灯台下暗し6
俊夫がエリーの手紙を読んで
やってきた。
政志も早苗も送り出して
くれたらしい。
と言っても早苗は相変わらず
関係ないから勝手にしろだったが。

ダイニングで三人は話をした。
俊夫は政春がこの件を知らなかった
ことにがっかりした。
「いつの間に手紙を書いたんじゃ?」と
エリーに聞く。
「内助の功です。」

「エリーさんに頼まれてきたのだが
政春が必要ないというなら、広島に帰る」と
いう。政春は正志と早苗の反応を聞いた。

エリーの手紙は、こうだった。
「政春さんは俊夫さんにウイスキーづくりを
手伝ってほしいと言っています。
もし、許していただけるのであれば
お父様からお願いしてくれませんか・・」

それを読んだ時、政志は「そういうことじゃ」と
俊夫に言った。
「そう???」
俊夫は面食らった。
「旦那様それはあんまりでがんす」と
俊夫は反論した。

すみれは、俊夫に大阪に行って
兄を手伝ってほしいといった。

政志は、そういうことだと
いわんばかりに笑った。

そして、俊夫は早苗に報告した。
大阪に行くと。
早苗は「うちには関係ない。
政春と親子の関係を切った。
ウイスケにも興味がない。
おまえがここにいたかったら
それでいいし、大阪に行きたかった
らいけばいい。
おまえの好きにせい」という。

「どうしましょ?わしは広島に帰ったほうが
いいのかいな?」
政春は
「気の進まない俊兄にいてほしいとは
いえないし、本格的に工場ができる
のはまだ先だし・・・」
という。
俊夫はバンとテーブルをたたいて立ちあがり
「帰ります」といった。
「バカにするのもええ加減にしてつかあさい。
わしは広島の酒を日本一にするために
今まで気張ってまいりました。
旦那様や奥さまに一日でも早く
認めてもらいたいとうて頑張って
きました。だのに、わしは悔しゅうてなりません。」

エリーは俊夫に大将に会ってみてほしいと
いった。
驚く政春。
エリーは「大将に会うのが一番でしょ?」という。

政春は「その前に・・・」といいかけて
「何もない」といった。
煮え切らない態度に俊夫は「かえる」と
いって立ち上がった。

エリーは俊夫に「ご飯食べるでしょ?」
といった。
「ほうじゃ」と政春も言う。

「ありがとうございます・・・」と俊夫は
エリーに感謝した。
そしてあの奇妙な台所を
どう使うのか見せてほしい、邪魔はしない
といって、ご機嫌になって
エリーについていった。
政春は俊夫とは、やりにくいと
つぶやいた。

その夜、座敷で寝る俊夫のよこの
ベッドルーム。

政春は俊夫が天邪鬼で融通がきかない
ので大将は使わないだろうと
エリーに言った。
とにかく大将とは合わん、そのまえに
わしとも・・・合わん・・。

どう考えてもあわないと
政春は否定的だ。

その翌日、政春は俊夫を連れて山崎工場
の技師長にと鴨居社長に会いに
いった。

「実家では長年修行もしている、酒造りの
知識もある、職人としての
腕もあると間違いはない。
性格がちょっと・・・。」

鴨居は俊夫に聞いた。
「洋酒に興味を持っているのか」と。

「いいえの」。と俊夫はつっけんどん
に答えた。
「興味はありません。
ウヰスキーも飲んだことはありませんし
飲みたいとも思いません、」と答えた。

鴨居はとまどった。
「とし兄!!」と、政春は怒鳴った。
「だけど酒つくりには誰にも負けん
自信があります。」

「ほななんか芸あるか?」

俊夫はなぜ芸が必要なのかわからず
怒って帰りますといってドアに向かって
歩いて行った。

「芸ができないから雇えないというなら雇って
くれなくていい、そもそもわしは
エリーさんと旦那様に頼まれてきた
だけですけん。すぐに広島に
帰ります。」

「そがな言い方せんでも」と政春は止めよう
とするが、
鴨居は「気に入った!!!」

といった。
「おもしろい!!」

「はぁ?」
と二人。

「癖が強くて口も減らん。
マッサンのええ相方になりそうやな。」
「相方?とんでもない」と俊夫は言った。
「たとえ一緒に仕事をしても
こがな甘えん坊のお坊ちゃま
とべたべたする気はありまへん。」

「ははははは
おもろい
やってみなはれ!!」

鴨居が言った。

こうして、俊夫は工場ができたら
また大阪に来ることになった。
それまで一時的に広島に
戻った。

翌日、広島に変える俊夫を自宅前で
見送ることになった。

断るならいつでも断ってくれと
俊夫は言う。
どうしてもウヰスキーが作りたいわけ
でも大阪にいたいわけでもないしと。

政春は「こうなった以上、よろしく」と
いった。

「こうなった以上???」
俊夫は、また言葉を返した。
「お坊ちゃまはわしにきてほしくないみたい
ですのう?」

まさしくその通りだが・・・。
そうは言えない政春だった。
「俊夫さん、よろしくお願いします。」
とエリーが言った。
「そうだ」、と俊夫はすみれから預かったもの
をエリーに渡した。
すみれからの手紙だった。

そして、エリーに政春の気が変わらな
かったら、またお会いしましょう。と
いった。
そして、両手をだしたのでエリーは笑って
俊夫をハグした。

政春は、「もうええけん」といって
離そうとした。
「やかましいわい」と俊夫が言う。
エリーは、笑っていた。
そして俊夫は、にぎやかに
その辺にぶつかりながら
帰って行った。

すみれからの手紙を読むエリー。そばに
政春がいる。

「エリーさんお元気ですか?
エリーさんから手紙をもらってお父ちゃんは
それは嬉しそうでした。

私が読んで訳してあげたあとも英語もわからん
のに、何回もその手紙を見ていました。
お母ちゃんも自分には関係ないと
いいながら長い間仏壇に手を合わせて
いました。
きっとお兄ちゃんのウイスキーづくりがうまく
いくことをお願いしていたのでしょう。
お兄ちゃんの夢が一日も早くかなうことを
心から願っています。
エリーさんもどうか体に気を付けて。
不器用でドジで間抜けなお兄ちゃんを支えて
上げてください。
また会える日を楽しみにしています。
すみれ・・・。」

ふたりは、ほのぼのとうれしくなった。
「いよいよ始めるね」とエリーは言った。
「エリー」、と政春はキスをしようとしたら・・

「エリー

邪魔するで~~~~」

と、

キャサリンが来た。

「シャンデリアがええ具合やないの。
あんたらもあがり~~~。」

「は~~い」といったのは梅子と桃子。
「も~~~~」と政春はがっかりした。

「なんしに来たんです?」

「何ってお茶しに来たんや。」

「お茶やったら家で飲めばいい」というと
「改築の恩人に向かってなんやそれ」と
キャサリンは言う。
くさる政春。


そして時は流れ

鉄道のそばに
工場ができた。

笹塚が来てポットスチルが
セットされた。

間もなく国産初のウヰスキーが
うぶ声を上げようとしていた。

政春は、ポットスチルのセットを
みまもり、たくさんの拍手を
あびた。

鴨居もよろこんでいた。
俊夫もよろこんだ。

そこへエリーも来た。

「やったぞ。」
「本当スゴイ。迷子になりかけたよ」

「ようきたの。エリーのおかげじゃ。」
ふたりはハグをしたら
エリーが妊娠したことを告げた。

政春は喜んだ。
「パパマッサン。」
「ママ?」

「はい・・・・」
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いい感じですね。
途中、どうも煮え切らない性格の
主人公にイライラして
いましたが、こうなると
やはりマッサンはウイスキーしか
つくれないし、これしか仕事はない
男だと思いました。
こひのぼりで芋の皮むきも
満足にできず、よく途中でほおって
いましたが。
そしてエリーのおめでた。
どんなお子さんが生まれるのか
たのしみです・・・・が????
予告編がちょっと不安な場面となりました。
エリーが苦しんでいる・・・。
大丈夫か?