待てば海路の日和あり5
戦争が終わって二か月。
エリーはまだ、気持ちが戻って
いません。
エマは小樽の英文タイピストの学校へ
かよっていた。
この場面のワンピースがかわいい。
黒だけど、微妙に織り方に
模様があって、ポイントの
飾りの白いボタンが
エリの中央とか
ウエストの当たりとかにあって
それもかわいくて。
で、笑ったのが白いソックス。
この時代・・・
黒のソックスはなかったんだなと
思った・・。なかったの?
エリーはエマのがんばりにキスで
ほめて、お弁当の箱を出すようにと
声をかけた。
自室に入ったエマは
「ハイ」と答えて
お弁当箱をもって
エリーのもとに出て行った。
エマの机の上には
あの、森野家と一緒に映った
一馬とエマの家族写真が
飾ってあった。
部屋でそろばんをはじく政春。
「いやぁ、まいった。」
と独り言をエリーが聞いた。
わけを聞くと
工場はいまはウイスキーを造って
いない。
海軍もいなくなり
売る商品もなければ
買う客もいない。
いまのままだと半年後には
皆に給料を払うことができなく
なるところまで
落ち込んでいた。
エリーは、政春の気持ちに
なんとかしなければと思った
ようだった。
まだ銀行から借りるという
システムはまだもどって
いなかった。
政春は「実は今日変な男が
尋ねてきてのう・・・」という。
変な男とは?
大阪から来た商人だった。
この男、三級のウイスキーを造って
もうけていた。
三級酒だと原酒は5%以下というが
「5%?とんでもない。
これっぽっちも入っていない。
これが飛ぶように売れている」
というのだ。
そこで、品不足の時代なので
原酒を求めて北海道まで来た。
政春の工場には原酒が眠って
いることも知っていた。
ウイスキーを造ってないので
経済的に困窮していることも
わかっていた。
それで、この売れに売れている
三級ウヰスキーに
原酒をいれるともっと儲かると
思ったらしい。
原酒を売ってくれないかと
持ち込んだ。
アルコールは不足している。
人々は戦争の痛手をわすれようと
アルコールを求め
安いウイスキーが売れている時代
なのだ。
もちろん、赤字の政春の
足元を見ているが。
政春は原酒屋になる気はないと
断った。
そんなことをしたら
メイドインジャパンのウヰスキーが
ますます遠ざかってしまう。
イミテーションウヰスキーの時代に
逆戻りだと政春はいう。
そしてこれからのことを
野々村さんたちと相談しようと
思って大阪に行くといった。
エリーに一緒に行こうと
政春は誘った。
エリーは家の門の外にも
でていない。
大阪の友人たちに会いたいと
思ったのか、エリーは
大阪に行くといった。
たのしみだとエリーはいうが
やはり、本当に外に出ても
大丈夫なのかと不安はあった。
翌日のこと
大阪へ行く日である。
エリーは外出用の服を着ていたが
鏡に映る自分の姿に
悩んだ。
政春は「そろそろ急がんと・・」と
声をかけた。
エリーが泣いていた。
エリーは大阪へ行くことを
やめるといった。
「ごめんなさい。」
政春はエリーの苦しみを
感じて「謝ることはない」と
いった。
エリーは泣きながら「怖い」といった。
「私はどう見ても外国人。
人に会うのが怖い・・・。」
二か月たっても工場の外に
出歩いたことがないのだ。
そこに、ハナが「マッサン、エリーさん
大変だ」といってやってきた。
オニが来たという。
赤鬼だといった。
「進駐軍が・・・・・??」
政春は驚いた。
会社の事務所にその兵隊は
傍若無人に居座っていた。
熊虎は「おめぇら
何しに来たのか」と聞く。
兵隊は「亀山社長か」と聞いた。
「自分は亀山ではない。熊虎だ」と
いう。「ここを乗っ取ろうとしても
そうはいかねえぞ。おらを倒して
からにしろ。
礼儀知らずなやつらだ」と
ののしった。
「日本人を馬鹿にするな。
戦争に負けてもおらはまけねぇ。」
兵隊は「誤解している、亀山社長に
会いたい」といった。
「熊さん」と政春が来た。
ハナとエリーも来た。
兵隊はエリーを見て
「亀山エリザベスですか」と聞いた。
エリーは
「そうだ」と答えた。
エリーはエリザベスだったんだ!!!
「あなたの無事を確認しにきました。」
「ん?なんだって?」と熊虎。
政春は、熊虎に「エリーが無事かどうか
確認しに来たんといった」といった。
亀山家のリビングでお茶を出す
エリー。
「どうぞ・・Please!」
兵隊の一人が言った。
「戦争中日本にとどまった米国人は
ひどい目にあったと聞いています。」
政春はじっと聞いていた。
「エリーさんは大丈夫でしたか?」
エリーは政春を見て
「皆さんがよくしてくださいましたから」
と答えた。
「日本人は野蛮で我々を鬼と
呼んで嫌っていたのでしょう?」
「そのとおりです。」
政春は答えた。
「妻は大変苦しみました。」
「でも悪いのは戦争です。」
と、テーブルとたたいた。
「あなたたちだって野蛮なことを
したじゃないですか!!」
「戦争の話は十分です・・。」と
兵隊。面倒くさいAと呼びましょう・・
兵隊Aは「あなたはウイスキー
を作っていますね」と聞く。
「ハイ」と政春は答えた。
「実はそのウヰスキーを占領軍に売って
もらいたい」といった。
「本国からの輸入だけではおいつか
ない」という。
「メイドインジャパンのウヰスキーを
売って欲しい」といった。
政春は「ほぉっ」とため息をついた。
兵隊Bがいう。
「実は司令部はここがウイスキー工場だと
知っていて絶対爆撃してはならない
と命令していた」
Aは、「サージェント」と言ってけん制をした。
Bはジェントさんか?
政春は驚いた。
エリーも驚き二人は顔を見合わせた。
米軍が帰って政春は悩んだ。
森野家に行って相談するが
司令部の話を聞いた森野家は
実際、アメリカは余裕で日本を
負けに追い込んだのだとしった。
悔しい思いをかみしめた。
ハナはどうするのと聞くと政春は
「海軍が買ってくれなくなったからと
いって進駐軍に乗り換えるようなことは
できない」といった。
エリーは何か言いたげだった。
「一馬じゃて浮かばれんて!」
政春が言うと熊虎はうなずいた。
ハナもじっと聞いていた。
政春は大阪いきをやめた。
そんな話を中島の店でしながら
熊虎と進はいつものように
将棋をうった。
中島は進駐軍に売るのを断った
話を聞いて「もったいない」と
いう。「売ったほうがいい。
いま儲かっているのは進駐軍
相手の商売だけだ」と
いう。
「節操がない」とチエは怒るが
「事実、コドモだって
ギブミーといって進駐軍の
後ろを追いかけている。
物と金をもっているのは
進駐軍だ」と反論した。
進は、政春が断ったことを
ほめたたえた。
「それでこそマッサンだ」と
いうが・・・。
熊虎はあえてコメントしない。
工場が赤字で閉鎖するかも
しれないという危機的
状況にあるからだ。
ラジオからリンゴの唄が聞こえて
きた。
チエはラジオの音を大きくした。
熊虎は「いい歌だな」といった。
進は「リンゴ?おらの唄だ」と喜んだ。
みんながそこで笑った。
笑いながら熊虎は
考えていた。
*******************
俊夫の法被の襟にDOUKAHの文字が
帰ってきた。
イミテーションのウヰスキーが
よく売れているらしい。
ここがポイント。
つまり、人々がウイスキーを
求める時代が来た。しかも
三級ウヰスキーのおかげで
日本酒ではなく
ウヰスキーをのむ人がふえた
ということだ。
そこに進駐軍がやってきて
アメリカ人が日本酒ではなく
ウヰスキーを飲んでいることで
日本人もウイスキーに
興味をもつという効果が
あるのではないかと思った。
そのうえ、本国からの
輸入では足りないということは
・・・
これからマッサンが待っていた
時代がやってきたという
ことだった。
海軍に守ってもらった原酒で
進駐軍によって商品化され
ひろく市場に・・・
だから、商売人だったら
相手が欲しいというのなら
売ればいいではないですか。
商売人はそういうものです。
原酒だけなどと言われたら
こまりますが、あの
兵隊Aさんがメイドインジャパン
のウヰスキーといいました。
まさにマッサンのウヰスキーを購入
したいというのです。
造りましょう!!!
ばんばん売りましょう!!
進駐軍の力を借りて
世界へ進出しましょう。
米兵に日本で飲んだドウカ
のウヰスキーはうまかった
と本国でアピールしてもらったら
輸入しようとするアメリカの
商社もでてくるでしょうね。
いよいよ、マッサンの時代です。
戦争が終わって二か月。
エリーはまだ、気持ちが戻って
いません。
エマは小樽の英文タイピストの学校へ
かよっていた。
この場面のワンピースがかわいい。
黒だけど、微妙に織り方に
模様があって、ポイントの
飾りの白いボタンが
エリの中央とか
ウエストの当たりとかにあって
それもかわいくて。
で、笑ったのが白いソックス。
この時代・・・
黒のソックスはなかったんだなと
思った・・。なかったの?
エリーはエマのがんばりにキスで
ほめて、お弁当の箱を出すようにと
声をかけた。
自室に入ったエマは
「ハイ」と答えて
お弁当箱をもって
エリーのもとに出て行った。
エマの机の上には
あの、森野家と一緒に映った
一馬とエマの家族写真が
飾ってあった。
部屋でそろばんをはじく政春。
「いやぁ、まいった。」
と独り言をエリーが聞いた。
わけを聞くと
工場はいまはウイスキーを造って
いない。
海軍もいなくなり
売る商品もなければ
買う客もいない。
いまのままだと半年後には
皆に給料を払うことができなく
なるところまで
落ち込んでいた。
エリーは、政春の気持ちに
なんとかしなければと思った
ようだった。
まだ銀行から借りるという
システムはまだもどって
いなかった。
政春は「実は今日変な男が
尋ねてきてのう・・・」という。
変な男とは?
大阪から来た商人だった。
この男、三級のウイスキーを造って
もうけていた。
三級酒だと原酒は5%以下というが
「5%?とんでもない。
これっぽっちも入っていない。
これが飛ぶように売れている」
というのだ。
そこで、品不足の時代なので
原酒を求めて北海道まで来た。
政春の工場には原酒が眠って
いることも知っていた。
ウイスキーを造ってないので
経済的に困窮していることも
わかっていた。
それで、この売れに売れている
三級ウヰスキーに
原酒をいれるともっと儲かると
思ったらしい。
原酒を売ってくれないかと
持ち込んだ。
アルコールは不足している。
人々は戦争の痛手をわすれようと
アルコールを求め
安いウイスキーが売れている時代
なのだ。
もちろん、赤字の政春の
足元を見ているが。
政春は原酒屋になる気はないと
断った。
そんなことをしたら
メイドインジャパンのウヰスキーが
ますます遠ざかってしまう。
イミテーションウヰスキーの時代に
逆戻りだと政春はいう。
そしてこれからのことを
野々村さんたちと相談しようと
思って大阪に行くといった。
エリーに一緒に行こうと
政春は誘った。
エリーは家の門の外にも
でていない。
大阪の友人たちに会いたいと
思ったのか、エリーは
大阪に行くといった。
たのしみだとエリーはいうが
やはり、本当に外に出ても
大丈夫なのかと不安はあった。
翌日のこと
大阪へ行く日である。
エリーは外出用の服を着ていたが
鏡に映る自分の姿に
悩んだ。
政春は「そろそろ急がんと・・」と
声をかけた。
エリーが泣いていた。
エリーは大阪へ行くことを
やめるといった。
「ごめんなさい。」
政春はエリーの苦しみを
感じて「謝ることはない」と
いった。
エリーは泣きながら「怖い」といった。
「私はどう見ても外国人。
人に会うのが怖い・・・。」
二か月たっても工場の外に
出歩いたことがないのだ。
そこに、ハナが「マッサン、エリーさん
大変だ」といってやってきた。
オニが来たという。
赤鬼だといった。
「進駐軍が・・・・・??」
政春は驚いた。
会社の事務所にその兵隊は
傍若無人に居座っていた。
熊虎は「おめぇら
何しに来たのか」と聞く。
兵隊は「亀山社長か」と聞いた。
「自分は亀山ではない。熊虎だ」と
いう。「ここを乗っ取ろうとしても
そうはいかねえぞ。おらを倒して
からにしろ。
礼儀知らずなやつらだ」と
ののしった。
「日本人を馬鹿にするな。
戦争に負けてもおらはまけねぇ。」
兵隊は「誤解している、亀山社長に
会いたい」といった。
「熊さん」と政春が来た。
ハナとエリーも来た。
兵隊はエリーを見て
「亀山エリザベスですか」と聞いた。
エリーは
「そうだ」と答えた。
エリーはエリザベスだったんだ!!!
「あなたの無事を確認しにきました。」
「ん?なんだって?」と熊虎。
政春は、熊虎に「エリーが無事かどうか
確認しに来たんといった」といった。
亀山家のリビングでお茶を出す
エリー。
「どうぞ・・Please!」
兵隊の一人が言った。
「戦争中日本にとどまった米国人は
ひどい目にあったと聞いています。」
政春はじっと聞いていた。
「エリーさんは大丈夫でしたか?」
エリーは政春を見て
「皆さんがよくしてくださいましたから」
と答えた。
「日本人は野蛮で我々を鬼と
呼んで嫌っていたのでしょう?」
「そのとおりです。」
政春は答えた。
「妻は大変苦しみました。」
「でも悪いのは戦争です。」
と、テーブルとたたいた。
「あなたたちだって野蛮なことを
したじゃないですか!!」
「戦争の話は十分です・・。」と
兵隊。面倒くさいAと呼びましょう・・
兵隊Aは「あなたはウイスキー
を作っていますね」と聞く。
「ハイ」と政春は答えた。
「実はそのウヰスキーを占領軍に売って
もらいたい」といった。
「本国からの輸入だけではおいつか
ない」という。
「メイドインジャパンのウヰスキーを
売って欲しい」といった。
政春は「ほぉっ」とため息をついた。
兵隊Bがいう。
「実は司令部はここがウイスキー工場だと
知っていて絶対爆撃してはならない
と命令していた」
Aは、「サージェント」と言ってけん制をした。
Bはジェントさんか?
政春は驚いた。
エリーも驚き二人は顔を見合わせた。
米軍が帰って政春は悩んだ。
森野家に行って相談するが
司令部の話を聞いた森野家は
実際、アメリカは余裕で日本を
負けに追い込んだのだとしった。
悔しい思いをかみしめた。
ハナはどうするのと聞くと政春は
「海軍が買ってくれなくなったからと
いって進駐軍に乗り換えるようなことは
できない」といった。
エリーは何か言いたげだった。
「一馬じゃて浮かばれんて!」
政春が言うと熊虎はうなずいた。
ハナもじっと聞いていた。
政春は大阪いきをやめた。
そんな話を中島の店でしながら
熊虎と進はいつものように
将棋をうった。
中島は進駐軍に売るのを断った
話を聞いて「もったいない」と
いう。「売ったほうがいい。
いま儲かっているのは進駐軍
相手の商売だけだ」と
いう。
「節操がない」とチエは怒るが
「事実、コドモだって
ギブミーといって進駐軍の
後ろを追いかけている。
物と金をもっているのは
進駐軍だ」と反論した。
進は、政春が断ったことを
ほめたたえた。
「それでこそマッサンだ」と
いうが・・・。
熊虎はあえてコメントしない。
工場が赤字で閉鎖するかも
しれないという危機的
状況にあるからだ。
ラジオからリンゴの唄が聞こえて
きた。
チエはラジオの音を大きくした。
熊虎は「いい歌だな」といった。
進は「リンゴ?おらの唄だ」と喜んだ。
みんながそこで笑った。
笑いながら熊虎は
考えていた。
*******************
俊夫の法被の襟にDOUKAHの文字が
帰ってきた。
イミテーションのウヰスキーが
よく売れているらしい。
ここがポイント。
つまり、人々がウイスキーを
求める時代が来た。しかも
三級ウヰスキーのおかげで
日本酒ではなく
ウヰスキーをのむ人がふえた
ということだ。
そこに進駐軍がやってきて
アメリカ人が日本酒ではなく
ウヰスキーを飲んでいることで
日本人もウイスキーに
興味をもつという効果が
あるのではないかと思った。
そのうえ、本国からの
輸入では足りないということは
・・・
これからマッサンが待っていた
時代がやってきたという
ことだった。
海軍に守ってもらった原酒で
進駐軍によって商品化され
ひろく市場に・・・
だから、商売人だったら
相手が欲しいというのなら
売ればいいではないですか。
商売人はそういうものです。
原酒だけなどと言われたら
こまりますが、あの
兵隊Aさんがメイドインジャパン
のウヰスキーといいました。
まさにマッサンのウヰスキーを購入
したいというのです。
造りましょう!!!
ばんばん売りましょう!!
進駐軍の力を借りて
世界へ進出しましょう。
米兵に日本で飲んだドウカ
のウヰスキーはうまかった
と本国でアピールしてもらったら
輸入しようとするアメリカの
商社もでてくるでしょうね。
いよいよ、マッサンの時代です。
