想像のツバサ?2
★花は新任初日にして教師失格の烙印を押されて
しまいました。

「ただ今~~~」

家に帰ったときふじは「おかえり~~」と元気よく
迎えてくれた。
「どうだった?先生は?」
とふじが聞くが、花は答えにくい。

そこへ周造とりんが帰ってきた。
「気にするな、初日だからな」と周造。

知っているのかと驚く花。

りんが「のっけから先生が廊下に立たされた
なんて示しがつかんが!!」
という。

知っているんだ。

ふじ、もも、吉太郎はその話を聞いて
驚く。

ふじは「廊下に立たされた???」
と聞く。

りんは、「朝市まで巻き込まれていい笑いものだ」と
いった。

ももは「て?朝市さんも」
という。

吉太郎は、「先生が廊下に立たされたなんて
よっぽどわるいことをしたんだ」という。

すると情報通のリンはすでに詳しく
しっていて、「生徒と校外学習と言って
外に出て遊んでいたんだと!」と答えた。

ふじは「東京ではあんなに上手に授業をして
いたのに、なぜ」と不思議がる。

りんは、またいった。
花たちを見ていた村の人の話だと
校外学習というが、花が一番浮かれていた
んだってといった。

花は・・・「花がいっぱい咲いていたものだから
つい、うきうきしてしまって・・・・」と答えた。
「朝市は花と一緒に立たされたんだ」とりんは
悔しそうに言うが。

吉太郎は「朝市にも迷惑かけてしまった」と
いい、ももは「花は先生に向いてないのでは?」
ともいう。
花は浮かぬ顔になって
家に入るが

言い過ぎたとおもったりんは、「おまえも大変じゃ。
おとうに代わってこの家を支えなければ
ならないし・・・・。かよのこさえた借金もあるし。
教師にまるっきり向いてなかっても

やるしかねーずら!!!」
といって、花のうでをパンパンとたたいた。


励ましているのか、けなしているのか・・・。

よくわからない・・・


朝になった。

「今日は立たされんようにコピットやるだよ」
とふじに言われた。

元気のない花に朝市が迎えにきた。

花は自分は教師に向いてないのではと
いう。
朝市はたった一日で何がわかるのかと
反論した。
「たった一日であんなにも生徒と仲良く
なれたんだから結構向いているかも
しれない」といった。

「そうかな・・・・」

元気のない花に、「遅刻すると生徒に
笑われるぞ」といってせかした。

「ようし・・・」と花はやる気モードにはいった。


★さて、今日は先生らしくできるでしょうか??

授業に入った。

「先生、昨日みたいに外へ行きたい。」

ひろしがいう。

また、ひとりが「おら、ヨモギがいっぱい生えて
いるところ知っているよ~~」

と誘惑する。

「そうだ、そうだ!!」

「外へ行きたい!!」
「外へ行きたい!!!」


また、教室が騒然となった。

花はこんなときは・・・・と富山先生を思い出した。
花は富山先生になりきることにしました。

そして教卓をたたいて

「静かに!!!」といった。

しーんとした。

また再び、行きたい、行きたいと
ワーワー言いだした。

花は教卓をバンバンとたたいた。

「騒ぐ生徒は廊下に立たせますよ!!!」

「自分が立たされたくせに。」

「きよし君、先生や目上に人に丁寧な
言葉を使うのが礼儀です。」

今度は白鳥様になった。

「え??
そんなのどうでもいいじゃんか」

「よくありません
言葉の乱れは精神の乱れです。


美しく正しい敬語を話せるよう努力
なさってください。」

★今度は白鳥様になりきっております。

「わかりましたね、きよしくん」

「はーい」

「みんなもわかりましたね」

「はーーーい」

「では次の問いをきよしくんに。

前に出て書きなさい。」


ようやく先生らしくなってまいりました。

さて、昼休みだった。

他の子供たちが弁当を食べているのに
たえは、窓の外を見ていた。

するときよしたちがやってきて
たえをはやした。

「おまえんちは貧乏だから弁当も持って
これんのか!!」
「貧乏がうつるからあっちへ行け」
「そうだ、そうだ!!!」

花はその様子をじっと見ていた。

自分もモモを背負って学校に来たが
貧乏で弁当がない。

そんなとき、空を見上げて雲を見た。

「もも、みろっし。
白い米のおまんまがあんなにいっぺー!!!」

空に手を伸ばして雲の塊を手に取って
おいしそうなおにぎりとみて
あの時、花は食べたつもりでいた。
そうして想像の翼を広げていたのだった。

たえもおなじくまどから手を伸ばして
おにぎりを取って食べる真似をした。

「たえさんは、想像の翼を広げている」と
花は不思議に思っているこどもたちに
解説した。

「先生、どうしてわかるべ??」とたえが聞く。

「先生も小さいときそうだったから」と答えた。

「毎日想像の翼を広げて鳥と一緒におおぞらを
羽ばたいていたの。」

たえはうれしくなった。

「先生もそうだったんだ。」

するとたえのおなかがぐーーーーーーっとなった。

花はたえにおにぎりをあげた。

花はおいしそうに食べた。
それをみていた校長が花を
別室に呼んだ。


「小山たえの話だけど。

教師がお気に入りの生徒を作ったら
あかん。」

「そんなつもりは・・・」

「弁当もやったらあかん。
あしたはもっとつらくなる。

たえの母は病気で亡くなり
父親は借金を返すために
出稼ぎに出て家にはいない。
たえは一人で小さな弟の世話を
しながら留守を守っている。

あんな生徒に考えもなしに
中途半端な情けをかけたら
かえって不幸になる」

校長は立ち上がった。

「おまんみてーな甘ったるい同情心では
救えん」

そういって出て行った。

そこへ朝市がきて
そっと 花に言った。

「六年生が大変だ。」


駆けつけてみると


小屋の屋根にたえがいる。

きよしたちが「想像の翼があるのなら
屋根に上っても怖くないだろう??」

と聞いた。


屋根の上をあるくたえ。

どうして屋根の上なんか

と花が言うと

女生徒がきよしたちがたえを
からかったというのだ。

「ほんとうに翼が生えているのなら
屋根の上を上っても
こわくねーだ」

といってたえをからかったのだ。

そして、うそつきうそつきといい
怖くないのなら屋根の上に上って
あるいてみろといった。

きよしはさっさとはじっこまでいけという。

花は「やめなさい!!」

「あぶない!!!」

校長もかけつけた。

花は私がやるといって
はしごをのぼった。

たえさん、今行くからといってのぼった。


花は屋根の上にのぼってこわごわとたちあがり
歩き出した。

「花先生~~!!!」


「大丈夫先生には想像の翼が生えているから」

「いいぞ、あるけ~~~」
「あるけ~~~~」

子どもたちがはやし立てる。

「あぶない、花先生」
「やめて」

と叫ぶ子供たちもいる。

花は、バランスを取っていたが
ついに、ころころと屋根の上を転がり
そしておちた。

朝市は、驚いて

落ちてきた花を抱き留め

そして自分も花を抱いたまま
ころがった。

花はきがつけば
朝市が自分の上にいたが
空をじっと見ていた。


翌日、ねん挫した足をひきづって
学校へきた。

廊下で緑川にであったので
「おはようございます。
昨日はお騒がせをしました」
といった。
緑川は「なぁ~~~にもむりして
学校へ来ることないのに」
といった。

「ずっとこなくていいだよ~~~~。」


教室に入ると
きよしたちが黒板から離れて席ににげていった。

何かと思えば・・・

黒板に大きな相合傘が書かれてあった。

花と朝市である。

「先生方お似合いジャン」
「結婚したらどう??」

「アイ、ラブ、ユ――――」

とわんわんと騒いだ。


相合傘は、黒板の端から端まで
あった。


★て!!!
なんて大きな相合傘。



花は急いで消した。


ごきげんよう


さようなら。

*********************
教師とはみためほど簡単では
ありません。

特に新米ではそうです。

子どもたちは教わるプロです。

もう六か年も教わってきました。
生徒をやってきました。
しかし花ははじめて教師をします。

つまり新米です。

子どもの世界には子供の世界のおきてが

あるのではと思うことがあります。

大人が考えるほど柔軟ではないのです。

想像の翼と言いますが、これは
想像力でもあります。

しかし翼といわば空を飛ぶと連想
します。

だから、飛んでみろよとなります。

大人なら何をバカなことをいっているのだ
と軽くこばかにして終わりますが。
子どもの世界はそうはいきません。
できなければ
うそつきです。
そう教えたのは大人です。

でも、それは真実です。


花は、ずっと朝市に助けられて
います。
有働アナは朝市が好きだと言います。
ごちそうさんでは源太が好きだったと言います。
有働アナは王子様より騎士が好きなんですね。
つまり彼女はお姫様だからです。

王子様が好きな人はきっと
平民の娘ですよ。

この二人に共通していることは
王子様ではなく騎士だということ
お姫様を守る騎士であるということです。

みていてそうでしょ??
朝市は花を守っているでしょ?
しかも二人ともヒロインの幼馴染。

こんな騎士がいたらな~~~~

王子様はいなくても騎士だけでいいかも
しれない。