波乱の大文学会4

花子は葉山蓮子にできたばかりの
最後の場面の脚本をわたした。

役を降りないと言う蓮子に
徹夜して書いた脚本を見せて
「だったらこれを読んで
やるかどうか決めてください。」

そういって渡して部屋に戻った。

それを醍醐亜矢子が見ていた。

廊下でまっていた亜矢子。
「花さん・・・・」

「あ、醍醐さん。おはよう。」

「花さんはどっちを選ぶの?」

「は?」

そのころ、葉山蓮子は受け取ったばかりの
原稿を読んでいた。


「徹夜で書き上げた原稿をあの方に
読ませるなんて
私よりもあの方がすきなの?」

「どっちかなんて
そんなの選べるわけないでしょ
ロミオとジュリエットを成功させるためには
二人とも大切な人です。」


「そんなことじゃなくて!!」

「え?」

「もういい!!
私は花さんにジュリエットをやってほしいの。」

花は自分がお芝居なんて緊張すると
声が裏返るのにと、いう。

二人の前に白鳥が現れる。
「そんなに困っているのならこの白鳥が
ジュリエット役をお引き受けしても
よくってよ・・・ふふふ」


驚く二人だったが白鳥は本気である。

★ますます暗雲が立ち込めるロミオとジュリエット。
無事に講演までにこぎつけることが
できるのでしょうか?


さて、お稽古であるが・・・

白鳥かをる子は

しっかりとメークを・・・白塗りお化けのような
メークをして、ほっぺを
まっかっか~~にぬって・・
目もクレオパトラのようにふちを書いて・・
唇はまっかっかーーーに塗って・・・


みただけで、コメディであるが、本人は
真剣である。

「ああ・・・ロミオ様
あなたはどうしてロミオなの・・・

あなたの家と私の家が敵同士だなんて・・」

亜矢子は花に言った。

「あの衣装はどうしたのかしら。」

「さぁ?やる気満々ですよね。」

そして亜矢子は畠山にいった。

「おねがい、断ってきて」

「ええ??」

「ロミオ様、どうしたら私たちは運命に打ち勝ち
永遠の愛を手にすることが出来るのでしょう?」

白鳥の熱演である。

舞台の下にいた醍醐に白鳥は言った。

「醍醐さん、あなたロミオでしょ。
何見てんですか!!
お稽古始めましょ!!」


亜矢子は舞台にあがった。


「では第三幕四番、キャピレット家のバルコニーと庭園。」

「おお・・・・愛するジュリエット・・・・・」

亜矢子は緊張のあまり棒読みになった。

「もっと気持をこめて!!!」

白鳥の叱責が飛ぶ


そこへ部屋の扉が勢いよく開いた。
その音でみんなそちらを見る。

入ってきたのは、葉山蓮子。

すたすたと近寄ってくる。

白鳥は「何しにきたのですか?」
と無愛想に聞く。

花もみんなもあっけに取られている。

「あなたはもうとっくに降りたはずでしょ」
と白鳥は言う。

「私は降りません、絶対に。
お稽古もこれからずっと来ますので。」

「またそんなこといって私たちを
これ以上振り回さないで下さい。」
と亜矢子は言う。

蓮子は花にいった。

「脚本最後まで読みました。
率直に言って感動しました。
シェークスピアがこんなにも面白いなんて
知らなかった。
あなた、やっぱり翻訳力だけは
たいしたものだわ。」

花は驚いた。そしてうれしかった。
「蓮子さん・・・」


「やっと本気になってくれましたね。」

いつから見ていたのか、茂木が校長と
たっていた。
「それでは、皆さん、期待していますよ。」

と校長は言った。


そして去っていった。

こちらは甲府の実家。

ふじが走っている。
★ところでふじはそんなにあわててどうしたのでしょう?


ふじとりんは走って、家に向かっていた。

「吉太郎!!!吉太郎~~~~!!!!」


家に入ったふじに周造も吉太郎も驚く。

「おかあ、どうしただ?」

「吉太郎。お前軍隊に入りたいって?」

と、ふじが聞く。

周造は「て!!」と驚く。

ふじは徳丸の家で聞いたという。
「こともあろうに宴会に乗り込んで
連隊長に直訴しただと???」

「吉、どういうこった?」
祖父が聞く。

吉太郎は折を見て言おうと持っていたと言う。

「いつか兵隊に入って
お国の役に立って、家族に楽をさせてやりたい」


するとりんは悲しそうに言った。

「それと同じコトをうちの人も言っていただ・・・。
そういって帰ってこなんだ・・・。
あんな思いはおら1人でたくさんだ!」

りんは泣きながら帰っていった。

「リンの亭主が戦死したときは
朝市は乳飲み子だったからな。」

「おら、お国のために死ねるなんて本望だ。
このままここでくすぶっていたら
死んでいるのと同じだ!」

どうしようもなくつらい祖父と母だった。


さてお稽古の様子であるが・・・。


「ロミオモンタギュー・・・
あなたの家と私の家は互いに憎しみ会う宿命。
そのいまわしいモンタギューの名前を今すぐ捨てて
くださるなら、私もキャピュレットの名をすてますわ。」

「名前が何だと言うのであろう。
名前を捨てたところで私は私だ。」

「ええ・・・バラはほかのどんなバラでも
香りは同じ。

名前が何だと言うのでしょう・・・。」


そのシーンで花は首をかしげた。

しっくりこない。

バラは同じバラでも香りは同じって・・・
シェークスピアはそういっているが・・・
でもなんだかヘンと気になった。

「もしバラがキャベツとかアザミと言う名だったら
あんなに素敵に感じられるかしら。
おとうが吉平ではなく権兵衛と言う名前だったら
おかあは好きになったかしら。」

そのつぶやきを蓮子はじっと聞いていた。

「つまり花さんは何が言いたいの?」
亜矢子が聞く。


「あ・・・やっぱり名前は大切ですよね。
ここの台詞変えたいのですが。」

花は統括の畠山に言った。


そんな時間はないと言われた。

「もう一度同じシーンを」と畠山は言う。

「名前が何だと言うのであろう。
ロミオの名前を捨てたところで私は私だ!!」

「・・・・ロミオ様・・・
それはどうでしょ?
もし、バラがアザミやキャベツと言う名前だったら
あのように香らないのではないでしょうか
名前は大事です。」

亜矢子は、「勝手に台詞を変えないでください」というが。
花は「前よりずっと素敵です」と言う。
畠山も納得した。
亜矢子は不満そうだった。


休憩になったとき
花は蓮子にいった。
「さっきは素敵な即興の台詞をありがとうございます。」
「シェークスピアの台詞にけちをつけるなんて
花さんも相当ひねくれているわね。」

蓮子のお返しである。

蓮子は花の両親の馴れ初めを聞いた。

行商をしていた吉平がブドウ畑で倒れて
ふじが介抱をして・・・・とはなした。

ふじはもっと行商先で見た話を聞きたくて
結婚したと言う。

「そう・・・・」
そういって蓮子はだまった

★花は思いました。
もしかすると蓮子様は望まない相手と
結婚させられたのかもしれない。
まるでジュリエットのように・・・


花は校庭でつぶやいた。
「もし私がジュリエットのように親が決めた相手と
結婚を決められたら・・・」

★花は子供の頃のように、想像の翼を広げました。

「花・・・花はあの男といっしょになれ」と吉平。
「花、涙を呑んで辛抱してくりょ・・・」とふじ。

「これでみんな腹いっぱい食えるだよ。
これは運命だ。」とふじ。

「ほら、婿殿だ・・・
婿殿~~~」と吉平。

そこに現れたのは・・・・武だった。


「花、おらの嫁になってくりょ。

はなたれ~~~おらの嫁にしてやるじゃ~~~~~」

花は嫌悪で顔をしかめた。

そして学校中に響き渡る声を上げた。

「いやぁ~~ぁああああああ!!!!!!」


そこへ校長たちが集まってきた。

「花、大丈夫?」
「どうしたの?」
「脚本のことで根を詰めすぎたのね」と茂木。

「少し頭を休めたほうが良いわ。」

われに返った花だった。

そのころ、葉山蓮子は兄の葉山伯爵に
手紙を書いていた。

大文学会のご招待であった。
『お兄上様・・・
来る5月16日、午後二時より
修和女学校の講堂にて大文学会開催のはこびと
相成り候。
兄上様には必ず、必ずおいでくださるべく候。
おいでそうらわば、理由お分かりと存知候。

かしこ・・・蓮子・・』

★あらまぁ、まるで果たし状のような招待
状ですこと。




ごきげんよう、

さようなら・・・。


****************
「私と葉山様、どっちがすきなの?」と
亜矢子が花に聞く。

これは・・・・単純に愛ではなく
どっちを支持するかと言うことではないかと
思いますが・・・愛でしょうか。女子高でよく聞く
擬似的な恋愛???

ここで白鳥が現れるのはなかなか、いい展開で
どんづまりですからね。

どうしようもない展開になったほう時彼女の
存在は気分転換の一助になる。


ついに蓮子が受けてたつのですね。


ジュリエットの役を。


なかなか・・・いい展開。

で、無事に大文学会・・・迎えることが
できるのでしょうか。