住めば都5

夜遅く泥酔して帰ってきた
政春。
気がつけば翌朝だった。
しかし、寝坊をしてしまって
エリーが起こしてもなかなかおき
なかった。
やっと気がついたら
あかん、あかん、あかん!
と驚いて飛び起きた

なんで、はよ、おこさへんのやぁ!
よくある話で、いくら起こしても
起きなかったくせにです。
しかも、もっとマッサンと話がしたい
酔っぱらうことが仕事なの?
とエリーは追及するが
いまは、穏やかに話をする
ほど、時間がない。

政春は、ぱんをひっつかんで
ご飯も食べずに家を飛び出した。
そして今日は早く帰ってくるから
と勝手に約束をした。

憤慨するエリー。

そして優子の言葉を思い出した。
「ええ嫁というのは、男にとって
都合のいい女のこと・・・」

なんだか、さみしくなった。

会社では、矢口からこの予算でどうやって
ポットスチルを手に入れられるのかと
聞かれた。
政春は、佐渡製作所というやかんとか
アルミの製品を作る製作所に頼み込みにいくと
いって会社を飛び出した。

社長は頑張れよというが
矢口はあほやといって
冷たく見ていた。

エリーは、鴨居からもらったマッチを
もって地図を見ながら鴨居商店をさがした。

道行く人は、じろじろとエリーを見ている。
そして、こそこそと話をしている。
エリーが道がわからず話しかけると
あかんあかんと逃げる。
英語はわからへんと逃げる。
ああ、忙しい忙しいと言って逃げる。

雨が降ってきた。

ある御店の軒下で雨宿りをした。

店の中から話声がした。
あの人なにをしているのだろう?
雨宿りみたいやで。
お客さん怖がって入って来はらへん。
迷惑やな・・・。

それがエリーに聞こえてまた歩き始めた。

すると

えりーちゃんやないか?
なにしてんねん?と
鴨居が声をかけた。

エリーは喜んで鴨居とハグをした。

鴨居の店にいくつもりだったことを
話すとすぐそこやと
案内をしてくれた。

社長室にはいるとこの間のかわいい
香水瓶がおいてあった。
二つ合わせるともっといいと
エリーが言った通りの瓶ができて
いた。
これをフルーツシロップを入れて
売り出すと鴨居が言った。
エリーは鴨居にお弁当を渡した。
鴨居はおにぎりを食べてうまいと
いった。
ホンマにエリーちゃんが作ったん?
と聞く。
政春がこんなうまいご飯を食べている
ことにうらやましいというが
まだ政春は忙しくて食べていない
といった。

鴨居は昨夜銀行員の接待で
政春が頑張っていたことを話した。
へたくそな歌を歌ってと。

今仕事が大変そうだから
大目に見たってやと
鴨居は言った。


佐渡製作所では社長の帰りを
政春は待っていた。

そして帰ってきた社長に
挨拶をした。

佐渡は、ポットスチルの話を始めて
きいて、驚いた。
が、うちではその予算でその大きさで
はつくれないといった。

政春は・・・ちょっと待ってくださいと
言って会社へ帰った。

会社では、佳代が台帳を見ながら
怒っていた。

借金を返してないのに
また借金をつくるのかと
怒っていた。

ウイスキーづくりには銀行の増資が
いるが、それ以前に借金を返済して
からお金を借りるべきだと
いう。
このままでは社員にお給金も払えないと
いう。
しかしウイスキーづくりは男のロマンやと
大作はいう。
作ったらあかんとは言わないが
どうやったら返済できるのかと
佳代は聞く。

大作は矢口によけいなことを
ゆうてといった。
矢口は素知らぬ顔をした。

そこへ政春が帰ってきて
ウイスキーの瓶をもって
また出て行った。
そして佐渡社長にウイスキーを
飲んでもらった。

佐渡は、これが本物のウヰスキーなのか。
本当に西洋人はこれがうまいと
いうているのか。
と聞く。

政春はウイスキーは世界一うまい酒です
といった。

いま日本で出回っているウヰスキーは
アルコールに甘味を付けた偽物です。
本物は大麦を使って作るものです。
アルコールを蒸溜するときにポットスチルの
スワンネックが滑らかな湾曲であれば
あるほどいいウイスキーができる。
佐渡さんならつくれます。
そんなポットスチルが必要なのですと
政春は説明した。

佐渡はウイスキーのことはわからないが
日本で初めてというのは気分がいい。
といって、ポットスチルの作成を
了解してくれた。

政春は、うれしくてうれしくて
佐渡にありがとうございますといって
頭を下げた。

埴生の宿を歌いながら
エリーと鴨居が
亀山宅についた。

埴生の宿を鴨居がエリーに
教えたらしい。
今日は楽しかった。
またスコットランドの話を聞かせて
や、その時には歌の続きを
教えるわと鴨居は言った。
そして約束やでといいながら
指切りをしようといった。

二人は指をだして大きく上下に
歌いながら振った。

♪~指切りかみきり
嘘ついたもんは
深い川へはめよか
浅い川へはめよか
どうでもだんない。
深い河へ
どぼーーーん!!

と、指をからめた手を上にあげて
万歳をした。
そして大笑いをした。

そこに「エリーエリーエリー」と
いいながら政春が帰ってきた。

鴨居とエリーはそれに気が付かず
万歳をしたその瞬間ハグをした

凍りつく政春。
遠くで汽笛が鳴る。
************
指切りの歌、こんな歌しっていましたか?
知らんかった。

指切りげんまん
嘘ついたら針千本のーーます。
指切った!!!

だけでしたけどね。

「あんたのウイスキーづくり手伝わして
もらいますわ」と佐渡がいったときの
政春はなんともいえずうれしそうで
モノづくりをするビジネスマンの
顔でした。
この佐渡製作所でのシーンは地味ですが
いい場面です。
必死な政春がすごいです。


だから・・・
痴話げんかにならないように
と願うばかりですけどね・・・。