「もらったら?」と
声をかける。
「これをもってよう考えて
一日も早く立ち直れ、徹君。」と
能登弁でやんわりという。
徹は、「はい」といった。
一徹は朝練に行くといった。
徹は貯金箱をにぎって
ため息をついた。
希は一徹に言った。
「うちは甘いんかな?
お父さんが無事に帰って
来てホッとしている」と
いった。
「それはあたりまえやろ。」
「あああああああ
もう、お父さんのことをどう考えたら
いいのかわからなくなっている・・。」
希は頭をかきむしった。
「それでいいやろ。
まともに考えたらぐれてしまうから」
と一徹。
希は「一徹はいつも冷静でスゴイ」
といった。
一徹は「いってくる」といった。
「甲子園はどう?行けそう?」
「データ通りにいけば楽勝や。」
そういって一徹は出かけた。
「よし、もう何も考えんと
就職に集中しよう。」
希は魔女姫をみた。
「お母さんももう
ほんとうに愛想
つかしたみたいやからね。」
と、話しかけた。
しかし、希は全く気付いて
なかった。
一徹はふがいない父親に本気で怒って
いたし
藍子も複雑な気持ちだったことも。
藍子は神社の神様に、お礼を言って
いた。
希は能登の海の空気をいっぱいすって
自転車を走らせた。
ここは能登市役所である。
就職の願書を受け取りに来た
わけだ。
そこに紺谷親子が
なにやら複雑な話を
しているのか
深刻な顔ををして
話ながらやってきた。
紺谷は希に気が付いた。
希は「こんにちわ」と挨拶を
した。
紺谷は挨拶を返して
足早に去って行った。
「なにかあったの?」と聞いたが
圭太は答えないので
「それじゃ」と受付の前で
願書を待っていた。
圭太は希に声をかけた。
歩きながら
圭太は、希の夢嫌いは
徹のせいだったとわかったことを
話した。
みのりに聞いたという。
「六年ぶりに帰ってきたんだって?
そんな事情も知らんとつまらんやつだ
なんていって。」
希は「昔は結構本気でケーキ職人
になりたいと思った」
という。
「そのうち、自分も人の笑顔が
みえるケーキを作りたいと
思った。
夢って言いものだって
わかっているんだけど。
夢は怖い。
長年のトラウマなの。」
圭太は
「夢ってみんなにとっても怖いもの
なんだ」といった。
「おまえが言ったみたいに
何年かかるかわからないし
叶うかどうかわからないし
ほやけど
怖くても
反対されても
離れられない。
忘れられないから
夢なんだと思う。」
希は初めて圭太の心の隅っこ
を聞かされた気がした。
「ごめん、何、語っているんや。
おれ・・・」
ふたりは、並んで歩いていった。
行先は、圭太の祖父の家だった。
あの、切子のことである。
祖父は修理はしたが
どこも異常はないが
あちこち塗が剥げているので
こんなものを出すわけにはいかないと
いった。
すると圭太が自分に塗らして
ほしいといった。
弥太郎は、驚いたが
出来が悪かったら出さないからと
いった。
圭太はその夜、切子の塗りの具合を
みていた。
弥太郎は、圭太に家の人になんといって
ここにきているのかと聞く。
「家の者が許さないものを俺が許すわけ
にはいかないから」と
難しいことを言う。
そうして夏休みになった。
希は就職試験にむけて勉強を
していた。
家族が食事をしている。
甲子園は駄目だった。
一徹は「しかたがない。
データ不足だった」という。
「所詮はゲームだから」と
あっさりという。
徹はまだ赤の他人。
@御馳走様でした:という。
そして、独り言で
「さ、今日も頑張って仕事を
さがそうかな。」といった。
一徹は「もうどれだけ落ちてる
のか?」と聞く。
「10社け?
20社け?」
文は「そろそろお家賃を払って下さい
よ。ひとつき4000円。」
「あの廊下に?ぼったくりか」と
徹は言う。
するとそこへ一子が荷物をもって
やってきた。
「こんにちは~~~~。」
「一子、なしたんけ?」
「家出してきてん。
しばらく、止めてくれんけ?」
笑顔で言う。
希は
「ああん?」とびっくりした。
**********************
出来の悪い父親はどんな薬をつけても
治らない。
これは、天性のものである。
働かない男は
いつもでっかい夢を話す。
そして、夢がだめだっても
謝れば家族は許すと思って
いる。
なさけない父親を希はかばうが
一徹は男の子だ。
藍子や希とは違う。
一徹の思いはどれほど、憎悪に
燃えているのか。
それはまだ、わからないが
あの徹を影から見る表情は
厳しすぎる。
それから、紺谷親子。なにか
問題があるのだろう。
祖父の言葉から、きっと
輪島塗の職人になりたいと思って
いるけど、父親が許さないと
みえる。
圭太の父親は、きっと徹と
真逆で夢なんか人生のおつまみ
ぐらいにしか思っていないのでは?
地道にこつこつと働いて、
世の中の人のためになって
家族をしっかり守って
お金にならないことはしないと
おもっているのではないか??
ところが、祖父が輪島塗の
元締めである。
つまり圭太の父、浩一にとって
は、親父である。
この親父のことで若いとき
苦労したのではないかと
私は思う。
だから、圭太が祖父宅へ行くことや
輪島塗にはいい思いをもっていない
し、圭太には大学を出て
固い職業についてほしいと
思っているのではないかと
推測する。
はずれたらごめん。
で、問題は一子である。
今まさに、親子喧嘩。
自立をするとき決まって
親子は意見が異なる。
子供の希望と
親の、方針の差である。
そして、まったく理解する
必要はないけど
なぜ徹は公務員を否定するのか?
希が徹のためにケーキ職人の夢を
すてて、公務員になると
決めたのである。
その元凶となった徹がなぜ
反対するのか?
理解する必要もないと思うが。
