乙女よ 大志を抱け2
★吉平がももに縁談を持ってきました。
でも、ももは好きな人のお嫁さん
になりたいという。

★ももの朝市への気持ちに気が付いた
花は茶飲み会を計画したのです。


武、朝市、花 ももの四人である。
場所は武の家の座敷。それぞれ一人用のお膳に
お茶とカステラである。
「では、ただいま合同パルピテーション会
を行います。」と花。

「パ、パ、パ・・・」と武
「花、意味わからんじゃん」と朝市
「いいの、わからんでも」花は笑った。

★さて花の計画通り朝市とももは
急接近してくれるでしょうか。

「ももちゃん、カステラ食わないけ?」
と武が緊張しているももに話しかける。

ももは、「ありがとう、武さん」というが
目論見から見れば、そのセリフは
朝市に行ってほしかった。

花は武に「気を使うな」という。
「え?」と疑問形の武。
「うめーなぁーー」とももは
カステラを食べて言った。

話は石版事件のことになった。
この顔触れはあの時同じ教室に
一緒にいた。
ももを背負っていた花は朝市の
席の前に座っていた。

武は授業中にそっと花に近づき
ももの髪の毛を引っ張った。
ももは驚いて泣き出した。
武は素早く席に戻った。

すると先生が「誰だ!!赤ん坊を
泣かしたのは!」という。
武はすかさず、「朝市君でごいっす」
と答えた。
花は振り向いて、「朝市け?」と聞く。
朝市は「花・・」といったとたん

「花じゃねーこのひきょうもん!!」と
どなって、石版で朝市をたたいた。

「そんなことがあったのけ?」
ももは驚いた。
「おねーやん、石版でたたくなんて
ひどい。」
「元はと言えば武がわるいだよ。」
「え?そうだったかな??
おまえら二人で廊下立たさせたじゃん。」と

「あの後しばらく花は口きいてくれなかった」と
朝市は言った。
「やっと花と仲直りしたら、東京へ行くっていいだして。
あの時朝市は泣きそうな顔をしていたジャン」と
武はからかう。
「花が東京へ行くってときには本当に
泣いてたな。」

武と朝市は小学校時代の話になると
わいわいとしゃべりだす。
花はこれで反ダメだとおもって
武に「ご不浄へ行きたいけど」
という。

そして「この家はひろいから
案内して」といって武を連れ出した。
意味の分からない武は、なんでやねんの
顔をして花と一緒に出ていく。

「まったく一人で便所もいけないのか
甘えん坊な奴だ」と立ち上がった。

「おい、便所そっちじゃないよ。」
「家まで送ってくりょ」

武は「なんでお前をおくる必要があるのか」と
ぶつぶついう。

「そうか、おらと二人になりたかったから
こんな茶飲み会を開いたのか」と
いうが、「それなら最初からそういえ。
地主と小作じゃ身分が違いすぎて
結婚はできんなぁ~~~~」

「いいから、送って!!」
と、いらついた花はきっぱり言う。

朝市とももはふたりきりになった。
なぜ二人は帰ってこないのかと
不思議だった。

「そういえば、ももちゃんは北海道へ
いくのかな?」と朝市は聞く。

もは「朝市さんはどう思うか」と聞いた。
「気が進まない結婚はしないほうがいい」
と朝市はいうのでももはうれしくなった。

花たちが帰ってこないのでどこへいった
のだろうと話になった。
「花みたいなおねーやんをもつとももちゃんも
大変ずら」と朝市が言う。
「急に突拍子のないことを思いつくから」
と朝市が言うとでもももは「おねえーやんが
好きだ」という。


武が帰って「きてまだいたのか」と聞く。
武はこのお茶会のコンセプトが
いまいちわかってなくて、花は

何を考えているのだか、家まで送れと
いって送ってやったら、さっさと家
にはいって戸を閉めたと話す。
「はなたれのぶんざいで」、と話す。
ももは朝市の顔をじっと見た。

朝市はももを家まで送った。
「ももちゃん、おらの顔になにかついて
いるかい?」と朝市が聞くとももは
首を振った。

「今日はへんてこな茶飲み会で疲れたね。」
う「うん、おら最高に楽しかったさ」

「よかった」といって朝市は帰って行った。

陰から見ていたのは吉平と花。

花がももは朝市が好きだというので
吉平は驚いた。

様子を確認したら確かにももは朝市が好き
なようだった。

しかし、「朝市はいいやつだが森田君も
負けず劣らずいいやつだ。しかも、
これからは北海道の時代だ」と
まだゆずらない。

「おかあはどう思う?」とふじにきく。
「朝市とももが一緒になったほうが
いいと思うでしょ」と花が聞くと

ふじは「そうさなぁ~~~~~」と
周造のように言った。

ふじはいつからおじいになったんだ
と吉平が言う。
「ふたりとももものことはそっとしといて
やれっし。」とふじ。

そんなある日のこと、学校に花宛に郵便が
とどく。職員室でそれを見た花は
思わず「て!!!!!!!」と
大きな声を上げた。

その郵便は蓮子からだった。
中を見た花。
本が入っていた。
白蓮のペンネームもあった。


★花の心臓はドキドキ高鳴ったいました。
9年間も絶交していたあの蓮子からです。

「踏絵・・・白蓮・・」


★それは当時一世を風靡した竹久夢二が
装丁を施した歌集でした。
「前略、安東花さま。
以前、児童の友という雑誌であなたの
童話をお見かけしましたが
あれ以来、待てど暮らせどあなたの
作品は一作も見かけません。
その間に、私は歌集を出すことにあいなり
ました。あなたはいつになったら安東花子の名前で
本を出すのですか?ぐずぐずしていると
おばあちゃんになってしまいますわよ。では。
ごきげんよう、さようなら」


「蓮様・・・・」花の胸にはたまらない懐かしさと
共に忘れかけていた物語への情熱が
よみがえってきました。

★余裕綽々の手紙とは裏腹にそのころ
蓮子は、たいそう苛立っておりました。」

イライラしている蓮子のもとに
東西日報の黒沢がうやってくる。
どうやら、蓮子に呼び出されたらしい。

「黒沢さんお待ちしていました。
なにがあったのですか
主人は今何をしているのですか
私だけ蚊帳の外で新聞さえ読ませて
くれません。
黒沢さんなら教えてくださいますわよね。
なにがあったのですか。」

黒沢は、「10日ほど前に伝助の炭鉱から
ガス爆発が起きた」という。
「死傷者がたくさん出てその対応に伝助は
忙しくしている」という。

事故が起きてから炭鉱の労働者との
激突があり、不穏な空気だという。

「私は嘉納の妻よ、何も知らせてもらえないなんて。
いまから主人に会いに行くわ」

「落ち着いてください、本当に危ないです。」

そこへ暴徒集団が屋敷内に入ってきた。

「嘉納はいるか?」
「どこだ、嘉納伝助!!!」

と口々に怒鳴りながら屋敷に
入ってきた。

女中たちはキャーキャーと悲鳴を
あげながら逃げていった。

男たちは蓮子を見た。
「あれは嘉納伝助の妻だ」。
「おい、嘉納伝助を出せ!!」

と言いながら蓮子に近づいてきた。

黒沢は蓮子をかばうように前に立ち
「ココには社長はいません。
お帰り下さい。」
「嘘をつけ」
「社長を出せ!」
「そうだ、社長を出せ。」
「おいおんなぁ~~」と
蓮子は荒々しく呼ばれた。
黒沢から離れるように顔を出した
蓮子は、彼らを見据えた。
「ごきげんよう

わたくしに何か同様でしょうか。」

緊張する両者・・。

ごきげんよう

さようなら。
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お茶会では武のムードメーカーが
いいなと思いました。
ももちゃん、ももちゃんというのは
武で、朝市はさっぱり・・・でした。
これでは、朝市より武のほうがいいのでは
と思いますがね?

ふじはどうやら、朝市の気持ちがわかっている
様子です。朝市は花が好きなのです。
しってたよね?しらへんかったん?
だから、そっとしておいてやれというのだ。
ももの気持ちはどうあれ、朝市にその気がない
のだ。ももは失恋をするだろうとふじは
思ったのでは?

さて、花は本来の道に戻ろうとするので
しょうか。蓮子の本を手に取りました。
その衝撃はどのようなものだった
のでしょうか?
ヒロシマ型原爆百個かな。

さて蓮子のほうですが、石炭王なんて
事故がつきものだからいずれこのようなことに
なると思っていました。