エーゴってなんずら?3

ホームシックにかかった花。

おなじく綾子と一緒に教会の礼拝堂で
神様にお祈りをすることにした。

「この世に神様がいらっしゃるなら・・
おらの願いを聞いてくれっちゃ!

はやくうちにけーしてくりょ」

「神様、私もこんなところもういやです。
お父様、お母様のいらっしゃるイギリスへ
行かせてください・・」

そのとき、声が聞こえてきました。

「なぜ、そんなにここが嫌なのですか?」

「け?神様け?」

「だって神様、ここにはすごくおっかない先生が
いるんですもの・・・」

「ブラックバーンちゅー鬼みてーにおっかない先生が。」

「わたくしたちをここから出してもらえないなら
あの人たちをカナダに返しちゃってください。」

「神様、おねげーしやす!!」

そういって、二人は手を組み、頭を下げた。

すると・・・
足音が聞こえてきた。

振り向くとそこには
あの

富山と

ブラックバーン校長が

いる・・・・。

二人は、息をのんだ。

富山は校長に耳打ちをしていた。
おそらく、二人のお祈りを
通訳しているのだろう。

「校長先生はあなたたちのように悪い子を
良い子にするためにはるばる
カナダからいらしたのです。
なんですかっ!今のお祈りはっ!」

あっけにとられる二人だった。

富山、茂木・・・そして校長は
対策を考えた。

茂木はホームシックだから
大目に見てやってほしいというが
富山は,茂木先生は甘すぎる、だから彼らは
甘えるのだという。

校長はホームシックの特効薬は
体を動かすことだという。

罰としてスコット先生のお部屋の掃除を
言いつけられた二人だった。

掃除道具をもって姉さんかぶりをして
ふたりは、廊下を茂木先生のあとについて
歩く。

「もういやになった。
掃除なんか家でさせられたことないのに!」

花は綾子が掃除をしたことないのに驚いた。

「うちでは、使用人がするの!」

茂木はスコット先生の部屋のまえで
立って注意をした。「廊下は静かに。
ここがスコット先生のお部屋です。」

花は部屋に入ろうとしたが茂木が
注意をする。
「お部屋に入るときはノックをなさい。」
「ノック?」
綾子は、かわりにドアをトントンとたたいて
「お部屋の掃除に参りました」と
いった。

するとドアが開いて先生が出てきた。

「よろしくね、今から授業に行ってきます。」

といって、去っていった。

部屋に入った二人は、アッと驚いた。
きれいな香水の瓶や、アクセサリーが
あった。レースのクロスも・・・すてきな
テーブルランプも。クラシックな時計も。
綾子と花は喜んだ。

「まぁ~~~きれい~~~」

「不思議の国みてーだ。」

「二人ともばつ当番ですよ。
鏡台と机の上のものは大事なものなので
さわらないように。
しっかりやってくださいね。」

「はい!!!」

なんだか元気になった二人は、はりきって
掃除をした・・・

「お母様の鏡台にもこんなものなかったわ。
女の子はきれいなものに囲まれていれば
元気になるんですもの!」

などと綾子が言っているうちに、花は
たすき掛けをして、ほこりをとる
作業を始めた。

「花さん~~~みてごさんなさい。」
綾子はペンダントの蓋をあけた。
そこには、男性の写真があった。

「これきっと、スコット先生の大切な
ひとよ。」

花はほこりをとりながら、「ずいぶん鼻のたけーい
人だね・・・」

と、いう。

「許嫁かしら~~~~~」

こちらのお嬢様はこれで元気になった。

スコット先生はお部屋に入ると驚いた。
飾られた花。
きちんとたたまれたクロスたち。
整然となった部屋。

お茶の時間には上級生たちが
結婚の話をしていた。

外交官とお見合いをしたという
上級生。来年はフランスの大使館にいくと
いう。

まわりの友人たちはうらやましがりながらも
楽しそうに話をしていた。

茂木と富山と話をする花と綾子。
茂木は、お部屋がきれいになったので
スコット先生は喜んでいるという。
毎日お掃除をお願いできないかという。

綾子は、「はい、喜んで」といった。
花も「はい」、と答えた。

富山は「お掃除も結構ですが・・・
その調子で英語の授業はもっと
頑張ってくださいね。」とひとこと。

綾子は、元気に「はい」と答えた。
花は自信がないが「はい」と答えた。

さて、その授業である。

I get up at 6 o'colck(生徒

past sentence(先生

I got up at 6 o'colck(生徒

future sentence(先生

I will get up at 6 o'colck(生徒

富山は自信なさそうな花をみて
あてる。「安東さん・・・」

「あ、あい・・・
I get・・・」

「違う!future」
校長室で話をする富山。

「あの子は英語についてこれないし
この学校になじもうとしません。
今のままでは今までの給費生のように
この学校から去っていくと思います・・」

富山は校長にそういった。

茂木は、「まだ、そのように決めつけるのは
早い」というが・・・富山は無視をする。

廊下を歩きながら花は空を見た。
窓から見える空を鳥が群れを成して
飛んでいる・・・
「あの鳩に乗っかって
甲府の空に飛んでいけたらな・・・・。」

★ここでは空想の翼を広げることもできず
花は羽の折れた鳥のようでした。

そして先生に注意された。
「授業が始まりますよ!」

「はい・・・。」

★そのころ行商で東京に来ていた
おとうは、またもや、とんでもないことを
考えていました。

そこは労民新聞社という。
いつぞや、労働者は働いても報われないと
演説をしていた社会主義者の機関誌の会社である。

おとうは、平等という考え方に
賛同した。自分も何かできるものかと
思うがなにかできることはないかと
社員に聞く。

社員は、ではこれを・・・といって
記事を見せる。
そこには、寄付をお願いとの広告が。

おとうは、お金は無理だというが
社員は「じゃ、お引き取りください」と
にべもない。

おとうはすごすごと帰った。
事務所の奥にいた社主の浅田は聞いていて
興味を持った。
「行商と言っていたな、おもしろそうだ。
宿を突き止めてくれ」

社員は「ハイ」と返事した。

花の寄宿舎の部屋。
寝る時間となった。
 

綾子は、白鳥にご縁談は
まだないのですかと聞く。

寝る前のお手入れをしていた
白鳥は、「それは降るように
あるけど私のおめがねに
かなう殿方がなかなかいらっしゃら
なくて・・・」という。

もう一人の先輩一条高子が
「修和女学校の卒業生は
外交官や貿易会社の殿方から
引く手あまたなのよ。」という。

綾子は「そうなんですか~~」と嬉しそう。

そこへノックがあって
先生が来る。

「マイ ガールズ
グッナイト!」

「グッナイト ミススコット(全員)」

ドアが閉まってランプを消す。

花は布団に入った。

綾子は花にそっと言った。
「私はここで頑張る。
お母様のお手紙にも書いてあったの。
ここの生徒でいれば、山ほどいい縁談が
来るんですって。」

「縁談???」

「小さい人たち!
早く御休みなさいっ!」

白鳥がそっといった。

花は「ご不浄へ」といって
立ち上がった。

白鳥は、「消灯の前に
なぜいかなかったのか。
仕方がないですね」と
いう。

花はぺこっと頭を下げた。

空には月がまるく照っていた。

「うちにけーりてーなー」
とつぶやく花だった。

じっと空を見ていたら

「ごめん、おとうごめん
おら、おとうの期待には
答えられんさ」といって
ぬけだそうとした。

塀を乗り越えようとすると

「グッドイブニング~~」

と吉平がきた。

「で?おとう!!!」

吉平は「降りろ、あぶない」という。
「元気にしていたか?」と聞く。
元気ではないのでわけを聞く。
格子の塀を隔てて親子は顔を見合わせた。

花は自分がホームシックにかかったと
いった。
ホームシックとは何かと吉平がきくと
それはおかあにあいたいとか
家に帰りたいとか思うことだと花は
いった。

おとうは「すごいな~~さっそく英語を
覚えたか・・。やっぱり花はすごいな。」
と笑う。

「おとう、おらチョッコし元気になっただよ
おらこぴっと元気になったださ」

「おとうも花の顔を見たらこぴっと元気になった」
と嬉しそうに言った。

花はうれしくなった。

そこに、英語の歌が聞こえてきた。
スコット先生だった。
美しい声だなと吉平。

じっと聞く花・・・。

★このとき、はじめてあんなに嫌いだった英語が
花の心にやさしく響いてきたのでした。

ごきげんよう

さようなら・・・・・。

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お嬢様学校なんですね。
華やかですこと・・・。

で、花はやっと英語に興味を
持ったみたいですね。

しかし、おとうは何をしようと
しているのでしょうか?

あの社主はいい人なのでしょうか?

花にはできたら、波風なくおだやかに
学校生活を送ってほしいと
私は願います。

お父さんは行商をしているのは
どんなわけがあるのでしょうか。

なぜ、農業をしないのでしょうか。

私の高校もミッションスクールで
英語はさかんでしたが、残念なことに
教科書をマスターするのに必死でした。

自由に英語を楽しみながら勉強する
ことができなかったですね。

修和は外国人の先生が多くて
いいなと思います。