人間いたるところ青山あり5
河の流れを見ながら
政春は先ほどの
進の話をたどりながら
ある決意をする。
「熊虎さんの家を出よう。
これから工場を建てる土地を購入
しようという時に、うらぎりもの
呼ばわりされている熊虎の家に
いるのは仲間と思われて
りんごの仕入れもできない。
マイナスかもしれない」と
思った。
「熊さんを頼ったわしがいけんかった
のかのう・・・」。
エリーは、「熊さんと一馬を
仲直りさせてあげたい。
だから、家を出たくないわ。」
という。
政春は驚いた。
いつものエリーの博愛主義である。
政春は「北海道はもっとおおらかで
皆が力を合わせて生きる夢の大地だと
思ってやってきたのに・・。」といった。
「マッサン何を言っているの?
自由で夢のある大地にマッサンがする
のでしょ?
簡単にあきらめないで。」
エリーは空を見た。
「青い・・・大きい
この空は、大阪にも
広島にも・・・
スコットランドにも
続いている。
マッサン、私ここが好き。
空気がきれい
水がおいしい
家族のことを大事に大事に
思う人がいる。
マッサン???」
政春はなにかほかの道を
探そうと考えた。
そして森野宅へ帰った。
そこに、進が来た。
借金取りとなった武井と一緒
である。
進は一馬を呼んだ。
熊虎は何事だというが。
進は取り合わない。
武井は「あんたにはもうようはない」と
いった。
熊虎は「何?」と怒った。
進は「一馬、一馬、早く持って来い」と
大声で言う。
ハナが帰ってきた。
一馬がもってきたのはこの家の
権利書だった。
それをこともあろうに進に渡した。
そしてそれを武井がもって出て行こうと
した。
武井は「権利書をもらったらこの家は
こっちのもんだ。
札幌の裁判所だってそういって
くれるから」という。
熊虎は一馬を責めた。
「あきらめろ
こうするしか方法はないんだ」と
一馬はいう。
進も、「こうするしかない。
おとなしく息子の言うことを聞け」という。
熊虎は権利書を取り返そうと
タンスの引き出しから
刀を出した。
そして武井に向かった。
「おまえの妻が長いこと病気で
臥せっていた時には息子と奥さんに
いつも土産を持たせてやったことを
忘れたのか」と武井を攻めた。
進は「兄さん、落ち着け」と熊虎を
抑えようとする。
武井は「時代が変わったんだ」という。
「侍の時代も、ニシンの時代も終わった。」
とにかく、刀をおさめろというが
刀がさびてぬけない。
武井は笑った。
熊虎は武井を追いかけた。
やめろ、やめろと言われても
追いかけた。
武井は二階からころがり
落ちた。
そして
「あと三日だけ待ってやる」と
いって帰って行った。
熊虎は権利書を取り戻した。
一馬はいった。
「会津の魂だと
笑わせるな。
おㇻやねぇちゃんをほったらかし
だったくせに、武さんの家族には
土産までもたせていたのかよ。
外面だけはよかったからな。」
「兄さん、一馬の気持ちもわかってやれ。
北海道大学へ行って農業の勉強を
したかった。
ハナも小学校の準教員をやめたのも
借金のせいだ。
二人の人生を狂わしてしまった。」
一馬は母親はもっと苦労したと話した。
「親父が殺したようなものだ」と
いった。
ハナは「言い過ぎたよ」と一馬に言う。
熊虎は「なんだとぉ」といって一馬をつかみに
いく。
一馬は熊虎を殴り倒した。
政春は一馬にいった。
「熊さんに謝れ。
どがな理由があっても
子供が親に手を挙げてはいかん。
ほら!!!
一馬!!」
政春は一馬を熊虎の前に
ひっぱってきた。
一馬は言いよどんでいた。
が、「ごめん」と小さくいった。
エリーは、「大事にしていたのよ」と
いった。
「熊さん、お母さんを大事にしていた
のよ。
熊さんはお母さんを愛していたのよ。
だからお母さんのためにニシンを取って
やっとこの家を建てたのよ。
お母さんはよくわかっているのよ。」
「知らないだろ。
かあちゃんがどれほど苦労したか。」
「お母さんは熊さんを愛していたのよ。
愛してる人のために頑張る。
愛している人の夢を応援する。
あたりまえ。」
ハナはいった。
「一馬は小さかったからしらねぇべ。
おㇻちゃんと覚えている。
かあちゃんがこの家ができるのを
たのしみにしていたことを。」
「熊さん、どうしてちゃんと言わないの?
この家守りたい、シノさんのためでしょ?
喜ぶ顔を見たい。
だからがんばったって。」
「違う・・
おらシノを幸せにしてやれなかった。
だから、シノのためにも
残されたハナや一馬のためにも
故郷を残してやりたかった。
物心ついた時おらたちは逆族と
言われていた。その意味が分かったのは
北海道に来てからだ。
会津の人間は死んでも葬式も出せなかった。
会津のためにはお経を読まないと坊さんにも
いわれた。
だから、子供たちが巣立った後でも
いつでも帰ってこれるように
故郷をこしらえることだった。
この家を建ててやっとこさ長年の夢が
かなった。
みんなで飯が食えて
力いっぱい働いて
安心して子育てができる。
だから何を言われても
ここだけは手放したくなかった。
おらたち家族の帰れる場所。
故郷なんだ!!」
泣きながら叫ぶ熊虎だった。
熊虎は政春にいった。
「おめぇここで殿様になるって言ったべ?
この北海道に新しい時代を
造るために来たんだべ?」
「はい・・・。」
熊虎は権利書を出した。
そして政春に差し出した。
「おらの夢を受けついてくれねぇか?」
政春は、驚いた。
エリーも・・・・。
*********************
大変なことになりました。
もし、熊虎を頼らずに余市に来たら
こんなことにならなかったと
思います。
こんなこと?
こうして、政春は北海道で生きるつらさや
楽しさを知っている森野家と
であったことで、その影響を受ける
のだろうなと思いました。
そして、北海道を故郷にすると
決意したんだろうなと
思いました。
それほど強くふるさとを思い描いて
いた熊虎に、感動しました。
一馬やハナの人生は思い通りに
行かなかったかもしれないけど
まだ、まだ若いから可能性はある
わけで、北海道大学へいきたかったら
まだまだ、働いておかねをためて・・
しかし、莫大な借金をせおっている限り
多少のお金ではどうしようもないわけで
ある。
マッサンは、真剣に悩む。
この土地を買うべきか・・・どうか・・
マッサンは・・・
救世主になれるのか????
といっても救世主になるために
ここにきたわけではないので・・・
河の流れを見ながら
政春は先ほどの
進の話をたどりながら
ある決意をする。
「熊虎さんの家を出よう。
これから工場を建てる土地を購入
しようという時に、うらぎりもの
呼ばわりされている熊虎の家に
いるのは仲間と思われて
りんごの仕入れもできない。
マイナスかもしれない」と
思った。
「熊さんを頼ったわしがいけんかった
のかのう・・・」。
エリーは、「熊さんと一馬を
仲直りさせてあげたい。
だから、家を出たくないわ。」
という。
政春は驚いた。
いつものエリーの博愛主義である。
政春は「北海道はもっとおおらかで
皆が力を合わせて生きる夢の大地だと
思ってやってきたのに・・。」といった。
「マッサン何を言っているの?
自由で夢のある大地にマッサンがする
のでしょ?
簡単にあきらめないで。」
エリーは空を見た。
「青い・・・大きい
この空は、大阪にも
広島にも・・・
スコットランドにも
続いている。
マッサン、私ここが好き。
空気がきれい
水がおいしい
家族のことを大事に大事に
思う人がいる。
マッサン???」
政春はなにかほかの道を
探そうと考えた。
そして森野宅へ帰った。
そこに、進が来た。
借金取りとなった武井と一緒
である。
進は一馬を呼んだ。
熊虎は何事だというが。
進は取り合わない。
武井は「あんたにはもうようはない」と
いった。
熊虎は「何?」と怒った。
進は「一馬、一馬、早く持って来い」と
大声で言う。
ハナが帰ってきた。
一馬がもってきたのはこの家の
権利書だった。
それをこともあろうに進に渡した。
そしてそれを武井がもって出て行こうと
した。
武井は「権利書をもらったらこの家は
こっちのもんだ。
札幌の裁判所だってそういって
くれるから」という。
熊虎は一馬を責めた。
「あきらめろ
こうするしか方法はないんだ」と
一馬はいう。
進も、「こうするしかない。
おとなしく息子の言うことを聞け」という。
熊虎は権利書を取り返そうと
タンスの引き出しから
刀を出した。
そして武井に向かった。
「おまえの妻が長いこと病気で
臥せっていた時には息子と奥さんに
いつも土産を持たせてやったことを
忘れたのか」と武井を攻めた。
進は「兄さん、落ち着け」と熊虎を
抑えようとする。
武井は「時代が変わったんだ」という。
「侍の時代も、ニシンの時代も終わった。」
とにかく、刀をおさめろというが
刀がさびてぬけない。
武井は笑った。
熊虎は武井を追いかけた。
やめろ、やめろと言われても
追いかけた。
武井は二階からころがり
落ちた。
そして
「あと三日だけ待ってやる」と
いって帰って行った。
熊虎は権利書を取り戻した。
一馬はいった。
「会津の魂だと
笑わせるな。
おㇻやねぇちゃんをほったらかし
だったくせに、武さんの家族には
土産までもたせていたのかよ。
外面だけはよかったからな。」
「兄さん、一馬の気持ちもわかってやれ。
北海道大学へ行って農業の勉強を
したかった。
ハナも小学校の準教員をやめたのも
借金のせいだ。
二人の人生を狂わしてしまった。」
一馬は母親はもっと苦労したと話した。
「親父が殺したようなものだ」と
いった。
ハナは「言い過ぎたよ」と一馬に言う。
熊虎は「なんだとぉ」といって一馬をつかみに
いく。
一馬は熊虎を殴り倒した。
政春は一馬にいった。
「熊さんに謝れ。
どがな理由があっても
子供が親に手を挙げてはいかん。
ほら!!!
一馬!!」
政春は一馬を熊虎の前に
ひっぱってきた。
一馬は言いよどんでいた。
が、「ごめん」と小さくいった。
エリーは、「大事にしていたのよ」と
いった。
「熊さん、お母さんを大事にしていた
のよ。
熊さんはお母さんを愛していたのよ。
だからお母さんのためにニシンを取って
やっとこの家を建てたのよ。
お母さんはよくわかっているのよ。」
「知らないだろ。
かあちゃんがどれほど苦労したか。」
「お母さんは熊さんを愛していたのよ。
愛してる人のために頑張る。
愛している人の夢を応援する。
あたりまえ。」
ハナはいった。
「一馬は小さかったからしらねぇべ。
おㇻちゃんと覚えている。
かあちゃんがこの家ができるのを
たのしみにしていたことを。」
「熊さん、どうしてちゃんと言わないの?
この家守りたい、シノさんのためでしょ?
喜ぶ顔を見たい。
だからがんばったって。」
「違う・・
おらシノを幸せにしてやれなかった。
だから、シノのためにも
残されたハナや一馬のためにも
故郷を残してやりたかった。
物心ついた時おらたちは逆族と
言われていた。その意味が分かったのは
北海道に来てからだ。
会津の人間は死んでも葬式も出せなかった。
会津のためにはお経を読まないと坊さんにも
いわれた。
だから、子供たちが巣立った後でも
いつでも帰ってこれるように
故郷をこしらえることだった。
この家を建ててやっとこさ長年の夢が
かなった。
みんなで飯が食えて
力いっぱい働いて
安心して子育てができる。
だから何を言われても
ここだけは手放したくなかった。
おらたち家族の帰れる場所。
故郷なんだ!!」
泣きながら叫ぶ熊虎だった。
熊虎は政春にいった。
「おめぇここで殿様になるって言ったべ?
この北海道に新しい時代を
造るために来たんだべ?」
「はい・・・。」
熊虎は権利書を出した。
そして政春に差し出した。
「おらの夢を受けついてくれねぇか?」
政春は、驚いた。
エリーも・・・・。
*********************
大変なことになりました。
もし、熊虎を頼らずに余市に来たら
こんなことにならなかったと
思います。
こんなこと?
こうして、政春は北海道で生きるつらさや
楽しさを知っている森野家と
であったことで、その影響を受ける
のだろうなと思いました。
そして、北海道を故郷にすると
決意したんだろうなと
思いました。
それほど強くふるさとを思い描いて
いた熊虎に、感動しました。
一馬やハナの人生は思い通りに
行かなかったかもしれないけど
まだ、まだ若いから可能性はある
わけで、北海道大学へいきたかったら
まだまだ、働いておかねをためて・・
しかし、莫大な借金をせおっている限り
多少のお金ではどうしようもないわけで
ある。
マッサンは、真剣に悩む。
この土地を買うべきか・・・どうか・・
マッサンは・・・
救世主になれるのか????
といっても救世主になるために
ここにきたわけではないので・・・
