さわらぬ神に祟りなし5
由紀子と幸子、野々村の関係が
こじれてしまい一人悩む幸子。

「由紀子のお誕生日はいつ?」とエリーが
幸子に聞くと「明後日」という。
エリーはバースディパーティをする
計画を立てる。

そして、幸子と二人で招待状を書いた。
★家族がみんな揃えばもう一度絆を
取り戻せるかもしれないと。
そう思っていました。

「パン?どこで?」

キャサリンたちにエリーはパンを
焼く窯のことを
得意そうに言った。
「マッサン、いまうちの庭で
パンを焼く窯を作っています。」

桃子梅子、キャサリンの三人は
一同に「ええええっ!!!!」

と驚いた。

その窯を政春はレンガを組みながら
作っていた。
それを幸子がてつだう。

そこへキャサリンたちが来た。

「わぁお
グレイト!!!!」

「触らんでください!
壊れるから」

「どこが?」

「ああ、壊れる!!」

「えええ???」

「うそじゃあ~~~」と政春は
キャサリンのあわてるふりを見て
笑った。

「マッサン器用やな」と梅子が言う。

「こう見えても大阪高等工業でてるからね」と
キャサリンが言った。
よく知っている。
「こう見えてというて
わしゃいつもどう見え取るんじゃ?」

「辛気くさい男。」
とキャサリンが言うと梅子桃子も
「うん」といった。

「うふふふ・・・」幸子は笑った。

「こがなもんウヰスキーのポットスチル
に比べたら簡単なものじゃ。」

「ほな、ウイスキーづくり止めてパン焼き
窯作りの職人になったらどう?」
とキャサリン。
「わしゃ、ウイスキーづくりは絶対
あきらめん。」

また一同笑った。

「明日のパンは大丈夫だ」と
政春はいう。

「うまいパンを焼いてやる。」

「ほな材料の買い出しとか
うちらも手伝おうか」とキャサリンが言う。
政春は「材料は大丈夫だけど
食器が足りなくなるからと貸してほしい」と
いう。

「オーケー

聞いた?
食器だけでええねんて

マッサンもたまには男気があるね~~」

「マッサンはのう
男気しかないんじゃ」と政春が言うので
みんなまた笑った。

エリーは幸子に招待状を届けに
いこうといった。
幸子は、「いかへん」という。
野々村家への招待状である。
「ここにいたい、いてもええ?」


結局エリーが届けに行った。

政春は小麦粉をこねた。
「これでいいはずだと思う」と
不安をみせながらいった。

野々村家では由紀子が招待状を
もらって感激していた。
「幸子ちゃんがうちのために?」
クレパスで書かれた
華やかな招待状だった。

「来てもらえますか?」

「行く、行くよね?おかあさん。」
ナツが言うので由紀子は「はい」と
返事をした。」
野々村は黙っている。
エリーは野々村に聞いた。

「来ていただけますよね?
お願いします」

「明日仕事で東京へ行くのです。」

「仕事と家族どっちが大事ですか?」

「もう決めたんです。
わたしが間違えた
手遅れです」

「何回でもやりなおせばいいのでは?
待ってますから、よろしくお願いします。」

そのころ亀山家では。
「できたぞ~~~」

パンが焼けた。
政春は幸子に言った。
「たべてみい。熱いから気をつけろよ。」

「う~~~~~ん
あじせえへん。」と幸子。

「なんでや?」

政春が食べると・・・・
「あかん、味せえへん。」

「マッサン、ミステイク!」

「わしゃどこで間違えたんじゃ??
わしの人生間違いばっかりじゃ~~」
政春は縁側にすわったまま
畳に部屋にのけぞって
あおむけに倒れた。

幸子が笑った。

「あ、笑った」と政春が体を起こして
いうと、
「マッサン、顔真っ黒。」

煤が付いた手袋で
顔をさわったので
煤が顔についてしまった。

「どこが?」

「あ、また真っ黒」

触るたびにすすが顔に広がった。

「あ、もっと真っ黒
フェイス イズ ブラック!!」

「ブラック?」

「イエス!!」

「あああ~~~~」
政春は、顔中煤だらけに
してしまった。

そこへエリーが帰ってきた。

「顔あろうてくるわ~~」
と政春がエリーの横を通った。

エリーは
「顔、ブラック。」といって「ハハハハ」と
笑った。

エリーは、幸子に、「ナツも由紀子さんもきて
くれる」といった。

「お父さんは?」

「お父さん、きっと来てくれる。
きっと、」とエリーはいう。

幸子は、うつむいた。


台所でエリーが食事の支度をしている
あいだに、なぜパンがまずいのかを
政春は調べた。

「発酵の時間が短かったらしい。

熟成には時間をかける・・
これはウイスキーと同じじゃ。
温度管理も重要・・・
これもウイスキーと同じじゃ」
エリーは、それを聞きながら笑った。
「もうすぐ食事ができるから
テーブルの上を片付けてね」といった。

政春は、エリーに「野々村さんは仕事じゃと
いいよったんやろ?」と聞く。
「本当に来るかな」というのである。

エリーは「来るよ」といった。

幸子は、パン焼き釜のまえで
ふところから写真を
だした。
母と幸子が写っている写真である。
それをじっとみた。
そして母のことを思った。

エリーが幸子に声をかけた。

幸子は、写真を火が燃えている窯の
なかに掘り込んだ。

エリーはおどろいて写真を取り出した。

幸子は「忘れなあかんから」という。

エリーは、「忘れなくていい」といった。
「忘れられない人を忘れられなくていい」と
いった。
「私も死んだ父親を忘れてない。
忘れられないよ。
一緒に旅行へ行った
一緒に遊んだ。
みんな覚えている。
いいことも悪いことも
覚えている。
大切な人がいるから生きていけれる。
みんな同じだよ」という。

幸子はやっと落ち着いた
表情をした。
納得したらしい。
忘れなくていいと。

「よっしゃ、みんなでご飯を
食べよう」と政春が言う。

エリーは「お味噌汁を作るから
一緒に手伝って」と
幸子に言った。

幸子は上手にねぎを切る。
母に教わったという。

エリーは幸子に「おかあさんは由紀子さんを
お母さんと呼んでも怒らないと思う」と
いった。

「おかあさんは幸子の味方。
幸子がよく考えていうことなら
お母さんは怒らないと思う」と
いった。
幸子は喜んだ。

★こうして、由紀子さんの誕生会の日を
迎えました。

そしてパーティに出すパンを
庭先でキャサリン、梅子、桃子
エリー、幸子が作る。
「うまいパンを作るためにはいい生地
をつくらないといけません。
小麦粉を水の量を調節して
たたむ、こねる、たたく・・・
ねばりと、こくがでるまでひたすら
これを繰り返す」
と、政春は大声で指導する。

「次の酵母の作り方は・・・
酵母を働かして炭酸ガス
アルコール・・・香りや
アジのもとになる
この酸などを作ってくれます。

酵母は生き物じゃ
酵母菌をうまく働かせるためには
温度管理が非常に重要なんじゃ」

「マッサン・・・!!!
もうええわ。
そない理屈をこねられても
はよ、パンこねよ?」
とキャサリンが言う。

由紀子さんはそのころピアノの上の
幸子のお母さんの写真に向かっていた。

そして、エリーと幸子は
パン生地をこねていた。

こねる

たたむ

たたく

を繰り返すのである。

みんなで楽しみ
ながらパン作りを
やるエリーたちだった。

★幸子のためにも由紀子さんと別れるのを
思い直してほしい。
誕生会に家族みんなが
顔をそろえれば
きっとやりなおせる・・・

そう願うエリーでした。

******************
理屈をこねるよりもはよ、パンの生地を
こねようとキャサリンがいう。
そりゃ、こねた理屈より
こねたパン生地ほうが
夢があると私は思う。
窯に入れたら
ふくらむしね・・・。
いいにおいもするし
食べる楽しみもあるし・・・

おいしかったらね?(笑)

おいしいパンができるのでしょうか?

久しぶりに見るマッサンの
白衣すがたです。
パン作りも
ウイスキーづくりも
発酵が基本だから

似ているのでしょうか。
なんだか、早く本当の
夢をかなえてほしいと思いました。
マッサンが白衣を着て
ウイスキーづくりをするその日を
まだか、まだかと
まつ気持ちになりました。

せやけど
この幸子・・・・

演技うまいですね・・・
すごく自然にみえるし
大阪弁・・・
きれいやし・・・・。
この子が話すとホッとする。