負うたこに教えられる5
エマに本当の親子関係を
話したエリーたちだった。

朝・・・
学校の廊下でよしえとあった。
よしえは「父兄参観の作文かけたか」
と聞く。
「まだ」と答えるとよしえもそうらしく
「ほんとうのころ書くわけにいかないから
難しいよね」という。

「ほんとうのこと??」
エリーは昨夜政春から聞いたことを
おもいだした。

工場ではリンゴジュースという名前を
リンゴ汁という名前に変更するため
在庫のラベルの張り替えをする
作業を政春は説明した。

ラベルを張りかえると売れるのかという
問題だった。
工員さんたちも不安のようである。

ハナはエリーに本当のことが言えてよかったと
いうが・・・
エリーは少し心配だという。

そこへ「ただいま~~」とエマが帰って
来た。
エリーは「お帰り」という。
「エマ?
おやつは?」

「あとでいい」

といって部屋に入るエマ。

靴もそろえてある。

なんだか心配になるエリー。

エマは、作文を前に悩んでいた。
しかし、憮然として作文の上に
教科書を置いた。

エリーは忙しい政春に相談したが
一段落したら見に行くといった。

エリーはリビングでエマのことを思って
いた。
そしてエマの部屋に行くと
エマは机の上にうつぶせになっていた。
「どうしたの?」
すごい熱がでていた。
エリーは驚いた。

そして、医者を呼んだが・・・・

熊虎は大げさだというが
父兄参観の話と作文の話を
エリーたちにした。

エリーたちはそんなことは
知らなかった。

熱にうなされるエマのそばについて
いるエリー。

時々
「おかあさん」といって手を布団から
出すエマ。

エリーはエマはどのお母さんを
呼んでいるのかと
疑問に思った。

政春は「エマの母親はエリーしかいない」と
いった。
その夜もエマは「お母さん」と
うわごとをいった。
エリーはエマの手を握った。

エマと初めて会った日。
おてんばで口の減らないエマ。
お母さんのことバカにされて
悔しくてと泣いたエマ。

「何があっても私がエマのお母さん
だよ・・・」とエリーは言った。

翌朝、エマが目を覚ますと
お母さんがそばにいた。

「お母さん?」
「エマ?」
「ずっといてくれたの?」

エリーはエマの熱が下がったことを
喜んだ。

政春も喜んだ。

おひるすぎのこと
エマはおかゆは食べない。
まだ食べたくないという。

そこへ、「こんにちは~~」と
よしえの声がした。
「よっちゃんだ」。とエマは言った。

よしえはお見舞いに来た
何とタケシまで連れてきた。

エリーは驚いた。
「タケシ、早く!!」

タケシはエリーを見てぺこっと
頭を下げた。

部屋に案内するエリー。

エマはむっとした。

よしえは、「タケシが自分のせいで
エマが熱を出したのではないかと
いうので連れてきた」という。

エリーは「クッキー持ってくるね」と
言って部屋を出た。

タケシは、「この間はおとうちゃんがいたから
言えなかったけど・・」
エマがうらやましかったという。

タケシは母を亡くしてエマのように
母親に抱かれたことがないという。

母親は病気で死んでしまった。

「エマにはきれいなお母ちゃんがいて
毎日おいしそうな弁当をつくって
くれていて、
忘れたら、学校まで持ってきて
くれて・・・だから・・・

ほんとうにごめんな!!」


エマは、「もういいよ、」といった。

よしえは「よかったねタケシ」という。
そして「もうひとつ言うことがある
でしょ?」といった。
「いい加減正直に言ったらどう?
タケシはエマのことが好きなんでしょ?」

タケシは首を振ったが・・・
「とぼけたってだめよ」と
言われた。

そんなやりとりをエリーは廊下で
聞いていた。

「見てたらわかるよ、ほら、
真っ赤になった。」

エリーは笑ってクッキーとリンゴジュース
を持って入った。
子供たちは、喜んだ。
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一難去って、笑顔の家族となった。
タケシもいい子だった。
あんなきれいで、やさしそうで
お弁当がおいしそうなお母さん・・
忘れ物をしたら学校に持って
来てくれて・・。

子供のころ、きれいなお母さんと
いうのは、やはり話題だった。
どこのお母さんがきれいだとか
やさしいとか・・・。
それがうらやましかった。
うちは働いていたので忘れ物を
しても、誰も持ってきてくれない。
だから、持ってきてくれるおうち
の子がうらやましかった。

タケシの気持ちはよくわかる。
だから、わたしは専業主婦になり
子供たちが安心して学校へ
いき、安心してただいま~~と
帰ってくる家にした。
反動?
かもしれない。

そのうち、中学生になるころには
きれいなお母さんというよりは
働いているお母さんのほうが
なぜか魅力に思えた。

子供は勝手なものである。