嵐を呼ぶ編入生2
★花より8つ年上の編入生葉山蓮子様がやって
きてからなにやら、
学校中がざわざわしておりました。
★けれどもこれはまだ、嵐の前兆に
すぎなかったのです。
そんな花に校長がみずから「葉山のお世話係を
命じます。」という。
なんと葉山が花を指名したと茂木が言う。
驚く花だった。
「て????」
食堂で食事をしない葉山に怒りを
覚えたのか、白鳥は葉山の部屋にやって
きた。おりしもその時花は葉山の部屋の前
にいた。
「葉山さま、おはようございます・・お食じ・・」
「どきなさい。」白鳥は花をどかしてドアをたたいた。
「食事をみんなとしない不届きものがいるときいて
来ました。葉山蓮子さん、あけなさい。」
すると蓮子はドアを開けた。
「・・あなたが・・・」と白鳥は驚いたが
「あなたは集団生活のルールがお分かりにならないと
いうならわたくしが教えて差し上げましょう。
いいですか、食事は食堂で・・」
「今朝は、食欲がないので食事は結構です。
ごきげんよう。」
そういって、蓮子はドアをばたんを閉めた。
「ちょっと、あぶないでしょうが!
この鼻をドアで挟まれるところでしたよ。」
白鳥は花に、くってかかる。
★朝からとんだとばっちりでございます。
「落ち着いてください、白鳥さま・・・」
さて、先生方も困っていて特に富山は
あのようなことを言われたので、イライラ
している。葉山は授業妨害をすると
校長にそのことをいうとこの学校に来る
生徒はみなマイガールです。
と校長はいう・・・。
茂木はこれまで彼女が送ってきた生活
とは環境が違うのでしばらく見守りましょうと
茂木が言う。
授業が始まる前に花は葉山を迎えに
お部屋の前に行った。
葉山が出てきたので挨拶をした。
「改めてご挨拶をします。
今日からお世話係をさせていただく
安東花です。本名は花ですが、
花子と呼んでください・・・」というと
葉山は「では、参りましょう・・・花さん」といった。
花は「この人の話を全然聞いてない」と思った。
「紫式部はどのような女性だと思いますか?」
先生が質問をする、手が上がる。
村上が「学問に打ち込み教養のある
素晴らしい女性です」と答えた。
「はい。いいですね。
葉山さまはどう思われますか」
となぜか手を上げていない葉山を指名する。
葉山は立ち上がって「わたくしはそうは思いません」
という。「紫式部は実に意地悪な女性です。」
「はぁ???」
「紫式部日記で同じ時代に活躍をした清少納言の
悪口を書きつづっています。」
「・・・次に進みましょう・・」
花は葉山が気になったがふとみると
すっと教室から抜けて出て行った。
「あら?葉山さまは?」と先生。
「ふらりとお出かけに」と花。
「連れ戻しなさい」
「葉山さま~~葉山さま~~」
花は追いかけた。
蓮子は礼拝堂にいた。
「ここにいらしたのですか?
いなくならないでください。」
「ね、あなたは神様は本当に
いると思う?
もしいなかったら、信仰などは本当に
意味のないことになるけど・・・」
「本当に困ります。教室に戻りましょう。」
すると葉山は「あの授業が終わってから
もどりましょうという。」
花は自分は授業を受けなければならない。
田舎の家族のために一分たりとも
無駄にしないように勉強しなければならないと
いう・・。
すると葉山は驚いたように、花の顔をじっと
みた。
そして、「あなたは家族のために勉強している
の??」
と、不思議そうに聞いた。
「ええ、いけませんか?」
そのころ、花が女学校へはいることになった
原動力のおとうは?
「ええ?吉平さんの娘さんはそんないい女学校に
いっているだか?」
★あら、いつかのまんじゅう売り!
吉平はまんじゅう売りと
社会主義の新聞や本を道端で
売っていた。
★いつの間におとうの仲間になったのでしょう
「そりゃ、将来たのしみだべ」
「だが、長男や妹らはろくな勉強をさせて
やれなくて、彼らはいくら働いても
地主や庄屋に搾り取られるばっかりだ。
こういう世の中間違っておるじゃろ
いちど壊して作りなおさなならん、」
「そうだ、そうだ」というが、誰も来ない。
閑散とした御寺の境内だった。
甲府の実家では木場りんが
愚痴っていた。
朝市が町の教会に入りびたっていて
ちっとも百姓を手伝わないという。
そこに、朝市がやってきてふじに
文字の練習をしようという。
りんは驚いて教会でなにをしているのかと
きき、そんなとこへ行くんじゃないという。
朝市は明日も行くという。
おら、勉強したいというと
りんは怒った。
「おかぁ、すまねーおら、百姓にはならん。
師範学校を受けて教師になる。
やっとやりたいことを見つけた・・・」と
いう。
りんもふじもみんな驚いた。
特に吉太郎は複雑だった。
その心を見抜いた周造は
吉太郎に、「おまえも百姓をやめたく
なったのでは?」と聞く。
正直、今のままというのは不安を抱えて
いた。ほかにやりたいことがあるのかもと
思った。このままここで終わりたくないと
時々考えるという。
周造は、「そうさな、時々考えるのはいいことだ」
といった。「わしなんざ、時々考えている間に
爺になっちまったけどな」、といって笑った。
その夜、花は毛布を葉山の部屋に届けに行った。
すると部屋のいい匂いに気が付いた。
「なつかし~~ブドウ畑のいい匂いがする。」
といった。
葉山はワインを飲みながら本を読んでいた。
「なつかしい?」
花は実家は山梨の甲府でブドウ畑の話をした。
「秋になるとこの匂いでいっぱいになります」といった。
「これ、ブドウを絞った滋養のお薬よ。
体が温まってよく眠れるのよ
よろしかったらいかが?」
そういってグラスについてくれた。
花はぐびっと飲んだ。
「おいしい、このお薬おいしいですね。」
花はごくごくと飲み干したので
葉山は驚いたが、「もう一杯いかが?」
と聞いた。
花は遠慮なくいただいた。
ごくごく飲んで、「わはぁ~~~~」と
息をついでいる花を
葉山は戸惑いながら見ていた。
「そんなにお気に召して?」
「はい、ブドウの香りが胸いっぱいに
ひろがって体中がぽかぽかして
来ました。」
葉山は、とまどいながらも、「お好きなだけ
どうぞ・・・」という。
「いいんですか?」
そのうち、スコット先生が夜回りをしにくる
時間となった。
「Good Night!!」
といいながら、ドアを開けては閉め
あけては閉めと・・・葉山の部屋に来た。
花はできあがっていて
「このお薬本当に最高ですね
なんだか楽しくなってきて・・・」
とへらへらとしている。
「もうそのくらいにしておいたら?」
葉山は本を読みながらいった。
「えーーーーー
もっと飲みましょうよぉ~~~~~~
先輩!」
葉山は上目づかいで花を見た。
「ね、先輩~~~与謝野晶子なんて
読んで気取ってんじゃないですよ~~
蓮子先輩~~~あははは」
そこへスコット先生が、声をかけてきた。
「ああ・・・」と花はうれしそうに立ち上がろうとした
「この声スコットせ・・・」
葉山はあわてて花の口をふさいだ。
そして、心配そうに声をかけるスコット先生に
葉山はドアを少し上げて、
「お休みなさいませ」といった。
スコット先生はため息をついて、去っていった。
足音が聞こえなくなるまでじっとドアの
近くにいた葉山はため息をついた。
そして、椅子に座って寝ている花を
見て「こんなに酒癖が悪いと
思わなかったわ・・・」といった。
ところがその夜のことだった。
というが、夜と言っても鳥が鳴いているので
早朝かもしれない。
「みんな起きろ~~~~」
暗闇に響く声・・・。
「みんな起きて~~~~~~」
花は怒鳴った。
校庭で怒鳴った。
「お星さまがあんなにきれいですよ~~~」
すると窓につぎつぎと人の影がうつり
窓のそばに寄宿生が顔を出し
花を見ていた。
「チンクル チンクルリトルスター~~~」
とキラキラ星を歌い始めた。
★ブドウのお薬というのは案の定
お酒だったんですね。
ごきげんにキラキラ星を大声で
歌う花をみんな、迷惑そうに、不思議そうに
眠そうに・・・見ていた。
★この時代、未成年の飲酒は法律では禁じられて
いませんでした、しかしながら
ここは厳格なミッションスクールです。
ご機嫌でいられるのは今のうちだけですよ。花さん。
花のキラキラ星はなおも続く。
しかも、あっちこっちと歌いながら
移動して、歌っている。
ごきげんよう・・・
さようなら・・・。
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葉山の境遇とは?
伯爵家のお姫様では?
しかしなぜ24歳で女学校へ?
なぜ???
そして、なぜ、花が家族のために勉強すること
に、不思議がったのか?
なぜ?
茂木と校長はしっているらしいが、なぜ花を
お世話係などに?
いくら本人の希望とはいえです。
主人と使用人のようではありませんか。
そこは給費生だから使ってもいいとか?
おとうの社会主義はなんだろう???
そして朝市の希望を持った発言に
とまどう吉太郎。
自分は何をしたいのかとわからないらしい。
それよりも、飲んで酔っ払って、
夜中に大騒ぎをした花はいったいどうなる???
明日のアップは遅れます。
すみません・・・お出かけしますので。
