さらば修和女学校2
一時的な外出で学校にやってきた
蓮子。
花は蓮子になぜ結婚のことを
行ってくれなかったのかと聞く。
「とてつもない玉の輿なのよ、新聞を
ごらんになったでしょ」と蓮子。
「そんな結婚するなんて恥ずかしくないの
お兄様からの縁談は断ったといったのでは?
それも嘘だったのですか?」
「この結婚は私が望んだのです」
「蓮様が」
「この結婚をすれば
何不自由なく暮らせるわ
兄たちの世話にならずに済むわ
これでやっと私も自由になるのよ」
「お金のために結婚するの?
これからは男の人に頼らなくても
自分で生きていく時代が来るって
蓮様が言ったじゃないですか。」
「花ちゃんはそっちの道に行けばいいでしょ。
私はもう24歳だし出戻りよ。
もう頑張ったってしょうがないわ」
花は蓮子の前に走り寄り蓮子を見て行った。
「本気で言っているの?」
「これからは石炭王の妻として
新しい土地で楽しくやっていくつもりよ。」
蓮子は花の手をふりほどいていった。
「お金があるって素敵ね
あの方は福岡に女学校を立てようと
しているの。
きっとここより立派な学校になるわ
そんな人の妻になるのよ
どこが恥ずかしいのかしら?」
「なさけないわ、それではお金で買われていくのと
同じじゃない。」
「お金で買われるってみんなそう言っているわ。
それがどうかして?」
花は蓮子は何かをごまかそうとしているといった。
ちっとも蓮様らしくないわという。
「わたしはずっとこうよ、純情で世間知らずな花ちゃんに
ずっとあわせていたのよ、今の私にはこれしかないのよ
私はうまくやったのよ・・・
東京で盛大に披露宴をするから来てね」
そういって招待状をわたそうとした。
「いやよ、披露宴なんか行かないわ。
おめでとうなんか絶対言わないわ。」
花は招待状を手でふりきり
窓に走って行った。
「花ちゃん、泣くか怒るか
どっちかにしたら?」
「泣いてなんかないわ!!!
寒くて鼻水が出てきただけよ
蓮さま、どうしてそんなに冷静になれるの
もう会えなくなるのに・・・」
蓮子も涙が出たが、ぐっとこらえて
蓮子は言った。
「ごきげんよう・・・」と。
テーブルに手紙をそっと置いた。
安東花さま・・
そして、カバンを持って出て行った。
窓に向いたままの花だった。
蓮子は顔を曇らせたまま廊下を
歩いていた。
「蓮様待って!!!」
花が追いかけてきた。
「やっぱりそんな結婚間違っているわ
逃げ出しましょう?
山梨の家にいきましょう?
蓮さまが夢をあきらめてしまうのは
私は嫌です。一度でいいから誰かを
心から愛したいって。
今結婚したらきっと後悔する
いまならまだ、引き返せる。」
蓮子は、花を見たが、身をひるがえして
「いい加減にして下さらない!!」
と、どなった。
「もうあなたとの友情ごっこはたくさん!
まさか本当に私と腹心の友になったと
思っていたの?
そもそも伯爵家の私と貧しい農家のあなたとは
住む世界が違うのよ!
さようなら!!」
蓮子は急いで行ってしまった。
残された花は打ちのめされた。
去っていく後姿をみていた。
廊下をまがっても
見ていた・・・。
生徒たちは、披露宴に招かれたので
有頂天になっていた。
「キット盛大な披露宴でしょうね。」
「政界や財界の人でいっぱいよ」
★おやおやついこの間まで怖そうなおじ様だの
新郎の悪口を言っていたのに随分な変わりようです事。
いつの時代も女性はパーティがお好きですからね。
畠山は花に言った。
「もちろん行きますわね?」
亜矢子は
「お気持ちはわかるけど、お祝いして差し上げましょうよ」
という。
花は、首を振った。
「私は着物をもっていないから。」
そういって立ち上がって去って行った。
結婚式の葉山家の控室でのこと。
茂木と綾子と畠山は
蓮子にお祝いを言いに来た。
蓮子は花がいないことに不思議そうにしていた。
「花さんは今日は来られないって」と亜矢子が言った。
「そう・・・」と蓮子。
「蓮子さんの花嫁姿まぶしいくらい美しかったと
伝えておきます。」と茂木は言って三人は去って行った。
★その時蓮子はしったのです。
かけがいの無い親友を持った喜びと
それを失うことの悲しみが
どんなに大きいか・・・。
花はひとりで庭を見ていた。
あの日、桜が散る中、この学校に来た
蓮子のことを・・・。
「ごきげんよう、校長室はどこかしら?」
蓮子はそう聞いた。
「ご案内します・・・・」
つい、声に出して言ってからだれもいない
風景を見てさみしく思った。
本にはさんだあの時のしおり。
「花ちゃんは花子と呼ばれたいと
いってたわね
世に出るとき、その名前にすればいいわ。
翻訳者安東花子・・・」
「蓮さまの夢は燃えるような本物の恋ですよね」
「ええ、そして恋の歌をたくさん作るの」
「歌人、白蓮・・・」
そう、言って笑った…二人だった。
花も蓮子もその時のことを思い出して
泣いた・・・。
「花ちゃん・・・・。
ごめんなさい・・・・」
花も泣いた・・・・。
二人とも離れていても同じ気持ちで
泣いた・・・。
「お時間です・・・。」
控室に蓮子を呼ぶ声がした。
★新聞はこぞってこの結婚を
書き立てました。
東京での結婚式は盛大に執り行われた。
★式ののち福岡での祝宴は三日三晩つづき
ました。
♪つ~~きがぁ~~でたでたぁ~~
つきがぁでたぁ~~あ
よいよい~~♪
★そこは蓮子が今まで見てきた世界とは
あまりにもかけ離れていました。
金屏風の前で伝助と並んで座る蓮子。
伝助はお酒を飲む・・・そして蓮子に
御猪口をわたそうとするが・・・・
蓮子は、じっと同じ顔でおなじ表情で
宴の様子をにらんでいた。
ごきげんよう
さようなら・・・
*******************
金で買われて福岡に言った蓮子。
そのことを相談すらできず
花ならきっと反対すると思って
花を巻き添えにしたくなくて
振り切るように花から去ってしまった
蓮子。
裏切られたと思った花。
どっちにしても、悲しいものです。
お金のために葉山家のために
花をうらぎり知らない土地にいき
自分をだまして生きていくのでしょうか?
蓮子はそんなに弱くないと思います。
いつの日か、きっと花に本当のことを
いう日が来ると思います。
一時的な外出で学校にやってきた
蓮子。
花は蓮子になぜ結婚のことを
行ってくれなかったのかと聞く。
「とてつもない玉の輿なのよ、新聞を
ごらんになったでしょ」と蓮子。
「そんな結婚するなんて恥ずかしくないの
お兄様からの縁談は断ったといったのでは?
それも嘘だったのですか?」
「この結婚は私が望んだのです」
「蓮様が」
「この結婚をすれば
何不自由なく暮らせるわ
兄たちの世話にならずに済むわ
これでやっと私も自由になるのよ」
「お金のために結婚するの?
これからは男の人に頼らなくても
自分で生きていく時代が来るって
蓮様が言ったじゃないですか。」
「花ちゃんはそっちの道に行けばいいでしょ。
私はもう24歳だし出戻りよ。
もう頑張ったってしょうがないわ」
花は蓮子の前に走り寄り蓮子を見て行った。
「本気で言っているの?」
「これからは石炭王の妻として
新しい土地で楽しくやっていくつもりよ。」
蓮子は花の手をふりほどいていった。
「お金があるって素敵ね
あの方は福岡に女学校を立てようと
しているの。
きっとここより立派な学校になるわ
そんな人の妻になるのよ
どこが恥ずかしいのかしら?」
「なさけないわ、それではお金で買われていくのと
同じじゃない。」
「お金で買われるってみんなそう言っているわ。
それがどうかして?」
花は蓮子は何かをごまかそうとしているといった。
ちっとも蓮様らしくないわという。
「わたしはずっとこうよ、純情で世間知らずな花ちゃんに
ずっとあわせていたのよ、今の私にはこれしかないのよ
私はうまくやったのよ・・・
東京で盛大に披露宴をするから来てね」
そういって招待状をわたそうとした。
「いやよ、披露宴なんか行かないわ。
おめでとうなんか絶対言わないわ。」
花は招待状を手でふりきり
窓に走って行った。
「花ちゃん、泣くか怒るか
どっちかにしたら?」
「泣いてなんかないわ!!!
寒くて鼻水が出てきただけよ
蓮さま、どうしてそんなに冷静になれるの
もう会えなくなるのに・・・」
蓮子も涙が出たが、ぐっとこらえて
蓮子は言った。
「ごきげんよう・・・」と。
テーブルに手紙をそっと置いた。
安東花さま・・
そして、カバンを持って出て行った。
窓に向いたままの花だった。
蓮子は顔を曇らせたまま廊下を
歩いていた。
「蓮様待って!!!」
花が追いかけてきた。
「やっぱりそんな結婚間違っているわ
逃げ出しましょう?
山梨の家にいきましょう?
蓮さまが夢をあきらめてしまうのは
私は嫌です。一度でいいから誰かを
心から愛したいって。
今結婚したらきっと後悔する
いまならまだ、引き返せる。」
蓮子は、花を見たが、身をひるがえして
「いい加減にして下さらない!!」
と、どなった。
「もうあなたとの友情ごっこはたくさん!
まさか本当に私と腹心の友になったと
思っていたの?
そもそも伯爵家の私と貧しい農家のあなたとは
住む世界が違うのよ!
さようなら!!」
蓮子は急いで行ってしまった。
残された花は打ちのめされた。
去っていく後姿をみていた。
廊下をまがっても
見ていた・・・。
生徒たちは、披露宴に招かれたので
有頂天になっていた。
「キット盛大な披露宴でしょうね。」
「政界や財界の人でいっぱいよ」
★おやおやついこの間まで怖そうなおじ様だの
新郎の悪口を言っていたのに随分な変わりようです事。
いつの時代も女性はパーティがお好きですからね。
畠山は花に言った。
「もちろん行きますわね?」
亜矢子は
「お気持ちはわかるけど、お祝いして差し上げましょうよ」
という。
花は、首を振った。
「私は着物をもっていないから。」
そういって立ち上がって去って行った。
結婚式の葉山家の控室でのこと。
茂木と綾子と畠山は
蓮子にお祝いを言いに来た。
蓮子は花がいないことに不思議そうにしていた。
「花さんは今日は来られないって」と亜矢子が言った。
「そう・・・」と蓮子。
「蓮子さんの花嫁姿まぶしいくらい美しかったと
伝えておきます。」と茂木は言って三人は去って行った。
★その時蓮子はしったのです。
かけがいの無い親友を持った喜びと
それを失うことの悲しみが
どんなに大きいか・・・。
花はひとりで庭を見ていた。
あの日、桜が散る中、この学校に来た
蓮子のことを・・・。
「ごきげんよう、校長室はどこかしら?」
蓮子はそう聞いた。
「ご案内します・・・・」
つい、声に出して言ってからだれもいない
風景を見てさみしく思った。
本にはさんだあの時のしおり。
「花ちゃんは花子と呼ばれたいと
いってたわね
世に出るとき、その名前にすればいいわ。
翻訳者安東花子・・・」
「蓮さまの夢は燃えるような本物の恋ですよね」
「ええ、そして恋の歌をたくさん作るの」
「歌人、白蓮・・・」
そう、言って笑った…二人だった。
花も蓮子もその時のことを思い出して
泣いた・・・。
「花ちゃん・・・・。
ごめんなさい・・・・」
花も泣いた・・・・。
二人とも離れていても同じ気持ちで
泣いた・・・。
「お時間です・・・。」
控室に蓮子を呼ぶ声がした。
★新聞はこぞってこの結婚を
書き立てました。
東京での結婚式は盛大に執り行われた。
★式ののち福岡での祝宴は三日三晩つづき
ました。
♪つ~~きがぁ~~でたでたぁ~~
つきがぁでたぁ~~あ
よいよい~~♪
★そこは蓮子が今まで見てきた世界とは
あまりにもかけ離れていました。
金屏風の前で伝助と並んで座る蓮子。
伝助はお酒を飲む・・・そして蓮子に
御猪口をわたそうとするが・・・・
蓮子は、じっと同じ顔でおなじ表情で
宴の様子をにらんでいた。
ごきげんよう
さようなら・・・
*******************
金で買われて福岡に言った蓮子。
そのことを相談すらできず
花ならきっと反対すると思って
花を巻き添えにしたくなくて
振り切るように花から去ってしまった
蓮子。
裏切られたと思った花。
どっちにしても、悲しいものです。
お金のために葉山家のために
花をうらぎり知らない土地にいき
自分をだまして生きていくのでしょうか?
蓮子はそんなに弱くないと思います。
いつの日か、きっと花に本当のことを
いう日が来ると思います。
