想像のツバサ?6
童話の懸賞に応募し賞をもらうことになった
花は久しぶりの東京に出てきました。
祝賀会が開かれた
「みなさん、今年の児童の友賞に選ばれたのは
宇田川みつよさんと安東花さんです。
お二人には後程ご挨拶をお願いします。」
拍手がわく。花はあちこちと頭を下げた。
宇田川はじっとしている。
梶原は宇田川にどんな作品が好きかと聞く。
「宇田川は花袋の布団はおもしろかったですね」
という。
田山花袋の布団という小説である。
「もちろんあなたも読んだでしょ?」と
宇田川は花に聞く。
「え??それって固い布団のお話ですか?」
宇田川はあきれていった。
「このひと田山花袋を知らないのですって。
自然主義派の露骨なる表現よ。」
花は居心地の悪さを感じた。
「藤村の破戒はどうですか」別の人が
宇田川に聞く。
★久しぶりに味わう都会の空気にすでに
気おくれをしている花でした。
人の波から離れて、花はうつむいて
しまった。
ひとりでぽつんとしているのを
村岡はじっとみていた。
そしてワイングラスを
ふたつもってやってきた。
さきほどの仲直りの乾杯をするつもり
だった。
すると、花は「葡萄酒は・・・・」と
断った。
「いい思い出がなくて、どなたかほかの方と
乾杯してください。」
「それでは、乾杯になりませんよ。
やっぱりまだ怒ってるのですね。」
そんなとどのつまりのような
状況に表れたのが醍醐亜矢子。
洋装で見違えるようにきれいになって
いる。
花は再会を喜んだ。
亜矢子は花がなぜワインを嫌っているのか
村岡に話した。
ワインのおかげでよっぱらって
大騒ぎをして退学になりかけた話だ。
村岡はびっくりした。
★そうなのです。あのトラウマは消えません
よりによってワインをもってくるとは
つくづく間の悪い男ですね。
亜矢子がワイングラスを一つ村岡から
もらって、「花先生、受賞おめでとう
ございます」といった。
「花先生なんて、わたしは甲府の代用教員
なのよ。」
女性の二人の盛り上がった話の場には
村岡はいられなくなり場を離れて
いった。
そしてそこに、かよが現れた。
醍醐が呼んだという。
ピンクのあでやかな着物を着て
花束を持ってきた。
奉公先の奥様が貸してくれた着物だという。
仕事はきついけど製糸工場よりはましと
嬉しそうにかよは言った。
そしてかよは吉平はまだ帰ってこないのかと
聞いたがこのところ吉平を見ていない。
「おとうがいたら喜ぶだろうな。花は
天才だからというだろうな」とかよはいう。
「小学校の先生をやめて小説家
になるの?」
かよが聞くが、花はその気がない。
そこへ醍醐も参戦して、「もういちど夢を
追いかけましょうよ」という。
かよもそう思うという。
花は「私が小説家?」といいながら
想像の翼を広げようとしたとき。
「本気で小説家を目指す気?」
と梶原がいう。
「小説家をずいぶん見てきたが
みんな個性的で変わり者が多い。
花はふつうから見れば多少
常識も外れているが小説家
からみると普通すぎる。
無理だ」といった。
「それってあきらめたほうがいいって
ことですか?」
「そうだ。」
「はっきりおっしゃってくれてありがとう
ございます。」
★はっきりそこまで言われるとやはりショックな
花でした。
祝賀会のあいさつの時間となった。
宇田川は、「審査員の先生方
私を選んだことを後悔させないような
売れっ子の小説家になります。
だから早く仕事を下さい。」
そういっておじきをした。
花は
「みみずの女王は私が尋常小学校で
うけもったたえさんという生徒と
一緒に作った話です。
そのこは遠くに引っ越してしまったので
お話の続きを読んでほしいと
おもって応募しました。
そしたら運よくこの賞をいただき
ました。だから半分はたえさんの
受賞です。
この受賞は一回きりのいい思い出
として、甲府に帰ってまじめに
教師を続けたいと思います。
ありがとうございました。」
花の挨拶は本当にふつうだった。
祝賀会も終わりみんなそれぞれ
帰り道についた。
花のもとに醍醐が来た。
「本当にこれ一回きりでいいの?」
花は作者の名前のことをいった。
「最初で最後だから花子にしたかったな」
「それ、わたしが本名のほういいと思って
書き直したの。女学校時代の友人や
先生たちも安東花のほうが気が付くだろうと
思って」という。
花は驚いた。
「醍醐さんそれって気が付きすぎです」
醍醐は花に謝った。
花は、村岡をさがした。
とんでもないことを言ったと思った。
謝らなければと村岡を探したがすでに帰ったのか
どこにもいない。
会場を出て探したがいない。
しょんぼりしてまた会場に戻った。
だれもいなくなった会場で花は途方に
くれた。
「どうしよう・・・・」
そこへバタバタと誰かが入ってきた。
村岡だった。
帽子を忘れたらしい。
「まだいらしたのですか?」と
村岡は花に声をかけた。
「村岡さん!
ごめんなさい。
これ誤植じゃなかったのです。」
花は友人の醍醐がそうしたことを
話をした。そして自分が誤解したことや
ひどいことをいったことをわびた。
村岡は言った。
「一つ聞いてもいいですか
なぜ花子にこだわりますか?」
「子どものころから花子と呼ばれたかった
のです。花じゃねぇ。おらのことは
花子とよんでくりょって。」
「目に浮かびます。」
「女学校時代に腹心の友ができてその人と
約束したのです。
作品を書くときは花子という名前を
使うって。
だから、この受賞を知ったとき
舞い上がってしまって・・
自分が本当に夢の中の花子に
鳴れたような気がして
そう、花子は私の夢なのです
もう、現実の花に戻らないと。」
村岡は、「あなたは花子になるべきです。」
という。
花は・・・・え?と思った。
「花子という名前でこれからも書き続けて
ください。」
花は自分はふつうだから小説家には
向いてないと梶原から言われたことも
いって、小説家にはならないという。
村岡は、「あなたは断じて普通ではない」と
言い切る。
「は?」
「充分変な人です。」
「ちょっと待ってください。
あなたのような変な人に
言われたくないです。
どうせ珍獣扱いしたいのでしょ。」
「そんな失礼なこと言いませんよ。
どうかそんな変な自分を大切に
してください。英文翻訳も
続けてください。」
「・・・それはむりです・・・」
花は英語どころではないという。
「どこにいてもあなたなら大丈夫です。
怠け者がおよぐときの
あの集中力を思って」
「ほら珍獣扱いしてる」
二人は笑った。
「では・・・お元気で」、といって
去ろうとする村岡に
花子は「ありがとうござい
ました。」という。
「いや、お礼を言われるようなこと
は何も・・・」
「ごきげんよう、さようなら」
「ごきげんよう・・・さようなら」
去っていく村岡の姿を見送る
花だった。
ごきげんよう
さようなら
********************
花が十分珍獣とは???
梶原は普通だというが
普通ではないと村岡は言う。
しかもモンスターではなく
珍獣だ・・・。
おまえにいわれたくねぇ!と
花は思っているだろうけど
このふたり、どうやって一緒になる
のかな????
花はどうしてもてるのでしょうか?
朝市でしょ。
それから東京帝国大学
の学生さん・・・名前忘れ
ました・・・。
それから村岡・・・。
根本的には吉平からも
えこひいきされていましたね。
花はどうしてもてるのか?
朝ドラを見るテーマになるのかも。
童話の懸賞に応募し賞をもらうことになった
花は久しぶりの東京に出てきました。
祝賀会が開かれた
「みなさん、今年の児童の友賞に選ばれたのは
宇田川みつよさんと安東花さんです。
お二人には後程ご挨拶をお願いします。」
拍手がわく。花はあちこちと頭を下げた。
宇田川はじっとしている。
梶原は宇田川にどんな作品が好きかと聞く。
「宇田川は花袋の布団はおもしろかったですね」
という。
田山花袋の布団という小説である。
「もちろんあなたも読んだでしょ?」と
宇田川は花に聞く。
「え??それって固い布団のお話ですか?」
宇田川はあきれていった。
「このひと田山花袋を知らないのですって。
自然主義派の露骨なる表現よ。」
花は居心地の悪さを感じた。
「藤村の破戒はどうですか」別の人が
宇田川に聞く。
★久しぶりに味わう都会の空気にすでに
気おくれをしている花でした。
人の波から離れて、花はうつむいて
しまった。
ひとりでぽつんとしているのを
村岡はじっとみていた。
そしてワイングラスを
ふたつもってやってきた。
さきほどの仲直りの乾杯をするつもり
だった。
すると、花は「葡萄酒は・・・・」と
断った。
「いい思い出がなくて、どなたかほかの方と
乾杯してください。」
「それでは、乾杯になりませんよ。
やっぱりまだ怒ってるのですね。」
そんなとどのつまりのような
状況に表れたのが醍醐亜矢子。
洋装で見違えるようにきれいになって
いる。
花は再会を喜んだ。
亜矢子は花がなぜワインを嫌っているのか
村岡に話した。
ワインのおかげでよっぱらって
大騒ぎをして退学になりかけた話だ。
村岡はびっくりした。
★そうなのです。あのトラウマは消えません
よりによってワインをもってくるとは
つくづく間の悪い男ですね。
亜矢子がワイングラスを一つ村岡から
もらって、「花先生、受賞おめでとう
ございます」といった。
「花先生なんて、わたしは甲府の代用教員
なのよ。」
女性の二人の盛り上がった話の場には
村岡はいられなくなり場を離れて
いった。
そしてそこに、かよが現れた。
醍醐が呼んだという。
ピンクのあでやかな着物を着て
花束を持ってきた。
奉公先の奥様が貸してくれた着物だという。
仕事はきついけど製糸工場よりはましと
嬉しそうにかよは言った。
そしてかよは吉平はまだ帰ってこないのかと
聞いたがこのところ吉平を見ていない。
「おとうがいたら喜ぶだろうな。花は
天才だからというだろうな」とかよはいう。
「小学校の先生をやめて小説家
になるの?」
かよが聞くが、花はその気がない。
そこへ醍醐も参戦して、「もういちど夢を
追いかけましょうよ」という。
かよもそう思うという。
花は「私が小説家?」といいながら
想像の翼を広げようとしたとき。
「本気で小説家を目指す気?」
と梶原がいう。
「小説家をずいぶん見てきたが
みんな個性的で変わり者が多い。
花はふつうから見れば多少
常識も外れているが小説家
からみると普通すぎる。
無理だ」といった。
「それってあきらめたほうがいいって
ことですか?」
「そうだ。」
「はっきりおっしゃってくれてありがとう
ございます。」
★はっきりそこまで言われるとやはりショックな
花でした。
祝賀会のあいさつの時間となった。
宇田川は、「審査員の先生方
私を選んだことを後悔させないような
売れっ子の小説家になります。
だから早く仕事を下さい。」
そういっておじきをした。
花は
「みみずの女王は私が尋常小学校で
うけもったたえさんという生徒と
一緒に作った話です。
そのこは遠くに引っ越してしまったので
お話の続きを読んでほしいと
おもって応募しました。
そしたら運よくこの賞をいただき
ました。だから半分はたえさんの
受賞です。
この受賞は一回きりのいい思い出
として、甲府に帰ってまじめに
教師を続けたいと思います。
ありがとうございました。」
花の挨拶は本当にふつうだった。
祝賀会も終わりみんなそれぞれ
帰り道についた。
花のもとに醍醐が来た。
「本当にこれ一回きりでいいの?」
花は作者の名前のことをいった。
「最初で最後だから花子にしたかったな」
「それ、わたしが本名のほういいと思って
書き直したの。女学校時代の友人や
先生たちも安東花のほうが気が付くだろうと
思って」という。
花は驚いた。
「醍醐さんそれって気が付きすぎです」
醍醐は花に謝った。
花は、村岡をさがした。
とんでもないことを言ったと思った。
謝らなければと村岡を探したがすでに帰ったのか
どこにもいない。
会場を出て探したがいない。
しょんぼりしてまた会場に戻った。
だれもいなくなった会場で花は途方に
くれた。
「どうしよう・・・・」
そこへバタバタと誰かが入ってきた。
村岡だった。
帽子を忘れたらしい。
「まだいらしたのですか?」と
村岡は花に声をかけた。
「村岡さん!
ごめんなさい。
これ誤植じゃなかったのです。」
花は友人の醍醐がそうしたことを
話をした。そして自分が誤解したことや
ひどいことをいったことをわびた。
村岡は言った。
「一つ聞いてもいいですか
なぜ花子にこだわりますか?」
「子どものころから花子と呼ばれたかった
のです。花じゃねぇ。おらのことは
花子とよんでくりょって。」
「目に浮かびます。」
「女学校時代に腹心の友ができてその人と
約束したのです。
作品を書くときは花子という名前を
使うって。
だから、この受賞を知ったとき
舞い上がってしまって・・
自分が本当に夢の中の花子に
鳴れたような気がして
そう、花子は私の夢なのです
もう、現実の花に戻らないと。」
村岡は、「あなたは花子になるべきです。」
という。
花は・・・・え?と思った。
「花子という名前でこれからも書き続けて
ください。」
花は自分はふつうだから小説家には
向いてないと梶原から言われたことも
いって、小説家にはならないという。
村岡は、「あなたは断じて普通ではない」と
言い切る。
「は?」
「充分変な人です。」
「ちょっと待ってください。
あなたのような変な人に
言われたくないです。
どうせ珍獣扱いしたいのでしょ。」
「そんな失礼なこと言いませんよ。
どうかそんな変な自分を大切に
してください。英文翻訳も
続けてください。」
「・・・それはむりです・・・」
花は英語どころではないという。
「どこにいてもあなたなら大丈夫です。
怠け者がおよぐときの
あの集中力を思って」
「ほら珍獣扱いしてる」
二人は笑った。
「では・・・お元気で」、といって
去ろうとする村岡に
花子は「ありがとうござい
ました。」という。
「いや、お礼を言われるようなこと
は何も・・・」
「ごきげんよう、さようなら」
「ごきげんよう・・・さようなら」
去っていく村岡の姿を見送る
花だった。
ごきげんよう
さようなら
********************
花が十分珍獣とは???
梶原は普通だというが
普通ではないと村岡は言う。
しかもモンスターではなく
珍獣だ・・・。
おまえにいわれたくねぇ!と
花は思っているだろうけど
このふたり、どうやって一緒になる
のかな????
花はどうしてもてるのでしょうか?
朝市でしょ。
それから東京帝国大学
の学生さん・・・名前忘れ
ました・・・。
それから村岡・・・。
根本的には吉平からも
えこひいきされていましたね。
花はどうしてもてるのか?
朝ドラを見るテーマになるのかも。
