人生は冒険旅行5
マイクがエマにプロポーズを
した。

エマは、前を行く政春たちを
おいかけて
「お父さん、お母さん、聞いて・・」と
いって走った。

「何事か」と振り向く二人。
エリーはエマの顔が
ぐるりと回ってみえた。
「エリー!!」
政春はエリーが倒れたので
驚いた。
エマも「お母さん」と
何度も呼んだ。

エリーが気が付くと自分の部屋に
寝ていた。
悟夫婦も彼らの子供たちも
政春もエマもマイクも
エリーが気が付いたので
エリーの名前を口々に呼んだ。

エリーはエマに「さっき何を言おうと
していたのか」と聞く。

エマは、エリーのそばに行って
「私はマイクと結婚したい」といった。
「だから、お父さん、お母さん
私たちの婚約を認めてください。」

政春は考え込んだ。

マイクに「本気なんか?」
と聞く
「はい・・・」
「しあわせにせんかったら承知せえへんぞ。」

「はい・・・」

エリーはうれしそうに、「よかった
がんばってね・・・
二人の幸せを祈っているわ」
という。
エマは「ありがとう」といった。

政太郎がいった。
「おばあちゃん、結婚式あげられる?」
絵美は
「おばあちゃんの結婚式にはお母さんが
置物を着せてくれるんだって。」
と嬉しそうにいった。

「そう・・・
絵美の着物姿見て見たいな。」
「だから早く元気になってね。」
「うん・・・。」

「皆に一つお願いがあるの」とエリーが言う。
「私はみんなこと大好きよ。」
絵美も「おばあちゃんのこと大好きよ」
「僕も」と政太郎。

エリーはみんなに「少しだけおじいちゃんと
二人っきりで話がしたい」といった。
悟は「わかりました」といって
部屋を出た。
エマは政春に「おかあさんのこと
おねがいね」といった。
エリーはやっと二人きりになれたと
ほっとしていった。
枕の下から手紙を出した。
「ラブレターよ。
今すぐ読んだらダメ
私が天国に行ってからね・・」

エマは部屋にいて母との別れが
近いことを悲しんだ。
マイクはエマの手を握った。

「マッサン、私は今とても幸せよ
まだ冒険が続いているのよ
死ぬことも新しい冒険よ
そうでしょ?
ずっと忙しかったマッサンと
やっとゆっくり話ができる・・」
「ほうじゃのう・・・」
それからエリーとマッサンはいろんな思い出
を話した。
それはエリーにとってはじめておとずれた
優しく穏やかな最期の時間でした。

「熊さんのソーラン節、覚えているか?
ヤーレンソーラン・・ソーラン・・
エリー?
大丈夫か?」

エリーは政春の肩にもたれていたが
「少し寝るか?」といわれて
横になった。

「何か飲むか?」
「何もいらない。
ずっとそばにいてね。」

「わしゃ、どこにもいかんど
ずっとここにおるけん。」
「ああ・・・
ウエディングドレス
ごめんなさい。」

「ああ、こがいに
迷惑ばっかり掛けて
結婚式も上げずに死なせて
たまるか。」

「結婚式は上げたでしょ。
私はあの時
本当に幸せだった。」
それはスコットランドで二人で
役所に結婚届を出した時。
それぞれの名前にサインをした。
役所の職員がそれを
大事に受け取り
「これにて、届け出を終了します。
おめでとう、亀山夫妻!」
といった。
「サンキュー」と政春
「サンキュー」と・・
ふたりはそう答えた。
あの時だった。

「エリー
わしはエリーと出会って勇気がわいた。」
「あなたこそ私に勇気をくれたわ」

「エリーがおったらどがいなことでも
乗り越えられる。
わしと一緒に生きてくれ」

「私はあなたを愛し続けます。
死が二人を分かつまで。」
二人は見詰め合いキスをした。

「マッサン
約束を守ってくれて
ありがとう」
「わしこそのう・・・」

「生まれ変わったら
また、お嫁さんにしてね。」

「あたりまえじゃ・・・」

「ああ・・最後は最後は

笑顔で見送って・・・」

「ああ・・・」
政春は笑った。

「アイラブユー・・」とエリー。

「ミーツー」

政春はエリーの手を握った。
「エリー
この手
離すなよ・・

離すなよ・・・」

エリーは微笑み

そして、目を閉じた。

政春はエリーの手を見た。
政春の手の中にあるエリーの手。

「エリー?
エリー??」

政春はエリーの額に手を当てて
泣いた。

彼女の魂は
そこには
もういない
エリーは愛する夫マッサンに見送られ
旅立っていきました。
*****************
ついに訪れた別れの時。
私はあなたを愛し続けます。
死が二人を分かつまで・・・。

そういったあの役所でのこと
あれがエリーにとっての結婚式
だった。

ウエディングドレスを着ることもなく
誰にも祝福さることなく
ふたりは、一緒になって
エリーは懐かしいふるさとに別れを
つげて遠い異国の
日本に来た。

ドラマチック!!

その時代、異人さんってめずらしい
のですよね。
今の時代ではとても
考えられないぐらい
珍しくて
じろじろと見られた事でしょうね。
それも陽気に跳ね返して
エリーはマッサンの夢を
叶えるために
がんばったのですね・・。

明日はいよいよ最終回。

いちばん心に乗っている場面は
大阪でお金がなくって
あの貸家の庭で
柿が鳴っていたのですね。

あれは渋柿だから食べられないと
言われていたにも関わらず
エリーは空腹で渋柿を食べるので
すね・・・。
とんでもない目にあったという
話ですが。

キャサリンたちがマッサンに
エリーがおなかをすかして
渋柿まで食べたと
いって
なんとかしろと激励するのですが
ウイスキー造りしかあたまにない
マッサンは、どんな仕事についても
長続きしなかったという
ことでした。
そんな時にもエリーはマッサンを
支え続けるのです・・。

あれは一番、思い出深いシーン
でした。