あなたがいる限り6

ついに蓮子は龍一と駆け落ちをした。

★夫も友も裏切り蓮子は愛する人のもとへ
走りました。

翌朝のこと、英治と花子は
ついに来なかった蓮子の話を
していた。
ご主人のことできっと忙しい
んだよ、と英治は言う。

その時、玄関を荒っぽくたたく音が
した。
英治は「どなたですか」と聞く。

「嘉納…伝助たい・・・。」

英治は驚いて玄関を開けた。
「嘉納さん、どうなさったのですか?」
花子は伝助に聞いた。

「蓮子・・・ここにきちょらん
やろか???」
憔悴した伝助が言った。

伝助は勝手に家に上がって
「蓮子・・・
どこにいるんだ?
蓮子・・」

「蓮子ぉ~~」
と、つぎつぎと部屋を空けながら

叫びながら蓮子を呼ぶ。
花子は、「蓮子さん、いなくなったのですか?」

と聞くが、狂ったようにふすまや
窓ガラスをあけながら
探している。
「蓮子ぉ~~」
「蓮子―――ぉおおお」

歩が泣いた。
あまりの大きな声におびえた。
「蓮子ぉ~~」

「蓮子ぉ~~~」

英治は、「ここにはいらっしゃいません。
本当です」というが。
伝助は聞かない。
「蓮子ぉ~~蓮子ぉ~~~」と
叫んで探し回っている。

「もうやめてください!!!
石炭王の嘉納伝助と
あろうお方がなにをなさって
いるのですか。」
英治は、伝助を捕まえて
諭すように言った。
伝助は、やっと気が付いたのか
「おお!!」と声を上げた。
「あ・・・ああ・・
これはあいつが旅館に忘れた
祝いたい。
はなちゃん、ご主人、みっともないところ
を見せてしまって・・

スマン!!」
風呂敷から祝いの品をだして
差しだし、風呂敷をなおして
去って行った。

あっけにとられる英治と花子。
「蓮様、なにがあったの・・・?」

花子はつぶやいた。

花子はカフェドミンゴでかよにその話を
した。
かよは、昨夜蓮子はこの店に来たと
話した。
「一人で?」
「ううん、待ち合わせだったわ」。
「宮本さんて人?」
かよはうなずいた。
「宮本さんはどこにいるのか知らない?」
・・・


その頃、宮本は
「蓮子さん」といって起き上がった。
隣に寝ていたはずの蓮子がいない。
飛び起きると
蓮子が起きて、赤い長襦袢
姿で長い髪の毛をすいていた。
蓮子は、「ごきげんよう」といった。
「蓮子さん
いなくなったのかと思った・・・。」

「ふふふ・・・どうして?」
「昨夜から不安だった。
このまま帰ってしまうんじゃないかと」
「二度と帰らないわ。
あなたと生きていくって決めたの。」
龍一は蓮子を後ろから抱いた。
「きっとご主人があなたを連れ戻しに
くる・・・」
「あなたがそばにいてくれるなら
私は何も怖くないわ。
何があってもあなたのそばを離れないわ」
「本当に?」
「そんなに心配ならあの人に手紙を書くわ。
・・」
「手紙?」
蓮子は、和紙に筆で夫への絶縁状を
書いた。

「この手紙を龍一さんに託します。

あなたが投函してください。
あなたへの愛のあかしですから。」
「ありがとう
蓮子・・・。」
龍一は蓮子を抱きしめた。

その様子を窓の下からみている
男がいた。
憲兵だ。ひとりは吉太郎だった。
「女を連れ込んで。
全く、いい気なもんだな・・。」
と上司の憲兵は言った。
吉太郎は、厳しい目をして
龍一の部屋の窓を
睨んでいた。

それから数日後の早朝のことでした。

「ごめんください
朝早くにスミマセン。醍醐です。」

「はい・・・。」

花子は玄関を開けた。

「ごきげんよう」
「ごきげんよう、花さん
今日の朝刊をご覧になった?」
花子は驚いた。
「これ見てください。」
新聞には、
石炭王の妻が夫に絶縁状を
突き付けたとあって、
蓮子が書いたあの
絶縁状がすべて新聞の掲載
されていた。

福岡の嘉納邸では。

黒沢が伝助のもとに朝刊をもって
現れた。
もちろん、新聞記事となった絶縁状の
ことである。
一緒に入ってきたタミは
「旦那様、私はいつかこの日が来るのではと
思っていました。それにしても
新聞に絶縁状を載せるなんて
ここまでひどい女だとは、思いませんでした」
と、騒ぐので
黒沢はタミを外に追い出した。
「嘉納さん、冷静に聞いてください。
蓮子さんの手紙はここに掲載
されています。」
伝助は、新聞をがさがさと
ひろげてやっとその記事を見た。
そして、黒沢に読むように言った。

「嘉納伝助様
私は今あなたの妻として最後の手紙を
したためています。
御承知の通り、結婚当初から
あなたと私の間には全く愛と理解を
欠いていました。
でも私はこの結婚を有意義にしようと
できる限り努力しました。」

伝助は大きく目を開けて
聞いていた。
花子たちも、醍醐と英治と三人で
驚きながら記事を読んでいた。

「私がはかない期待を抱いて
東京から九州に来て
10年になりますが、私の期待は
すべて裏切られ私の努力も
水の泡となりました。
愛なき結婚が産んだ不遇と思い
私の生涯は暗い一生で終わるものと
あきらめていたのです。
しかし、幸いにして愛する人と
巡り合うことができました。
わたしはその愛によって今、復活
しようとしているのです。
ともあれ、十年の間、欠点の多い
この私を養って下さって
感謝します。」

黒沢は、ためいきをついた。
「しかし、なぜこのような手紙が
新聞に載ったのでしょうか。」

伝助は立ち上がってその新聞を
ひったくり破り捨てた。
「こげなもん」
とびりびりに破いた

「こげなもん」

「うおおおおおお」

と唸り声を出して
部屋中のものを壊した。

椅子をけり
本をけり
テーブルをなげすて
こげなもん

こげなもん!!!

う・・ううううう・・・
わぁああああああああああ

伝助は大声で泣いた。


★蓮子はまだ知らなかったのです。
まさかあの手紙が新聞に公開されて
いるとは・・・

★蓮子は何もかも捨ててたった一つの
夢をつかんだのでしょうか・

蓮子は、龍一の部屋を花で飾っていた。
花子は、蓮子を思って心配していた。

龍一が帰ってきた。蓮子は
向かえた。
「ごきげんよう・・じゃなくて
お帰りなさい」

「ただ今・・・」

そういって、龍一は
蓮子を抱きしめた。

★ではまた来週

ごきげんよう

さようなら
*****************
盛り上がりますね~~。
何を面白がっているのかって?
吉太郎はどう思っているのかとか
花子は?醍醐は?
そして伝助は??
龍一はどうする気なのかとか。
いろいろですよ。

で、彼らはどう生きていくのでしょうか?
宮本龍一の実家はそれなりの家らしい
ですが、どうなんでしょうか。
「愛は、不作法をしない、愛はうらぎらない・・」
と、聖書にありますが
愛は、自分勝手でもあります。

このことはやがて世間を騒がして
いきます。

蓮子の生き方は花子や醍醐にどんな
影響となるのでしょうか。

++++++++++++
おまけの感想・・・です。↓↓↓
+++++++++
今週、いろいろあって
書くことができずすみませんでした。

これで、今週の花子とアンをアップできました。

うれしいです。

特に、ロマンチックというか
ドラマチックというか

蓮子の駆け落ちは、すごいです。

昨日など美輪さんの愛の讃歌で
終わりましたから・・・

すごい!!
朝から、テレビを見る目に
力が入りました。

おかげで疲れ目です・・・・。


今日は今日とて
伝助が憔悴しきって花子の家に
蓮子を探しに来て
大変な騒動となったのに

龍一の平和そうな寝顔が
写りました。

しかも

小さな下宿屋の

古い布団一組です。

ああ・・・

なんだろうなぁ~~~~~

これが、貧乏学生の生活なのか~~

蓮子様はやっていくことができるのか
とか

思いましたね。

その平和そうな龍一が
目を見開いたのは

長い黒髪を垂らした
赤い襦袢の蓮子だったのですね・・・・。

吉原の花魁か???

なんて思いましたが

なんて色っぽい。

こんな豪華な人妻をおとして
君はどうやって
彼女を養っていくつもりなのかと

思いました・・・。

これだと、龍一の就職も
大変で、あの石炭王の妻を
寝取った間男と、して
どこが採用しますかな????