花、お見合いをする1
★故郷の小学校で落第教師の烙印を押されて
しまった花がなんと童話を書いて賞を取りました。
花は東京で行われた祝賀会に出席しました。
そこで村岡英治と再会しますが
英治は花子という名前でこれからも
夢を追い続けてくださいと
言い残します。
東京から帰ってきた花は翌日
いつのもように朝市と学校へ行った。
「久しぶりの東京はどうだった?」と朝市が
聞く、「また頑張ろうと思えた」と花は答えた。
そんな会話をしながら入って行った
職員室。
先生方が校長をかこんでわいわいと
楽しそうに話をしている。
「安東先生!」と
校長に呼ばれていくと
実は・・
花にお見合いの話が来ているという。
朝市は驚いて花のそばに
いって校長の話を聞く。
地主の跡取り息子だという。
花は「武!!」と驚き
「それだけはお断りします」
という。
「選り好みしている場合ではない」と
緑川に言われる。
「最後まで聞け。
相手は武ではない。」
といって、見合いの相手の写真を
花に渡す。
朝市は横からじっと見る。
★あら、なかなかいい男じゃないの。
「ありがたく結婚して、
学校をやめたらいい。
それがこの学校の平和のためだ」と
緑川は言って
あははは・・・と笑った。
★花のお見合い相手というのは徳丸家と
肩を並べる大地主の跡取り息子でした。
花は学校帰りに徳丸家によった。
徳丸は、お見合い相手は
啓太郎というのだが、花が
童話で賞を取ったというと
興味を持ったという。
また、女学校で英語の勉強を
したというとぜひ一度会ってみたい
というのだという。
「ありがたいお話ですが
まだ、結婚のことは考えられ
なくて・・・」
と花が言うと
聞いていた武が
「小作のくせに、なまいきいうな。
お父様がせっかく持ってきた話だぞ。」
「とにかく会うだけあってみたらいい」と
徳丸が言う。
「まあ、はなたれを気に入るものずきは
いねーからな、どうせあっちから
断られるわ!!」
と愉快そうに言う。
「武、ちっとだまっておれ!」
「はい、お父様・・・」
「いいか、よく聞け
この縁談まとまったら望月さんは
おまえんちの借金は全部肩代わり
するといっている。」
「て???」
「こーーんな、いい話はない。
嫁に行ってふじちゃんを安心
させてやれ。」
徳丸は上から目線で花にいう。
花は少しは気持ちが動いたのか
それでも、結構ですという
固い気持ちが多少、家族のためという
部分では考えるべしかとなったのかも
知れない。
家に帰るともはや噂は広まって
いた。
木場リンがどこから聞いてきたのか
ふじ、もも、吉太郎、周造に
その話をしていた。
家に帰るとももはうれしそうにいった。
「聞いたよ。お見合いだって?」
リンはいう。
「花ちゃん、望月さんとのお見合い
がんばるっし。」
すると朝市が
「すまねーなー。またうちのおしゃべり
おかあが・・・。」
吉太郎は、「望月さんというと
徳丸さんよりちっとばかり
大きな地主だぞ」という。
ももやふじはそれだけでも
びっくりして喜んだ。
「そうはいうても、花は学校だって
いそがしいし、童話だって書かなければ
いけないし、やることはいっぱいあるから
結婚どころではない」と、朝市が言う。
「何で朝市が口をはさむだ?
こんないい話他にないだろ?」とりん。
「周造さんもふじちゃんも
楽できるだろ?
それが写真?男前でよかったな~~」
「花、粗相のないようにがんばるだ!」と
吉太郎。
徳丸家の座敷でふじと花は
座っていた。
ふじと花は、きれいな着物を着ていたが
それは徳丸が亡くなった妻のものを
貸したのだった。
徳丸は、「ふじちゃんと見合いがしてー
ぐらいだ」と冗談を言った。
そこで笑いが取れたが、望月が
やってきた。
ふじと花は深々とおじきをして
待っていた。
顔を上げると
写真の本人がいた。
「はじめまして、望月啓太郎です。」
かれは爽やかに自己紹介をした。
花はじっと見とれてしまった。
徳丸は啓太郎を紹介した。
彼は望月家の葡萄酒づくりを任されて
いるので外国へもいくことが
あるという。
それで花の英語が役に立つという。
ずっと甲府ですごすつもりであるのだが。
また花には縁談がまとまれば、先生をやめて
家に入って欲しい、使用人を雇うから
家事をしないでもいいという。
物を書くこともできるという。
「こんなにいい相手はいないぞ」と徳丸は
念を押す。
徳丸とふじが座敷から
出て行った。
何を話していいのやら???
啓太郎はお茶のふたをとった。
「緊張しますね。」
「私もさっきから、のどがからからで・・」
二人は笑いながらお茶を飲んだ。
啓太郎は花のみみずの女王を読んで
面白かったという。
「本当にいいご趣味ですね。」
啓太郎が言うので花は、え?と
思った。
★花にとっては趣味ではないのですが。
家に帰るとももがうれしそうに
それで、それで・・とお見合いの話を聞く。
「望月さんは吉平が何年も帰ってこない
事も知っていた」という。
花の家族の面倒もみんな見るし
よかったら、近くに家を建てて住まないかと
もいった。
ももは「新しいうちに引っ越せるのか」と
喜ぶ。リンは「よかったよかった、親孝行な
娘をもって幸せだね」とふじにいう。
花は「まだお見合いの話を受けていない」と
念を押す。
何で迷うのかとリンとももは不思議そうにいう。
「おら賛成だ」ともも。
「そうさよ、相手は金持ちで一生お金の心配をしなくて
いいし、顔もいいし、断る理由がない。
それ以上に地元にずっといるということが
これまたすごくいい」とリンは自分のことのように
うれしそうにいった。
ふじはよそ者と結婚したから
苦労した、地元の人が一番だとリンは言う。
その吉平はもう帰ってこないとリンは言うが
花は必ず帰ってくると言い切った。
その夜、縁側で空を見ていたら
吉太郎がやってきて
結婚はどうするのかと聞く。
「いい話だと思う。
いい人だし、甲府を離れなくても
いいし・・・
うちの借金もなくなる。お金の心配も
しなくていい、好きな書き物ができる
もったいないぐらいい話だけど・・」と花。
吉太郎は、花が結婚して近くに
住んでくれるなら安心して兵隊に
行くことができるという。
「いい話だ。おらが女だったらすぐに
承知するけど。」という。
花はすごい冗談だと言って笑った。
「花、旦那さんに愛想を尽かされないように
使えるんだぞ。おらは花の父親代わり
だからな。」
数日後のことである。
学校の授業中だった。
男子の務めと女子の務め
がテーマで修身の時間とでも
いうのだろうか、
男子は外へ働きに出て
女子は家にあって家族を守り
家族に尽くしていくこととある・・・。
花は、なにげに男子と女子の役割
分担について考えていた。
そこに、裸足の男がそっと
教室に近づいてきて
廊下から中を見ていた。
ひろしは、それに気が付き
隣の子供に言う。
子どもたちはみんな気が付き
ざわ、ざわしはじめた。
「花先生を見ている。」
「あれは誰だ?」
「みんなどうしたの?」花は気が付いて
聞いた。
「ちゃんと教科書を読んで。」
「だって廊下に変なおじやんがいる出よ」
教室の後ろの戸があいて
男が入ってきた。
「グッドアフタヌーン~~花!!」
「て!おとう!!!」
行方知れずだった吉平が何と4年ぶりに
帰ってきました。
あっけの取られる花・・
驚く子供たち・・・。
ごきげんよう
さようなら・・・
*********************
この時代の女性の結婚観は
そんなものです。
家族のために結婚するという
形は多かったと思います。
相手を好きだとか嫌いだとかいう
以前の問題です。
お見合いを持ってきた徳丸にも
メンツがあります。
花が断るわけにはいかないのです。
しかも、花にとっては自分のことではなく
家族が楽になるという大きな喜びが
あります。
家族が楽になるのなら、結婚するべしか
とも思います。
でも、それでいいのかどうか・・・。
蓮子さんに聞かないとわかりません。
家のために結婚するとは、蓮子さんこそ
その人生でした。
最初の御主人も、今の御主人も
なぜ結婚したのかというと
家のためであります。
お見合いをするということは
結婚するということです。
花は断りにくくなりました。
徳丸が持ってきたものだから
ということと家族が喜んでいる
からということです。
いいタイミングで吉平がかえって
来ました。
吉平は安東家がどんな貧乏で
どんな苦しい生活であっても
花の才能を惜しんで女学校へ
行かせました。
常に夢を追っている人です。
適材適所と言いますが、花を
出世頭のように思っています。
彼は家のために花を結婚させるなど
しないと思います。
おそらく、この望月さん。
花を気に入っていると思います。
つまり、朝市、帝大生、村岡、そして
望月・・・
花は持てますね~~~~~~~~。
今日から始まった、「花、見合いをする」・・・。
朝市の演技が面白いですよ。
朝市は子供のころから花を嫁にもらうと
決めていましたから。
花のお見合い話にはショックを受けて
います。
みんなうきうきしているときに
苦虫をつぶしたような顔をしたり
しています。
いまも、花が好きですから。
花を嫁に欲しいと思っていますから。
でも、花はそう思っていませんが。
なんだか、朝市がかわいそうになりました。
★故郷の小学校で落第教師の烙印を押されて
しまった花がなんと童話を書いて賞を取りました。
花は東京で行われた祝賀会に出席しました。
そこで村岡英治と再会しますが
英治は花子という名前でこれからも
夢を追い続けてくださいと
言い残します。
東京から帰ってきた花は翌日
いつのもように朝市と学校へ行った。
「久しぶりの東京はどうだった?」と朝市が
聞く、「また頑張ろうと思えた」と花は答えた。
そんな会話をしながら入って行った
職員室。
先生方が校長をかこんでわいわいと
楽しそうに話をしている。
「安東先生!」と
校長に呼ばれていくと
実は・・
花にお見合いの話が来ているという。
朝市は驚いて花のそばに
いって校長の話を聞く。
地主の跡取り息子だという。
花は「武!!」と驚き
「それだけはお断りします」
という。
「選り好みしている場合ではない」と
緑川に言われる。
「最後まで聞け。
相手は武ではない。」
といって、見合いの相手の写真を
花に渡す。
朝市は横からじっと見る。
★あら、なかなかいい男じゃないの。
「ありがたく結婚して、
学校をやめたらいい。
それがこの学校の平和のためだ」と
緑川は言って
あははは・・・と笑った。
★花のお見合い相手というのは徳丸家と
肩を並べる大地主の跡取り息子でした。
花は学校帰りに徳丸家によった。
徳丸は、お見合い相手は
啓太郎というのだが、花が
童話で賞を取ったというと
興味を持ったという。
また、女学校で英語の勉強を
したというとぜひ一度会ってみたい
というのだという。
「ありがたいお話ですが
まだ、結婚のことは考えられ
なくて・・・」
と花が言うと
聞いていた武が
「小作のくせに、なまいきいうな。
お父様がせっかく持ってきた話だぞ。」
「とにかく会うだけあってみたらいい」と
徳丸が言う。
「まあ、はなたれを気に入るものずきは
いねーからな、どうせあっちから
断られるわ!!」
と愉快そうに言う。
「武、ちっとだまっておれ!」
「はい、お父様・・・」
「いいか、よく聞け
この縁談まとまったら望月さんは
おまえんちの借金は全部肩代わり
するといっている。」
「て???」
「こーーんな、いい話はない。
嫁に行ってふじちゃんを安心
させてやれ。」
徳丸は上から目線で花にいう。
花は少しは気持ちが動いたのか
それでも、結構ですという
固い気持ちが多少、家族のためという
部分では考えるべしかとなったのかも
知れない。
家に帰るともはや噂は広まって
いた。
木場リンがどこから聞いてきたのか
ふじ、もも、吉太郎、周造に
その話をしていた。
家に帰るとももはうれしそうにいった。
「聞いたよ。お見合いだって?」
リンはいう。
「花ちゃん、望月さんとのお見合い
がんばるっし。」
すると朝市が
「すまねーなー。またうちのおしゃべり
おかあが・・・。」
吉太郎は、「望月さんというと
徳丸さんよりちっとばかり
大きな地主だぞ」という。
ももやふじはそれだけでも
びっくりして喜んだ。
「そうはいうても、花は学校だって
いそがしいし、童話だって書かなければ
いけないし、やることはいっぱいあるから
結婚どころではない」と、朝市が言う。
「何で朝市が口をはさむだ?
こんないい話他にないだろ?」とりん。
「周造さんもふじちゃんも
楽できるだろ?
それが写真?男前でよかったな~~」
「花、粗相のないようにがんばるだ!」と
吉太郎。
徳丸家の座敷でふじと花は
座っていた。
ふじと花は、きれいな着物を着ていたが
それは徳丸が亡くなった妻のものを
貸したのだった。
徳丸は、「ふじちゃんと見合いがしてー
ぐらいだ」と冗談を言った。
そこで笑いが取れたが、望月が
やってきた。
ふじと花は深々とおじきをして
待っていた。
顔を上げると
写真の本人がいた。
「はじめまして、望月啓太郎です。」
かれは爽やかに自己紹介をした。
花はじっと見とれてしまった。
徳丸は啓太郎を紹介した。
彼は望月家の葡萄酒づくりを任されて
いるので外国へもいくことが
あるという。
それで花の英語が役に立つという。
ずっと甲府ですごすつもりであるのだが。
また花には縁談がまとまれば、先生をやめて
家に入って欲しい、使用人を雇うから
家事をしないでもいいという。
物を書くこともできるという。
「こんなにいい相手はいないぞ」と徳丸は
念を押す。
徳丸とふじが座敷から
出て行った。
何を話していいのやら???
啓太郎はお茶のふたをとった。
「緊張しますね。」
「私もさっきから、のどがからからで・・」
二人は笑いながらお茶を飲んだ。
啓太郎は花のみみずの女王を読んで
面白かったという。
「本当にいいご趣味ですね。」
啓太郎が言うので花は、え?と
思った。
★花にとっては趣味ではないのですが。
家に帰るとももがうれしそうに
それで、それで・・とお見合いの話を聞く。
「望月さんは吉平が何年も帰ってこない
事も知っていた」という。
花の家族の面倒もみんな見るし
よかったら、近くに家を建てて住まないかと
もいった。
ももは「新しいうちに引っ越せるのか」と
喜ぶ。リンは「よかったよかった、親孝行な
娘をもって幸せだね」とふじにいう。
花は「まだお見合いの話を受けていない」と
念を押す。
何で迷うのかとリンとももは不思議そうにいう。
「おら賛成だ」ともも。
「そうさよ、相手は金持ちで一生お金の心配をしなくて
いいし、顔もいいし、断る理由がない。
それ以上に地元にずっといるということが
これまたすごくいい」とリンは自分のことのように
うれしそうにいった。
ふじはよそ者と結婚したから
苦労した、地元の人が一番だとリンは言う。
その吉平はもう帰ってこないとリンは言うが
花は必ず帰ってくると言い切った。
その夜、縁側で空を見ていたら
吉太郎がやってきて
結婚はどうするのかと聞く。
「いい話だと思う。
いい人だし、甲府を離れなくても
いいし・・・
うちの借金もなくなる。お金の心配も
しなくていい、好きな書き物ができる
もったいないぐらいい話だけど・・」と花。
吉太郎は、花が結婚して近くに
住んでくれるなら安心して兵隊に
行くことができるという。
「いい話だ。おらが女だったらすぐに
承知するけど。」という。
花はすごい冗談だと言って笑った。
「花、旦那さんに愛想を尽かされないように
使えるんだぞ。おらは花の父親代わり
だからな。」
数日後のことである。
学校の授業中だった。
男子の務めと女子の務め
がテーマで修身の時間とでも
いうのだろうか、
男子は外へ働きに出て
女子は家にあって家族を守り
家族に尽くしていくこととある・・・。
花は、なにげに男子と女子の役割
分担について考えていた。
そこに、裸足の男がそっと
教室に近づいてきて
廊下から中を見ていた。
ひろしは、それに気が付き
隣の子供に言う。
子どもたちはみんな気が付き
ざわ、ざわしはじめた。
「花先生を見ている。」
「あれは誰だ?」
「みんなどうしたの?」花は気が付いて
聞いた。
「ちゃんと教科書を読んで。」
「だって廊下に変なおじやんがいる出よ」
教室の後ろの戸があいて
男が入ってきた。
「グッドアフタヌーン~~花!!」
「て!おとう!!!」
行方知れずだった吉平が何と4年ぶりに
帰ってきました。
あっけの取られる花・・
驚く子供たち・・・。
ごきげんよう
さようなら・・・
*********************
この時代の女性の結婚観は
そんなものです。
家族のために結婚するという
形は多かったと思います。
相手を好きだとか嫌いだとかいう
以前の問題です。
お見合いを持ってきた徳丸にも
メンツがあります。
花が断るわけにはいかないのです。
しかも、花にとっては自分のことではなく
家族が楽になるという大きな喜びが
あります。
家族が楽になるのなら、結婚するべしか
とも思います。
でも、それでいいのかどうか・・・。
蓮子さんに聞かないとわかりません。
家のために結婚するとは、蓮子さんこそ
その人生でした。
最初の御主人も、今の御主人も
なぜ結婚したのかというと
家のためであります。
お見合いをするということは
結婚するということです。
花は断りにくくなりました。
徳丸が持ってきたものだから
ということと家族が喜んでいる
からということです。
いいタイミングで吉平がかえって
来ました。
吉平は安東家がどんな貧乏で
どんな苦しい生活であっても
花の才能を惜しんで女学校へ
行かせました。
常に夢を追っている人です。
適材適所と言いますが、花を
出世頭のように思っています。
彼は家のために花を結婚させるなど
しないと思います。
おそらく、この望月さん。
花を気に入っていると思います。
つまり、朝市、帝大生、村岡、そして
望月・・・
花は持てますね~~~~~~~~。
今日から始まった、「花、見合いをする」・・・。
朝市の演技が面白いですよ。
朝市は子供のころから花を嫁にもらうと
決めていましたから。
花のお見合い話にはショックを受けて
います。
みんなうきうきしているときに
苦虫をつぶしたような顔をしたり
しています。
いまも、花が好きですから。
花を嫁に欲しいと思っていますから。
でも、花はそう思っていませんが。
なんだか、朝市がかわいそうになりました。
