夏は日向を行け冬は日陰を行け4
「7月30日に横浜から出向する
エリー一緒に行こう。」
キャサリンの言った言葉が政春の
耳について離れない。
エリーのもとにヘレンから手紙が
来る。
「このままだと姉エリーの身が危なく
なる。ママも心配している。
スコットランドに帰ってきてほしい・・」
エリーは、悩んだ。
そこへ美紀が掃除をすると言って
やってきた。
エリーは「ここはプライベートな部屋だ
から、私がするから」といった。
美紀はわかりましたと言って
去って行った。
エリーはヘレンの手紙を
小さな引出しにしまった。
工場で石炭をくべる力仕事をする
秀子。
「あまり頑張るとへたばるよ」といわれ
「ここのマカナイ本当においしいんだよ。
お昼にしよう」と
声をかけられ、秀子は人気者だった。
美紀はマカナイをしながら
秀子に声をかける。
「三杯も食べたんだから
三人分頑張るんだよ。」
「はぁーい。」
わらいごえがわいた。
一馬がラジオの受信がきれいにできる
ようにアンテナを張ってくれた。
どうやら、ラジオはきれいに聞こえる
ようになった。
しかし、戦局のニュースばかりだった。
「わが海軍陸戦隊の精鋭は大軍艦旗を奉じて
敢然と上陸。
頼もしや、空から航空部隊が協力する。
劣弱なるイギリス軍守備兵はいち早く
守りを捨て・・」
「イギリス軍?」一馬はつぶやき、エリーがいる
ことでラジオを切った。
「治りましたね。」
と、一馬は振り向いていった。
「一馬、大丈夫。私は亀山エリーです。
亀山エリーはだれとも戦争していない。」
「その通りですね。」
その会話を美紀が聞いていた。
エマは秀子と部屋にいた。
エマは「私のお母さんをどう思う?」
と聞く。
秀子は、「どうって?」と驚いた顔を
したが・・
「敵に見える?」とエマが聞く。
「敵?見えるわけないでしょ。
クッキーくれる敵なんかいない!」
簡単明瞭である。
あははは・・・・と二人は笑った。
「早く戦争なんか終わればいい」とエマ。
「毎日毎日お国のためって学校で
言われている」と、エマが言うと
秀子は「学校へ行けてうらやましい」と
いった。
秀子は先生になりたかったことを
エマは思い出した。
今の状況では秀子は学校へいくことも
できないから、先生になれない。
夢の夢だなと、秀子が言う。
エマは「夢をあきらめないで」といった。
そして、ノートとかエンピツとか
を出してきて、あげるといった。
秀子は断ったが、「私たち友達でしょ」
とエマ。
「サンキュー」と秀子。
「ユーアーウエルカム」とエマ。
また笑った。
箸がこけても笑える年頃である。
エリーは羊羹を食べようと二人に声を
かけた。
秀子は「すげー本物の羊羹だ」と
いってよろこんだ。
秀子はノートと鉛筆をもらったこと
母に言うと美紀はそんな貴重なものを
返しなさいといった。
エリーは、「エマと秀子は友だちだから
大丈夫よ」といった。
エリーハウスを出て工場へ行く
美紀に、ある男が声をかけた。
どうもこの間から見ている
特高らしい・・・。
工場の事務所で政春はカーテンを閉めた。
ハナが特高の話をしたからだ。
なんだか、最近見かけない男がうろ
うろしていると熊虎がいったそうだ。
その話を政春にハナは告げた。
「用心したほうがいいとお父ちゃんが
いっていた。
船は7月30日にでるというけど
どうするの?」とハナはいう。
ハナはエリーは英国へ帰ったほうがいいと
いう意見だった。
が、政春は
エリーは日本に残るとがんとして
いっていることを告げた。
ハナは「自分が口を出すことではない
と思っているが、迷ったまま時間切れ
になってそのままずるずるだったら
ダメだと思う」といった。
エリーは責任感の強い女性だから
政春が冷静になって判断したら
いいのではとハナは重ねて言った。
政春は、ずっと悩んでいることだった。
ハナはそれに気が付いて、謝った。
「森野家の窮地を救ったのは政春。
感謝している。
エリーも、優しくて大好きだという。
俊夫と結婚できたのも二人のおかげ
だ。
恩人だと思っているからこそ心配
だ。いくら心は日本人だと言っても
誰がどう見たって
エリーさんは外国人だもの。
命を粗末にしたらいけない。
命が一番大事だ・・
もういわない・・ごめんなさい。
今日だけだ・・。
こんなこと言ったなんてエリーさんに
言わないでほしい。
ほんとうにごめんなさい・・」
ハナは思いのたけを話して
出て行った。
政春は、言いようのない苦痛に
ため息をついた。
その夜の夕飯のとき、
エマはエリーに言った。
「やっぱりお母さんは船に乗った
ほうがいい。」
「エマ!」政春は驚いてカーテンを閉めた。
エリーがいくら言っても
エマは船に乗るべきだという。
そして自分もついていくといった。
エリーはエマに「学校で何かあった
のか」ときく。
エマは何もないと隠した。
「なぜ二人は決断をしないのか」と
エマは不審に思った。
「英国籍に戻すには何日もかかるから
早くしないと船が出る」と心配している。
「お父さん何をのんびりしているの?
本当にお母さんのことを考えて
いるの?」
エマは声を荒げた。
「ええ加減せい!!」
政春は怒った。
エリーは、「お父さんはちゃんと考えて
いるのよ」と政春とエリーの間に
入っていった。
「エマの気持ちすごくうれしい。
だけどお母さんここにいる。」
「エマ・・・お父ちゃんに任せてくれ。
お母ちゃんはわしの世界一の嫁さんじゃ。
お母ちゃんにとって一番ええ方法を
ちゃんと考えているから。」
エリーはエマに「お母さんはここにいては
いけないの?いたらだめなの?」と
聞いた。
エマは「そんなこと言ってない」と答えた。
彼女は怖いだけだった。
もしものことを考えたら怖いのだった。
「大丈夫だから」、とエリーは言った。
しかし・・・・
翌朝、政春は離婚届を手にしていた。
*********************
この方法しかないのでしょうか。
エリーの身の安全を考えると
英国籍に戻して
船に乗せたほうがいいのでしょうかね。
この時代だから、エマが言うように
日本はおかしくなっているから
エリーが危ないのだ。
嫌でも政春は、命を守るために
離婚しようと
思ったのかも・・・。
「7月30日に横浜から出向する
エリー一緒に行こう。」
キャサリンの言った言葉が政春の
耳について離れない。
エリーのもとにヘレンから手紙が
来る。
「このままだと姉エリーの身が危なく
なる。ママも心配している。
スコットランドに帰ってきてほしい・・」
エリーは、悩んだ。
そこへ美紀が掃除をすると言って
やってきた。
エリーは「ここはプライベートな部屋だ
から、私がするから」といった。
美紀はわかりましたと言って
去って行った。
エリーはヘレンの手紙を
小さな引出しにしまった。
工場で石炭をくべる力仕事をする
秀子。
「あまり頑張るとへたばるよ」といわれ
「ここのマカナイ本当においしいんだよ。
お昼にしよう」と
声をかけられ、秀子は人気者だった。
美紀はマカナイをしながら
秀子に声をかける。
「三杯も食べたんだから
三人分頑張るんだよ。」
「はぁーい。」
わらいごえがわいた。
一馬がラジオの受信がきれいにできる
ようにアンテナを張ってくれた。
どうやら、ラジオはきれいに聞こえる
ようになった。
しかし、戦局のニュースばかりだった。
「わが海軍陸戦隊の精鋭は大軍艦旗を奉じて
敢然と上陸。
頼もしや、空から航空部隊が協力する。
劣弱なるイギリス軍守備兵はいち早く
守りを捨て・・」
「イギリス軍?」一馬はつぶやき、エリーがいる
ことでラジオを切った。
「治りましたね。」
と、一馬は振り向いていった。
「一馬、大丈夫。私は亀山エリーです。
亀山エリーはだれとも戦争していない。」
「その通りですね。」
その会話を美紀が聞いていた。
エマは秀子と部屋にいた。
エマは「私のお母さんをどう思う?」
と聞く。
秀子は、「どうって?」と驚いた顔を
したが・・
「敵に見える?」とエマが聞く。
「敵?見えるわけないでしょ。
クッキーくれる敵なんかいない!」
簡単明瞭である。
あははは・・・・と二人は笑った。
「早く戦争なんか終わればいい」とエマ。
「毎日毎日お国のためって学校で
言われている」と、エマが言うと
秀子は「学校へ行けてうらやましい」と
いった。
秀子は先生になりたかったことを
エマは思い出した。
今の状況では秀子は学校へいくことも
できないから、先生になれない。
夢の夢だなと、秀子が言う。
エマは「夢をあきらめないで」といった。
そして、ノートとかエンピツとか
を出してきて、あげるといった。
秀子は断ったが、「私たち友達でしょ」
とエマ。
「サンキュー」と秀子。
「ユーアーウエルカム」とエマ。
また笑った。
箸がこけても笑える年頃である。
エリーは羊羹を食べようと二人に声を
かけた。
秀子は「すげー本物の羊羹だ」と
いってよろこんだ。
秀子はノートと鉛筆をもらったこと
母に言うと美紀はそんな貴重なものを
返しなさいといった。
エリーは、「エマと秀子は友だちだから
大丈夫よ」といった。
エリーハウスを出て工場へ行く
美紀に、ある男が声をかけた。
どうもこの間から見ている
特高らしい・・・。
工場の事務所で政春はカーテンを閉めた。
ハナが特高の話をしたからだ。
なんだか、最近見かけない男がうろ
うろしていると熊虎がいったそうだ。
その話を政春にハナは告げた。
「用心したほうがいいとお父ちゃんが
いっていた。
船は7月30日にでるというけど
どうするの?」とハナはいう。
ハナはエリーは英国へ帰ったほうがいいと
いう意見だった。
が、政春は
エリーは日本に残るとがんとして
いっていることを告げた。
ハナは「自分が口を出すことではない
と思っているが、迷ったまま時間切れ
になってそのままずるずるだったら
ダメだと思う」といった。
エリーは責任感の強い女性だから
政春が冷静になって判断したら
いいのではとハナは重ねて言った。
政春は、ずっと悩んでいることだった。
ハナはそれに気が付いて、謝った。
「森野家の窮地を救ったのは政春。
感謝している。
エリーも、優しくて大好きだという。
俊夫と結婚できたのも二人のおかげ
だ。
恩人だと思っているからこそ心配
だ。いくら心は日本人だと言っても
誰がどう見たって
エリーさんは外国人だもの。
命を粗末にしたらいけない。
命が一番大事だ・・
もういわない・・ごめんなさい。
今日だけだ・・。
こんなこと言ったなんてエリーさんに
言わないでほしい。
ほんとうにごめんなさい・・」
ハナは思いのたけを話して
出て行った。
政春は、言いようのない苦痛に
ため息をついた。
その夜の夕飯のとき、
エマはエリーに言った。
「やっぱりお母さんは船に乗った
ほうがいい。」
「エマ!」政春は驚いてカーテンを閉めた。
エリーがいくら言っても
エマは船に乗るべきだという。
そして自分もついていくといった。
エリーはエマに「学校で何かあった
のか」ときく。
エマは何もないと隠した。
「なぜ二人は決断をしないのか」と
エマは不審に思った。
「英国籍に戻すには何日もかかるから
早くしないと船が出る」と心配している。
「お父さん何をのんびりしているの?
本当にお母さんのことを考えて
いるの?」
エマは声を荒げた。
「ええ加減せい!!」
政春は怒った。
エリーは、「お父さんはちゃんと考えて
いるのよ」と政春とエリーの間に
入っていった。
「エマの気持ちすごくうれしい。
だけどお母さんここにいる。」
「エマ・・・お父ちゃんに任せてくれ。
お母ちゃんはわしの世界一の嫁さんじゃ。
お母ちゃんにとって一番ええ方法を
ちゃんと考えているから。」
エリーはエマに「お母さんはここにいては
いけないの?いたらだめなの?」と
聞いた。
エマは「そんなこと言ってない」と答えた。
彼女は怖いだけだった。
もしものことを考えたら怖いのだった。
「大丈夫だから」、とエリーは言った。
しかし・・・・
翌朝、政春は離婚届を手にしていた。
*********************
この方法しかないのでしょうか。
エリーの身の安全を考えると
英国籍に戻して
船に乗せたほうがいいのでしょうかね。
この時代だから、エマが言うように
日本はおかしくなっているから
エリーが危ないのだ。
嫌でも政春は、命を守るために
離婚しようと
思ったのかも・・・。
