初恋パルピテイション4

★ブラックバーン校長の計らいで
花は5年ぶりに甲府へ帰れることになりました。

家に向かう道すがら花は懐かしそうに
景色を見ながら歩いていた。

向こうから地元の百姓の青年が歩いてきて
花とあいさつを交わしてすれ違った。

が、彼は

「まさか・・・」と気が付いた

「花け?」

「ひょっとして朝市??

お久しぶりです、花子です・・・」

「ふんとに花け?」

「花ではございません、花子と呼んでください。」

「やっぱり花け?」

「では、ごきげんよう。」

花は家に向かおうとしたら朝市が
近づいてきて花が持っていた
トランクを持ってくれた。

家ではふじやかよたちが
花の帰りをいまか、いまかとごちそうを
作りながら待っていた。

吉平もそわそわしていた。

周造も・・・吉太郎も・・・同じ気持ちだった。

そこへ、ガラッと戸が開いた。

みんなはっとしたが、リンだった。

「花まだけ???」

みんな、がっかりした・・・。

リンは、「あれ?」と思った。

帰り道を朝市と歩く花

「ここはちっとも変りませんね。」

花は大きな背伸びをした。
「ああ、きもちいい~~~~」

★朝市はなぜなにもしゃべらないのだ?
なにをおこっているのだ?と花は思って
おりました。

★怒っているのではなく朝市は声が出なかったのです。
さなぎだった花が美しい蝶になってけーってきたみてーで

家に帰ると

みんな

「て??」

「て?????」

「て!!!!」

と、花を見て驚いた。

「ごきげんよう、ただいま
帰りました。」

と花は頭を下げた

吉平は、花にちかづいて
「グッドアフタヌーン花~~~」と
いう。

花は、「グッドアフタヌーンおとうさま」

といった。

「おめ~~ふんとうに
花ずらか??」とリンは信じられない様子で
いった。

「はい、私そんなに変わりました?」

「そうさなぁ~~」と周造。
「どこのお嬢様かと思ったずらよぉ。」
ふじも、「うんうん」と目を見張っていた。

「おけーり花・・・・ああ・・・
大きくなったじゃね~~~~。」とふじはいった。

「おかあ・・・おじいやん、」

「うん、」

「あにやん、かよ、もも・・・・おばさん

朝市・・・・あいたかったさ~~~」

「ああ~~~」とみんな驚きをやっと乗り越えて
再会を喜び合った。

夕餉はごちそうだった。

甲府名物のほうとうである。
花のために作られて物だった。
「ありがとう」、と花は言った。
「おらのすきなものばっかりだ。」

「うん~~おいしい~~~」と花は言う。

吉太郎は、「毎日華族のお嬢様たちと
ごちそうくってたろ?、こんなもの口にあわんが?」
とボソッと言う。

「ううん、おかあのほうとうは日本一じゃ。」
「むりしんでいい・・・」

「あにやん、」

すると吉平は花は寄宿舎で肉だのたまごさの
ぜいたくな食事をさせてもらっているからという。

「肉だの卵だの毎日け?」とももがきく。

「そのかわり、勉強しているから」と吉平。

「おらたちの世界とまるきしちがう世界じゃ。」とかよ。

「勉強はうんと頑張ったやつがかつ
身分や金持ちなんか関係ない。
花はふんとよく頑張っているだよ、ふふふ」

花は周りの空気が固いのでおとうと声をかけた。
「せっかくのごちそうがさめちまうよ」と
いった。

「そうだな、あははは・・・」と吉平

「みんなたんと食いし、花の好物の草餅も
あるさ~~」とふじは草餅を出した。

周造と吉太郎が餅をついて作ったという。
「ずっと食べたかったさ~~ありがとう」と
花は言って、パクリと食べた。

みんな、笑った。

その夜、花はもってきたクッキーをだしそこねたことを
思った。
どうも、出すような雰囲気でないと思ったのだった。

★せっかく焼いたクッキーですが花はみんなに渡すのを
ためらっていました。

徳丸の家では武が家の下男たちに支持をした。
汽車の中で見たお嬢さまを探してほしいと
言っているのだった。

見たこともない別嬪さんだという。

下男たちはあまりの手掛かりのなさに
難しそうな顔をした。

武は頭に乗っていった。
「おんなじ汽車の乗り合わせてその娘っこも甲府で
おりただ・・・・おら、あの人とお近づきになりて~~
どこに住んでいるのか、みつけだしてくりょ!」

「へ~~~~」

「着ているものが上等だったから
きっと大地主か・・いいとこのお嬢様
ずら・・・」

がらりと戸が開いて主人である武の父
徳丸が入ってきた。

「ここにはうちより大地主はいねーずら。」
といって、武の成績表を見せた。

あまりの出来の悪さに父親はいかった。
武は床に座った。
「おなごにうつつを抜かしている場合かっ。」
そういって、成績表で武の頭をしばき
「勉強しよしっ!!!」といった。

「はい・・・」と武。

安東家では、かよとももが
花の着てきた着物をみていた。
かよが着物をまとっていった。

「どうで?おらお姫様みてーけ?」とかよ。
ももは「うん!」と嬉しそうに言った。

そしてももは花がつけていたリボンを
あたまにおいて、「ねーちゃんおらは?」
と聞く。
かよは、「ももがお姫様みてー」といった。
二人が笑っていると花が入ってきた。

かよは、びっくりして着物を脱いだ。

「かよ、よく似合っている、脱ぐことないじゃない。
わたしも、その着物友達から借りたの。」

帰ることが決まって醍醐亜矢子が
それをきいてトランクごと
この着物をきてみんなをびっくりさせて
あげてといって持ってきたのだった。

「かばんも、くつもその醍醐さんというひとが
貸してくれたの。
ね?かよは上の学校へ行かないの?」
「いかん・・・」

かよは吉太郎に言われたそうだ。
女に学問は必要ないと。

花は「勉強で知らなかったことがわかるって
ほんとうにワクワクするわよ」という。

花は言った。
かよは歌が好きだった。
修和女学校では楽器がたくさんあって
毎日誰かが音楽を奏でて
いるの、かよも気に入るよ。かよも給費生で
修和に入ったらいいという。

かよは、花はのんきでいいという。
驚く花だったがおらのことはほっておいてくれと言って
かよはでて行った。

わけがわからない花だった。

夜おそくふじは吉平を外に呼び出して
話をしようとした。

「あんたは花だけが自慢でほかの子は
どうでもいいのか」と聞く。

「花は五年ぶりだったので今しかうち
におれんから・・・。」

「それはかよもおなじずら・・・」

「どういうことだ?」と吉平は聞く。

そのかよは周造と吉太郎の藁仕事の
部屋に行った。

「どうした、かよ?」と周造。
かよは黙っていた。

花はももと布団を並べて本の読み聞かせを
していた。ももは静かに寝ていた。

かよもふじも吉平もいないので
「みんなどこへいったずら?おそいじゃんね・・」と
つぶやく。ももの布団をかけてやる花だった。

翌朝、よく水汲みをした川に行った。

「つめてーだ~~」

川には白鳥がいた。

「おはようごいっす。おまえらも早起きじゃね。」
白鳥は飛んで行った。

朝市がきた。

「朝市、おはよう、」

「おはよう・・・

花、元気ねージャンけ?」

「私・・・けーってこねーほうが
よかったのかな?
長い間、けーれなかったから
私の居場所がねーみてーで。
うまくいえねーけど、かよも兄やんも
なんか壁があって・・・・・
あ、朝市もだけど・・・・」

朝市は花に近づいていった。

「花はなにもわかってねー。
かよちゃんのこともなんもわかってねー
じゃんけ。」

「かよになにがあったの?」と花は聞く。
黙っていろと言われてけどというが
花は知りたい。
「おしえて朝市。」
「かよちゃん・・・

年明けたらすぐ、製糸工場の
女工になるだ。」

「女工・・・・」花は驚いた。

★5年ぶりに故郷に帰ってきた
花を待っていたのは冷たいからっ風と
厳しい現実でした。

ごきげんよう

さようなら・・・・

*************
昨日(この放送の日)は朝から
お出かけで、書くことができずに
今日になりました。

5年は長いです。
おちびの少女も大きくなります。

花は女学校で鍛えられた分
違う人のようになって帰ってきました。

お姫様と百姓ほど見かけが違います。
そして、その違いを家族はさみしく思った
のです。

花はまず家族の状況を知らないと
いけません。

家族も花を迎えるだけではなく今の状況を
話さなくてはいけません。

離れていたも家族です。お客様ではありません。

そうですよね。

でも醍醐さんがかしてくれた着物だとは
思わなかったですね。

あの方が絡むと問題がややこしくなりますね。

北沢へのウソとか・・
きれいな着物のために武が
心を奪われたこととか・・・
かよが、それをうらやましそうに思ったこととか。

です・・・。

そして女工について。
この時代の安い労働力です。
資本家がもうけるために安い人件費で
女性をやといます。男より女のほうが
いくら働いても賃金が安い時代でした。

特に、貧しい農家の娘が雇われる女工は
劣悪な労働環境で奴隷のように働かされます。

それで資本家は設けるのです。
近代の日本発展を支えた要素の一つが
こうした安くたたかれた賃金で雇われた
女性の労働者でした。