最高のクリスマス3
ドミンゴで花は蓮子と待ち合わせ
をした。
あってもらいたい人がいると
蓮子は言う。
花はそれがあの帝大生だとわかって
それはいけないと言い切るが
そこにドアが開いて
嘉納伝助が入ってくる。
驚く蓮子。
花も・・。

「いやぁ~~はなちゃん、ひさしぶりやねぇ。
サイダーのんじょるか?あはははは・・」

花は「お久しぶりです」と挨拶をするが
蓮子は気が気ではない。
もうすぐここに龍一が来るのだ。
すると、ドアが開いて龍一が入って
きた。
龍一は蓮子の様子を見て、
嘉納伝助がきていることを知る。
かよは、龍一に今日はおひとりですかと
聞いて、席に案内した。
蓮子は、「今日は新橋で接待では
ないのですか」と聞く。
「時間があるので、こっちによった。
おまえが欲しがっていたものが
見つかったから。渡そうと
思ってな・・」

伝助が差し出しのは、ティアラ
だった。
「なんとか王子のお妃が
していた、テアラという宝石を
ほしいと言っていただろう?」
「ほしいなんて一言も・・・。」
「このところ、ふさいでいたから
これで機嫌が直るだろうと思って
東京中の宝石店を探した」という。

花は、「て・・・・」といって
驚いた。
「こんなきれいな宝石初めて
見たジャン」と、かよ。
伝助は蓮子の髪にティアラを飾った。
「蓮様、すごくきれい!!」

蓮子は、「こんなもの買うぐらいなら」
といってティアラをとって
「貧しい子供たちに寄付でもすればどう?」
とティアラを元に戻した。
「蓮子!!」伝助は怒った。
花は、とりつくろうとして
「蓮様とてもきれいですよ。」
とまたいい。
かよは、「お姫様みたいです。」
という。
龍一は後ろの席で様子を見ていた。
「まったく、わがままなお姫様たい
あはははは・・・。」
「はやく、新橋にいったらどうですか?」
と蓮子は言うが、「たまにはこういう店も
いい。一番高い酒となんでもいいき、一番
高い料理をもってくるね!!」
蓮子は驚いた。
伝助が長居をするとおもった。
「そんな・・・」
「なにか?俺がここにおったら
いかんとか?」
花は「今日は思いがけず、ご主人におめに
かかれてよかったです。」
という。
伝助も、「おれもたい。
あんたとは気が合いそうやとね~」
といって、かよにチップをはずんで
「酒持ってきて」という。
「こ、こんなに。」
その場の客に、「あんたらも一
緒にどうです?あはははは・・・」
と愛想をふりまいた。

龍一は、席を立って帰って行った。
蓮子は、追いかけようとしたが
花がそっと蓮子の手をさわって
止めた。
蓮子は花を見た。
伝助は「どげんしたとか?」という。
かよは、「さぁ乾杯しましょう」と
もりあげ、みんなで何の乾杯か
しらないけど、乾杯した。
不機嫌な蓮子は別にして。

その夜、かよの家に蓮子は泊まった。
花は、蓮子に「今日はご主人がいらして
良かったと思っている」という。
「どうして?お金儲けの話ばかり
でうんざりしたでしょ?」
花は、伝助が子供のころから貧乏
で、お金に苦労したことを話した。
かよは、伝助がチップをはずむ人
なので、すっかり気に入り
優しい人だという。
「蓮様・・・もう帝大生の方とは
会わないほうがいいのではなくて?」
「それは無理・・・今この瞬間も
会いたいのですもの・・・・。」
蓮子の恋は道ならぬ恋だと花は
いって、そんなことはしないといった
でしょという。
「あの人を思う気持ちを止められないの。
もう恋に落ちてしまったから」

「ご主人を裏切ってはダメ。」

「花ちゃん、たとえ誰を傷つけても私は
この思いを貫くわ・・・。やっとわかった
の。私がこの世に生まれて今まで生きてきた
のは彼と巡り合うためだったの。
花ちゃんならわかるでしょ。
花ちゃんも村岡さんのことをそう感じた
から、好きになったのでしょ?」
花は、「それはとっくの昔の話よ」という。
でも蓮子は、「村岡さんは花ちゃんにとって
たったひとりの巡り合うべき人だった
のではないかしら?
それとも私の思い過ごし??」
と聞いた。
花は、真剣に考えたが・・・・・。

翌日、編集部では村岡の挿絵と
花の原稿を並べて宇田川が推敲を
していた。
花、醍醐、そして村岡だった。
「いかがでしょうか?
どれも物語の世界に会っていて
とてもすてきだと思います。」と
醍醐が言った。
「これは・・・
銀河の乙女ではないわ。
あとは好きだけど・・・
この絵書き直してちょうだい。」

作家先生はいとも簡単に人の苦労した
作品を却下する。
「わかりました・・」と村岡は言った。

花は「お願いします」と村岡に言った。
村岡は「先生の思い描く銀河の乙女は
どんな感じですか?」と聞く。
宇田川は、原稿をさして、「ここに書いて
いるわ」といった。
花は「どの辺が違うのでしょうか」と聞く。
宇田川は「とにかく、何か違うのよ・・」
という。
「わかりました。
もう一度読み直して書いてみます」と村岡は言った。
「よろしく。」
そういって宇田川は帰って行った。
醍醐は「ああいう、抽象的な感想がいちばん
やっかいなのよね・・・」という。
村岡はじっと絵を見ていた。
花も気になった。

村岡は書き直していた。
なんどもなんども・・・であるが
いまいち決まらない。
花も、仕事に没頭していた。

翌朝ドミンゴでは。
客が入ってきた。
かよが「いらっしゃいませ~~」
というと客は朝市と武だった。
「また来たけ~~」とかよがいうと
武は、「また来てやった。
よろこべ」という。
朝市は「やっぱりここが一番落ち着ける」と
いった。
「他のカフェは女給さんたちがあまりにも
積極的で・・・」と朝市。

「田舎もんには刺激が強すぎたのかな?」
とかよは笑った。
「女給は美人だったけど
こことは比べもんにならないぐらい
高かったさ・・・そういうもんけ?」と武。
★どうやら、すっかりボラれた見たいです。

「珈琲でいい?」とかよが聞く。
「うん、」と朝市は答えた。

ふとみると、花が男の人と
何やら話をしている。
朝市は気になったが内容からどうやら
仕事のようである。
花は村岡と話をしていた。

銀河の乙女の姿とは??
「これを見てください」と花は宇田川の
原稿の書き抜きをみせた。
「ルカはおとめ座のスピカに向かう
長い旅の途中でたくさんの敵に出会い
ます・・・。」
「アークツルスの巨人、プロキオンの悪魔・・」
「敵と戦うルカの姿に何か手がかりがあるのでは
ないでしょうか?」
村岡は「ああ」と思った。
「参考になればいいのですが・・・。」

「すごく助かります。」
「ということで次の締め切りですが・・」

「はい・・・」

朝市は、見ていたが、声をかけなかった。

会社でその書き抜きを読む英治に
郁弥は声をかけた。
「それは安東さんが作った資料なの?」と。
「うん、引き受けたからにはいい仕事
にしないとな・・・。」
「兄さん、正直言って僕は彼女は
辞めてほしい。」
「何を言うんだ?」

郁弥は、父親の言う通り兄が再婚をすること
は、いことだと思っている。
だが・・・安東花はやめてほしいといった。

英治は、じっと郁弥を見た。

「だってそれじゃ、姉さんがあまりにも
かわいそうで・・・・」

英治は、目を机の上に戻した。


花は自宅で机に向かい原稿を書いて
いた。
手が触れた英語の辞書・・・
あの日、蓮子が言った言葉がよみがえった。

「村岡さんは花ちゃんにとって
たった一人の巡り合うべき人では
なかったのかしら?」

そこへ、かよが血相を変えて
帰ってきた。

「おねえやん~~どうしよう~~
武、どこへ行ったかしらんけ?
上野の旅館へ行ったけど
いなくなっていた。」
花は武がどうしたのかとかよに
聞いた。
「おらには、武が必要なんだ!!!」

「て???」
花は驚いた。

★まじですか?

ごきげんよう

さようなら・・・

***************
花は強くなっていました。
もうパルピテーションに振り回されるような
弱い花ではありません。
しかし・・
親友、蓮子は道ならぬ恋を歩んでいます。
男の価値としては
どうでしょうか?
田舎もんで年寄りだけど金持ち
イケメンで若いけど、貧乏・・
どちらも情熱的に愛してくれるなら
どちらを選びますか?

村岡弟はなぜ花はやめてほしいといった
のか・・・・。
どうやら、郁弥は英治に
隠していることがありそうです