最高のクリスマス6
クリスマスパーティがおわったドミンゴで
朝市は英治に言った。
「おらは花が好きです。」
英治は「そんなに思っているなら
あなたが彼女と結ばれるべきだ。」
という。
「まだわからんのですか。
おらじゃだめじゃ。
・・・
あんたじゃなきゃ、だめどぅ。」
朝市は、そう訴えた。
英治のかいた銀河の乙女の挿絵は
編集部でも好評だった。
醍醐は「銀河の乙女は花さんですね」と
いった。「銀河の乙女はだれの心
の中にもいます。村岡さんの
心の中にもいます」と
いったという。
銀河の乙女は想像の翼を広げていた。
花はじっと見た。
銀河の乙女とは花のことだったと
醍醐の言う話を郁弥はじっと
聞いていた。
会社に帰った郁弥は英治に挿絵が
好評だったといった。
そして、小さな木箱を英治に渡した。
英治は、不思議そうにふたを開けた。
白いリボンのついたカメオの
ブローチだった。
「ごめん、もっと早く渡すべきだった・・」
という。
「どういうことだ?」英治は郁弥にいった。
病室で、香澄が言ったことを話した。
「あの人、優しいから、わたしのことを
ひきずってずっとひとりかもしれない。
だったら私は安心して天国にいけないわ。
英治さんに伝えて、私が死んだら、私に
縛られないで誰かと一緒に生きてほしい・・」と。
そしてカメオのブローチを渡された。
「これは?」
「結婚式の時にお母様からいただいた形見
のカメオ。それをその人に渡して
ほしいの。英治さんきっともう
その人に会っていると思うわ。」
郁弥は、その時はわからなかったけど
香澄が英治のことを深く愛していた
ことを知ったという。
英治は、張りつめた気持ちが途切れ
たかのように泣いた。
福岡では、あんな別れ方をした龍一のことを
思って、彼からの手紙を待っていた。
イライラしながら。
そこへ、女中が「奥様、来ました」と
喜び勇んで手紙を持ってきた。
それこそ蓮子が待ちわびた龍一からの
手紙だった。
その中には
「あなたはご主人とは別れることはできない。
それがよくわかりました。
もうこれでおしまいにしましょう
さようなら
筑豊の嘉納夫人・・・」
呆然として座っている蓮子に
伝助は声をかけた。
「どうしたのか?」と聞く。
蓮子は龍一からの手紙を着物の
袂に隠した。
伝助は「腹でも痛いのか?
医者を呼ぼうか」と聞く。
この男もやさしいのである。
蓮子は、「東京へ行かせてください」
という。
伝助はハハハハと笑って「
「もう、東京が恋しくなったのか。
そのうちまた仕事ですぐに行くから
その時連れて行っちゃる」といった。
蓮子は泣き声で言った。
「今すぐ、行きたいのです。お願いです。
東京へ行かせてください。」
「ダメだ。
俺が上京するまでいってはならん。」
「それなら、私はこの家を出て行きます。」
「なんだと?」
「私と離縁してください。」
伝助は、なにをいうかと驚いた。
そんなことできるわけがない。
蓮子は、「お願いです。私を自由に
してください」と泣いて訴えた。
聡文堂の編集部には宇田川がきて
いた。銀河の乙女の挿絵をじっと
みた。
「今度のはいいと思いますが
まだお気に召しませんか」と
醍醐が聞いた。
「いいじゃない・・・。」
「ではそれで進めさせていただきます。」
その夜、家に帰る花に声をかける人が
いた。
「花子さん・・・」
振り向くと英治だった。
「て!!」と驚いたが花は
仕事風に言った。
「ごきげんよう、今日は素敵な挿絵を
ありがとうございました。
宇田川先生も喜んでいました。」
「あなたのおかげでかけたんです。」
「・・・・・」
「大事な話があります。」
花は緊張した。
花は英治を家に入れた。
かよがお茶を運んできた。
そして、気をきかせてでかけよう
とした。
二人が同時に、ここにいてほしいと
いった。
かよは、その場で座った。
「花子さん・・
僕は、あなたを愛してしまいました。
自分の気持ちにふたをして今まで
ずっと気が付かないふりをしていたのです。
思いを貫けば、傷つける人がいました。
その人も僕にとって大切な人でした。
でも・・
自分の気持ちから逃げるのはもう
やめることにしました。
僕の人生にはあなたが必要なのです
結婚してください。」
花は眼をぱちぱちさせて
何かを言おうとした。
「ごめんなさい。それはできません。」
「・・・・
好きとか一緒にいたいとかそういう気持ちは
全部甲州の山の中にすててきたそうですね。」
花は
「て???」
「すみません。弟に聞いてしまいました。」
「は・・・ぁ。」
「僕はあなたをいっぱい傷つけたのですね。
なんといって謝ったらいいのかわかりません。
でも、自分を許せないなんてそれだけは
どうか・・
思わないでください。」
「そうだよ、おねえやん。」
かよは花に向か言って座りなおした。
「おねえやんは幸せになっていいだよ。
こんなに好きになる人はお姉やんの前に
もう現れないだよ。
村岡さん!
お姉やんのこと、しあわせにして
やってくれっちゃ。
おねがいします。」
かよは、畳の上に両手をついて
深々と頭を下げた。
・・・・
沈黙が流れ花はやっと
言った。
「ありがとうございます。
よろしくお願いします。」
村岡の思いが通じた。
かよは、「おねえやん」といって
「よかったね」、といった。
「そうだけど
何で、かよが先に返事するね!」
姉妹は泣きながら
喜び合った。
★ふんとによかったですね。
でもこの二人が結ばれるまで
まだ、山あり、谷ありです。
そのお話はまた来週・・・・
ごきげんよう
さようなら・・・・
***************
村岡のプロポーズでした。
朝市とは違うタイプで静かなひとで
あまり感情を出さないのかも
しれません。
花はそんな上品で?
賢くて。物静かな人が
好きだったのですかね。
打って変わって蓮子は・・・
もう限界かも知れません。
この時代、女性から離婚をいうことは
できたのでしょうか?
しかも蓮子は政略結婚で家族の
ために身を売ったようなものです。
だから???離婚はできないので
しょうか?
東京では龍一と話をすることもできず
花も龍一とは道ならぬ恋だからダメだと
いうし・・・
なんにつけても、花と伝助が気が合ったこと
もある。
蓮子はひとり心の中に龍一を思い続けて
いるわけで・・・。
それも限界なのでしょう。
で、花はやっと
このクールな男にプロポーズされました。
忘れよう、忘れようとあれほど苦しんだ
恋でした。
あの苦しみは歯切れの悪いこの男の
せいだったのかもしれませんし・・
奥様という存在と彼女の病気が
大きな壁だったのかもしれません。
この困難をやっとのこと乗り越えました。
さて、順調にふたりの結婚への道のりは
進むのでしょうか。
とりあえず、おめでとう花!!!
クリスマスパーティがおわったドミンゴで
朝市は英治に言った。
「おらは花が好きです。」
英治は「そんなに思っているなら
あなたが彼女と結ばれるべきだ。」
という。
「まだわからんのですか。
おらじゃだめじゃ。
・・・
あんたじゃなきゃ、だめどぅ。」
朝市は、そう訴えた。
英治のかいた銀河の乙女の挿絵は
編集部でも好評だった。
醍醐は「銀河の乙女は花さんですね」と
いった。「銀河の乙女はだれの心
の中にもいます。村岡さんの
心の中にもいます」と
いったという。
銀河の乙女は想像の翼を広げていた。
花はじっと見た。
銀河の乙女とは花のことだったと
醍醐の言う話を郁弥はじっと
聞いていた。
会社に帰った郁弥は英治に挿絵が
好評だったといった。
そして、小さな木箱を英治に渡した。
英治は、不思議そうにふたを開けた。
白いリボンのついたカメオの
ブローチだった。
「ごめん、もっと早く渡すべきだった・・」
という。
「どういうことだ?」英治は郁弥にいった。
病室で、香澄が言ったことを話した。
「あの人、優しいから、わたしのことを
ひきずってずっとひとりかもしれない。
だったら私は安心して天国にいけないわ。
英治さんに伝えて、私が死んだら、私に
縛られないで誰かと一緒に生きてほしい・・」と。
そしてカメオのブローチを渡された。
「これは?」
「結婚式の時にお母様からいただいた形見
のカメオ。それをその人に渡して
ほしいの。英治さんきっともう
その人に会っていると思うわ。」
郁弥は、その時はわからなかったけど
香澄が英治のことを深く愛していた
ことを知ったという。
英治は、張りつめた気持ちが途切れ
たかのように泣いた。
福岡では、あんな別れ方をした龍一のことを
思って、彼からの手紙を待っていた。
イライラしながら。
そこへ、女中が「奥様、来ました」と
喜び勇んで手紙を持ってきた。
それこそ蓮子が待ちわびた龍一からの
手紙だった。
その中には
「あなたはご主人とは別れることはできない。
それがよくわかりました。
もうこれでおしまいにしましょう
さようなら
筑豊の嘉納夫人・・・」
呆然として座っている蓮子に
伝助は声をかけた。
「どうしたのか?」と聞く。
蓮子は龍一からの手紙を着物の
袂に隠した。
伝助は「腹でも痛いのか?
医者を呼ぼうか」と聞く。
この男もやさしいのである。
蓮子は、「東京へ行かせてください」
という。
伝助はハハハハと笑って「
「もう、東京が恋しくなったのか。
そのうちまた仕事ですぐに行くから
その時連れて行っちゃる」といった。
蓮子は泣き声で言った。
「今すぐ、行きたいのです。お願いです。
東京へ行かせてください。」
「ダメだ。
俺が上京するまでいってはならん。」
「それなら、私はこの家を出て行きます。」
「なんだと?」
「私と離縁してください。」
伝助は、なにをいうかと驚いた。
そんなことできるわけがない。
蓮子は、「お願いです。私を自由に
してください」と泣いて訴えた。
聡文堂の編集部には宇田川がきて
いた。銀河の乙女の挿絵をじっと
みた。
「今度のはいいと思いますが
まだお気に召しませんか」と
醍醐が聞いた。
「いいじゃない・・・。」
「ではそれで進めさせていただきます。」
その夜、家に帰る花に声をかける人が
いた。
「花子さん・・・」
振り向くと英治だった。
「て!!」と驚いたが花は
仕事風に言った。
「ごきげんよう、今日は素敵な挿絵を
ありがとうございました。
宇田川先生も喜んでいました。」
「あなたのおかげでかけたんです。」
「・・・・・」
「大事な話があります。」
花は緊張した。
花は英治を家に入れた。
かよがお茶を運んできた。
そして、気をきかせてでかけよう
とした。
二人が同時に、ここにいてほしいと
いった。
かよは、その場で座った。
「花子さん・・
僕は、あなたを愛してしまいました。
自分の気持ちにふたをして今まで
ずっと気が付かないふりをしていたのです。
思いを貫けば、傷つける人がいました。
その人も僕にとって大切な人でした。
でも・・
自分の気持ちから逃げるのはもう
やめることにしました。
僕の人生にはあなたが必要なのです
結婚してください。」
花は眼をぱちぱちさせて
何かを言おうとした。
「ごめんなさい。それはできません。」
「・・・・
好きとか一緒にいたいとかそういう気持ちは
全部甲州の山の中にすててきたそうですね。」
花は
「て???」
「すみません。弟に聞いてしまいました。」
「は・・・ぁ。」
「僕はあなたをいっぱい傷つけたのですね。
なんといって謝ったらいいのかわかりません。
でも、自分を許せないなんてそれだけは
どうか・・
思わないでください。」
「そうだよ、おねえやん。」
かよは花に向か言って座りなおした。
「おねえやんは幸せになっていいだよ。
こんなに好きになる人はお姉やんの前に
もう現れないだよ。
村岡さん!
お姉やんのこと、しあわせにして
やってくれっちゃ。
おねがいします。」
かよは、畳の上に両手をついて
深々と頭を下げた。
・・・・
沈黙が流れ花はやっと
言った。
「ありがとうございます。
よろしくお願いします。」
村岡の思いが通じた。
かよは、「おねえやん」といって
「よかったね」、といった。
「そうだけど
何で、かよが先に返事するね!」
姉妹は泣きながら
喜び合った。
★ふんとによかったですね。
でもこの二人が結ばれるまで
まだ、山あり、谷ありです。
そのお話はまた来週・・・・
ごきげんよう
さようなら・・・・
***************
村岡のプロポーズでした。
朝市とは違うタイプで静かなひとで
あまり感情を出さないのかも
しれません。
花はそんな上品で?
賢くて。物静かな人が
好きだったのですかね。
打って変わって蓮子は・・・
もう限界かも知れません。
この時代、女性から離婚をいうことは
できたのでしょうか?
しかも蓮子は政略結婚で家族の
ために身を売ったようなものです。
だから???離婚はできないので
しょうか?
東京では龍一と話をすることもできず
花も龍一とは道ならぬ恋だからダメだと
いうし・・・
なんにつけても、花と伝助が気が合ったこと
もある。
蓮子はひとり心の中に龍一を思い続けて
いるわけで・・・。
それも限界なのでしょう。
で、花はやっと
このクールな男にプロポーズされました。
忘れよう、忘れようとあれほど苦しんだ
恋でした。
あの苦しみは歯切れの悪いこの男の
せいだったのかもしれませんし・・
奥様という存在と彼女の病気が
大きな壁だったのかもしれません。
この困難をやっとのこと乗り越えました。
さて、順調にふたりの結婚への道のりは
進むのでしょうか。
とりあえず、おめでとう花!!!
