涙はいつか笑顔になる5
関東大震災が起こった。
★大地震で東京の中心は
恐ろしい被害をうけましたが
大森の村岡家は幸い倒壊を
まぬがれました。
★かよをさがしにいった英治が
帰ってきたのは震災から
3日後でした。
「かよ、おかえり・・・」
花子は、かよが無事だったのを喜んだ
が・・・かよは無表情で思いつめった
様子だった。
「かよ、心配しただよ
郁弥さんは?」
「おねえやん、郁弥さん、結婚してくださいって
いっただ。」
「そう、よかったね」
「おら、うれしかった・・・
郁弥さんおらのこと
女神だと言ってくれた
それなのに、おら、はずかしくて
店飛び出してしまってさ・・・」
花子は、かよの様子が気になり
家に入るように言った
「おら、なんで、ハイって素直に
言えなんだずら」
「・・・・・」
家に入った英治は、心配する
父に、「郁弥は火災に巻き込まれて
逃げ切れませんでした」と
いった。
「まちがいだろ?
ひとちがいだろ??」
父は言うが
英治はつらそうな顔をした。
英治は火災がようやく収まったとき
銀座に向かった。
銀座はあたり一面焼け野原だった。
いぜん、かよと住んでいた
長屋もやけた。
「新橋、京橋、日本橋、築地・・
やっと、お寺でかよさんをみつけたんだ。
そのお寺で郁弥が埋葬されるのを見届けて
くれたんだ・・。」
父は叫んだ。
「そんなことどうしてわかる。
郁弥ではないかもしれない。
もう一度、探しに行くんだ・・
そうだ、会社を立て直すから
郁弥が必要だ。会社の連中にも
探してもらおう」という。
英治は
「父さん、郁弥はもういないんです。」
と大声で言った。
現実に戻った父だった。
英治は続けた。
「あの一帯にいた人たちはみんな
助からなかったそうです。
かよさんは郁弥の時計を見つけたそうです。
何もしてやれなかった・・・。」
英治は泣いた。
★甲府では花子たちの安否が全く分からず
途方に暮れていました。
徳丸家にそろった安東家と木場リン、朝市。
地主の徳丸に東京の様子を聞くが
全くわからないという。
新聞も、ラジオも、電報も動かず
どうしているのか、無事なのかと
心配する吉平は徳丸に相談した。
「大森はわからないが、銀座など東京の
東のほうは地震の後、火事で大変だ」
というが。
「会社も、カフェも
銀座にある」とふじは、叫んだ。
リンは、「大丈夫だよ、便りがないのは
元気な証拠だというし。」という。
徳丸は、今から、東京のお得意さん
のところへ食べ物を運びに行くという。
吉平は自分も行くという。ふじもいうが
徳丸は、男衆にまかせておけという。
朝市もいくという。
武も、父親の命令で行くことになった。
東京では、救援活動に携わる吉太郎が
村岡家に立ち寄っていました。
壊れたものをかたずける吉太郎。
「はな、かよを頼む」といって帰って行った。
近所の子供が二人、親の安否がわからず
座り込んでいた。
その子供が、何かお話をしてといって
やってきた。
花子は、かよのことが気になったので
断ろうとした。
子どもはがっかりしたが
英治は、お話をしてあげようよと
花子に言った。
かよは、相変わらず呆然としていた。
家にあがった子供たちは
花子の話を聞いた。
よくなく女の子の話だった。
「なみださんはカエルに言いました。
何故私についてくるのよ?
そのうち、お嬢さんの周りには
涙の池ができるだろうからね。
なみださんは、よしてください、よしてください
となきました。
そんなに泣きますと大水が出ますと
カエルは言いました。
なるほどと、なみだは泣くのをやめて
周りを見ました。
水は一刻一刻に増えていきます。」
「なみださんはおよげないのよね?」
「そうなの、涙は困ってまた泣きました。
私をこの島から出してちょうだい。
カエルはいいました。
この島から抜け出す道は一つだけです。
笑うのです。
さ、涙さんは笑えるかな?」
「笑えるわけないジャンけ・・・」
かよが部屋の陰からひとこと言って
去って行った。
花子はこまった。話に詰まった。
その頃、吉平たちが大八車を引いて
歩いていた。
「この辺はまだ大丈夫みたいですね。」
と朝市。
「そうだな・・・
花子、かよ、無事でいてくりょ~~」
と吉平は言った。
「まだけ~~~おらもうだめだ~~
一歩も歩けね~~」と武。
「もうすぐそこじゃ~~」
吉平は花子の家についた。
「おーーい、花~~
無事け~~~~~~!!!!」
「おとう!」
「おとうさん!!
朝市さんも来てくれたんですけ。」
花子と英治は吉平たちを見て
驚いた。
「花」と朝市
「朝市」花・・。
「無事だったか。はなたれ」と武。
「よかった
よかった・・・はなぁ~~ぶじで
よかった・・・」
吉平は無事にいる花子と英治、歩
をみて泣いた。
★吉平たちが来たのは震災から
五日後のことでした。
ごきげんよう
さようなら・・・。
*****************
息が詰まるような震災の状況
でした。
銀座が丸焼け??
あのとき、かよは店を飛び出したから
火事に巻き込まれなくて
すんだのかもしれませんね。
心残りは郁弥のプロポーズを受けなかった
ことでした。
なんでも素直にならないと損をしますよ。
気になるのは、かよがうつ状態になっている
こと。
子どもの前で「笑えるわけないじゃん」って
いうとは・・。
それをいったら、話は断ち切れます。
こういう話は、笑って終わりなんですよ。
甲府で心配をする吉平。
朝市、ふじ、りん・・。
吉平たちが大八車に食べ物を積んで
歩いてやってきたのは嬉しいことです。
さすが、もと行商のおとう。
なんと心強いことでしょうか。
これでかよも気が晴れたら
いいのですけどね。
でもお気の毒なのは、村岡父です。
最愛の、郁弥を失って兄弟で
会社をやってもらいたいという
夢が・・
それ以上に息子に先にいかれることほど
辛いことはないです。
関東大震災が起こった。
★大地震で東京の中心は
恐ろしい被害をうけましたが
大森の村岡家は幸い倒壊を
まぬがれました。
★かよをさがしにいった英治が
帰ってきたのは震災から
3日後でした。
「かよ、おかえり・・・」
花子は、かよが無事だったのを喜んだ
が・・・かよは無表情で思いつめった
様子だった。
「かよ、心配しただよ
郁弥さんは?」
「おねえやん、郁弥さん、結婚してくださいって
いっただ。」
「そう、よかったね」
「おら、うれしかった・・・
郁弥さんおらのこと
女神だと言ってくれた
それなのに、おら、はずかしくて
店飛び出してしまってさ・・・」
花子は、かよの様子が気になり
家に入るように言った
「おら、なんで、ハイって素直に
言えなんだずら」
「・・・・・」
家に入った英治は、心配する
父に、「郁弥は火災に巻き込まれて
逃げ切れませんでした」と
いった。
「まちがいだろ?
ひとちがいだろ??」
父は言うが
英治はつらそうな顔をした。
英治は火災がようやく収まったとき
銀座に向かった。
銀座はあたり一面焼け野原だった。
いぜん、かよと住んでいた
長屋もやけた。
「新橋、京橋、日本橋、築地・・
やっと、お寺でかよさんをみつけたんだ。
そのお寺で郁弥が埋葬されるのを見届けて
くれたんだ・・。」
父は叫んだ。
「そんなことどうしてわかる。
郁弥ではないかもしれない。
もう一度、探しに行くんだ・・
そうだ、会社を立て直すから
郁弥が必要だ。会社の連中にも
探してもらおう」という。
英治は
「父さん、郁弥はもういないんです。」
と大声で言った。
現実に戻った父だった。
英治は続けた。
「あの一帯にいた人たちはみんな
助からなかったそうです。
かよさんは郁弥の時計を見つけたそうです。
何もしてやれなかった・・・。」
英治は泣いた。
★甲府では花子たちの安否が全く分からず
途方に暮れていました。
徳丸家にそろった安東家と木場リン、朝市。
地主の徳丸に東京の様子を聞くが
全くわからないという。
新聞も、ラジオも、電報も動かず
どうしているのか、無事なのかと
心配する吉平は徳丸に相談した。
「大森はわからないが、銀座など東京の
東のほうは地震の後、火事で大変だ」
というが。
「会社も、カフェも
銀座にある」とふじは、叫んだ。
リンは、「大丈夫だよ、便りがないのは
元気な証拠だというし。」という。
徳丸は、今から、東京のお得意さん
のところへ食べ物を運びに行くという。
吉平は自分も行くという。ふじもいうが
徳丸は、男衆にまかせておけという。
朝市もいくという。
武も、父親の命令で行くことになった。
東京では、救援活動に携わる吉太郎が
村岡家に立ち寄っていました。
壊れたものをかたずける吉太郎。
「はな、かよを頼む」といって帰って行った。
近所の子供が二人、親の安否がわからず
座り込んでいた。
その子供が、何かお話をしてといって
やってきた。
花子は、かよのことが気になったので
断ろうとした。
子どもはがっかりしたが
英治は、お話をしてあげようよと
花子に言った。
かよは、相変わらず呆然としていた。
家にあがった子供たちは
花子の話を聞いた。
よくなく女の子の話だった。
「なみださんはカエルに言いました。
何故私についてくるのよ?
そのうち、お嬢さんの周りには
涙の池ができるだろうからね。
なみださんは、よしてください、よしてください
となきました。
そんなに泣きますと大水が出ますと
カエルは言いました。
なるほどと、なみだは泣くのをやめて
周りを見ました。
水は一刻一刻に増えていきます。」
「なみださんはおよげないのよね?」
「そうなの、涙は困ってまた泣きました。
私をこの島から出してちょうだい。
カエルはいいました。
この島から抜け出す道は一つだけです。
笑うのです。
さ、涙さんは笑えるかな?」
「笑えるわけないジャンけ・・・」
かよが部屋の陰からひとこと言って
去って行った。
花子はこまった。話に詰まった。
その頃、吉平たちが大八車を引いて
歩いていた。
「この辺はまだ大丈夫みたいですね。」
と朝市。
「そうだな・・・
花子、かよ、無事でいてくりょ~~」
と吉平は言った。
「まだけ~~~おらもうだめだ~~
一歩も歩けね~~」と武。
「もうすぐそこじゃ~~」
吉平は花子の家についた。
「おーーい、花~~
無事け~~~~~~!!!!」
「おとう!」
「おとうさん!!
朝市さんも来てくれたんですけ。」
花子と英治は吉平たちを見て
驚いた。
「花」と朝市
「朝市」花・・。
「無事だったか。はなたれ」と武。
「よかった
よかった・・・はなぁ~~ぶじで
よかった・・・」
吉平は無事にいる花子と英治、歩
をみて泣いた。
★吉平たちが来たのは震災から
五日後のことでした。
ごきげんよう
さようなら・・・。
*****************
息が詰まるような震災の状況
でした。
銀座が丸焼け??
あのとき、かよは店を飛び出したから
火事に巻き込まれなくて
すんだのかもしれませんね。
心残りは郁弥のプロポーズを受けなかった
ことでした。
なんでも素直にならないと損をしますよ。
気になるのは、かよがうつ状態になっている
こと。
子どもの前で「笑えるわけないじゃん」って
いうとは・・。
それをいったら、話は断ち切れます。
こういう話は、笑って終わりなんですよ。
甲府で心配をする吉平。
朝市、ふじ、りん・・。
吉平たちが大八車に食べ物を積んで
歩いてやってきたのは嬉しいことです。
さすが、もと行商のおとう。
なんと心強いことでしょうか。
これでかよも気が晴れたら
いいのですけどね。
でもお気の毒なのは、村岡父です。
最愛の、郁弥を失って兄弟で
会社をやってもらいたいという
夢が・・
それ以上に息子に先にいかれることほど
辛いことはないです。
