ラジオのおばさん誕生2
JOAK東京放送局の黒沢が
蓮子の紹介で花子にラジオに出演依頼
に来た。
この界隈ではお話のおばさんと
呼ばれている花子だった。
「コドモの新聞」という番組で
ニュースの紹介を子供向けにするという
番組であるが、アナウンサーだと
堅苦しいので誰かいないかと
探していたという。
黒沢はさきほどの王子と乞食を
読み聞かせをしている花子を見て
行けると思ったそうだ。
しかし、花子にはある心配事があった。
すごいあがり性である。
蓮子はそれを聞いて思い出した。
大文学祭のとき
メイドの花子がジュリエットである
蓮子に薬をもってくるシーン。
ジュリエットお嬢様と言って
舞台の中央でかけよったとき
ドレスのすそをふんづけて見事に
転んだことがあった。
蓮子は大笑いをした。
「でも今の花ちゃんなら大丈夫よ」という。
子供たちは、「おばさんがラジオに出るの?」
「すごい!!」と大喜びをする。
さて、花子はどうするのでしょうか。
「とにかく一度見学がてらいらしてください」
と黒沢。
「いいえ、お役にたてないと思います」と花子。
英治は、そんな花子をじっと見ていた。
その夜英治は、花子に話しかけた。
ラジオの仕事をやってみたらいいという。
英治は、花子の声はほっとするという。
「特に子供たちにお話をしているときの声は
愛にあふれてあたたかくて・・」
花子は、びっくりして顔を上げた
が、「そんなこと初めて聞いたわ」
といって机に、向かった。
「もし、ナマケモノのお母さんがしゃべったら
きっとそういう声にちがいないな・・・。」
花子は顔を上げて英治を見た。
「はぁ?」
「あ、ほめたつもりなんだけど・・・。」
「褒められていません!
やっぱり明日断ってくるわ。」
英治は、「緊張して失敗するのが
嫌なのですか」と聞いた。
花子は「今は翻訳の仕事で手がいっぱいで
ラジオに出る時間があったら一つでも多く
物語を日本の子供たちに伝えたいのよ」
といった。
英治は、微笑んだ。
花子も、原稿に目をおとしながら
微笑んだ。
翌日、ラジオ放送局の制作部長漆原は
「村岡先生というのは何者だ」と
黒沢に聞いた。
黒沢は「児童文学の翻訳をなさっています
村岡花子先生です」といった。
漆原は女の人であることにこだわりを
持った。
アナウンサー有馬は「断りましょう」と
いう。
「いくら子供向けの番組とはいえ、素人
のご夫人を起用するなんて無謀です」と
いった。
漆原部長は、「そうだな」というが
黒沢は、「局長の承諾もとってある」と
いうと
漆原は、考え直さなくてはならなかった。
花子が翻訳した王子と乞食を局長の
息子さんが愛読しているとのことで
ぜひ、出演していただくようにと
言われたという。
応接間で待っている花子と英治。
英治は、一度ラジオ放送局を
見たかったからついてきたという。
そこへドアが開いて漆原と黒沢が
入ってくる。
英治と花子は立ち上がって
おじきをした。
「ようこそJOAK東京放送局へ。
制作部長の漆原です」という。
「ごきげんよう、はじめまして。
村岡花子でございます。」
「初めまして夫の村岡英治です。」
英治は漆原と名刺を交換した。
「座ってください」と言って話を始める
漆原。
「内容は黒沢から聞いた通りです。
出演していただけますね」というが
花子は「お断りするために来ました」と
いった。
漆原は不思議そうに「なぜですか」と聞く。
花子は「ラジオの向こうに大勢の人が
聞いていると思うと震えて身がすくんでしまう
から」という。
「ま、そうはおっしゃらないで。
局長が乗り気ですので引き受けてくださいよ。
山岡先生・・・。」
英治と花子は・・・
「え??」という顔をした。
黒沢は、「村岡花子先生ですよ」と
部長に言うと、「失礼」といって
「これから放送があるのでスタジオに
いきますが、一緒に見学をして
下さい」と言って立ち上がった。
「ここが指揮室です。ここから放送が
はじまります」、と黒沢が説明する。
ガラスの向こうにマイクがあって
アナウンサーがいた。
「あえいうえおあお、かきくけきこかこ」
とアナウンサーは発声の練習をしている。
漆原部長は「あれがうちの看板アナウンサーの
有馬次郎です」と紹介した。
花子は、目を輝かせた。
有馬は
「JOAK東京放送局であります。」
といった。
花子は思い出した。
歩がラジオごっこをしていたことを。
「あ~あ~~~あ~あ~~。
JOAK東京放送局であります。
次は村岡歩先生のお歌であります。
こっちはママのダーリン
こっちはパパのダーリン」
花子は食い入るようにアナウンサーを見ていた。
英治は、花子をじっと見た。
「5秒前
4
3
2
1」
「JOAK東京放送局であります。
東北、北海道地方の列車時間の短縮は
かねてから仙台、札幌、両鉄道局で
計画していました・・・。」
花子は、また食い入るように見ていた。
放送が終わって、有馬がスタジオから出てきた。
「お疲れ様でした~」と
漆原たちと言葉をかわした。
黒沢は「いかがでしたか」と
花子に聞いた。
「本番でよくあれだけ落ち着いて
いらっしゃるものですのね。
私はここで聞いているだけで
足が震えてきました。」
「そうですか・・・」
と漆原がいう。
花子は、
「でもやってみます」といった。
漆原は驚いた。
花子は「私でよければやらせてください」と
言って頭を下げた。
黒沢は引き受けてくれたとことを
喜んだ。
「よろしくおねがいします」と花子は言った。
英治が仕事に戻るので廊下を
歩きながら話をした。
「断りに来たのに
あがり性なのに
なぜだといいたいのでしょう?」
と花子はいう。
「そうね、全くその通りよね」
と自分で言って自分で答えを出した。
英治は「君の勇気をたたえる」という。
「歩もきっと喜んでいるよ。あの子も
ラジオが大好きだったからな」、と。
花子は英治が理解してくれているので
うれしくなった。
そこへ黒沢がきて、原稿を渡した。
「マイクで声を出してみてください」という。
英治は、「へぇ」といって原稿を見た。
そして「一人で大丈夫?」と聞いて
確認して、スタジオに入って行く
花子を見送った。
花子は、マイク前に座った。
黒沢が合図を出した。
「たいせつ・・・な・・て・・て・・
て・・帝国議会のおし・・」
かみかみである。
「村岡先生、テストですから固くならないで
深呼吸をしてみましょう。」と黒沢。
花子は立ち上がって深呼吸をした。
もう一度原稿を読む。
「帝国議・・・・帝国議会とは
尋常6年の・・・と・・・と・・・
読本、巻の12と・・修身の本には
出ておりますように・・・」
全くのカミカミである。
有馬は、部長に「本当にこの人で
やるのか」と聞いた。
部長は「局長がそう言っているのなら
しょうがないだろう」となげやり。
花子はスタジオから出てきた。
「すみません、緊張してしまって・・」
すると漆原は「いいえ、なかなか結構
でしたよ」
と、お世辞を言う。
そして有馬を紹介した。
彼が花子と一週交代で語りを担当するという。
そして、「あとは二人に任せるから」と言って
そそくさと行ってしまった。
黒沢は、花子に「今から特訓を受けて
いただきます」という。
つまり発声もかつぜつも
全く駄目なのである。
有馬がその特訓の担当だ。
マイク前に座った。
「はい、どうぞ・・・」と有馬。
「はい。
通貨収縮策により不景気退治を計画し・・・」
「余計な抑揚をつけないでください。
JOAKは無色透明でいいのです。」
「はい・・
今度は通貨膨張策によって景気の再建を図る
ようになり・・・」
「発音、かつぜつなにもかもなっていません。
まずは早口言葉、三番!!」
「はい。久留米のくぐり戸はくぐ・・
久留米のくぐり戸はクリの木のくぐり戸
くぐりつけりゃ、くぐりいいが・・・」
「遅い、それでは時間内に原稿を読めません。
武具馬具、武具馬具 み武具馬具・・・」
「武具が、武具馬具 み武具馬具・・・
ぶぐばぐ・・・ぐ・・」
「遅い!!!」
★花子がぼろぼろになりながら特訓を受けて
いる頃・・・
蓮子は、家で優雅に仕事をしていた。
「花ちゃんなら、きっと大丈夫・・・」と
蓮子は独り言を言った。
すると玄関の戸をたたく音がした。
「ごめんください、ごめんください」
という女性の声だった。
姑の浪子が「どなた?」と玄関を
あけると
そこに一人の女性が走り寄って
きた。
そして、いきなり玄関に入って
後ろ手で扉をしめた。
「あの、こちらは、宮本先生のお宅
ですよね?」
という。
みなりは、やつれたような感じで
年はまだ、若い感じである。
「先生はいらっしゃいますか?」
あわてている様子であった。
「どういう御用?」と聞くと
「先生に会いたいのです。
合わせてください!」
女性は、浪子にしがみつくように
必死の面持ちで訴える。
「蓮子さん!!」
百戦錬磨の姑はその勢いに
おされてつい、嫁の名前を呼んだ。
「蓮子さん~~!!」
「はい、どうなさったのですか?
お母様・・。」
蓮子は、玄関に立っている女性を見て
すっとちがづき、
「ごきげんよう」といった。
「どちら様ですか?」
「雪乃と申します・・・。」
不安げに雪乃は答えた。
そして頭を下げた。
姑は「まさか、龍一の女じゃ・・・」
というが。
蓮子は「まさか」といった。
そして、雪乃を見た。
★さて、この色っぽい女性はなにをしに
やってきたのでしょう?
ごきげんよう
さようなら
*****************
何故花子はラジオの仕事を引き受けた
のでしょうか。
もしかしたら、歩との思い出を
考えてラジオが好きだった歩がいたら
きっと喜んだと思ったのでしょうか。
JOAK東京放送局であります・・・。
そう、歩がいっていたことを
思い出した。
でも、滑舌の悪さ、発音の悪さ
…いいのかと思う。
誰でも最初は素人ですから。
久しぶりに出た英治のナマケモノ
の話・・・
褒めているつもりだというが
花子には茶化している風にしか思えない。
とにかく、アナウンサー相手に
あえいうえおあおである。
カミカミの演技、吉高さん、御上手。
そして、雪乃という女性は??
姑は肝が据わっているようで
そうでもないことが分かった。
蓮子のほうが座っているではない
ですか。
なにげに面白かったです。
JOAK東京放送局の黒沢が
蓮子の紹介で花子にラジオに出演依頼
に来た。
この界隈ではお話のおばさんと
呼ばれている花子だった。
「コドモの新聞」という番組で
ニュースの紹介を子供向けにするという
番組であるが、アナウンサーだと
堅苦しいので誰かいないかと
探していたという。
黒沢はさきほどの王子と乞食を
読み聞かせをしている花子を見て
行けると思ったそうだ。
しかし、花子にはある心配事があった。
すごいあがり性である。
蓮子はそれを聞いて思い出した。
大文学祭のとき
メイドの花子がジュリエットである
蓮子に薬をもってくるシーン。
ジュリエットお嬢様と言って
舞台の中央でかけよったとき
ドレスのすそをふんづけて見事に
転んだことがあった。
蓮子は大笑いをした。
「でも今の花ちゃんなら大丈夫よ」という。
子供たちは、「おばさんがラジオに出るの?」
「すごい!!」と大喜びをする。
さて、花子はどうするのでしょうか。
「とにかく一度見学がてらいらしてください」
と黒沢。
「いいえ、お役にたてないと思います」と花子。
英治は、そんな花子をじっと見ていた。
その夜英治は、花子に話しかけた。
ラジオの仕事をやってみたらいいという。
英治は、花子の声はほっとするという。
「特に子供たちにお話をしているときの声は
愛にあふれてあたたかくて・・」
花子は、びっくりして顔を上げた
が、「そんなこと初めて聞いたわ」
といって机に、向かった。
「もし、ナマケモノのお母さんがしゃべったら
きっとそういう声にちがいないな・・・。」
花子は顔を上げて英治を見た。
「はぁ?」
「あ、ほめたつもりなんだけど・・・。」
「褒められていません!
やっぱり明日断ってくるわ。」
英治は、「緊張して失敗するのが
嫌なのですか」と聞いた。
花子は「今は翻訳の仕事で手がいっぱいで
ラジオに出る時間があったら一つでも多く
物語を日本の子供たちに伝えたいのよ」
といった。
英治は、微笑んだ。
花子も、原稿に目をおとしながら
微笑んだ。
翌日、ラジオ放送局の制作部長漆原は
「村岡先生というのは何者だ」と
黒沢に聞いた。
黒沢は「児童文学の翻訳をなさっています
村岡花子先生です」といった。
漆原は女の人であることにこだわりを
持った。
アナウンサー有馬は「断りましょう」と
いう。
「いくら子供向けの番組とはいえ、素人
のご夫人を起用するなんて無謀です」と
いった。
漆原部長は、「そうだな」というが
黒沢は、「局長の承諾もとってある」と
いうと
漆原は、考え直さなくてはならなかった。
花子が翻訳した王子と乞食を局長の
息子さんが愛読しているとのことで
ぜひ、出演していただくようにと
言われたという。
応接間で待っている花子と英治。
英治は、一度ラジオ放送局を
見たかったからついてきたという。
そこへドアが開いて漆原と黒沢が
入ってくる。
英治と花子は立ち上がって
おじきをした。
「ようこそJOAK東京放送局へ。
制作部長の漆原です」という。
「ごきげんよう、はじめまして。
村岡花子でございます。」
「初めまして夫の村岡英治です。」
英治は漆原と名刺を交換した。
「座ってください」と言って話を始める
漆原。
「内容は黒沢から聞いた通りです。
出演していただけますね」というが
花子は「お断りするために来ました」と
いった。
漆原は不思議そうに「なぜですか」と聞く。
花子は「ラジオの向こうに大勢の人が
聞いていると思うと震えて身がすくんでしまう
から」という。
「ま、そうはおっしゃらないで。
局長が乗り気ですので引き受けてくださいよ。
山岡先生・・・。」
英治と花子は・・・
「え??」という顔をした。
黒沢は、「村岡花子先生ですよ」と
部長に言うと、「失礼」といって
「これから放送があるのでスタジオに
いきますが、一緒に見学をして
下さい」と言って立ち上がった。
「ここが指揮室です。ここから放送が
はじまります」、と黒沢が説明する。
ガラスの向こうにマイクがあって
アナウンサーがいた。
「あえいうえおあお、かきくけきこかこ」
とアナウンサーは発声の練習をしている。
漆原部長は「あれがうちの看板アナウンサーの
有馬次郎です」と紹介した。
花子は、目を輝かせた。
有馬は
「JOAK東京放送局であります。」
といった。
花子は思い出した。
歩がラジオごっこをしていたことを。
「あ~あ~~~あ~あ~~。
JOAK東京放送局であります。
次は村岡歩先生のお歌であります。
こっちはママのダーリン
こっちはパパのダーリン」
花子は食い入るようにアナウンサーを見ていた。
英治は、花子をじっと見た。
「5秒前
4
3
2
1」
「JOAK東京放送局であります。
東北、北海道地方の列車時間の短縮は
かねてから仙台、札幌、両鉄道局で
計画していました・・・。」
花子は、また食い入るように見ていた。
放送が終わって、有馬がスタジオから出てきた。
「お疲れ様でした~」と
漆原たちと言葉をかわした。
黒沢は「いかがでしたか」と
花子に聞いた。
「本番でよくあれだけ落ち着いて
いらっしゃるものですのね。
私はここで聞いているだけで
足が震えてきました。」
「そうですか・・・」
と漆原がいう。
花子は、
「でもやってみます」といった。
漆原は驚いた。
花子は「私でよければやらせてください」と
言って頭を下げた。
黒沢は引き受けてくれたとことを
喜んだ。
「よろしくおねがいします」と花子は言った。
英治が仕事に戻るので廊下を
歩きながら話をした。
「断りに来たのに
あがり性なのに
なぜだといいたいのでしょう?」
と花子はいう。
「そうね、全くその通りよね」
と自分で言って自分で答えを出した。
英治は「君の勇気をたたえる」という。
「歩もきっと喜んでいるよ。あの子も
ラジオが大好きだったからな」、と。
花子は英治が理解してくれているので
うれしくなった。
そこへ黒沢がきて、原稿を渡した。
「マイクで声を出してみてください」という。
英治は、「へぇ」といって原稿を見た。
そして「一人で大丈夫?」と聞いて
確認して、スタジオに入って行く
花子を見送った。
花子は、マイク前に座った。
黒沢が合図を出した。
「たいせつ・・・な・・て・・て・・
て・・帝国議会のおし・・」
かみかみである。
「村岡先生、テストですから固くならないで
深呼吸をしてみましょう。」と黒沢。
花子は立ち上がって深呼吸をした。
もう一度原稿を読む。
「帝国議・・・・帝国議会とは
尋常6年の・・・と・・・と・・・
読本、巻の12と・・修身の本には
出ておりますように・・・」
全くのカミカミである。
有馬は、部長に「本当にこの人で
やるのか」と聞いた。
部長は「局長がそう言っているのなら
しょうがないだろう」となげやり。
花子はスタジオから出てきた。
「すみません、緊張してしまって・・」
すると漆原は「いいえ、なかなか結構
でしたよ」
と、お世辞を言う。
そして有馬を紹介した。
彼が花子と一週交代で語りを担当するという。
そして、「あとは二人に任せるから」と言って
そそくさと行ってしまった。
黒沢は、花子に「今から特訓を受けて
いただきます」という。
つまり発声もかつぜつも
全く駄目なのである。
有馬がその特訓の担当だ。
マイク前に座った。
「はい、どうぞ・・・」と有馬。
「はい。
通貨収縮策により不景気退治を計画し・・・」
「余計な抑揚をつけないでください。
JOAKは無色透明でいいのです。」
「はい・・
今度は通貨膨張策によって景気の再建を図る
ようになり・・・」
「発音、かつぜつなにもかもなっていません。
まずは早口言葉、三番!!」
「はい。久留米のくぐり戸はくぐ・・
久留米のくぐり戸はクリの木のくぐり戸
くぐりつけりゃ、くぐりいいが・・・」
「遅い、それでは時間内に原稿を読めません。
武具馬具、武具馬具 み武具馬具・・・」
「武具が、武具馬具 み武具馬具・・・
ぶぐばぐ・・・ぐ・・」
「遅い!!!」
★花子がぼろぼろになりながら特訓を受けて
いる頃・・・
蓮子は、家で優雅に仕事をしていた。
「花ちゃんなら、きっと大丈夫・・・」と
蓮子は独り言を言った。
すると玄関の戸をたたく音がした。
「ごめんください、ごめんください」
という女性の声だった。
姑の浪子が「どなた?」と玄関を
あけると
そこに一人の女性が走り寄って
きた。
そして、いきなり玄関に入って
後ろ手で扉をしめた。
「あの、こちらは、宮本先生のお宅
ですよね?」
という。
みなりは、やつれたような感じで
年はまだ、若い感じである。
「先生はいらっしゃいますか?」
あわてている様子であった。
「どういう御用?」と聞くと
「先生に会いたいのです。
合わせてください!」
女性は、浪子にしがみつくように
必死の面持ちで訴える。
「蓮子さん!!」
百戦錬磨の姑はその勢いに
おされてつい、嫁の名前を呼んだ。
「蓮子さん~~!!」
「はい、どうなさったのですか?
お母様・・。」
蓮子は、玄関に立っている女性を見て
すっとちがづき、
「ごきげんよう」といった。
「どちら様ですか?」
「雪乃と申します・・・。」
不安げに雪乃は答えた。
そして頭を下げた。
姑は「まさか、龍一の女じゃ・・・」
というが。
蓮子は「まさか」といった。
そして、雪乃を見た。
★さて、この色っぽい女性はなにをしに
やってきたのでしょう?
ごきげんよう
さようなら
*****************
何故花子はラジオの仕事を引き受けた
のでしょうか。
もしかしたら、歩との思い出を
考えてラジオが好きだった歩がいたら
きっと喜んだと思ったのでしょうか。
JOAK東京放送局であります・・・。
そう、歩がいっていたことを
思い出した。
でも、滑舌の悪さ、発音の悪さ
…いいのかと思う。
誰でも最初は素人ですから。
久しぶりに出た英治のナマケモノ
の話・・・
褒めているつもりだというが
花子には茶化している風にしか思えない。
とにかく、アナウンサー相手に
あえいうえおあおである。
カミカミの演技、吉高さん、御上手。
そして、雪乃という女性は??
姑は肝が据わっているようで
そうでもないことが分かった。
蓮子のほうが座っているではない
ですか。
なにげに面白かったです。
