内助の功6
住吉酒造をやめる決意をした政春。
退職届けをもって社長室に言った。
田中は、泣きながらいった。
「スマン、わしに器量がないばっかりに
かんにんしてくれ。
何でエリーちゃんを連れて帰ってきたんや。
わしはおまえが息子になってくれると
おもって楽しみに待っていたのに。
今日限りわしのことは忘れてくれ。
わしもおまえのことは忘れる。
いけ、どこへでもいけ。
ただし、夢だけは忘れるなよ。
ウイスキーづくりの夢だけはな?」

「はい、お世話になりました。」
政春は丁寧におじきをした。

キャサリンは政春が退職することを
エリーから聞いて怒った。
「あいつなにかんがえとんねん?
ウイスキーづくりはどうなるねん?
わたしが話をしてあげる。」

でもエリーは、二人で話し合って
決めたことだからといった。

佐渡製作所へいった政春。
「来とったんかいな」
佐渡は仕事の手を休めて政春を見た。

政春はポットスチルの図面を渡した。
「これを預かって欲しい。
必ずまたここに取りに来ます。」
「あんた、会社を首になったんやろ?
そんな無職で一文無しの言うこと
なんか信用できるか」といって笑った。
「待っているで。
これ預かっとくわ・・・」と佐渡。

「ありがとうございます。」

田中家に言ったエリー。
「おはようさんです。」
佳代は「あら何しに来たん?
優子はおらんで・・・。」という。
でも優子は奥のお座敷にいた。
そこにはりっぱな花嫁衣装が
かけてあった。

政春は工場の人たちに別れを
いった。
好子も池田も
政春の周りに集まった。

「みなさん、ホンマにお世話になりました。」
「ほんまにやめるんか?」
「別にやめんでも口だけウイスキーづくりは
あきらめましたというといたらええん
やん?」と好子は言った。

政春は「口先男にはなりたくない」と
いうので、好子は「みんなようきいときや!」
という。
「どういう意味ですか?」と池田も宮崎も
いう。「エリーちゃんにもよろしくな」
「ウイスキー造ったら必ず飲みに行くから。」
と好子。
「ただなら僕も行きます。」と池田。
「ただにきまっとるやろ、お金取るなら
いかへんわ。」と好子。
「しっかりしてますね。」
「惚れたらあかんで、私は人妻や。」
ひととき漫才のようににぎやかだったが
政春は、「みなさん」といって
「それじゃ!!!」と大声で挨拶をして
頭を下げた。

さっていく政春の後姿をみながら
宮崎は「さみしくなるな」といった。

研究所に入ると矢口がいた。

「未練たらたらの顔をしているな」と
相変わらずいけずである。

男のいけずというもはこういうもの
なんだろう・・。

「矢口さん、お世話になりました。」

「恨むなよ、おまえは生まれてくる国と
時代を間違えたんや。
今度生まれるときは西洋か
おまえの大好きな未来に出現せい。

ご先祖様によく頼んどけ」といって
去って行こうとしたら政春は
「今度はありません」といった。
「わしは死ぬまでにこの時代で必ず
ウヰスキーを、ウイスキーの時代を作って
みせます。」

「はははっ
神さんも仏さんも、キリストさんも
わろてるわ!!」
矢口はそれを言い残して去って行った。

政春は研究所にあった私物を片付けた。

エリーは家にで刺繍をしていた。

自分の研究所がかたづき、
政春は外に出た。
入り口に掲げられた
ウヰスキー研究所の看板を
降ろした。

そして、「ありがとうございました」と
研究所に向かって一礼をした。

住吉酒造をさっていく、政春。

家にかえる。
「エリー、ただいま。」
「マッサン、おかえり。
今日は猪鍋やで・・」
「たのしみやなぁ」

エリーは研究所の看板を丁寧に
受け取った。

★そして優子さんがお嫁に
行く日が来ました。
家から出てきた文金高島田の優子さん。
会社のメンバーも見送りに来て
わぁっと歓声を上げた。
「優子さん、きれいですよ、」
「お幸せに。」

「ありがとうございます。」

拍手が沸いた。

人力車に乗って住吉大社を走る
優子、その後ろを佳代。

優子は「止めて」といった。

佳代は「なんやどうしたん?」と聞く。

参道でエリーと政春が優子の姿を
見送っていた。

エリーは優子のもとに走って行った。
佳代は「何しに来たん?」という。
エリーは自分が刺繍をしたハンカチを
わたした。

スコットランドに咲く
ヘザーの花の刺繍である。

「これお祝いです。
ヘザーの花は身を守ってくれます。
赤は日本のおめでとうの色。
これからたくさん、たくさん、
ハッピーがありますように。」

「おおきに。」

「優子さんは私が日本に来て初めて
喧嘩した人
そして、初めての友達です。」

「頑張って蓋開けてみる
エリーさんみたいにはいかんけど
自分のために生きてみる
きっと幸せになってみせる」

ふたりは手を握った。

「優子さん、お幸せに。」と
政春が言った。
「政春さん、エリーさんのこと
よろしくね。」

「はい、」

「もうええやろ、運が悪なる。
もう手をはなし・・・」
佳代がイライラして言った。

二人は手をそっと放した。
優子は、
「Bye 」といった。

エリーは、「good bye!」と
いった。

人力車は動き出した。
優子がいってしまう。

「Bye!」

「Good bye~~~!!」

優子とエリーは挨拶をかわしあった。

エリーは、涙が出た。

★ウヰスキーの夢のために会社を辞めて
しまったマッサン。
エリーは優子さンの幸せを祈りながら
自分たちもいつかきっと
しあわせをつかむんだと心に誓いました。
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なかなか感動的でした。
社長の器の小ささ!!これ
どういうことなん?と思います。

(春さんは、器がこまいといいました)

いい人なんでしょうが、いい人だけでは
だめですね。
ちゃんと計算もできなくては
いけないと思います。
政春のウヰスキー作りを
提案したのはこの人です。
この人がいたからこそ、政春は
ウイスキーづくりをしようと
思ったのです。
田中はそれが、どれほどの犠牲を作って
いくのか・・・計算できなかった
人です。
ロマンだけでは経営者には
なれません。

矢口のようなこすっからしいやつが
ビジネスでは大きな成功はなくても
安定した経営ができると思います。

でも、本当にそうだろうか???

どうしても気になるのが、鴨居の存在
です。

鴨居はいずれ早いうちに
政春は住吉酒造を首になると思っていた
のではないでしょうか?

だから、うちに来いと言ったのでは?
しかし、浪花節の政春とあの田中のこと
だから、そんなにうまく引き抜くことは
できないと思ったのでしょう。

社内にもウイスキーづくりには反対する
人がいる。
ワインの爆発事件で太陽ワインは
大打撃を受けた。
会社にも影響が出た。

もし鴨居商店が太陽ワインを売らないとなれば
住吉酒造は必ず傾く。
そこをふんばって鴨居は起死回生のポスターを
作ったわけだ。住吉酒造のためにも。

自分の身を守ることも大事だけど
まわりの会社や人間を守ることも
しっかりしようとする鴨居。

田中が、「わしに器量がなかったばっかりに」
というが、本当に政春を大事に
思っているのなら
鴨居に彼をよろしくと、たくするのでは
ないだろうか?と思うけど。
そのあたりが釈然としない。

やはり田中はロマンだけの男で
人を守ることや、組織を守ることなど
には、とんと無頓着だったのだろうか?
なんて・・・・
思いました。