告白シュークリーム2
輪島の朝市でなんと
あの紺谷圭太と出会った。
しかし・・・
なんだかあのころと様子が変わった
ような気がする希だった。
その圭太がまたお父さんの仕事
の関係で輪島に帰ってきた。
希たちと同じ学校になった。
さっそく昔の仲間たちが希の
バイト先の食堂で
ジュースで「おかえり~~」と
乾杯をした。
高校三年生なので
話題は卒業後のことになる。
圭太はまだ進学かどうか決めて
いない。
せっかく会えたのに、また
卒業で離ればなれか・・・と
しんみりする。
希は思い出づくりをしようと
提案した。
皆賛成する。
で・・・
藍子は神様にお祈りしていた。
その夜、希はシュークリームを
作っていた。
藍子は、増えたレシピを見て
喜んだ。
ノート6冊分にもなる。
「材料によっては作ったほうが
安い場合があるし」と希は
いう。
藍子はおいしそうな顔をして
シュークリームをほおばった。
人のおいしそうな顔を見るのが
好きな希は、やっぱりうれしい。
で、なにをするかというと
夏祭りにキリコを担ごうと
いうことになった。
圭太の祖父の家にキリコがある
という。
そのとき、大きな音がして
元冶が勢いよく入って来た。
「今、祭りというたな?」
驚く希たち。
翌日のこと
紺谷の祖父の家に行く。
古い大きな和風の家だった。
さっそくキリコを見る。
大きなキリコである。
そのメンバーの中に元冶がいたので
洋一郎は何で元冶がいるのかと
希に聞く。
祭りに目がないのでついてきたと
答えた。
キリコというのは
切子灯篭の略である。
神様が歩く道を照らす
灯篭のことである。
祭りの国能登では
夏から秋にかけて神輿のお供と
して、切子を担ぐ切子祭りが
各地で
行われるのです。
元冶はキリコをよく見たいと
さっそく倉庫からだそうとした。
祖父の紺谷弥太郎がやってきた。
「いい若い者が思い出づくりにキリコを
担ぐとは・・・」と笑っていた。
「男と女はほかにすることがあるやないか」
という。
よこにいるきれいな女性は芸者さん
らしい。
なんだか色っぽい。
「弥太郎、コドモ相手に何を
言うているのだ」と元冶が言う。
弥太郎は元冶に、「相変わらず洒落のわからん
男やな」という。
元冶は「これほどの切子を担ぐこと
なく飾っておいて
それでも能登の男か」と
反論した。
「ステータスという言葉を知っているか?
ふるくさいキリコ神輿なんか担いぐ
ような田舎者にはわからないだろうな。」
この二人、昔から仲が
悪いらしい。
はるの店ではその話でもちきりだった。
「今頃盛大に子供のけんかやろな」と
はるがいう。
藍子は、なんだろうと思った。
ふたりは若いときは仲が良かった
らしいが、ある女性を巡って
対立した。
その女性はもともと弥太郎の
見合い相手だったという。
その女性はとびっきり美しく
魔性の女と呼ばれていた。
その女性に元冶が惚れて
しまい・・・
取り合いの結果。
女は元冶を選んだ。
藍子はキャーキャーと
さわいでいたが
その話を聞いて
「なんだ・・・
魔性の女って・・・
フミさんのことか・・・」と
いった。
「何か不思議ですか?」
文は、謎めいていったが・・・。
この人が魔性の女???
さて、切子は何年も使っていなかった
ので、仏壇屋さんに点検して
もらうことになった。
その作業中、希はみんなで
シュークリームを食べようと
思ってお皿を探していた。
圭太はその辺のを使えばいいと
いう。
棚においてあったのは
みーーーーーーんな
輪島塗の漆器だった。
「なんでこんなにたくさんある
のか?」と希はいった。
もしかして、紺谷家は
大金持ちなのか????
「うちの爺さんは輪島塗の
塗師屋だから」という。
つまり
輪島のドンである。
大金持ちなんだ!!!
塗師屋というのは輪島塗の器を
つくったり売ったりする総合
プロでキューサーです。
輪島は日本有数の漆器の町である。
「ここが作業場!!!」
圭太が漆器の作業の行程を
みせてくれた。
人がこまめに仕事をしている。
「すごい・・・・。」
希は感動した。
なにしろ、地道にコツコツが
すきなので
そんな作業工程こそ
地道にコツコツだったからだ 。
その中に朝市でであった
中谷という職人がいた。
「このあいだの?」
「こんにちは!!」
この部屋は下地職人さんだという。
漆塗りは下地と上塗りに
大きく分かれる。
下地も細かくわかれている。
何度も何度も漆を塗る。
それが輪島塗の特徴である。
何層にも塗ると丈夫な器ができる。
100年前のものでも治して
つかえる。
塗って乾かして
また塗って・・・
お椀ひとつにも100行程ぐらい
あるという。できるまでに三年
かかるものである。
「三年・・・」
希はつぶやき、涙が出た。
「こんなに地道にコツコツと・・」
そう思ったら希は
朝市で漆器を乱暴な扱いをして
高いとか言ったことを
反省した。
「ごねん、こんだけ丁寧に
作られとってんね・・・
知りもセント値段のことばかり
話をして・・・」
圭太は「俺も言いすぎた」という。
弥太郎はその様子を見て笑った。
希は思いっきり鼻をかんだ。
「ごねんえ、ああいうの弱いから。」
圭太は笑って「みんな待っているから」と
立ち上がった。
藍子はリヤカーを引いていた。
それを後押しする文に
自分はこっちへ行くからと
いった。
「また神社け?
毎日熱心に頼みごとしているね。
賽銭もなげないで。」
「神様はお賽銭で差別はしないと
思います」と藍子は言った。
「徹のことをまだ待つのか?
あんたが腹をくくらないから
子供たちも中途半端になって
いる」と文はいった。
「文さんならどうしますか?」
「離婚届を偽造して
若い色男と再婚するわ・・
ハハハハ・・・」
文と藍子はそこで別れた。
藍子は文を
「さすが
魔性の女・・・」と
いった。
神社へ行く藍子を男が
見ていた。
徹だった。
様子が変だった。
そこへ蔵本がとおりかかった。
徹を見て大声を上げようと
したが・・・
徹が口を押えた。
「お元気?」
紺谷家の希たち。
「うまい!!!」
「おいしい~~~~~」
希のシュークリームを
皆が絶賛した。
みのりは「希はお菓子作りをしたら
いいのに」という。
希は「昔はパティシエも考えたが
危ない橋だ」といった。
「これ以上学校へ行って
修行を積んで
一人前にたとえなったと
しても・・・
なれないかもしれない。
店を持っても
赤字を背負い込むことに
なるのは
嫌だから
自分は、確実に生きていくため
に公務員になる」といった。
洋一郎は「そこまで
シュミレーションをして
いたのか」といった。
みのりは
「希はひとのことはいつも応援する
のに、自分のことはいつも後ろ向きなのね。」
という。
「夢に人生をかけるなんて御免だわ。
人生は地道にコツコツ・・安定が一番や。」
圭太は、「つまらんやつだ」という。
「保険ばかりの人生で楽しいか?」
「つまらなくてもいい。
夢なんて自己満足だ。
周りに迷惑をかけるだけやがいね。」
「昔はもっと一生懸命やったがに。
変わったな。」
「ははは・・
変わったのはそっちやろ?
爽やかな少年やったのに、なに?
無愛想な顔をして。」
「そっちこそげんげろ、げんげろと
いうとったくせに。
何やその無駄に上手な能登弁は!!」
「7年もすんどったら上手になるわ」
「威張るな。俺かて
能登には10年すんどったわ。」
「そのうち三年ぐらいは物心も
つかない赤ん坊やがいね。」
「俺は生まれた瞬間から
記憶やあるげわいえ!!」
「あん??」
二人はたちあがり
にらみ合っていた
その時
一子が走ってやってきた。
そしてコップの水をごくごく
と飲み干した。
「あ・・・・はぁはぁ・・」
一子はのどに水を詰まらせながらも
あわてて言った。
「金沢でスカウトされた。
モデルにならないかって!!!」
全員「え?」と驚いた。
「うち、東京へ行く!!!」
希はけげんそうに一子を見た。
******************
久しぶりに会った圭太はなんだか
変わっていた。
何かがあったのではないかなと
思うけど??
夢のない希に圭太は
いかりを覚えたらしい。
では圭太の夢は何か??
まさか、塗師屋になるのか?
やけに輪島塗に詳しいし。
そして、東京へ行きたいと
願っている一子が
金沢でスカウトされたという。
あぶない・・・
あぶないそ・・・。
モデルなんか
いろんな種類があるから
ファッションモデルとは
決まっていないし
スーパーのチラシのモデルかも
しれない。
まさか・・・
グラビアなんとかでは?
もっとえげつないモデルかも?
高校三年生の彼らは
自分の道をさがしている・・
それぞれが・・・・。
輪島の朝市でなんと
あの紺谷圭太と出会った。
しかし・・・
なんだかあのころと様子が変わった
ような気がする希だった。
その圭太がまたお父さんの仕事
の関係で輪島に帰ってきた。
希たちと同じ学校になった。
さっそく昔の仲間たちが希の
バイト先の食堂で
ジュースで「おかえり~~」と
乾杯をした。
高校三年生なので
話題は卒業後のことになる。
圭太はまだ進学かどうか決めて
いない。
せっかく会えたのに、また
卒業で離ればなれか・・・と
しんみりする。
希は思い出づくりをしようと
提案した。
皆賛成する。
で・・・
藍子は神様にお祈りしていた。
その夜、希はシュークリームを
作っていた。
藍子は、増えたレシピを見て
喜んだ。
ノート6冊分にもなる。
「材料によっては作ったほうが
安い場合があるし」と希は
いう。
藍子はおいしそうな顔をして
シュークリームをほおばった。
人のおいしそうな顔を見るのが
好きな希は、やっぱりうれしい。
で、なにをするかというと
夏祭りにキリコを担ごうと
いうことになった。
圭太の祖父の家にキリコがある
という。
そのとき、大きな音がして
元冶が勢いよく入って来た。
「今、祭りというたな?」
驚く希たち。
翌日のこと
紺谷の祖父の家に行く。
古い大きな和風の家だった。
さっそくキリコを見る。
大きなキリコである。
そのメンバーの中に元冶がいたので
洋一郎は何で元冶がいるのかと
希に聞く。
祭りに目がないのでついてきたと
答えた。
キリコというのは
切子灯篭の略である。
神様が歩く道を照らす
灯篭のことである。
祭りの国能登では
夏から秋にかけて神輿のお供と
して、切子を担ぐ切子祭りが
各地で
行われるのです。
元冶はキリコをよく見たいと
さっそく倉庫からだそうとした。
祖父の紺谷弥太郎がやってきた。
「いい若い者が思い出づくりにキリコを
担ぐとは・・・」と笑っていた。
「男と女はほかにすることがあるやないか」
という。
よこにいるきれいな女性は芸者さん
らしい。
なんだか色っぽい。
「弥太郎、コドモ相手に何を
言うているのだ」と元冶が言う。
弥太郎は元冶に、「相変わらず洒落のわからん
男やな」という。
元冶は「これほどの切子を担ぐこと
なく飾っておいて
それでも能登の男か」と
反論した。
「ステータスという言葉を知っているか?
ふるくさいキリコ神輿なんか担いぐ
ような田舎者にはわからないだろうな。」
この二人、昔から仲が
悪いらしい。
はるの店ではその話でもちきりだった。
「今頃盛大に子供のけんかやろな」と
はるがいう。
藍子は、なんだろうと思った。
ふたりは若いときは仲が良かった
らしいが、ある女性を巡って
対立した。
その女性はもともと弥太郎の
見合い相手だったという。
その女性はとびっきり美しく
魔性の女と呼ばれていた。
その女性に元冶が惚れて
しまい・・・
取り合いの結果。
女は元冶を選んだ。
藍子はキャーキャーと
さわいでいたが
その話を聞いて
「なんだ・・・
魔性の女って・・・
フミさんのことか・・・」と
いった。
「何か不思議ですか?」
文は、謎めいていったが・・・。
この人が魔性の女???
さて、切子は何年も使っていなかった
ので、仏壇屋さんに点検して
もらうことになった。
その作業中、希はみんなで
シュークリームを食べようと
思ってお皿を探していた。
圭太はその辺のを使えばいいと
いう。
棚においてあったのは
みーーーーーーんな
輪島塗の漆器だった。
「なんでこんなにたくさんある
のか?」と希はいった。
もしかして、紺谷家は
大金持ちなのか????
「うちの爺さんは輪島塗の
塗師屋だから」という。
つまり
輪島のドンである。
大金持ちなんだ!!!
塗師屋というのは輪島塗の器を
つくったり売ったりする総合
プロでキューサーです。
輪島は日本有数の漆器の町である。
「ここが作業場!!!」
圭太が漆器の作業の行程を
みせてくれた。
人がこまめに仕事をしている。
「すごい・・・・。」
希は感動した。
なにしろ、地道にコツコツが
すきなので
そんな作業工程こそ
地道にコツコツだったからだ 。
その中に朝市でであった
中谷という職人がいた。
「このあいだの?」
「こんにちは!!」
この部屋は下地職人さんだという。
漆塗りは下地と上塗りに
大きく分かれる。
下地も細かくわかれている。
何度も何度も漆を塗る。
それが輪島塗の特徴である。
何層にも塗ると丈夫な器ができる。
100年前のものでも治して
つかえる。
塗って乾かして
また塗って・・・
お椀ひとつにも100行程ぐらい
あるという。できるまでに三年
かかるものである。
「三年・・・」
希はつぶやき、涙が出た。
「こんなに地道にコツコツと・・」
そう思ったら希は
朝市で漆器を乱暴な扱いをして
高いとか言ったことを
反省した。
「ごねん、こんだけ丁寧に
作られとってんね・・・
知りもセント値段のことばかり
話をして・・・」
圭太は「俺も言いすぎた」という。
弥太郎はその様子を見て笑った。
希は思いっきり鼻をかんだ。
「ごねんえ、ああいうの弱いから。」
圭太は笑って「みんな待っているから」と
立ち上がった。
藍子はリヤカーを引いていた。
それを後押しする文に
自分はこっちへ行くからと
いった。
「また神社け?
毎日熱心に頼みごとしているね。
賽銭もなげないで。」
「神様はお賽銭で差別はしないと
思います」と藍子は言った。
「徹のことをまだ待つのか?
あんたが腹をくくらないから
子供たちも中途半端になって
いる」と文はいった。
「文さんならどうしますか?」
「離婚届を偽造して
若い色男と再婚するわ・・
ハハハハ・・・」
文と藍子はそこで別れた。
藍子は文を
「さすが
魔性の女・・・」と
いった。
神社へ行く藍子を男が
見ていた。
徹だった。
様子が変だった。
そこへ蔵本がとおりかかった。
徹を見て大声を上げようと
したが・・・
徹が口を押えた。
「お元気?」
紺谷家の希たち。
「うまい!!!」
「おいしい~~~~~」
希のシュークリームを
皆が絶賛した。
みのりは「希はお菓子作りをしたら
いいのに」という。
希は「昔はパティシエも考えたが
危ない橋だ」といった。
「これ以上学校へ行って
修行を積んで
一人前にたとえなったと
しても・・・
なれないかもしれない。
店を持っても
赤字を背負い込むことに
なるのは
嫌だから
自分は、確実に生きていくため
に公務員になる」といった。
洋一郎は「そこまで
シュミレーションをして
いたのか」といった。
みのりは
「希はひとのことはいつも応援する
のに、自分のことはいつも後ろ向きなのね。」
という。
「夢に人生をかけるなんて御免だわ。
人生は地道にコツコツ・・安定が一番や。」
圭太は、「つまらんやつだ」という。
「保険ばかりの人生で楽しいか?」
「つまらなくてもいい。
夢なんて自己満足だ。
周りに迷惑をかけるだけやがいね。」
「昔はもっと一生懸命やったがに。
変わったな。」
「ははは・・
変わったのはそっちやろ?
爽やかな少年やったのに、なに?
無愛想な顔をして。」
「そっちこそげんげろ、げんげろと
いうとったくせに。
何やその無駄に上手な能登弁は!!」
「7年もすんどったら上手になるわ」
「威張るな。俺かて
能登には10年すんどったわ。」
「そのうち三年ぐらいは物心も
つかない赤ん坊やがいね。」
「俺は生まれた瞬間から
記憶やあるげわいえ!!」
「あん??」
二人はたちあがり
にらみ合っていた
その時
一子が走ってやってきた。
そしてコップの水をごくごく
と飲み干した。
「あ・・・・はぁはぁ・・」
一子はのどに水を詰まらせながらも
あわてて言った。
「金沢でスカウトされた。
モデルにならないかって!!!」
全員「え?」と驚いた。
「うち、東京へ行く!!!」
希はけげんそうに一子を見た。
******************
久しぶりに会った圭太はなんだか
変わっていた。
何かがあったのではないかなと
思うけど??
夢のない希に圭太は
いかりを覚えたらしい。
では圭太の夢は何か??
まさか、塗師屋になるのか?
やけに輪島塗に詳しいし。
そして、東京へ行きたいと
願っている一子が
金沢でスカウトされたという。
あぶない・・・
あぶないそ・・・。
モデルなんか
いろんな種類があるから
ファッションモデルとは
決まっていないし
スーパーのチラシのモデルかも
しれない。
まさか・・・
グラビアなんとかでは?
もっとえげつないモデルかも?
高校三年生の彼らは
自分の道をさがしている・・
それぞれが・・・・。
