遠くて近きは男女の仲5
英一郎の死に急きょエリーと政春は
大阪に向かった。
この時代の汽車の旅はどこくらい
かかるんだろうと思う。
英一郎は亀山宅に下宿していた
時代から政春たちと家族同然の
間柄だった。
エリーは涙をながした。
葬儀が終わり工場の樽のある場所に
鴨居を訪ねた。
鴨居はじっと樽を見ていた。
「遠いところからわざわざおおきにな。
びっくりしたろ?」
エリーは鴨居に悲しみを伝える
ハグをした。
「おおきにエリーちゃん、おおきに。」
「このたびはなんというたらええんか・・」
政春が声を詰まらせた。
「他人行儀な挨拶は、なしや。
これな、あいつが初めて仕込んだ原酒や。
ちょっと飲んでみてくれ。」
鴨居は一つの樽をあけて、グラスについだ。
政春は確かめるようにグラスを回した。
そして香りをかぎ、口に含んだ。
「どうや?うまいか?」
「うまいです・・。」と政春。
「おいしい・・・。」とエリー。
「うそつけ」、鴨居はグイッと飲んで
「まだ、わかい・・・」といった。
もう一度
「・・若すぎる・・・・。」
と。
鴨居の言葉はウイスキーの熟成の
出来ではなくて
英一郎の死が早すぎることを
言うているのだろうね。
英一郎は、心臓の発作でなくなった
という。
「この工場で倒れてあっという間に
いってしもうた。
人間、親より先に死んだらあかん
あいつは一番やったらあかんことをしよった。
親不孝者が。
二人には英一郎が一番大変な時に
面倒見てくれて本当に感謝している。
おおきに。」
英一郎はいつも二人のことを話していたという。
北海道はどうやろか?
ウヰスキーはうまいこと言っているやろか
二人は元気だろうか
工場長やったらどうするやろか?
工場長には負けたくない・・
毎日のようにそんな話をしていたと
いう。
マッサンのウイスキーを造る
喜びの種が英一郎の中で花開いた
のだが・・・・。
あまりにも早すぎる死に、政春は
悲しかった。
「大将、マル瓶のましてもらいました。
うまかった。」
「おまえのおかげや
おまえのおかげでマル瓶は売れた。
おまえがおらなんだら
鴨居商店はウイスキーを造れへん
かった。」
英一郎もいっていたという。
「はよ、マッサンが北海道で作る
ウイスキーを飲んでみたい」と。
「北海道で納得のいくウヰスキーができたら
英一郎の墓にも備えたってくれ。
たのんだで。」
政春は・・・神妙な面持ちで
「はい」、と答えた。
「マッサン・・・エリーちゃん・・・
おおきに!!!」
鴨居が頭を下げた。
こひのぼりにいくと
あの大阪の友人たちが
「せえのっ」といって
ふたりを一斉に「お帰り~~~」と
迎えた。
そして、
歌を歌ってくれた。
故郷の空である。
「はるさん、音程はずさんといて」
「なに?外れてへんで。」
と、いつものにぎやかさは
健在だった。
「乾杯して、大きな声で歌を歌ったら
悲しいことも忘れるやろ。」
と、キャサリンが言う。
「積るはなしはあとあと。
くいっと、ほら、くいっと・・・」
飲めと言われて、政春とエリーは
お酒を飲んだ。
エリーもマッサンも事情をさっして
励ましてくれる大阪の仲間たちに
感謝した。
山崎の工場のオープニングで
ありしひの英一郎がこんなあいさつをした。
「わが社のウヰスキーには人をいとしんだ時間が
詰まっています。
私たちもこのウイスキーとともに
もっと、もっと
成長していきたいと願っています。」
英一郎と
ふたりで初めて醸造した樽を開けた日
の感動。
そして、
北海道へ行くときめたとき、英一郎が訪ねて
きてくれたこと。
「今度は僕がお二人の背中を押す番だと・・・」
そういって、ウヰスキー研究所の看板を
手渡してくれたこと。
「頑張ってください。」
政春は自宅でそんなことを考えているうちに
ある考えにたどり着いた。
*****************
マッサンは
攻めていくことを決意したのだろうか?
いよいよ、ウイスキーづくりがはじまる
のだろうか?
この先が読めない~~~。
史実はどうあれ、ドラマはこれからが
大きな山になるのだろうと
思う。
いまは、ハッピーとアンハッピーが
入れ代わり立ち代わりかもしれないけど
人生山あり谷あり。
登るときも下るときも
隣にエリーがいてくれたら
マッサンはきっと
乗り越えられるんだろうね。
それがドラマの主題だから・・・。
でも一番、大変なのは戦争という
悲劇が待っていることだと思うけど。
英一郎の死に急きょエリーと政春は
大阪に向かった。
この時代の汽車の旅はどこくらい
かかるんだろうと思う。
英一郎は亀山宅に下宿していた
時代から政春たちと家族同然の
間柄だった。
エリーは涙をながした。
葬儀が終わり工場の樽のある場所に
鴨居を訪ねた。
鴨居はじっと樽を見ていた。
「遠いところからわざわざおおきにな。
びっくりしたろ?」
エリーは鴨居に悲しみを伝える
ハグをした。
「おおきにエリーちゃん、おおきに。」
「このたびはなんというたらええんか・・」
政春が声を詰まらせた。
「他人行儀な挨拶は、なしや。
これな、あいつが初めて仕込んだ原酒や。
ちょっと飲んでみてくれ。」
鴨居は一つの樽をあけて、グラスについだ。
政春は確かめるようにグラスを回した。
そして香りをかぎ、口に含んだ。
「どうや?うまいか?」
「うまいです・・。」と政春。
「おいしい・・・。」とエリー。
「うそつけ」、鴨居はグイッと飲んで
「まだ、わかい・・・」といった。
もう一度
「・・若すぎる・・・・。」
と。
鴨居の言葉はウイスキーの熟成の
出来ではなくて
英一郎の死が早すぎることを
言うているのだろうね。
英一郎は、心臓の発作でなくなった
という。
「この工場で倒れてあっという間に
いってしもうた。
人間、親より先に死んだらあかん
あいつは一番やったらあかんことをしよった。
親不孝者が。
二人には英一郎が一番大変な時に
面倒見てくれて本当に感謝している。
おおきに。」
英一郎はいつも二人のことを話していたという。
北海道はどうやろか?
ウヰスキーはうまいこと言っているやろか
二人は元気だろうか
工場長やったらどうするやろか?
工場長には負けたくない・・
毎日のようにそんな話をしていたと
いう。
マッサンのウイスキーを造る
喜びの種が英一郎の中で花開いた
のだが・・・・。
あまりにも早すぎる死に、政春は
悲しかった。
「大将、マル瓶のましてもらいました。
うまかった。」
「おまえのおかげや
おまえのおかげでマル瓶は売れた。
おまえがおらなんだら
鴨居商店はウイスキーを造れへん
かった。」
英一郎もいっていたという。
「はよ、マッサンが北海道で作る
ウイスキーを飲んでみたい」と。
「北海道で納得のいくウヰスキーができたら
英一郎の墓にも備えたってくれ。
たのんだで。」
政春は・・・神妙な面持ちで
「はい」、と答えた。
「マッサン・・・エリーちゃん・・・
おおきに!!!」
鴨居が頭を下げた。
こひのぼりにいくと
あの大阪の友人たちが
「せえのっ」といって
ふたりを一斉に「お帰り~~~」と
迎えた。
そして、
歌を歌ってくれた。
故郷の空である。
「はるさん、音程はずさんといて」
「なに?外れてへんで。」
と、いつものにぎやかさは
健在だった。
「乾杯して、大きな声で歌を歌ったら
悲しいことも忘れるやろ。」
と、キャサリンが言う。
「積るはなしはあとあと。
くいっと、ほら、くいっと・・・」
飲めと言われて、政春とエリーは
お酒を飲んだ。
エリーもマッサンも事情をさっして
励ましてくれる大阪の仲間たちに
感謝した。
山崎の工場のオープニングで
ありしひの英一郎がこんなあいさつをした。
「わが社のウヰスキーには人をいとしんだ時間が
詰まっています。
私たちもこのウイスキーとともに
もっと、もっと
成長していきたいと願っています。」
英一郎と
ふたりで初めて醸造した樽を開けた日
の感動。
そして、
北海道へ行くときめたとき、英一郎が訪ねて
きてくれたこと。
「今度は僕がお二人の背中を押す番だと・・・」
そういって、ウヰスキー研究所の看板を
手渡してくれたこと。
「頑張ってください。」
政春は自宅でそんなことを考えているうちに
ある考えにたどり着いた。
*****************
マッサンは
攻めていくことを決意したのだろうか?
いよいよ、ウイスキーづくりがはじまる
のだろうか?
この先が読めない~~~。
史実はどうあれ、ドラマはこれからが
大きな山になるのだろうと
思う。
いまは、ハッピーとアンハッピーが
入れ代わり立ち代わりかもしれないけど
人生山あり谷あり。
登るときも下るときも
隣にエリーがいてくれたら
マッサンはきっと
乗り越えられるんだろうね。
それがドラマの主題だから・・・。
でも一番、大変なのは戦争という
悲劇が待っていることだと思うけど。
