絵に書いた餅2
亀山家で女中
となったエリー。
しかも、亀山家の味噌汁の味で
つまづく。

腰を痛めた父の代わりに家の
試験醸造を手伝うことになったマッサン。

俊夫とともにその準備をするが
エリーのことが気になって
しかたがない。
早苗の強情さがわかっているからだ。
俊夫はそんな気持ちの入っていない
政春にとことんつめたい。
試験醸造は自分が仕切る、政春ではない
といいきった。
政春は昔はよく遊んでいたのにと
俊夫に言う。
寺の庭で遊んでいた時俊夫が七針も
縫う大けがをしたことがあった。
それを恨んでいるのかなと聞く。
俊夫はそんなことは忘れたという。
小学校の時柔道の昇級試験で
背の順番にならんだら一年の
政春と六年の俊夫が同じ背丈
で試合をすることになった。

そのとき一年の政春に背負い投げで
・・そこまでいうと俊夫は
「覚えとりません」という。

「うそいえ、大泣きしてこの恨みは
一生忘れないって・・・」
「そんなに泣いてない」と俊夫は
怒った。
「何しに帰ってきたのか」と俊夫
はいう。
「西洋かぶれでこの家を出て行って
何しに帰ってきたのか」と聞く。
「西洋かぶれに日本酒造りは無理です
けん。
はよう、大阪に帰って思う存分
せいようにかぶれてつかあさい。」

「わしじゃてホンマはそうしたいわ。」

「これからもとすりですけん。」
そういってモトすりにいった。
歌を歌いながら桶に入っている
米と工事を刷り込む。
すると酒母とよばれる酒のもとが生まれる
・・それを島じいはエリーに
説明した。

「酒母・・・ああ酒のお母さん。」

モトすりの日は酒に命が授かる日だと
いわれる。

エリーはじっと聞いていた。

政志の部屋に食事を持って行った
早苗に、政志はエリーが作ったことを
感心してほめた。

早苗は「このくらいでは嫁として認め
ない」という。
政春を引き留めたのは政志が試験醸造
を口実にしたからだと
早苗はいうが、政志は政春に家を継いで
もらいたいということではないとい
った。
早苗は「では、なんのために?」と聞く。
政志はせきこんで横になるといった。
政志はなんのために政春を
引き留めたのか・・・早苗はわからない。
政春の部屋では、政春が食事をして
いた。
うまいと言って食べている。
エリーは早苗が味噌汁が亀山の
アジではないといったことを
隠していた。
みんな、食べてくれたというと政春
は喜んだ。

政春はもう少しここにいたいとエリーに
いった。久しぶりに活気のある仕事に
心が元気になったらしい。
試験醸造を俊夫と一緒にやって
みたいといった。
エリーは承知した。
「私は大丈夫。
私もバリバリ頑張る」といった。

翌朝、エリーが寝ていると「女中さん、
女中さん」と早苗が呼ぶ。
「女中さんまだ寝ているのか?」
エリーは起き上がった。
台所へ行くと
みんなが働いていた。
「わたし、ご飯作ります」と言って
千加子のかわりをした。
早苗はエリーに料理を作らすなと
いう。
「味噌汁が薄くて飲めたもんじゃない」
といった。
そして千加子にうごけといった。
動いたほうがいい子が生まれると。

早苗のしごきは続く。
ほうきで座敷を掃除をする。
が、ほうきの使い方ができて
いないという。
畳の目に沿ってほうきをかける
ということである。

エリーは、たたみのどこに
目があるのかと不思議だった。
どこに目があるのかというが
早苗は疲れたので千加子を呼んだ。
いぐさを織り込んだ繊維のながれを
目というが、それを「目」、「目」
というだけだったのでエリーに
はわからない。
千加子はいらいらした。

廊下の雑巾がけも
大変だった。

雑巾をやわらかく絞るエリーに
カビが生えると千加子は言う。
固くしぼるというと固くということが
わからない。
「雑巾は柔らかい・・・」
「もっと強く絞って・・。」
というと伝わった。
「敷居を踏まない。」
「敷居は夫の頭と一緒、ふまない。」
たたみのヘリを踏むとまた
おこられた。

千加子は
「あきらめなさい」という。
「勢いで一緒になって日本に来たのじゃろ
あなたたちは二人で間違った
夢をみている」
政春がウイスキーを作るという夢も
エリーが日本人になるという夢も
間違った夢だという。

「だからあきらめて、さっさと
国に帰りなさい」
と千加子は言う。

エリーは、「ありがとうございます」と
いった。
「でも、マッサン必ず日本でウイスキーを作り
ます。
私は信じています。
だから、あきらめない。
私も日本の嫁になることあきらめ
ません。」

そういうと千加子はある考えを思った
のか、大量の繕いものをもってきた。

エリーの国にはミシンというものが
あるらしいが、
ここではないから
手で繕ってほしいという。
「いつまで?」
女中の仕事は何ぼでもある。
やめるんだったら早いほうがいいと
いう。
全部と聞いて山のような繕いものに
エリーは挑んだ。
******************
早苗のしごきは確かに厳しい。
が、千加子も自分の意見を
もっている。
母の代わりに掃除の仕方を教えるが
なかなか、エリーにわかるようにとは
いかない。
それでもあきらめないというエリーに
いやがらせのように繕いものを
おしつけた。
エリーはどこまでも試されて
いる。
お坊ちゃまと言われて
のんきにしている政春が
腹立たしくなる。