遠くて近きは男女の仲4
「おら、俊夫さんが好きだ。
俊夫さんはおらのことどう思う?」
ハナが先制攻撃をかけた。
なさけないぞ、俊夫。
答えられない俊夫。
「どう思っているの?」
また聞くハナ。
俊夫はためいきをついた。
そして半分笑った。
「わしは、父親を知らん。
物心つく前に病気で死んで
母親に育てられて
その母親もわしが二十歳になる前
に、病気で死んだ。
だから、わしは親父に褒められたとはない
親父に怒られたこともない。
お母ちゃんと仲良くしているところも
夫婦げんかも見たことがない。
自信がないんじゃ
嫁さんもろたり
人の親になったら
どのようにしたらええんか。
よう、わからんのじゃ。」
じっと聞くエリーと政春。
ハナは・・・「いいわけだ」という。
「自信なんか誰も持ってない
そんなもの、意気地なしのいいわけだ。
それが俊夫さんの答え??」
そりゃ、なさけないわ・・・。
ちょっと風向きが変わった。
「わかった・・・。」
俊夫は行こうとするハナを待てと止めた。
「わしは意気地なしだが、ハナ
わしは
ハナのことが・・・
・・・・じゃ。」
「え??
なんて?」
「じゃけん。。ハナのことが
・・・じゃ。」
「はっきり言って」
「じゃけん、ハナわしの嫁になれ!!!」
ハナは笑って
「嫌だ」といった。
「え??」
「偉そうに。命令される筋合いじゃない。」
「どういったらええんじゃ?」
「自分で考えろ」とハナ。
「なんだと?」
政春が止めに入った。
ハナは、「おらはたとえ嫁になっても
何でも旦那の言いなりになるつもりはない。」
そりゃ、そうだ。
「何じゃその言い方は!!」
俊夫が怒った。
政春はなんでそうなるんじゃと
俊夫を止めた。
エリーは、ハナに落ち着いて。という。
政春は「言い合いをしている場合じゃ
なかろうが!」
と俊夫に言った。
縁談を進めるかもしれない熊虎に
お願いしに行くしかない。
「早よせんと手遅れになる。」
「手遅れ?」
政春は、俊夫の襟首をつかんで
熊虎の囲炉裏端にいった。
一馬もいた。
「熊さん、俊夫が話があるんじゃと。」
「そんな急がんでも・・・」と俊夫。
熊虎は、「何の話だ?」と聞く。
「へえ?偉く早いな」と、一馬。
何を感心しているのか?
俊夫がプロポーズをすることを
しっているのか?
エリーは、ハナを座らせ
政春も俊夫を座らせた。
じたばたする俊夫は
ちゃんと話せという政春のいう
とおりに囲炉裏端に座った。
「早く・・・」
とか、
「ちゃんと話せ」とか
外野から声がかかる。
俊夫は熊虎を前に
緊張した。
情けない~~~
ハナちゃん~~こんなのでいいのぉ??
「熊さん・・・」と俊夫が話を始めた。
「ハナ・・ハナさんとぉ・・・」
「ええ?」と熊虎。
「ハナさんと!!」一段と大声に
なった俊夫。
すると熊虎は、何を思ったのか
「いけね、今度山へ行くから鉄砲を
磨いとかねば!」といって立ち上がった。
政春は、「熊さん、鉄砲なんか後で磨いて
下さい」といって熊虎を座らせた。
俊夫が
「ハナさんと・・・」というと
「あ、釣竿はどこへいったかな?」とまた
熊虎が立ち上がった。
政春は必死で「あとで!」といって熊虎を
座らせた。
熊虎はじっと俊夫を見た。
俊夫は観念したのか
ハナと
夫婦にならせてつかあさい!!!
お願いします!!!」
といって頭を床にこすりつけた。
熊虎はハナを見て
また俊夫を見た。
怖い顔である・・・・が
真剣な顔なんであろう。
エリーはじっと熊虎を見た。
「本当にいいのか?」
熊虎はハナを見て言った。
「うん。」
「俊夫でいいのか?」
俊夫は起き上がった。
ハナは大きく
「うん、」といった。
熊虎はうなだれた・・・・。
万事休すだ。
そして、いきなり俊夫に掴み
かかった。
「としおぉおお!!
もし、ハナを不幸にしたら
どうなっか
覚悟してんだべな!!!!」
襟ぐりをつかまれた俊夫。
「どうなんだぁ?
覚悟はあんのかぁ???」
大声で叫んだ。
俊夫は真剣な顔でいった。
「必ず、幸せにします!!!」
熊虎も、睨み付けながら
いった。
「約束だぞ!!!」
「はい!!」
熊虎はその場から去って行った。
エリーは、「あああ・・
俊夫さん、
おめでとう!!」といった。
政春も「よかったのう~~」と
祝福する。
一馬も、おめでとうといった。
みんなでおめでとうと
拍手をして俊夫をたたえた。
俊夫は、
「腰が立たない・・・」と
いった。
ハナはしっかりしてよという。
「いたた・・・」
腰が抜けた俊夫だった。
「ねえちゃんよかったな」と一馬。
「死ぬかと思った」と俊夫。
そして、ハナと俊夫の結婚をお祝いする
パーティが
開かれました。
「乾杯!!」と
日本酒で喜び合う。
森野家と亀山家、そして
西田進と、中島チエがいた。
進は、あのリンゴ農家の長男の
話に未練があるのか
「ほんとうにいいのかな~~」と
いう。
「会津のおなごには会津の男がいい」と
いうが、ハナは「北海道生まれだから」
という。
「本当にいいのか」と熊虎に聞く。
熊虎は「ハナが決めたことだから」と
いう。
「いい男だと思うんだけどな。
背も高いし・・・」
「そこを強調して言わんでも。」と
俊夫は反論した。
みんなが笑った。
そこへ遅くなってと中島がやって
きた。
手に持っていたのはウイスキーだった。
鴨居ウヰスキーのマル瓶だという
一本12円だという。それにおまけが
ついてくるという。
おまけとはグラスだった。
飲んでみると
おいしいとのことだった。
飲みやすくなっている。
熊虎はマッサンが作るまで
洋酒は飲まないといった。
「ウヰスキーの時代を作るのは
マッサンだ」と熊虎は言う。
思いがけないところで
鴨居のウヰスキーを見てしまった。
政春は家に帰って考え事を
していた。
エリーは俊夫とハナのことを
喜びながら
政春の顔を見て気が付いた。
「焦らなくていいよ。
リンゴのワインもあるし
リンゴゼリーもあるよ。」
それを作るために北海道へ
やってきたのではない。
造りたいのはウイスキーだった。
鴨居はすでに飲みやすいウイスキーを
造っていた。
大きく、差がついてしまっている。
そこに一馬が電話だといって政春を
呼びに来た。
「大阪の鴨居商店さんからです。」
政春は、驚いた。
そして電話口に出ると
鴨居が話をし始めた。
・・・
「わかりました。
わざわざありがとうございます。
失礼します・・・。」
受話器を置いた。
「英一郎が・・
亡くなってしもうた。」
「亡くなった?」
エリーは驚いた。
鴨居は、英一郎を亡くして
呆然としていた。
******************
泣いたり笑ったりの
ハナと俊夫の婚約騒動
だった。
こんな男でいいのかと
聞かれても、ハナが
決めることだし。
確かに俊夫には家もない、
金もない・・・。
俊夫でいいのかといいたくなる
だろう。
だが、俊夫は職人としての頑固さと
意地をもっている。
それがあれば、どうにかやって
いけれるはずだと思うし。
なんにせよ、熊虎のそばに
ハナがいることができる。
孫が生まれても
わざわざ出かけることもなく
面倒も見ることができる。
ハナと別れなくていいのは
熊虎にとってラッキーである
はずである。
いまに、一馬も嫁さんをもらう。
にぎやかな、家族になる。
父にも母にも恵まれなかった
俊夫、母と早くに分かれた
ハナ。
新しい家族を作って今度こそ
にぎやかに、幸せにと願う。
それには・・・
マッサンが
ウイスキーを造らねば・・・ならない
のです。俊夫はジュースを作るために
広島から来たのではないのです。
しかし
英一郎は、なぜ・・・
亡くなったのでしょうか。
そして鴨居商店の未来は?
「おら、俊夫さんが好きだ。
俊夫さんはおらのことどう思う?」
ハナが先制攻撃をかけた。
なさけないぞ、俊夫。
答えられない俊夫。
「どう思っているの?」
また聞くハナ。
俊夫はためいきをついた。
そして半分笑った。
「わしは、父親を知らん。
物心つく前に病気で死んで
母親に育てられて
その母親もわしが二十歳になる前
に、病気で死んだ。
だから、わしは親父に褒められたとはない
親父に怒られたこともない。
お母ちゃんと仲良くしているところも
夫婦げんかも見たことがない。
自信がないんじゃ
嫁さんもろたり
人の親になったら
どのようにしたらええんか。
よう、わからんのじゃ。」
じっと聞くエリーと政春。
ハナは・・・「いいわけだ」という。
「自信なんか誰も持ってない
そんなもの、意気地なしのいいわけだ。
それが俊夫さんの答え??」
そりゃ、なさけないわ・・・。
ちょっと風向きが変わった。
「わかった・・・。」
俊夫は行こうとするハナを待てと止めた。
「わしは意気地なしだが、ハナ
わしは
ハナのことが・・・
・・・・じゃ。」
「え??
なんて?」
「じゃけん。。ハナのことが
・・・じゃ。」
「はっきり言って」
「じゃけん、ハナわしの嫁になれ!!!」
ハナは笑って
「嫌だ」といった。
「え??」
「偉そうに。命令される筋合いじゃない。」
「どういったらええんじゃ?」
「自分で考えろ」とハナ。
「なんだと?」
政春が止めに入った。
ハナは、「おらはたとえ嫁になっても
何でも旦那の言いなりになるつもりはない。」
そりゃ、そうだ。
「何じゃその言い方は!!」
俊夫が怒った。
政春はなんでそうなるんじゃと
俊夫を止めた。
エリーは、ハナに落ち着いて。という。
政春は「言い合いをしている場合じゃ
なかろうが!」
と俊夫に言った。
縁談を進めるかもしれない熊虎に
お願いしに行くしかない。
「早よせんと手遅れになる。」
「手遅れ?」
政春は、俊夫の襟首をつかんで
熊虎の囲炉裏端にいった。
一馬もいた。
「熊さん、俊夫が話があるんじゃと。」
「そんな急がんでも・・・」と俊夫。
熊虎は、「何の話だ?」と聞く。
「へえ?偉く早いな」と、一馬。
何を感心しているのか?
俊夫がプロポーズをすることを
しっているのか?
エリーは、ハナを座らせ
政春も俊夫を座らせた。
じたばたする俊夫は
ちゃんと話せという政春のいう
とおりに囲炉裏端に座った。
「早く・・・」
とか、
「ちゃんと話せ」とか
外野から声がかかる。
俊夫は熊虎を前に
緊張した。
情けない~~~
ハナちゃん~~こんなのでいいのぉ??
「熊さん・・・」と俊夫が話を始めた。
「ハナ・・ハナさんとぉ・・・」
「ええ?」と熊虎。
「ハナさんと!!」一段と大声に
なった俊夫。
すると熊虎は、何を思ったのか
「いけね、今度山へ行くから鉄砲を
磨いとかねば!」といって立ち上がった。
政春は、「熊さん、鉄砲なんか後で磨いて
下さい」といって熊虎を座らせた。
俊夫が
「ハナさんと・・・」というと
「あ、釣竿はどこへいったかな?」とまた
熊虎が立ち上がった。
政春は必死で「あとで!」といって熊虎を
座らせた。
熊虎はじっと俊夫を見た。
俊夫は観念したのか
ハナと
夫婦にならせてつかあさい!!!
お願いします!!!」
といって頭を床にこすりつけた。
熊虎はハナを見て
また俊夫を見た。
怖い顔である・・・・が
真剣な顔なんであろう。
エリーはじっと熊虎を見た。
「本当にいいのか?」
熊虎はハナを見て言った。
「うん。」
「俊夫でいいのか?」
俊夫は起き上がった。
ハナは大きく
「うん、」といった。
熊虎はうなだれた・・・・。
万事休すだ。
そして、いきなり俊夫に掴み
かかった。
「としおぉおお!!
もし、ハナを不幸にしたら
どうなっか
覚悟してんだべな!!!!」
襟ぐりをつかまれた俊夫。
「どうなんだぁ?
覚悟はあんのかぁ???」
大声で叫んだ。
俊夫は真剣な顔でいった。
「必ず、幸せにします!!!」
熊虎も、睨み付けながら
いった。
「約束だぞ!!!」
「はい!!」
熊虎はその場から去って行った。
エリーは、「あああ・・
俊夫さん、
おめでとう!!」といった。
政春も「よかったのう~~」と
祝福する。
一馬も、おめでとうといった。
みんなでおめでとうと
拍手をして俊夫をたたえた。
俊夫は、
「腰が立たない・・・」と
いった。
ハナはしっかりしてよという。
「いたた・・・」
腰が抜けた俊夫だった。
「ねえちゃんよかったな」と一馬。
「死ぬかと思った」と俊夫。
そして、ハナと俊夫の結婚をお祝いする
パーティが
開かれました。
「乾杯!!」と
日本酒で喜び合う。
森野家と亀山家、そして
西田進と、中島チエがいた。
進は、あのリンゴ農家の長男の
話に未練があるのか
「ほんとうにいいのかな~~」と
いう。
「会津のおなごには会津の男がいい」と
いうが、ハナは「北海道生まれだから」
という。
「本当にいいのか」と熊虎に聞く。
熊虎は「ハナが決めたことだから」と
いう。
「いい男だと思うんだけどな。
背も高いし・・・」
「そこを強調して言わんでも。」と
俊夫は反論した。
みんなが笑った。
そこへ遅くなってと中島がやって
きた。
手に持っていたのはウイスキーだった。
鴨居ウヰスキーのマル瓶だという
一本12円だという。それにおまけが
ついてくるという。
おまけとはグラスだった。
飲んでみると
おいしいとのことだった。
飲みやすくなっている。
熊虎はマッサンが作るまで
洋酒は飲まないといった。
「ウヰスキーの時代を作るのは
マッサンだ」と熊虎は言う。
思いがけないところで
鴨居のウヰスキーを見てしまった。
政春は家に帰って考え事を
していた。
エリーは俊夫とハナのことを
喜びながら
政春の顔を見て気が付いた。
「焦らなくていいよ。
リンゴのワインもあるし
リンゴゼリーもあるよ。」
それを作るために北海道へ
やってきたのではない。
造りたいのはウイスキーだった。
鴨居はすでに飲みやすいウイスキーを
造っていた。
大きく、差がついてしまっている。
そこに一馬が電話だといって政春を
呼びに来た。
「大阪の鴨居商店さんからです。」
政春は、驚いた。
そして電話口に出ると
鴨居が話をし始めた。
・・・
「わかりました。
わざわざありがとうございます。
失礼します・・・。」
受話器を置いた。
「英一郎が・・
亡くなってしもうた。」
「亡くなった?」
エリーは驚いた。
鴨居は、英一郎を亡くして
呆然としていた。
******************
泣いたり笑ったりの
ハナと俊夫の婚約騒動
だった。
こんな男でいいのかと
聞かれても、ハナが
決めることだし。
確かに俊夫には家もない、
金もない・・・。
俊夫でいいのかといいたくなる
だろう。
だが、俊夫は職人としての頑固さと
意地をもっている。
それがあれば、どうにかやって
いけれるはずだと思うし。
なんにせよ、熊虎のそばに
ハナがいることができる。
孫が生まれても
わざわざ出かけることもなく
面倒も見ることができる。
ハナと別れなくていいのは
熊虎にとってラッキーである
はずである。
いまに、一馬も嫁さんをもらう。
にぎやかな、家族になる。
父にも母にも恵まれなかった
俊夫、母と早くに分かれた
ハナ。
新しい家族を作って今度こそ
にぎやかに、幸せにと願う。
それには・・・
マッサンが
ウイスキーを造らねば・・・ならない
のです。俊夫はジュースを作るために
広島から来たのではないのです。
しかし
英一郎は、なぜ・・・
亡くなったのでしょうか。
そして鴨居商店の未来は?
