ラジオのおばさん誕生4
「全国のお小さい方々
ごきげんよう。」
★花子が翻訳家として活躍する一方
ラジオのおばさんとしての第一歩を
踏み出しました。
★それから一週間後のことでした。
花子が執筆しているとき
蓮子が来た。
その横に、なんと、ももがいた。
なぜか憔悴している。
「て??もも??」と花子。
「ももちゃん?」と蓮子はももに
声をかけた。
「ご無沙汰しています。
おねえやん・・・。」
★北海道に嫁いで幸せに暮らしているはずのもも
になにがあったのでしょうか?
ももの様子はかつてのももではなく
うつむいて、暗い感じだった。
明るく笑っているももではない。
蓮子のところには、かつての記事による
しいたげられた女性が影響を受けて
訪れるようになっていた。
女性も自らの人生を生きてよいという
記事である。
ももは、まさかその記事を書いたのが
花子の友人の蓮子だなんておもっても
いなかった。
花子は、「突然蓮様とくるからびっくりしたわ」
といって、クッキーを差し出すと
ももは、あわてて食べた。
花子は、「旦那さんと一緒に来たの?」
と聞く。
蓮子は、「ももちゃんは北海道の生活に
たえきれず逃げてきたの」という。
驚く花子。
ももの夫は去年亡くなった。
「知らせる余裕がなくて」とももはいった。
もちろん花子は初めて聞く話だった。
ももは花子のラジオ放送を聞き
花子に会いたくて
いてもたってもいられなくなって
家を飛び出してきた。
蓮子の記事を読み、北海道から船の中で
うわさを聞いたらしくて、蓮子の所へ
きたという。
うわさとは、記事を書いた作家先生のところへ
行けば、ご飯を食べさせてもらえて
泊めてくれるという。
「とにかく元気でよかった。あえてよかった。」
と花子は言った。
英治は、「よかったらこの家に泊まってくださいと
いった。にぎやかな家だけど、居たいだけ
いてください」と言った。
ももは、クッキーをテーブルに置いて
両手をついて「よろしくおねがいします」と
頭を下げた。
その様子に花子は、ももの苦労を想像
した。
蓮子を送って外へ出ると
花子は蓮子にお礼を言った。
「ももちゃんは、あまり話したがらないけど
北海道での生活は過酷だったみたい、
子供がいなかったので
ご主人が亡くなってから
親族の方たちから、いいあつかいを
受けなかったようよ」と蓮子。
花子は、なにもしらなかったことや
これからももに何をしてあげれるのかと
思いを巡らせた。
ももは、村岡家の家をじっと見て
自分がいた境遇とあまりにも違うので
なお一層みじめになったのだろうか。
ラジオ局での控え室。
花子は、原稿をチェックしていた。
そこへ、漆原、有馬、黒沢が来た。
黒沢は、「ラジオ番組はおおむね好評だ」と
いった。
花子は「まだ、緊張して毎日震えている」といった。
有馬は、「原稿をチェックする暇があったら
正確に読む練習をしてください」といった。
漆原は「結構ではないですか。
今日もよろしくお願いしますね」という。
★漆原部長は本当はどう思って
いるのか?今一つ腹の中が
わからないひとです。
黒沢は「ではスタジオでお待ちしています。
今日もよろしくお願いします」と言って
出て行った。
有馬は「いくら、子供番組とはいえニュース番組
なので、砕けた言い方はいかがなものか」と
いう。
★こちらはあからさまに花子のことをよく思って
いませんね。
花子は歩の写真を見ていった。
「おかあちゃま、今日もコピット
ニュースを読むわね・・・・」と。
さて夕方、英治は時計を見た。
そろそろ子供の時間である。
ももは、台所へ行った。
冷蔵庫には、ジュースが入って
いる。
ももは、すごいといった。
そして、台所のコンロを見て「これはなに?」
とおもった。
英治がやってきて
「どうしたのですか?」と聞く。
ももは「お夕飯の支度をと思ったけど
台所の使い方がわからなくて」という。
英治は「助かるなぁ」と言って
コンロに火をつけた。
ももは驚いた。
「こんなに簡単に火がつくなんて」・・と。
花子が少しでも仕事に専念できるように
台所を便利なようにしたという。
ももは、「お姉やんは幸せ者だな」とつぶやいた。
コドモの新聞の時間となった。
「全国のお小さい方々ごきげんよう。
これからは皆さん方の新聞の時間です。
・・・
チャップリンが急に帰ってしまいました。
みなさん、活動写真の滑稽者で世界一になった
チャーリーチャップリンが先月の14日ひょっこり
神戸へついて・・・」
ももは、英治と一緒にラジオの前に座って
聞いていた。
英治は、モモの様子をみた。
「大変な歓迎を受けながら東京に来たことをご存じ
でしょう。
それからちょうど20日目です。
とまっていたホテルとふらりと飛び出し
風のように東京の町を自動車で乗り回したり
例のスティッキをふりふり散歩したり
・・・・・・・・・・・・。」
「今日の新聞のお時間はここまでです。
また、お話しましょうね。
それではみなさん、さようなら・・。」
ももはじっと聞いていた。
翌日、モモのことを知らされた吉平たち
が村岡家に来た。
吉平たちは、家に上がって
ももにあった。
「もも・・・・」
ふじは、声をかけた
「おかあ・・・・・」
ももは驚いた。
「おかあ・・・・会いたかったよ。」
ふじは、モモを抱きしめた。
「もも・・・」
言葉にならない。
ふじは、しっかりももを抱きしめ
背中をたたいた。
ももは、泣きながら「おかあ」と
ふじにいった。
★想像もつかない苦労をももは乗り越えて
きたのかもしれません。
ごきげんよう
さようなら・・・
**************
花子のラジオ番組は好評だというが
局の人間関係は大変そうである。
有馬はいいように思っていないし
漆原も、何を思っているのかわからない。
そんな放送を聞いたももが、
家を飛び出して花子の所へいこうとした。
北海道から船の中できいた
作家先生のこと。
まさか蓮子だなんて・・思ってもいなかった
というが。
それが功を奏した。
花子の所へ来ることができた。
ももが体験したとんでもなく苦労した話は
女性差別の時代だからこそではないだろうか。
その家の家長がなくなったが、妻に子がいない。
親族としては、もはやももは、他人
の、何者でもないのである。
下働きのように扱われたのではないかと
思う。
着るものも食べるものも
寝る場所も、差別されて
一日中、働いても十分食べ物と
休養の時間ももらえず、あたたかい
着物もなく
希望もなく
・・・蓮子はどんな境遇であれ女性も男性と
ひとしく自由に生きる権利があると
主張する記事を書いた。
ももの体験した嫁という名の奴隷扱いは
男女差別のよくある話であった。
それとは別に花子は困難を乗り越えて
村岡と一緒になった。
印刷会社を経営するのでお金持ちと言えば
お金持ちである。
郁弥もイギリスへ留学
したぐらいだから。
そして、花子も働き、英治も働き
青凛社を創設で来た。
それなりに、お金は裕福であろうと思われる。
開拓の農家の嫁と比べたら
全く違うと思っても仕方がない。
ももはどうみえただろうか?
かつてすきだった朝市は
花子が好きだった。
女学校へも行った花子。
華やかな着物を着て
帰ってきた花子をうらやましそうに
みていたもも。
ももと花子の違いはどこから生まれたのか?
女学校へ行くか行かないかという点
であろう。たんに行ったか行かなかったか
だけではない。
花子は給費生として優秀であることを
もとめられて、それに答えた。
ももは?
もうすこし、
結婚をあせることなく
親の言うとおりにすることなく
好きな人と結婚しようと
その相手を探していたら
よかったかもしれない。
朝市との恋に破れて
親の勧める結婚を受け入れた。
吉平は、北海道はひろいぞ~~と
かいって、いいやつだぞ~~~とか
いって、もちあげたから。
その時代、親の決めた相手と
結婚するのが普通だったから。
ふじと吉平の
孫は歩一人だった。
ももには子供がいない。
かよは、独身・・・
吉太郎も、独身・・・・。
吉平夫婦には孫はいない。
これから妹たちはどうなる
のかと、思う。
「全国のお小さい方々
ごきげんよう。」
★花子が翻訳家として活躍する一方
ラジオのおばさんとしての第一歩を
踏み出しました。
★それから一週間後のことでした。
花子が執筆しているとき
蓮子が来た。
その横に、なんと、ももがいた。
なぜか憔悴している。
「て??もも??」と花子。
「ももちゃん?」と蓮子はももに
声をかけた。
「ご無沙汰しています。
おねえやん・・・。」
★北海道に嫁いで幸せに暮らしているはずのもも
になにがあったのでしょうか?
ももの様子はかつてのももではなく
うつむいて、暗い感じだった。
明るく笑っているももではない。
蓮子のところには、かつての記事による
しいたげられた女性が影響を受けて
訪れるようになっていた。
女性も自らの人生を生きてよいという
記事である。
ももは、まさかその記事を書いたのが
花子の友人の蓮子だなんておもっても
いなかった。
花子は、「突然蓮様とくるからびっくりしたわ」
といって、クッキーを差し出すと
ももは、あわてて食べた。
花子は、「旦那さんと一緒に来たの?」
と聞く。
蓮子は、「ももちゃんは北海道の生活に
たえきれず逃げてきたの」という。
驚く花子。
ももの夫は去年亡くなった。
「知らせる余裕がなくて」とももはいった。
もちろん花子は初めて聞く話だった。
ももは花子のラジオ放送を聞き
花子に会いたくて
いてもたってもいられなくなって
家を飛び出してきた。
蓮子の記事を読み、北海道から船の中で
うわさを聞いたらしくて、蓮子の所へ
きたという。
うわさとは、記事を書いた作家先生のところへ
行けば、ご飯を食べさせてもらえて
泊めてくれるという。
「とにかく元気でよかった。あえてよかった。」
と花子は言った。
英治は、「よかったらこの家に泊まってくださいと
いった。にぎやかな家だけど、居たいだけ
いてください」と言った。
ももは、クッキーをテーブルに置いて
両手をついて「よろしくおねがいします」と
頭を下げた。
その様子に花子は、ももの苦労を想像
した。
蓮子を送って外へ出ると
花子は蓮子にお礼を言った。
「ももちゃんは、あまり話したがらないけど
北海道での生活は過酷だったみたい、
子供がいなかったので
ご主人が亡くなってから
親族の方たちから、いいあつかいを
受けなかったようよ」と蓮子。
花子は、なにもしらなかったことや
これからももに何をしてあげれるのかと
思いを巡らせた。
ももは、村岡家の家をじっと見て
自分がいた境遇とあまりにも違うので
なお一層みじめになったのだろうか。
ラジオ局での控え室。
花子は、原稿をチェックしていた。
そこへ、漆原、有馬、黒沢が来た。
黒沢は、「ラジオ番組はおおむね好評だ」と
いった。
花子は「まだ、緊張して毎日震えている」といった。
有馬は、「原稿をチェックする暇があったら
正確に読む練習をしてください」といった。
漆原は「結構ではないですか。
今日もよろしくお願いしますね」という。
★漆原部長は本当はどう思って
いるのか?今一つ腹の中が
わからないひとです。
黒沢は「ではスタジオでお待ちしています。
今日もよろしくお願いします」と言って
出て行った。
有馬は「いくら、子供番組とはいえニュース番組
なので、砕けた言い方はいかがなものか」と
いう。
★こちらはあからさまに花子のことをよく思って
いませんね。
花子は歩の写真を見ていった。
「おかあちゃま、今日もコピット
ニュースを読むわね・・・・」と。
さて夕方、英治は時計を見た。
そろそろ子供の時間である。
ももは、台所へ行った。
冷蔵庫には、ジュースが入って
いる。
ももは、すごいといった。
そして、台所のコンロを見て「これはなに?」
とおもった。
英治がやってきて
「どうしたのですか?」と聞く。
ももは「お夕飯の支度をと思ったけど
台所の使い方がわからなくて」という。
英治は「助かるなぁ」と言って
コンロに火をつけた。
ももは驚いた。
「こんなに簡単に火がつくなんて」・・と。
花子が少しでも仕事に専念できるように
台所を便利なようにしたという。
ももは、「お姉やんは幸せ者だな」とつぶやいた。
コドモの新聞の時間となった。
「全国のお小さい方々ごきげんよう。
これからは皆さん方の新聞の時間です。
・・・
チャップリンが急に帰ってしまいました。
みなさん、活動写真の滑稽者で世界一になった
チャーリーチャップリンが先月の14日ひょっこり
神戸へついて・・・」
ももは、英治と一緒にラジオの前に座って
聞いていた。
英治は、モモの様子をみた。
「大変な歓迎を受けながら東京に来たことをご存じ
でしょう。
それからちょうど20日目です。
とまっていたホテルとふらりと飛び出し
風のように東京の町を自動車で乗り回したり
例のスティッキをふりふり散歩したり
・・・・・・・・・・・・。」
「今日の新聞のお時間はここまでです。
また、お話しましょうね。
それではみなさん、さようなら・・。」
ももはじっと聞いていた。
翌日、モモのことを知らされた吉平たち
が村岡家に来た。
吉平たちは、家に上がって
ももにあった。
「もも・・・・」
ふじは、声をかけた
「おかあ・・・・・」
ももは驚いた。
「おかあ・・・・会いたかったよ。」
ふじは、モモを抱きしめた。
「もも・・・」
言葉にならない。
ふじは、しっかりももを抱きしめ
背中をたたいた。
ももは、泣きながら「おかあ」と
ふじにいった。
★想像もつかない苦労をももは乗り越えて
きたのかもしれません。
ごきげんよう
さようなら・・・
**************
花子のラジオ番組は好評だというが
局の人間関係は大変そうである。
有馬はいいように思っていないし
漆原も、何を思っているのかわからない。
そんな放送を聞いたももが、
家を飛び出して花子の所へいこうとした。
北海道から船の中できいた
作家先生のこと。
まさか蓮子だなんて・・思ってもいなかった
というが。
それが功を奏した。
花子の所へ来ることができた。
ももが体験したとんでもなく苦労した話は
女性差別の時代だからこそではないだろうか。
その家の家長がなくなったが、妻に子がいない。
親族としては、もはやももは、他人
の、何者でもないのである。
下働きのように扱われたのではないかと
思う。
着るものも食べるものも
寝る場所も、差別されて
一日中、働いても十分食べ物と
休養の時間ももらえず、あたたかい
着物もなく
希望もなく
・・・蓮子はどんな境遇であれ女性も男性と
ひとしく自由に生きる権利があると
主張する記事を書いた。
ももの体験した嫁という名の奴隷扱いは
男女差別のよくある話であった。
それとは別に花子は困難を乗り越えて
村岡と一緒になった。
印刷会社を経営するのでお金持ちと言えば
お金持ちである。
郁弥もイギリスへ留学
したぐらいだから。
そして、花子も働き、英治も働き
青凛社を創設で来た。
それなりに、お金は裕福であろうと思われる。
開拓の農家の嫁と比べたら
全く違うと思っても仕方がない。
ももはどうみえただろうか?
かつてすきだった朝市は
花子が好きだった。
女学校へも行った花子。
華やかな着物を着て
帰ってきた花子をうらやましそうに
みていたもも。
ももと花子の違いはどこから生まれたのか?
女学校へ行くか行かないかという点
であろう。たんに行ったか行かなかったか
だけではない。
花子は給費生として優秀であることを
もとめられて、それに答えた。
ももは?
もうすこし、
結婚をあせることなく
親の言うとおりにすることなく
好きな人と結婚しようと
その相手を探していたら
よかったかもしれない。
朝市との恋に破れて
親の勧める結婚を受け入れた。
吉平は、北海道はひろいぞ~~と
かいって、いいやつだぞ~~~とか
いって、もちあげたから。
その時代、親の決めた相手と
結婚するのが普通だったから。
ふじと吉平の
孫は歩一人だった。
ももには子供がいない。
かよは、独身・・・
吉太郎も、独身・・・・。
吉平夫婦には孫はいない。
これから妹たちはどうなる
のかと、思う。
