ゆれるおもい6
花は教会の本の部屋の窓を開け
持っていた英語の辞書を
投げ捨てようとした。
外は土砂降りの雨。
あの日とおなじ、雨だった。
「こんどこそ、わすれてやる!!!。」
そういって、投げ捨てようとしたとき
朝市が止めた。
「どうしたべ?」
「もう見たくないから捨てるだ!」
花は朝市に取り上げられた辞書を
取り返そうとしたが
朝市は、「やめろっていうのに。」と
返さない。
「ほっといてくりょ」
取り合いになった。
「ほっとけるわけねーだっ!!!」
朝市が辞書を取り上げ、
窓を閉めた。
「こんな大事なもの投げ捨てたら
罰が当たる」
といった。
「花・・・もう見たくないって
どういうことだ?
今度こそ忘れてやるってどういう
ことだ?
花・・
翻訳の仕事はそんなにつらいのか?」
花は首を振る
「それじゃなんなんだ?」
「・・・」
「話してくれちゃ。」
「朝市・・・・
ごめん・・」
「おらに、言いたくないようなことけ?」
「ごめん・・・」
花は、泣き続けた。
雨が止んで、日が照ってきた。
花が持って帰った辞書をふじは
頁ごとにふき取り、乾かすことにした。
「大事な本をこんなに濡らしてしまって」
「叔母さん、大丈夫そうか?」と朝市。
「大丈夫だ」
「朝市、ごめん」
「何があったか知らないけど、げんき
だせっち」
朝市はそう言って帰って行った。
母娘の二人になったときふじはいった。
「東京で傷ついて帰ってきたけ?」
花は、どきっとした。
「顔を見たときからわかっていたさ。」
「おら、好きになったらいけん人を
好きになってしまった。
奥様がいる人だってことを知らなくて
本気で好きになってしまっただ・・。
その辞書もその人がくれたものだ。」
「そうけ・・・」
「恋って素敵なものとばかり思っていた。
けど…違った。
人を好きになるって本当に恐ろしいことだ。
今本当に怖いだ
自分が自分で亡くなったみたいだ。」
その話を吉平は聞いていた。
ふじはいつまでここにいるのかと聞く。
「ここにいても何も変わらないから
花は大人だから、自分でけじめをつけろ」と
いう。
「落ち着いたら、こぴっと東京へ
帰れっし。」
「おかあ・・・」花は
「ごめん・・」といった。
「こんなバカな娘で・・・。」
ふじは花をだきしめていった
「おかあはいつだって花の味方さぁ」
夜なべをするふじのそばで吉平は
「こんな時には父親はちっとも
役に立たないなぁ」といった。
翻訳をしている花・・・。
「この単語は何??」
辞書を・・・
そう思って、昼間に縁側に
おいて乾かしているはずの辞書を見た。
風が吹いた。
辞書のページをくるくるとめくって行った。
急に明るくなって人の影が見えた。
「て、おじいやん」
「おじいやんではない。
周造左衛門じゃ~~~~~~。
花、おまんはひと様からもろうた
この大事な辞書を窓からぶん投げて
捨てようとした。」
「うんうん」
「いらねーならわしがもらっていく。
おまんは、大事な辞書がなければ
一生、花子にはなれん
死ぬまで
はなたれの花じゃ!!!」
「て、死ぬまで??」
「そうさな、
へへへへへへ・・」
「まってくれ
もっていかないでくれ
おじいやん、周造左衛門じいやん~~」
うなされていた花を吉平と
ふじが起こした。
どうやら、翻訳をしながら
寝てしまっていたようだ。
花は辞書を見にいった。
ふじは、「乾いたじゃん」という。
花は辞書を大事そうにかかえた。
聡文堂に復帰した花。
梶原は翻訳の原稿を見て
おもしろいといった。
「もう大丈夫だな」と念を押した。
花は笑顔で答えた。
★一方上京した蓮子は龍一と再会
していました。
ふたりはいつもの屋台で冷酒を
あおっていた。
「舞台、蓮子さんにも見てもらいたかった。」
「私だって見たかったわ。」
「僕たちが汗水たらして舞台をしていた
頃あなたはご主人と温泉につかっていた
わけだ。」
蓮子は、「そんな・・・」と言ったが。
「おやじ、今日は持ち合わせがないから
つけで・・・。」
「あいよ。」
龍一は立ち上がって帰ろうとしたので
蓮子は「お金なら私が」という。
龍一は蓮子の手を制して、「石炭王の
御馳走にはなりたくない」といった。
「お待ちになって・・・。」
龍一のそばによると、いきなり龍一は
蓮子の手を取って走り出した。
古い小さな下宿屋についた。
電気もつけずに
「近頃つけられているような
気がする」といって龍一は窓の外を見た。
そのため、引っ越したというが
なぜか危険を感じているらしい。
電気をつけた龍一は座布団を出して
「座ってください、送って行きますから。」
といった。
蓮子はたったまま、あたりを見回した。
「こんな汚い部屋には、入ったことがない
とか?」
「違うの、男の人の部屋に入ったのは
初めてだから・・・。」
龍一は「本当に面白い人だな」という。
「あんなにあつい恋文をくれた人とは
思えない・・・。」と蓮子を
見つめていった。
「会いたかった・・。
死ぬほど、会いたかった・・。」
龍一は蓮子を抱きしめた。
そして、キスをしようとしたが
蓮子は、龍一から離れて、
「そんな、恐ろしいことはできないわ」
といった。
そして、かばんをもって外へ出ようと
した。
「待ってくれ蓮子さん。」
「ごめんあそばせ。」
入り口の扉を開けようとした
その時
蓮子の後ろで大きな音がした。
蓮子は、振り返ると龍一が
まだなれない下宿屋の階段でつまづいて
こけていた。
「いてぇ~~~~~~。」
蓮子は驚いて「あ、あなたは・・・
どうして、いつも・・・転ぶの?」
といった。
龍一は、蓮子を見上げて笑った。
蓮子も笑った。
村岡にある不幸が起こっていた。
香澄の病院へ行くとそばに郁弥がいて
「兄さん・・」と憔悴した様子で言う。
英治は、横たわっている香澄を見て
郁弥をみた。
聡文堂は秋のニジイロに向けて
追い込みの仕事となっていた。
梶原は「原稿を村岡印刷にとどけてくれ」と
社員に指持をした。
花は立ち上がって「私が届けます」というと
「おまえには大事な仕事があるだろう」と
いった。
宇田川の原稿催促である。
担当を外されたと思っていたので
驚く花だった。
気難しい宇田川なのであれから
醍醐も担当をはずされた。
なので、宇田川の担当は再び
花となり、それができたら
秋号が完成だと梶原は言った。
花は笑顔で
「はいっ!!こぴっと頑張り
ます!!」
といってでかけた。
★では、
また来週。
ごきげんよう
さようなら
*****************
あの教会の本の部屋は
大きな運命の曲がり角のような
ものですね。
あそこで、朝市は花に本の部屋が
あることを教えて、そこで
花は、東京の女学校へいくことも
決心して、
教師として進むべき自分をみつけて
ももは、朝市に告白できて
また、たえと一緒にみみずの女王という
話を作って・・・
朝市は花に告白しようとして
すんでのところでできなかった
ことから、今に至るのだが。
今回は忘れてやると大声で叫んで
辞書を投げ捨てようとした愚かな行為を
朝市が止めてくれた。
あのテンションがあったから
それを朝市が強力に止めたから
自分を取り戻すことができた花
だった。
周左衛門が花の想像のツバサから
でてきて、これがいらないなら
持っていくといったとき
一生を、花子ではなく、はなたれはなと
して生きろと言われて・・・
花は、自分は花子でいたいという気持ち
を確認できた。
花子でいたいなら、翻訳をしなくては。
目覚めた花は辞書に走り寄るわけで
これで主人公が本来の姿
に戻ったのですね。
見ているほうは、ホッとしました。
つらい二週間だった。
で、いつのまにやら、龍一と熱い仲に
なっていた蓮子。
こっちのほうが道ならぬ恋ということで
すよね。
どうなるでしょうか?
龍一と蓮子・・道ならぬ恋です。
花は教会の本の部屋の窓を開け
持っていた英語の辞書を
投げ捨てようとした。
外は土砂降りの雨。
あの日とおなじ、雨だった。
「こんどこそ、わすれてやる!!!。」
そういって、投げ捨てようとしたとき
朝市が止めた。
「どうしたべ?」
「もう見たくないから捨てるだ!」
花は朝市に取り上げられた辞書を
取り返そうとしたが
朝市は、「やめろっていうのに。」と
返さない。
「ほっといてくりょ」
取り合いになった。
「ほっとけるわけねーだっ!!!」
朝市が辞書を取り上げ、
窓を閉めた。
「こんな大事なもの投げ捨てたら
罰が当たる」
といった。
「花・・・もう見たくないって
どういうことだ?
今度こそ忘れてやるってどういう
ことだ?
花・・
翻訳の仕事はそんなにつらいのか?」
花は首を振る
「それじゃなんなんだ?」
「・・・」
「話してくれちゃ。」
「朝市・・・・
ごめん・・」
「おらに、言いたくないようなことけ?」
「ごめん・・・」
花は、泣き続けた。
雨が止んで、日が照ってきた。
花が持って帰った辞書をふじは
頁ごとにふき取り、乾かすことにした。
「大事な本をこんなに濡らしてしまって」
「叔母さん、大丈夫そうか?」と朝市。
「大丈夫だ」
「朝市、ごめん」
「何があったか知らないけど、げんき
だせっち」
朝市はそう言って帰って行った。
母娘の二人になったときふじはいった。
「東京で傷ついて帰ってきたけ?」
花は、どきっとした。
「顔を見たときからわかっていたさ。」
「おら、好きになったらいけん人を
好きになってしまった。
奥様がいる人だってことを知らなくて
本気で好きになってしまっただ・・。
その辞書もその人がくれたものだ。」
「そうけ・・・」
「恋って素敵なものとばかり思っていた。
けど…違った。
人を好きになるって本当に恐ろしいことだ。
今本当に怖いだ
自分が自分で亡くなったみたいだ。」
その話を吉平は聞いていた。
ふじはいつまでここにいるのかと聞く。
「ここにいても何も変わらないから
花は大人だから、自分でけじめをつけろ」と
いう。
「落ち着いたら、こぴっと東京へ
帰れっし。」
「おかあ・・・」花は
「ごめん・・」といった。
「こんなバカな娘で・・・。」
ふじは花をだきしめていった
「おかあはいつだって花の味方さぁ」
夜なべをするふじのそばで吉平は
「こんな時には父親はちっとも
役に立たないなぁ」といった。
翻訳をしている花・・・。
「この単語は何??」
辞書を・・・
そう思って、昼間に縁側に
おいて乾かしているはずの辞書を見た。
風が吹いた。
辞書のページをくるくるとめくって行った。
急に明るくなって人の影が見えた。
「て、おじいやん」
「おじいやんではない。
周造左衛門じゃ~~~~~~。
花、おまんはひと様からもろうた
この大事な辞書を窓からぶん投げて
捨てようとした。」
「うんうん」
「いらねーならわしがもらっていく。
おまんは、大事な辞書がなければ
一生、花子にはなれん
死ぬまで
はなたれの花じゃ!!!」
「て、死ぬまで??」
「そうさな、
へへへへへへ・・」
「まってくれ
もっていかないでくれ
おじいやん、周造左衛門じいやん~~」
うなされていた花を吉平と
ふじが起こした。
どうやら、翻訳をしながら
寝てしまっていたようだ。
花は辞書を見にいった。
ふじは、「乾いたじゃん」という。
花は辞書を大事そうにかかえた。
聡文堂に復帰した花。
梶原は翻訳の原稿を見て
おもしろいといった。
「もう大丈夫だな」と念を押した。
花は笑顔で答えた。
★一方上京した蓮子は龍一と再会
していました。
ふたりはいつもの屋台で冷酒を
あおっていた。
「舞台、蓮子さんにも見てもらいたかった。」
「私だって見たかったわ。」
「僕たちが汗水たらして舞台をしていた
頃あなたはご主人と温泉につかっていた
わけだ。」
蓮子は、「そんな・・・」と言ったが。
「おやじ、今日は持ち合わせがないから
つけで・・・。」
「あいよ。」
龍一は立ち上がって帰ろうとしたので
蓮子は「お金なら私が」という。
龍一は蓮子の手を制して、「石炭王の
御馳走にはなりたくない」といった。
「お待ちになって・・・。」
龍一のそばによると、いきなり龍一は
蓮子の手を取って走り出した。
古い小さな下宿屋についた。
電気もつけずに
「近頃つけられているような
気がする」といって龍一は窓の外を見た。
そのため、引っ越したというが
なぜか危険を感じているらしい。
電気をつけた龍一は座布団を出して
「座ってください、送って行きますから。」
といった。
蓮子はたったまま、あたりを見回した。
「こんな汚い部屋には、入ったことがない
とか?」
「違うの、男の人の部屋に入ったのは
初めてだから・・・。」
龍一は「本当に面白い人だな」という。
「あんなにあつい恋文をくれた人とは
思えない・・・。」と蓮子を
見つめていった。
「会いたかった・・。
死ぬほど、会いたかった・・。」
龍一は蓮子を抱きしめた。
そして、キスをしようとしたが
蓮子は、龍一から離れて、
「そんな、恐ろしいことはできないわ」
といった。
そして、かばんをもって外へ出ようと
した。
「待ってくれ蓮子さん。」
「ごめんあそばせ。」
入り口の扉を開けようとした
その時
蓮子の後ろで大きな音がした。
蓮子は、振り返ると龍一が
まだなれない下宿屋の階段でつまづいて
こけていた。
「いてぇ~~~~~~。」
蓮子は驚いて「あ、あなたは・・・
どうして、いつも・・・転ぶの?」
といった。
龍一は、蓮子を見上げて笑った。
蓮子も笑った。
村岡にある不幸が起こっていた。
香澄の病院へ行くとそばに郁弥がいて
「兄さん・・」と憔悴した様子で言う。
英治は、横たわっている香澄を見て
郁弥をみた。
聡文堂は秋のニジイロに向けて
追い込みの仕事となっていた。
梶原は「原稿を村岡印刷にとどけてくれ」と
社員に指持をした。
花は立ち上がって「私が届けます」というと
「おまえには大事な仕事があるだろう」と
いった。
宇田川の原稿催促である。
担当を外されたと思っていたので
驚く花だった。
気難しい宇田川なのであれから
醍醐も担当をはずされた。
なので、宇田川の担当は再び
花となり、それができたら
秋号が完成だと梶原は言った。
花は笑顔で
「はいっ!!こぴっと頑張り
ます!!」
といってでかけた。
★では、
また来週。
ごきげんよう
さようなら
*****************
あの教会の本の部屋は
大きな運命の曲がり角のような
ものですね。
あそこで、朝市は花に本の部屋が
あることを教えて、そこで
花は、東京の女学校へいくことも
決心して、
教師として進むべき自分をみつけて
ももは、朝市に告白できて
また、たえと一緒にみみずの女王という
話を作って・・・
朝市は花に告白しようとして
すんでのところでできなかった
ことから、今に至るのだが。
今回は忘れてやると大声で叫んで
辞書を投げ捨てようとした愚かな行為を
朝市が止めてくれた。
あのテンションがあったから
それを朝市が強力に止めたから
自分を取り戻すことができた花
だった。
周左衛門が花の想像のツバサから
でてきて、これがいらないなら
持っていくといったとき
一生を、花子ではなく、はなたれはなと
して生きろと言われて・・・
花は、自分は花子でいたいという気持ち
を確認できた。
花子でいたいなら、翻訳をしなくては。
目覚めた花は辞書に走り寄るわけで
これで主人公が本来の姿
に戻ったのですね。
見ているほうは、ホッとしました。
つらい二週間だった。
で、いつのまにやら、龍一と熱い仲に
なっていた蓮子。
こっちのほうが道ならぬ恋ということで
すよね。
どうなるでしょうか?
龍一と蓮子・・道ならぬ恋です。
